INFINITE STRATOS CODE:7thD 作:赤目先生
それではどぅぞ!
代表決定戦が終わり、セシリア―――本人から名前でいいと言われた―――が辞退して一夏が代表になった。今日はISの基本的な飛行操縦などの授業がある。というわけで
「織斑、オルコット、天野、見本として実際に飛んで見せろ」
1組の専用機持ちが前に呼び出され、それぞれが並ぶ。
「まずはISの展開からだ。始めろ」
織斑先生に言われてからムラクモを展開させる。夏から動かしているお蔭で、展開までの時間は1秒とかからない。セシリアは既に終えているが、一夏はまだ暫く掛かりそうだ。少ししてからようやく展開できた。
「よし、飛べ」
織斑先生の合図で一斉に飛び立つ。俺の少し後ろにセシリア、さらに後ろの方に一夏がいた。ある程度の高さで止まる。
「何をやっている織斑。白式のスペック上の出力はムラクモと同程度、ブルーティアーズより上だぞ」
スペックの話が出たので簡単に紹介、俺の機体は速度特化の紙装甲である。どうやら一夏も到着したみたいだ。
「そんなこと言われてもなぁ。『自分の前方に角錐を展開させるイメージ』って言われてもわかんないんだよな」
「一夏さん、イメージは所詮イメージ。自分のやりやすい方法を探すのが建設的でしてよ」
なるほどなぁ。と言いながら頷いている一夏。俺はいつの間にか飛べるようになってたからなぁ。こればっかりは練習するしかないと思う。
「次は急降下と完全停止をやって見せろ。目標は地表から10センチだ」
「了解です。では、お二人とも先に行きますわ」
そう言って地表に向かい急降下していく。そして、丁度10センチで止まったのを見ると、流石代表候補生といったところだ。
「次は俺が行くぜ」
「頑張れよ一夏」
次は一夏が急降下していく。徐々にスピードを出していくが、出しっぱなしだ。このままじゃ地面にぶつかるぞ、と思ってたら案の定ぶつかった。
「誰が地面に激突しろと言った。後で穴を埋めておけよ」
「は、はい」
「次は天野だ。降りて来い」
よし、ちゃっちゃと終わらせるか。下に向かってスピードを出す。目標の10センチまで後少しといったところで完全停止。
「よくやった。では、次に武装の展開だ。織斑、展開しろ」
「はい」
一夏が雪片弐型を展開しようとするが、なかなか上手くいかない。
「遅い、0.5秒で出せるようにしろ。次に天野」
「わかりました」
居合の構えを取り、黒刀を展開した直後に刀身を抜き放つ。
「0.2秒、十分な速さだが予め抜刀しておけないのか?」
「いえ、それもできますけど、居合からの方がダメージが高いので」
「そうか。次はオルコット」
「わかりましたわ」
セシリアがスターライトを展開する。流石代表候補生、一瞬で展開した。
「どこに向けている。味方にでも撃つつもりか? 正面に展開できるようにしろ」
「ですが、これはわたくしのイメージを固めるのに必要な」
「直せ。いいな?」
「はい……」
厳しく言われて落ち込んでしまっているセシリアに、織斑先生が近接武器の展開を促すが、なかなか展開されない。
「あぁ、もう! インターセプター!」
初心者用のコールで展開するセシリア。今まで使ったことなかったから難しかったのだと思うが、代表候補生なら練習してると思うのだが。
「何秒かかっている。実戦でも相手に待ってもらうつもりか?」
「じ、実戦では間合いに入らせませんわ! ですので問題ありませんわ!」
「ほう。織斑には間合いに入られ僅差で勝利。天野に至っては惨敗だったではないか」
「う!」
事実を言われて黙り込んでしまった。もっと練習した方がいいと思うんだが。なんて考えていると、セシリアからプライベートチャンネルで通信が来た。
『剣さん、後でお話があるのですが、よろしいでしょうか?』
『いいけど、どうしたんだ?』
『それはお昼に話しますわ』
『わかった』
通信を切って授業を続ける。その間、一夏は一人空しく地面に開いた穴を埋めていた。
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「それで、話ってなんだよ?」
午前中の授業が終わり昼休み、俺はセシリアと一緒に屋上に居た。澪には先に食堂に行ってもらった。
「実は……私に近接戦闘の訓練をしてほしいのです」
屋上に呼びだしてまで話をすると言われ、色々と身構えたが、そんなことだったのか。
「そんなこととはなんですか!」
「あ、声に出てた? 悪い悪い、馬鹿にしてる訳じゃないんだ。別にいいぜ、いつから始める?」
何故か分からないがセシリアがきょとん、とした顔をしている。
「俺、何か変な事言ったか?」
「いえ、以前戦った者同士だったので、受けてもらえるとは思わなくて」
なるほどな。まあ疑心暗鬼になってしまうのも仕方ないのかもしれない。
「確かに前は敵対してたけど、今は互いに高め合う仲間だろ? だったら友人のお願いを聞き入れない程、俺は落ちぶれていないぜ」
「……あ、ありがとうございます。細かい事はまた後日お伝えしますわ」
「わかった。じゃあ行くか」
セシリアを先に向かわせて、少し後ろを歩く。ドアを開き、階段を降りようとすると。
「ねぇ剣」
「!?」
どうして澪がここにいるんだ!? 先に食堂に居る筈じゃ!
「いつも一緒に食べてるのに今日はどうしたのかなって思ったから、着いてきたらさっきの会話聞いちゃって」
そこで言葉を区切る。いつもは感じない威圧感が、今の澪から発されている……
「訓練はいいんだよ。でもね、あんな風に口説く様に喋るのは止めてほしいな」
「そ、そんなつもりは……」
「わかってるよ、剣にその気がないのは。でも、心配なの……」
一度下を向いた澪が顔を上げると、その瞳は潤んでいた。
「周りにはかわいい子が多いから、私から興味失くしちゃうんじゃな―――」
それ以上は言わせない。その為に今喋ってる口を唇で黙らせる。
「俺が澪を捨てることなんて絶対に無い。澪以外に好きになる女なんていない。俺を信じてくれ……!」
「グスッ……うん、信じる。ごめん、不安になってた……」
「いいんだよ。それも仕方ないだろうし」
そういって今度はしっかりと口付けを交わす―――――
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時は放課後。今日はどうやら一夏のクラス代表就任パーティーがあるらしく、1組の生徒たちは食堂に集まっている。なにやら見慣れない顔もいることから、他のクラスからも人が来ている様だ。
「はいはーい! 新聞部の『黛 薫子』でーす! 話題の織斑一夏君と天野剣君にインタビューしに来ました!」
パーティーが始まってしばらく経つと、新聞部を名乗る人が来た。リボンの色からして2年生らしい。
「ではズバリ! 織斑君、クラス代表になった感想をどうぞ!」
「えっーと……頑張ります」
無難なコメントだな。かと言って俺が何か言えって言われても同じ様なことしか言えないが。
「えー、もっとコメント無いの? 例えば、俺に触ると火傷するぜ、とか」
「自分、不器用ですから」
「うわっ! 前時代的!」
確かに、妙に古臭いセリフだ。一夏は代表候補生すら知らなかったからな、流行りとかには疎いかもな。
「まぁいいや、適当に捏造しとくから」
それでいいのか新聞部……この後俺にも来るんだろ? しっかりしたこと言わないと、何書かれるか分かったもんじゃないな。
「続いて天野君。代表候補生相手に勝利を収めましたが、その強さの秘訣は?」
「そうですね。毎日の練習の積み重ねですね」
「なるほど、それともう1つ、彼女とかっているんですか?」
その一言で周りの喧騒が瞬時に止んだ。この際だから言ってもいいだろ、澪を安心させるためにも。
「なんで俺だけに……まあいいですけど」
そう言って俺は澪がいる所まで近付いて行く。そして、澪の肩を引き寄せる。その時にキャッとかわいい悲鳴が聞こえたが今は気にしない。
「那雲澪。この子が俺の彼女です」
『ええええええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!』
一拍置いてから食堂に叫び声が響き渡った。こんな多くの人の叫び声を聞いたのは初めてだなぁ~耳が痛いぜ……
「色々と聞きたいことはあると思うけど、俺からは1つだけ。醜い嫉妬とかで澪に手を出したらタダじゃ済まさねぇからな。」
いつから付き合ってただの、なんで隠してただの聞こえてきたが、俺の一言でピシャリと止んだ。
「まぁ、危害を加えなければ普通に友達として接してやってほしい。よろしくお願いします」
固まってしまっている皆に向けてお辞儀をすると、皆も理解してくれたようで、これからもよろしくね。といった声が聞こえてきた。これで一安心だな。
「じゃあ色々あったけど次、セシリアさんにインタビューさせてもらうね」
「こういうのは気が乗りませんが……折角なので話してさしあげますわ。そもそもわたくしが一夏さんにクラス代表の座を譲ったのは―――」
「やっぱ長くなりそうだからいいや、織斑君に惚れたってことにしておくね」
「なっ何を―――」
セシリアが顔を赤くして慌てふためいている。代表戦のときにわかったが、これは完全に惚れてるな。
「折角だから専用機持ちで写真撮らせてね~、あと澪ちゃんも天野君の隣に並んでね~」
一夏と俺を挟むように澪とセシリアが並んで写真を撮る準備をする。
「それじゃあ撮りまーす! 35×51+235は?」
「2020」
「せいかーい!」
そう言って先輩がシャッターを切る。
「なんで全員映ってますの!?」
「まぁまぁいいじゃない」
「クラス全員の思い出ってことで」
「それにセシリアだけ抜け駆けなんてねぇ~」
いつのまにかクラス全員が集まって写真に写っていた。なんなんだこの団結力は。その後、パーティーは夜10時まで続いた。あまりにも騒ぎ過ぎて織斑先生に見つかり、お開きとなった。
その後は澪と一緒に部屋で色々喋ってから眠りに付いた。明日はどんなことが起きるのか、楽しみだ。ちなみに、今日の澪はすごい甘えてきてかわいかった。うん、関係ないなこれ。
今回はいかがでしたでしょうか? 澪との関係を明かしたり、セシリアの強化フラグが立ったりしましたね。
感想・ご指摘・その他諸々が御座いましたらお気軽にお書き下さい。
また次回!