亡国機業は今日も平和です。   作:ジト民逆脚屋

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予定変更して、はい、ホテルに行きます。



ホテルに行こう!

ヨーロッパ某所 朝

 

数々のトラブルに見舞われヨーロッパ某所にて、キャンプをすることにした亡国機業日本支部の面々。

静かで爽やかな朝、その悲劇は起きた。

 

「おい、アヤイチ。見てみろ、アレ」

「体育座りしてますね」

「あいつ、まんじりともせず起きてたみたいだぞ」

 

マドカとアヤイチが指差す方向には自分達が乗ってきたワゴン車があり、中には盗難防止の為に二名のメンバーが残っていた。

一人はジンク、一人はフェイゲンだ。ジンクは運転席にフェイゲンは後部座席にいた。

その運転席で、ジンクは体育座りで理不尽な寒さに耐えていた。

 

「なあ、ペイル。何で鍵持っていった?」

「サーセン、旦那」

「しかも、窓ちょっと開いてるしよ。凍死するかと思ったんだぞ!」

「マジサーセン!ところで、フェイゲンさんは?」

「アイツなら、ほれ」

 

溜め息混じりにジンクが指差す先には、大量の酒瓶と共にイビキをかきながら眠るグラサンがいた。

ビール、ウィスキーウォッカ、焼酎日本酒、様々な酒が空けられているが、何故かワインだけは無い。

この酒呑みグラサン、ありとあらゆるアルコールを呑むが何故かワインだけは呑まない。呑んでも祝い事等で一瓶空けるか空けないかだ。

 

「フェイゲンさんは、ブレないッスね」

「昔からこうだよ、こいつは」

「この野郎、私に内緒でこんな良い酒呑みやがって!」

 

オータムが寝こけているグラサンから乱暴に酒を奪うと、豪快に喉を鳴らして呑み始める。

 

「朝っぱらから、よく呑めるわね・・・」

 

スコールの呆れ半分の言葉も何のその、一瓶を瞬く間に空けると次の酒へと手を伸ばしニヤリと笑う。

 

「酒は百薬の長って言うだろ?」

「理由になってないわー」

 

全くもって理由になってない言葉を口にし、三本目を空け始めるオータムを尻目に、ナイトメアがスケッチブックを取り出す。

 

『で、これからの予定は?』

「先の街にあるホテルに向かう、そこで仕事の打ち合わせだ」

「そのホテル、大丈夫なんですか大将?」

 

アヤイチが疑問をぶつける。それも仕方ない事だろう、ヨーロッパに入ってからバカ共から妨害を受けまくっている。だが、心配は無用と言うばかりにスコールとジンクが口を開く。

 

「それは、心配要らんぞ」

「『オールド』が用意したホテルよ。それに妨害出来たら、逆に奴等を褒めてあげたいわね」

「『オールド』が用意したなら安全ですね、奴等も邪魔は出来ないでしょう」

 

アヤイチが一先ずは安心と言う風に煙草に火を点け紫煙を吐き出す。

それを見たペイルが首を傾げながらジンクに問う。

 

「旦那、その『オールド』って人は信用出来るんですか?」

「ん?ああ、お前は会ったこと無いんだったか。『オールド』は俺とスコールの同期だ」

「そうね、私達と同期で私とジンクを裏方に特化させたのが『オールド』よ」

 

ヨーロッパ支部がまだ組織の体を保っているのには、『オールド』というメンバーと、ある二人による功績が大きい。

ISの普及と共に急速に浸透した女尊男卑思想による女性権利団体の横行、それは何も表社会だけのことではなく裏社会でも起こっていた。

ヨーロッパ支部の先代はこれを危惧し、策を講じていたが、それは女尊男卑社会になる前で通用する策であり、現在の社会では組織の腐敗を寸でのところで食い止めるのが精一杯であった。だが、先代の側近でもあった『オールド』とその側近と二人のメンバーにより完全な腐敗は免れている。

 

「『オールド』かー、懐かしいなぁ、おい」

「オータム、お前とフェイゲンは世話になってるんだ」

「わーってるよ、大人しくしとくって」

「分かってるなら良い、ペイルそろそろ行くぞ」

「うーす」

 

昨日と同じ席順で車に乗り込み、一路合流先のホテルを目指す日本支部の面々。

車が動き出して暫くすると、酒呑みグラサンが起き出した。

 

「んあっ!ぐむ?朝か」

「いや、朝かじゃなくて、起き抜けに酒呑むの辞めましょうよ」

「アヤイチ、知ってるか?酒は百薬の長だぞ」

「理由になってないですわー」

 

酒呑み蜘蛛と同じ事を言い出す酒呑みグラサン、ウィスキーの瓶それを片手に呑み始めると、あることに気付く。

 

「あ!おい、オータム!それ、俺の酒!」

「あぁ?良いじゃねぇか、一人でこんな良い酒呑むんじゃねぇよ」

「その酒、それで最後なんだよ!また『クィーン』の奴に頼まねぇといけねぇじゃねぇか!」

「『ネクロス』は、どうなんだよ?」

「アイツは、ワイン派だ」

「お、おう・・・」

 

グラサンの悲痛な声を聞き、黙る蜘蛛。だが、何故かは分からないが、突如として運転席と助手席を見ると、何かを話始めた。

 

「おい、オータム。アレ、あったろ?」

「あるぜ」

「やるか?」

「やるさ」

 

座席の影に隠れてゴソゴソ蠢き出すキチガイ共、暫しの後にジンクとペイルが見るバックミラーに二人が写った。

 

「ブッフォ!何してんスか、二人共!」

「お前ら、顔真っ白じゃねぇか!」

 

そこには、顔面どころか首まで真っ白に染まったバカが二匹写っていた。

それも、真ん中ではなく端からそっと覗き込むように映りこんでいた。

 

「見てみろよ、これ。何か知らねぇけど70って書いてあるぜ。この日焼け止め」

「何が70なんだ?」

「知らね」

「知らね、じゃねぇよ!こっち見んなよ!」

「見えてるかい?」

「見えてんですよ!オータムの姐さん、もうちょい端に寄ってください!」

「こうか?」

「そうそう、そうだ、って、次はお前かフェイゲン!」

 

オータムが見えなくなったら、フェイゲンが見えた。そして、後ろでアヤイチもゴソゴソし始めた。

 

「アヤさんまで、真っ白になってるー!」

「テメーら、いい加減にしろ!」

「アヤヤヤヤヤ!」

「おーい、ペイル。前見てみろ、対向車線に出てるぞぅ」

「ウオワアアアアッ!」

 

急ぎハンドルを切り対向車線から脱出するワゴン車、その最後部では

 

『ねぇ、スコール』

「ダメよ」

『まだ何も言ってない』

「ダメったらダメよ、マドカも大人しく座ってなさい」

「この揺れで、大人しく座れるか。スコール、ナイトメア、尻尾切った」

『ナイス、マドカ』

「ナイスよ、マドカ」

 

モンハンしてました。




ホテルに行けなかったよ・・・

次回
「久し振りねぇ、皆」
「おーぅ、クィーンにネクロス」

とうとう合流してしまう、キチガイ

「まったくもう!ほら、ちゃんとネクタイ直す!」
「やめろ!カーチャンみたいな動きで近づくんじゃねぇ!」

キチガイに弱点発覚
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