守絆然を改めて書くことにしました。
今まで書いていた方も、ペースは落ちますが更新していこうと考えています。よろしくお願いします
秋の夕暮れ時の静かな公園。その隅では三人の女子中学生が遊んでいた。
「よしっ、今日もあのポーズを決めよ!」
「えー、今日もまたやるんですか?もう夕方だし、早く帰りません?」
「帰りが遅いと怒られちゃいますから…」
「一回だけ!ね!」
「一回だけなら…」
「楽しいですし、僕は賛成です!」
「よし!やるよ!」
すると三人は陣形を組んで、キメ顔で順に語り始める。
「この世の神秘、ナンバービョウ!」キリッ
「友達の神秘、ナンバーハン!」キリッ
「能力の神秘、ナンバースミレ!」キリッ
「「「三人合わせて秘封倶楽部!この世の神秘を手の内に!!!」」」ドヤァ
中学生の遊びなんてこんな物である。というか中2病である。
そして可笑しくなってクスクス笑いだす。これがこの三人の何時もの日課だ。
「アハハッ!じゃあ、またね~」
「では、また明日~」
「さよならです~!」
これはその三人の内の一人、ナンバーハンこと仲光 絆(ちゅうこう きずな)の物語である。
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「ただいまです、ゆかりん!」
「あら、おかえりなさい。ご飯出来たから食べなさい」
ただいまをおかえりなさいと返したのは絆の母親、八雲紫。通称ゆかりんである。といっても、血は繋がっていない。幼かった絆を紫が引き取ったのである。
しばらく前には紫の実の息子がいたというが、今はいない。
「わかりましたー!それでは、いただきますです」
「ふふっ、どうぞ召し上がれ。じゃあわたしも、いただきます」
そして二人は紫がつくったハンバーグを美味しそうに頬張っていた。
しばらくして、紫が唐突に話を切り出す。
「絆、そろそろ将来何になりたいか決めたかしら?」
「うーん…まだ、です」
「いいのよ、決まったら教えてちょうだい。紹介できればしてあげるから。」
「はーい。」
紫曰く、中2は立派な大人だという。だから絆は、何か仕事をするように紫に言われたのだ。
「ご馳走様でした!じゃあ考えて来ます」
「ちょっと待って、絆」
食べ終えて自分の部屋に戻ろうとした絆を紫が引き留め、絆の目をしっかりとみつめて一言。
「好きなことを精一杯頑張った方がいいわよ」
「……」
迷いを、見透かされている。絆はそう感じた。
更に紫は述べる
「自分に出来るのか、なんて考えちゃダメよ。出来るようにするのが仕事なの。問題はやる気よ。好きなことだったらやる気がでるでしょ?」
「…ゆかりんには隠し事、出来ませんね」
「家族なのだから、当たり前でしょう」
悩みがバレバレだったことに絆は苦笑いをすると、紫は当然の事のようにこたえた。その笑顔は、悩みを消し去るような、晴れやかな笑顔で、絆はとても嬉しかった。
それでも、絆は不安があった。
「一つだけ、聞いてもいいですか?」
「何かしら?」
そして、絆は不安そうに言葉を紡いだ。
「お、男の子でも、メイドさんになれますか?」
その目は真剣で、それでいて今にも泣き出しそうだった。そう、絆は男の子である。
そんな絆に、紫は述べた。
「絆、常識に囚われてはいけないわ。もっと広い目で見渡しなさい」
「え…?」
戸惑う絆に紫は訪ねる。
「男の子が、メイドをしちゃいけないなんて誰が決めたのよ」
「…!?」
絆は黙って考える。確かに、誰が決めたわけではない。それなら…
「出来るわよ、絆ならね」
「はい…!」
力強く頷いた絆に紫は今後の予定を簡単に述べた。
「明日から仕事を初めてもらうから、しっかり支度しておきなさい」
「え、もうですか!?」
絆は驚く。今話していた夢物語が明日だなんて、考えてもいなかった。
「善は急げって言うでしょ。既に話は通してあるわ」
「え、でも別れの挨拶とか…」
「しておいてね、って言っておいたわよね」
「…そ、そうですね」ハァ
絆はため息をついた。
絆は本当にそうなるなんて思っていなかったため、いなくなるかもしれないとしか言っていなかったからだ。
しかし、今はもう夜。メールを送るより他ない。
「今日は覚悟をきめなさい。あ、お風呂もしっかりはいること。いいわね?」
「はーい…」
そう言って自分の部屋に戻る絆。絆のいなくなった部屋で紫はボソッと呟く
「どっからどうみても女の子、なんて言えないわよね」
その言葉は誰にも聞かれることはなかった。
そして、その日は訪れた。
今回からはゆっくりじっくり更新予定です。(テスト除いて週に一回更新目標)