亡国機業は今日も平和です。   作:ジト民逆脚屋

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初めまして、ナイトメアです。久々の『亡国機業は今日も平和です。』始まります。
と言うか、今回私の出番、ここだけ?


会議!会議だよ!会議!・・・・・・・・・・・・・・・多分・・・・・・

「よお、久しいな。ジンク、スコール」

 

『ホテルカリオン』の最上階の窓の無い一室、ジンクとスコールを出迎えたのは、ヨーロッパ支部最高幹部『オールド』であった。

縁の黒い眼鏡をかけ髪を緩く七三に分けた優男、着ているスーツも相まって、一見ごく普通のサラリーマンに見えるが、この男はそんな生易しいものではない。

権謀術数が渦巻き暴力が幅を利かせる裏社会で、優しげな薄い笑顔で辣腕を振るい、冷酷にヨーロッパ支部を支えてきた男だ。

 

「ほんとにな、オールド」

「あら?『メフィスト』は居ないのかしら」

「『メフィスト』なら、『クィーン』と『ネクロス』の迎えに出した」

「そうか。で、なんで『俺達』を呼んだ?」

「そうね、貴方なら私達抜きで事を運べた筈よ」

「まあまあ、込み入った話は座ってからにしよう」

 

そう言って、さっさとテーブルにつくオールドと遅れてそれに続くジンクとスコールの二人。

心無しか、疲れ気味である。

 

「積もる話は役者が揃ってから、それまでは世間話といこうじゃあないか」

「役者、ねえ」

「ああ、役者だ。家からは『メフィスト』『クィーン』『ネクロス』の三人だ」

「家からは全員かしら」

「豪華出演陣だな」

「相手からすれば、達の悪い悪夢だろうに」

「悪夢か、違いない」

 

達の悪い悪夢、常識を丸めて溝に捨てた後、溝ごと焼却処分した様な連中が見せる悪夢など録なものではない。

これからどの様な演目が提示されるかは不明だが、相手にすれば悲劇、こちらにすれば喜劇だろう。

 

「そう言えば、ナイトメアはどうしてる?」

「ナイトメア?家のバカ共と騒いでいるぞ」

「大丈夫なのか?いじめられたりしてないか?」

 

始まった。ジンクとスコールはそう感じた。オールドは確かに有能な男だ。しかし、ある特徴があった。

 

「大丈夫だ、家のバカ共は子供に甘いからな」

「なんだかんだ言って、よく面倒見てるわよ」

「本当か!本当なんだな!」

 

何と言うか、親バカなのだ。『クィーン』『ネクロス』の迎えに出ている『メフィスト』とナイトメアの二人を自分達の娘と言って憚らない。

ナイトメアがアジア支部に移籍する際にも、オールドはナイトメアから離れなくないあまりに、あの手この手で妨害してきたが、空飛ぶ酒呑みキチガイグラサンとか酒呑みキチガイ蜘蛛とか超高速シャッターチャンス小夜啼鳥などのキチガイ連携がキチガイした無駄の無い無駄に洗練された無駄な無駄な行動により、全て無駄に終わった。

因みに、キチガイ共はナイトメアの移籍に関しては何も知らず、オールドとジンクとスコール達が何か面白そうな事をやっていたから自分達も交ぜろと、勝手に介入してきただけだったりする。

 

「酒とか呑まされたりしてないよな?!」

「そこら辺は、流石のバカも厳しめだからな」

「小遣いとかはちゃんとしてるな?!」

「それは私が管理してるから、大丈夫よ」

「友達は出来たのか?!」

「最近は、秋葉原で友達が出来たって言ってたな」

「秋葉原?!大丈夫なのか?いじめられたりしてないか?!」

「うるせぇよ!ループすんな!」

 

親バカのあまりにループし始めるオールドとその顔面に右ストレートを打ち込むジンクだが、テーブル越しなのでいまいち威力が出なかったようだ。

復活した親バカがまた騒ぎ出そうとした、次の瞬間である。

 

「た!たたたた、大将!助けて下さい!」

「あ?どうした、アヤ」

 

超高速シャッターチャンス小夜啼鳥ことアヤイチが、息も絶え絶えに飛び込んできた。

その慌てようは尋常ではなく、普段の飄々とした態度は何処へやら、手足をバタつかせながら喚いていた。

 

「ま、まままままま!!」

「落ち着け、いったいどうした?」

「まー!」

「何があったの?敵襲?」

「ま、まままままままままままま!『マザー』が!」

「「『マザー』?」」

 

『マザー』裏社会でも老舗の亡国機業の中で最も古株の女傑であり、ヨーロッパ支部の先代支部長の妻でもある。

その名の通り、世話好きで慈母の如き慈愛を持つ。持つのだが、その内面はゴリッゴリの武闘派だったりする。

ジンクやスコール、オールド達が亡国機業に在籍する遥か以前から機業に所属しており、機業の勢力圏が確立していない地域で圧倒的武力を持って勢力を確立させたり、逃げた機業への反逆者を冬のシベリアの森からアマゾンの秘境のその更に奥地に至るまで、徹底的に追い回し1人残らず始末したりしている伝説の女傑である。

因みに、実年齢は不明だが十代前半の時から見た目がまるで変わっておらず、ロリオカン、ロリババアの異名で呼ばれたりしている。

 

「ああ、そう言えば『マザー』も来てたな」

「それで早速、家のバカ共が見つかったという訳か」

「大将、助けて下さい!このままでは私も!」

「見つけたわよ!アヤイチ!」

「ヒィッ!」

 

その言葉と共に現れたのは、外ハネの癖毛をショートボブに纏めた身長150㎝に届くかどうかという少女であった。

外見だけを見れば、近所の子供が迷い混んだ様に見えるがこの少女こそ、何を隠そうキチガイ共が最も苦手とする相手『マザー』である。

 

「ほら、オールド達のお仕事の邪魔をしないの!大人しく、部屋でお利口にしてなさい」

「ヤヤヤ!堪忍してくださいよ、マザー」

「ダメよ!三人はお仕事してるんだから、貴女達は私と一緒に居なさい!」

「助けて下さい!大将!スコール!オールド!」

「こらっ!お仕事の邪魔しちゃダメって言ってるでしょ。まったく、貴女達は子供の時から変わらないんだから」

 

序でに言えば、キチガイを始めとした主力組はほぼ全員が、幼少期にマザーに拾われ生き抜く術を叩き込まれている。

なので、現在の主力組は誰もマザーには敵わない。

 

「ほらもう、ネクタイが曲がってるじゃない!」

「ヤヤヤ!やめて!カーチャンみたいな動きで近付かないで下さい!」

「何言ってんの、私が貴女達の母親よ!ほら、シャツもちゃんとズボンに入れなさい」

 

無駄な抵抗を続けるアヤイチを見ながら、ジンクとスコールは割りと真剣にマザーがアジア支部に移籍してくれないかなと考えていたが、マザーは既に第一線からは身を引いている為、無理だよなぁという結論に至っていた。

 

「そう言えば、他の連中は?」

「さっき部屋に行った部下によれば、マザーに鎮圧されたらしいな」

「マザー、家に来てくれないかしら?」

「オールド、まだ会議が始まる迄時間があるの?」

「え、ええ、まだメンバーが揃ってないので時間はありますが、いったい何を?」

 

オールドが怪訝そうに聞き、マザーはさも当然とばかりに言い放った。

 

「もうすぐ、ご飯の時間でしょ。準備するから、待ってなさい」

「あ、いえ、マザーがその様な事をしなくても」

「いいのよ?もっと、私に頼りなさい!ほら、アヤイチ。フェイゲン達を起こして手伝いなさい」

「ヤヤヤ、イエスマム」

 

完全に久々に実家に帰って親にこき使われる子供であった。

後に、三人はそう語ったとか語らなかったとか。




毎度役に立たない次回予告

マザーの襲撃に全滅したキチガイ組!だが、奴等は死なない。必ず復活する!

多分・・・・・・
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