一匙のお姫様物語   作:とりるんぱ

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最後が適当になった感isある。


夢見るアプレミディ

 

今ここで一番聞きたくなかった声がして、振り向く。するとそこには案の定というか不幸にもというか。とにかく、一番この格好で会いたくなかった奴がいた。

 

その一番会いたくなかった奴(ヒョウ)は私を一瞥するなり、

 

「……で、リゼ?その格好は何?」

 

早速、訊いてほしくないことを訊いてくれた。私は胸を張って答える。

 

「あの、私の名前はロゼといいま

 

「すぐにバレるような嘘をつくな」

 

言葉を被せられて、私は口を閉じた。ヒョウの顔を見ると、呆れを微塵も隠さない、やれやれといった表情。

 

「どうせ、カットモデルを頼まれて、ついでに買った服をすぐ着たくなってしまって、それでその結果が」

 

ヒョウはその表情のまま、私を指差して言った。

 

「その格好なんだろ?」

 

「…………………」

 

どうしてそこまで当てられるんだろう。ヒョウはエスパーか何かなんだろうか。

それとも、まさかとは思うが私をストーキングして私の行動を逐一チェックしていたのだろうか。

 

「何か凄い不本意なことを思われている気がするのはともかく……そんな理由なら、別に隠す必要も無いだろう」

 

「隠す必要あるぞ。なぜならこの、ガーリーな格好を見られると羞恥で死にたくなるからだ」

 

「なら何でそんな格好してんだよ……」

 

「う……ちょ、ちょっと着たくなったんだよ!悪いか!」

 

私は強く言った。本当は「ちょっと着たくなった」というふわふわした理由ではなく、いやちょっとはあったかもしれないが、それがこの格好の直接の原因というわけではなく。

それこそ、ヒョウには絶対に言えないような、「ガーリーな私を見せびらかしたい」という……

 

「……リゼ?そんな怒ることは無いと思うけど」

 

「怒ってるわけじゃない」

 

「いやでも、顔真っ赤だし」

 

「怒ってるから顔真っ赤なわけじゃない!」

 

「……そうか」

 

声を荒らげた私にヒョウは驚いた表情でそう呟くと、そのまま押し黙った。当然私も黙る。声を荒らげた以上、変に話しかけるのも気まずいし。

 

「…………………」

 

「…………………」

 

……とはいえ、無言空間というのもそれはそれで気まずい。どうしてこんな空気になってしまったんだろう。まあ私が強く言い放ったせいなんだけど。

 

そんな気まずい空気に私が心の中で秘かに悶絶していていると、

 

「……なあ、リゼ」

 

ヒョウがわりと真面目な口調で話しかけてきた。

 

「……何だ?」

 

「……その……いい、と、思うぞ」

 

「え?」

 

「だから……その……」

 

「言いたいことがあるんならはっきり喋れよ」

 

「……その格好。可愛くて、いいと思うぞ」

 

……………なんだって?

 

「か……可愛い?」

 

「おう。お淑やかで、可愛くて、何がいいのか分からないけどとにかくいいと思った」

 

「お淑やかで、可愛い……?」

 

私はヒョウの目を見た。ヒョウは視線を逸らさず、まじまじと見つめ返した。

私は目を逸らした。

 

これは反則だ。紛れも無い反則だ。

可愛いと言われ慣れていない私に、よりにもよって今まで散々男らしいとか言ってからかってきた奴から「可愛い」と言われるなんて。

 

……対応できるわけ、無いじゃないか。

 

「……リゼ?また顔真っ赤だけど、もしかしてお怒りだったりする?」

 

ヒョウはそんな私に恐る恐る、といった体で声をかけた。

 

私はいつの間にか俯いていた顔を上げて、怒ったような表情を作った。

 

「当然だ。今まで散々、「男らしい」とか「闘牛」とか言われてきた相手からとってつけたような賛辞の言葉を述べられても、心に響くわけが無いだろう」

 

勿論、この言葉はブラフだ。照れ隠しといったほうが正確かもしれない。

 

しかしヒョウはそれが照れ隠しとは気づかなかったようで、

 

「えっ!?いや、それは珍しく本心から出た言葉なんだけど……」

 

「うるさいッ!これでも喰らえ!」

 

私はヒョウに殴りかかった。ヒョウは私の攻撃を瞬き一つせずに最小限の動きで避けきった後、

 

「理不尽!いくらなんでも、その攻撃は理不尽!」

 

と叫んだ。私もそう思う。だが、いくら理不尽だろうがしょうがないじゃないか。これも照れ隠しの一環なんだから。

 

私は言った。

 

「ええいッ!避けるなッ!」

 

「ちょっと待ってくれいくらなんでも酷いぞこの仕打ちは!?」

 

ヒョウはそう言い残すと、一目散に逃げ出した。

 

「あ、ちょッ!逃げるなヒョウ!」

 

「逃げなかったらお前に殴られるだろうが!」

 

「そんなの知るか!」

 

走りながら喚くヒョウを追いかけながら、私は秘かに微笑んだ。

 

 

……可愛い、ね。

 

 

 

 

 

            ~○~

 

 

 

 

 

空を赤く染め上げていた太陽は更に角度を急にし、空はだんだんと暗くなり始めていた。

私はそんな空を見上げて呟いた。

 

「こんな時間だというのに……明るいなあ」




ところで今日はごちうさのゲーム「ご注文はうさぎですか?? Wonderful party!」の発売日ですが、皆さん購入しましたでしょうか?
私は今全力で千夜ルートプレイしてます。たのしいです。すごいです。
ついでに新しい元ネタというか原作が増えて二重の意味で嬉しいです。

そんなわけで全ルートクリアするまで更新停滞するかもですがよろしくお願いします
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