一匙のお姫様物語   作:とりるんぱ

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マヤはリゼ達の学校の特待生入試を受けれる程度には頭がいいらしいです(19日発売きららMAXを見ながら)。

……こういう後付設定が平然と出てくるからなあ。


揺れ動くレスプリ・ドゥ・フィーユ

                ~○~

 

「これを持って立ってるだけでいいんですか?」

 

「はい。それだけで絵になりますから」

 

「そ、そうですか……」

 

やわらかい、向日葵みたいな笑顔でそう言われ、私は目を逸らした。さっきの服屋の店員もそうだが、突然そんなことを言い出すのは反則だと思う。対応できるわけがない。

 

「あらあら、照れちゃって。可愛いですねえ」

ついでに追い討ちをかけるのも反則だと思う。私は男らしいとは誰かさん(ヒョウ)に言われ慣れているが、可愛いとは言われ慣れていないのだ。

私は顔を赤らめた。そんな私に、美容師さんはたおやかな笑みを向ける。女性らしい何もかも包み込んでしまうような包容力溢れる笑みだ。母性を感じる、といってもいいかもしれない。

私の顔は、いよいよ沸騰した。このままでは顔の温度は臨界点を突破し、やがては噴火、爆発、メルトダウンを起こしてしまうだろう。そうなる前に。

 

「それにしても、いきなりカットモデルを頼まれるなんて思ってませんでしたよ」

 

私は話題を変えた。美容師さんは相変わらず笑顔を浮かべていたが、しかし笑顔は笑顔でも今度のは紛れもない苦笑だった。

 

「あ~……ごめんなさい。彼、一度言い出したら聞かないところがあるから……」

 

苦笑のまま、美容師さんは首筋を掻いた。「彼」とは、十中八九服屋の店員のことだろう。私は言った。

 

「そうみたいですね」

 

美容師さんはため息をついた。

 

「ああ、やっぱりあいつ、強引に連れて来たのね……」

 

額に手を当て、かぶりを振りながらひとりごちるその姿は先程の店員に対する呆れを全身で表現しているようだった。

私は苦笑した。何故なら本当に強引に連れて来られたからだ。

強引にといっても、力尽くで連行されたわけではない。そうではなく、ただただ単純に、何度も何度もお願いされたのだ。懇願といってもいいかもしれないが。どちらにせよ、いくら拒否してもそれをさも聞いていなかったとばかりに「カットモデルやってみない?」と再三同じことを繰り返していたことは変わりない。

美容師さんは私の方を見ながら苦虫を噛み潰した表情をしていたが、すぐにその表情を引っ込めると、

 

「まあ後で彼にはキツく言っておくとして……取り合えず、今は撮影しましょう」

 

そう言って、薔薇を差し出してきた。大人しく受け取り、再度尋ねる。

 

「確かこれを持って立ってるだけでいいんですよね?」

 

「はい。それだけで絵になりますからね」

 

「それはもういいですから。そういえば、この薔薇はなんて名前なんですか?」

 

「レスプリ・ドゥ・フィーユです」

 

「レ……レスプ?」

 

「レスプリ・ドゥ・フィーユです。フランス語ですよ」

 

「はあ」

 

私は薔薇の茎を回した。ヨーグルトの中にブルーベリーを一個落としこんだような白と赤紫のコントラストがひらひらと回転する。綺麗な花びらだ。

 

美容師さんは言った。

 

「花言葉は、「乙女心」なんですよ」

 

「へえ」

 

乙女心とは、こんなにも淡い色をしているのだろうか。

……しているだろうな。さっき買ったワンピースが入った紙袋を見て、私は納得した。男っぽいと呼ばれたくない、普通の女の子として接して欲しい……そういう「乙女心」はとても繊細で、とてつもなく淡いものなのだろう。

 

私は今一度「レスプリ・ドゥ・フィーユ」を見た。淡さの中にも、薔薇特有の華やかさ、高貴さ、そして儚さ……そういったものが含有されているように見えた。

私は嘆息した。

 

「綺麗な花ですね」

 

「そうでしょう?」

 

美容師さんはニッと、得意げな笑みを浮かべた。

 

「何せ、今回は「綺麗で麗しい淑女」をテーマにしていますから」




どうもマメちゃん達はリゼ達の学校へ、チノちゃんはココア達の学校へ進学するようですね(19日発売の(ry)。チマメ隊解散の危機っていうネタで新しいssを一本書こうかしらん。
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