オールマイトは砕けない   作:アルパカの孫

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出久視点(*ロ*)





2. 緑谷出久

「なんで"無個性"じゃあいけないの?」

 

そう言われたのは僕がまだ4歳の時、おおよそ10年前。

それでも鮮明に覚えている。

これは僕の人生に最も影響を与えた言葉の一つに数えられるだろう。

 

けれどもこの言葉を発したのは歴史上の偉人でも、長い間生きた老人でもなく、僕と同じ日に生まれたはずの男の子。

それは僕の双子の弟である緑谷八草(はちくさ)だった。

 

 

 

...

 

......

 

.........

 

 

 

 

これは夢だ。

昔を思い出すような、過去をテレビ画面からダイジェストで見ていくような、そんな感覚。

ああ、病院の診察室に4.5歳の子供が青い顔をして医者の話を聞いている。

 

あれは僕だ。

 

 

遠い昔のようで、実はそんなに昔ではなかったようにも思えるけれど、ちょうど10年前くらいの話。

人間は4歳で脳の構造が変わるから、4歳までの記憶は覚えてはいないってどこかで聞いたような気がするけれど、そんなのは嘘っぱちだ。

だってこんなにも覚えている。

 

そして、よく夢にも出てくる。

 

僕はオールマイトみたいにみんなを助けることができるヒーローになりたかった。

けれどもそんな僕に対して無慈悲にも発せられたのは、

 

「諦めた方が良いね」

 

という言葉だった。

僕は足の小指に関節があるかないかというたったそれだけのことで"無個性"の烙印が押され、夢を諦めろと迫られたわけだ。

これが、そうだね、今んところは僕の人生で最初で最期の挫折だ。

 

 

4歳の時から僕は、パソコンである動画を見るのが好きだった。

昔起きた大災害、その後にナンバー1ヒーローとなるオールマイトのデビュー動画だ。毎日毎日来る日も来る日も見続け、母には僕だけで再生回数を1万も増やしていると言われたほどだ。

それほど僕の心を支配していた。

 

 

もちろん八草(はちくさ)と遊ぶ時もあった。

八草(はちくさ)とはよく外で遊んだ。けれども彼は、室内では動画とか、パソコンを見ることはあまりしなかった。どちらかというと、母には本を読んでもらおうとせがむことが多かったみたいだ。

出久という名前は母が、八草(はちくさ)というのは父がつけた名前。

八草(はちくさ)は父の好きだった小説のペンネームらしい。

 

 

 

母から望む応えをもらえなかった僕は、僕よりもほんの少し後に"無個性"判定を受けた八草(はちくさ)に泣きついた。

当時はまだ僕よりも体が小さかった八草(はちくさ)に、だ。

泣きついたというのも少し格好つけているかもしれない。

あれは八草(はちくさ)に当たっていたのかもとも思う。

もしくは少しだけ僕よりも理知的に見えた八草(はちくさ)に甘えていたのかもと思う。

 

はずかし話だ。

何と言っても八草(はちくさ)自身も"無個性"判定を受けているのに。

そんな彼に対して、自分は"無個性"なんだと。"無個性"はヒーローにはなれないんだと。

そういう話をした。

大丈夫。出久はヒーローになれるよって言ってもらいたかった。

そんな僕に対して彼が言った言葉は僕の求めていた言葉ではなく、けれどもそれ以上に僕に必要だった言葉だった。

 

 

 

「なんで"無個性"じゃあいけないの?」

 

「なんでヒーローにはなれないの?」

 

「僕はヒーローになるよ。"無個性"でも。」

 

 

 

この言葉を聞いたのが小学校高学年や、中学生になってからだったなら、もしかしたら戯言だと断じたかもしれない。

それでも無理だと言い切ったかもしれない。

 

けれど、当時の僕にとってそれは、下を向いた僕を前に向かせるのには十分すぎるものだった。

彼の言葉だけでなんとかやっていけるような気持ちになれたのである。

 

 

 

それから僕は、すごいと思ったヒーローのすごいと思った点、自分ならこうすると思った点、個性の使い方などをノートにまとめるようになった。初めは母に手伝ってもらいながら。

それは「将来の為のヒーロー分析」というノートとして、今でも続けていることだ。

 

 

 

.........

 

......

 

...

 

 

 

 

「・・く、い・く!、出久!」

 

 

 

八草(はちくさ)に起こされたようだ。

なんとなく懐かしい夢を見ていた気がする。

 

 

時計を見るとまだ朝の5時半だ。

八草(はちくさ)のいつもの起床時間。

 

 

八草(はちくさ)はすでにジャージに着替えてはいるが、ボサボサの頭、眠そうな顔してこちらを見ながら続ける。

 

 

「ランニング行くから、一緒に行こう。」

 

 

これが平日の僕たちの日課だ。

10歳を超えたらへんから彼が始めて、それに付き合う形で僕も続けていることだった。

 

 

「うん。すぐ着替えるから、待ってて。10分後に玄関ね。」

 

 

「うい。水軽く飲んできなよ。」

 

 

早く着替えなきゃ。

 

 

 

◯ ● ◯ ● ◯ ● ◯

 

 

 

ランニングが終わって、出久は家の近くの公園で一息つく。

2人はおおよそ10kmのロードワークを40分ほどで走りきっていた。出久の調子が悪い時はもう少しかかる事もあるが。逆に八草(はちくさ)のみのときはだいたい30分でこの距離を走りきる。

 

けれども八草(はちくさ)は出久がいるときは常に出久のペースに合わせていた。それが少しだけ出久は申し訳なく思っていた。

以前、出久がペースを合わせてくれなくてもいいと言った時も、八草(はちくさ)は笑って大丈夫だとだけ答え、この話は終わりになった。

 

 

 

 

少しの水分補給のための休憩をとった後、彼らは組手をしていた。組手を行うのは学校のない休日だけ。八草(はちくさ)だけは平日も動きの確認、イメージしたヒーロー、ヴィランとの対人格闘訓練、

個性が広まった現代において、人間のもつ体型の拡大、関節の有無などの差により既存の武術と言われるものは一部、意味を持たないものとなった

ヒーローとなるには何ものとも敵対する可能性をもつ

 

無個性と断じられたのち、

僕が出来る限りのヒーローの情報を集めたのに対して、

彼は古今東西の武術の知識、型を集め、自分の身体、運動能力に合わせて使用出来るようにした。

 

さらに、僕が集めた情報から彼自身ならその個性をもつ相手とどう戦うかというのを模索し、イメージトレーニングまで行っている

 

彼は全く考えていないけれど、天賦の超人だ。

後天的な

もしくは潜在していた個性とまで言えるかもしれない。

 

 

僕がヒーローの情報を集めたものを彼に渡すように、彼のトレーニングに戦い方というものを教えてもらっている

 

 

 

事件

 

 

 

褒める

 

 

◯ ● ◯ ● ◯ ● ◯

 

 

オールマイトとワンフォーオール

 

彼に嫉妬していたかもしれない

 

 

 

◯ ● ◯ ● ◯ ● ◯

 

 

はちくさ

ファイトいん試験

 

落ちた

 

 

◯ ● ◯ ● ◯ ● ◯

 

はちくさ死の報告

 

 

 

 

 

 

 

 




緑谷出久(15)


Birthday : 7/15

Height : 169cm

好きなもの : カツ丼

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