ウルトラブライブ! 9人の少女と光の勇者達   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です!

久々のウルトラブライブの投稿!
今回は前回の穂乃果ちゃんの空白の時間に迫るお話です!

いったい彼女はどうやってメビウスと出会ったのか!
その真実が今語られる!

ちなみに少し長くなりそうなので前後編に分けます…

それでは、どうぞ!


始まりの出会い 前編

 

 

………最後に光に出会った少女、それはある意味で“始まり”を告げる出会いでもあった。

なぜなら彼女と、9人目の光の戦士との出会いは音ノ木坂学院、スクールアイドル、μ's………そして、様々な世界線で平和と、かけがえのない惑星を、銀河を守ってきた、ウルトラ戦士達………交わることのなかった、二つの運命の歯車を噛み合わせるきっかけとなったのだ。

 

新たな出会い…新たな道…それが全て始まったのは………この時からだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー ドォォォォォォオオオン!

 

 

 

街中で突然激しい爆発が発生し、住宅地も近い道路の真ん中で爆煙が上がった。

地面のコンクリートが抉れ、辺りにその破片が散乱し、轟音が周辺を揺るがした。

あまりの衝撃とその音に周囲にいた住人は驚いて外に飛び出し、様子を見ようと現場に向かった。

 

「おぉ!?なんだなんだ!?」

 

「おい誰か警察呼んでくれ! あと消防と救急!」

 

「誰か巻き込まれたんじゃないの、ねぇ!?」

 

「おーい、誰かいるか〜!?」

 

周囲にいた住人や、偶然通りかかった人たちが騒然としている爆発現場にたむろし、どんな状況なのかと爆発が起きた場所に目を向ける。

爆発により、ひどい有様となっているその場所……道路の真ん中にできた窪みや亀裂がその威力の凄まじさを物語っている。

 

もしこの場に人がいたなら、ただでは済まないだろう……考えただけでもゾッとする……それほどの有様だ。

人々が現場に駆けつけて様子を見る限り、誰かが巻き込まれた様子はないようだが……。

 

………彼らは知らない………今まさにその場所に………一人の少女がいたということに………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………う………ん?」

 

穂乃果が気がついた時、そこは見たこともない風景だった。

あんまり本を読むような性格でもないため、この表現があっているかはわからないが一言で表すなら………視界に入ってきたのは知らない天井だった………という表現が鉄板なのかもしれないが、今回の表現はそれにふさわしくない……。

 

 

言うなれば………視界に入ってきたのは“光の空間”だった………。

 

 

と言ったところだろうか……。

 

 

「………あれ? 私なんでこんなとこにいるんだっけ?…えーっと…確か、頭が痛くなって、練習早退して早く帰って……それで……あれぇ?」

 

 

まだはっきりとしない頭の中にある記憶をフルに回転させてここに来る前までの記憶を引き出そうとする。

しかし、なかなか出てこないのか穂乃果は困惑したまま首をかしげる。

 

確か覚えてるのはここに来る前、学校で体調不良を感じて無理をしては良くないというみんなの勧めもあり練習を早退して、そのあと家路についていたはずだった。

その後、なにか……なにかが起きた……しかし、どれだけ思考を巡らせてもその何かがなんだったのかを思い出すことができない。

 

一体、自分になにがあったのか……そう考えて一度周りを見回すと……。

 

 

「……ここ……どこ?」

 

 

……あたり一面はなにもない……いや、それでは何か足りない……言い換えるならば……あたり一面は、“光の海”といった感じだろうか……。

 

「なんで私こんなとこにいるの?……おーい!誰かいませんかー!」

 

とりあえず誰か人はいないのかと声を張り上げて穂乃果が周囲に呼びかける。

しかし、彼女の声に応えるものはいない…。

あるのは視界一面を包み込む光の空間だけ……彼女の発した声も反響してくることなく虚しく響きわたるだけだ。

 

すると、そんな時だった。

 

「………?」

 

不意に穂乃果は背後に気配を感じた。

さっきまで誰の気配も感じなかったのに不意に背中に感じた誰かの視線、それがいったいなんなのか気になった彼女は後ろを振り向いてその気配の正体を探ろうとする。

 

しかし、後ろを振り向いてもそこには誰もいない……。

 

「あれ?今確かに……」

 

キョロキョロと周囲を見回す穂乃果、人っ子一人いない光の空間の中で人影なようなものがないかくまなく探す。

だが、それらしきものは何も見当たらない………やはり自分の気のせいなのかと穂乃果が感じ始めた。

 

………その時だった………。

 

 

 

ーーー………すみません………。

 

 

 

「え………」

 

ふと、どこからともなく誰かの声が聞こえてきた。

その声が聞こえ、穂乃果は再びあたりを見回す。

 

ーーー………あなたを巻き込んでしまった……本当にすみません

 

「………あなたは誰? ねえ、どこにいるの! 誰なのかわからないとちゃんと話もできないよ!」

 

聞こえてくる声に穂乃果はそう告げる、すると彼女は次第にあるものを感じ始めた。

それは明らかな何かの“存在感”、圧倒的な何かのいる気配とはかけ離れた強い何か……彼女はその存在感に導かれるように、やがてゆっくりと上を向いた。

 

 

 

そして、そこにいたのは………巨大な人型のシルエットだった………。

 

 

 

「………え………えぇぇぇぇぇえええええええ!?」

 

 

 

 

突然目の前に現れた異様な存在、あまりにも大きなその人影に驚愕して声を上げる穂乃果。

そんな彼女の前に現れたその人影は……まるで靄のようなものに包まれており、しっかりとその姿を確認することはできないが頭と思われる部分についている光り輝く双眸が穂乃果のことを見下ろしているのがわかる。

 

「だ、だ、だ、誰!? なんなのこれ!?」

 

ーーー……驚かせてすみません……ちょっと待っててください……。

 

あまりの異様な事態に戸惑うばかりの穂乃果、そんな彼女を落ち着けようとしてか巨大な影はそういうと靄に包まれたその大きな影が徐々に薄れていき、やがて光の粒子のようなものへと変わると彼女の目の前に集まり始める。

 

その粒子が集まって行くとやがてその光は穂乃果やりも少し高いぐらいの人間の形へと変化していき……やがてそれはどこかの民族衣装のような衣服を身にまとった、一人の青年の姿へと変わった。

 

「こ、今度は人? さっきの大きなのにもびっくりだけど…いったい何がどうなってるの…?」

 

「……あれは僕の本来の姿、今のこの姿はあなた達地球人を模した姿です」

 

「………えっと、じゃあ、あなたは…誰?」

 

あの大きな人影が変化した姿という目の前の青年、一目見たところ心優しそうな好青年という印象を持つ彼に彼女はそう言って問いかけると……

 

 

 

「初めまして……“ヒビノ ミライ”です……」

 

 

 

青年はそう言って穂乃果のことをまっすぐに見つめたまま自身の名を告げた。

 

「ミライ……さん……あなたは誰なの? ていうか、ここどこ!?」

 

「……ここは言うなれば僕が作った精神世界、今僕はあなたの中にある意識そのものに呼びかけています」

 

ミライと名乗った青年に穂乃果はさっそくとばかりに質問を投げかける、彼女は今答えてほしいことがたくさんあるからだ。

自身では見出せることができないその問いかけをミライに問いかけると……ミライはどこか真剣な眼差しを浮かべてそう答える。

 

「精神………世界……? 意識って……私は今ここにいるよ?」

 

「えっと……簡単に言うとあなたが見ている今の姿はあなたが1番あなたらしい姿をイメージして可視化したもの……と言った感じです……けど………あんまりわかってないみたいですね」

 

詳しく説明はするものの穂乃果なとってはその説明は難しい内容だったらしく、首を傾げるばかり、それを見てミライは苦笑いを浮かべるがすぐにまた真剣な目を浮かべて穂乃果を見つめる。

 

「……それよりも……今のあなたは危険な」

 

「ねえ、じゃあなんで私はこの世界にいるの? さっきまで私、帰り道を歩いてはずなんだけど…」

 

「あ、あの……それも踏まえてこれから…」

 

「というより、なんで私を呼んだの? 私たちって多分初対面だよね? それなのになんでいきなり謝るの?」

 

「だ、だから……その……」

 

「……というか……私ってさっきまで何してたのか全然覚えてないんだけど……あなたは何か知ってるの?」

 

「………」

 

よほど気になることがあるのか、ミライに質問をし続ける穂乃果、完全に穂乃果のペースに巻き込まれているミライはタジタジとし続けるばかり……。

最終的にはなんと言えばいいのかわからずといった様子で黙ってしまった。

 

「? ……えっと、ミライさんだっけ? どうかしたの?」

 

さすがに黙り続けてるミライに疑問を抱いたのか、穂乃果はミライにそう言うとミライはふう、とため息をひとつついた。

 

「………えっと……とりあえずは順を追って話しましょ………っ」

 

しかし、その瞬間、ミライがいきなり肩を押さえてその場にがくり、と崩れ落ちた。

 

「え!? ど、どうしたの!? 大丈夫!?」

 

いきなりミライが崩れ落ちたことに驚いた穂乃果が慌てて彼に駆け寄ると、ミライは膝をついた状態でなにやら苦しそうに息を切らしていた。

 

「………あまり……時間がないみたいです」

 

「………時間がないって……どういうこと?」

 

「………穂乃果さん、これからいうことを……落ち着いて聞いてください……」

 

ミライは苦しそうにしながらも穂乃果を見つめてそう告げると………次の瞬間、衝撃の事実を告げた………。

 

 

 

 

「………あなたは………今、先ほど………命を落としました………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「穂乃果が死んだ!?」

 

「そ、それって……うそ、だよね……穂乃果ちゃん」

 

ここはスクールアイドルμ'sの活動の拠点である、音ノ木坂学園、アイドル研究部の部室……ここに今、穂乃果を含めた合計で9人のメンバー全員、そしてさらに……その穂乃果の肩に乗るようにして立っている一体の人形、ウルトラマンメビウスが告げたその言葉にその場にいた面々は驚きの表情を浮かべていた。

 

「ことりちゃん……ごめんね、私も驚いたんだけど本当のことみたいなんだ」

 

「そんな………なんで………」

 

「じゃ、じゃあ! 今の穂乃果ちゃんはゆーれいってことなのかにゃ!?」

 

「ぴぃ!? ゆ、ゆうれい……!」

 

ことりの言葉に困り顔を浮かべながら答えた穂乃果、その言葉を聞いて咄嗟にそんなことを言い出した凛とそれに怯える花陽……すると、その姿を見て穂乃果は慌ててわたわたと両手を振る。

 

「ち、違う違う! ちゃんとここにいるよ? ほら、足もあるし!」

 

「……そうみたいだけど、じゃあそんなこと言ったのになんでここにいるのかも説明してくれるのよね? ……実際に穂乃果はそいつも連れてるんだし」

 

そう言うと穂乃果の肩に乗るメビウスへとつり目の鋭い眼差しを向ける真姫、すると穂乃果は少し間を空けてから小さく頷いくと、再び彼女はメビウスに目を向ける、

 

「………うん、それについてもちやんと話すよ……ね?」

 

『はい、皆さんと同じように……その時も穂乃果さんは驚いていました……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ど、どどどどどういうこと!? そ、そ、そ、それって私が……私……死んじゃったってこと!?」

 

「………信じられないかもしれませんが………はい」

 

言われたことに信じることができなのか動揺し続ける穂乃果、それに対してミライは悲痛な表情を浮かべて頷く。

 

「そ……そんな……私……こんなに早く死んじゃうなんて……まだやりきってないこともあるのに……うぅ」

 

告げられたそのあまりの事実にその場にへたん、と崩れ落ちて目尻に涙を浮かべる。

彼女はまだ高校二年生、その事実はあまりにも彼女にとっては衝撃的すぎるものだったのだろう……。

実際に目が覚めてこんな場所にいたらそれも信じざるを得ない……。

 

だがしかし、ここで穂乃果はある疑問を抱く…。

 

 

「……あれ? じゃあ、私はなんでそんなことに……」

 

 

彼女の中にある記憶には直接的に死につながるような出来事の記憶がないのだ。

だからこそ、なぜこのようなことになったのかはっきりとした要因を掴めずにいる。

再度彼女は頭の中にある記憶を巡らせる………。

 

「……あなたは……何者かの襲撃を受けたんです……ここに来る前に……」

 

「襲撃? ………」

 

ミライから言われた言葉を受け、再び記憶を探り始める穂乃果………すると………。

 

 

 

ーーードォォォォォォオオオン!

 

 

 

「っ! ………そうだ………確か………私………」

 

 

彼女は思い出した……帰り道、自分がいつも通るその道を歩いているその途中………突如として強烈な爆風と衝撃に襲われたことを……。

 

訳が分からず、何もわからないままに意識を飛ばした自分がその後何があったのかは想像するに難くない……。

 

「……じゃあ、私はその時に……」

 

「………はい………そして、僕があなたを呼びました」

 

全てを察した穂乃果のことを見つめながらそう言ったミライ、だが穂乃果は告げられたその事実にほぼ放心状態といった様子だ。

 

「………でも、大丈夫です………あなたはまだ完全に死んだわけではありません」

 

「………え?」

 

しかし、その穂乃果の思考をすぐさまに正す言葉をミライは告げた。

少し間を空けてからゆっくりとミライの方へと目を向けた穂乃果、するとミライはこくりと頷いた。

 

 

「……あの時、あなたは確かに命を落とす致命傷を負いました……でも、あなたはまだ死んでません……僕があなたと“命を共有”していますから」

 

「い、命を共有……それって……どういうこと?」

 

 

ミライのいうことをイマイチ理解できていないのか穂乃果が再度問いかけるとミライは彼女と彼自身の周囲に広がるこの光の空間を見渡した。

 

「この空間にあなたを呼べたのは……前から僕とあなたが一体化していたことにも由来するんです」

 

「一体化って……私、そんな……あなたにあったのも今日が初めてなのに……」

 

「………覚えてないんですか?」

 

彼の言うことに心当たりがない穂乃果は小さく頷くとどこか申し訳なさそうな顔を浮かべる。

それを見てミライはどこか複雑な表情を浮かべながらも、気にしないで欲しいという意味を込めてか首を左右に振る。

 

「………あなたは覚えてないかもしれませんが……僕はあの時、あなたの中にいた……だから致命傷を受けたあなたの命の肩代わりをすることができたんです」

 

……いったいいつから彼は自分の中にいたのだろう……その疑問が穂乃果の中に残ってはいるものの、その言葉に穂乃果はこれだけは理解することができた。

 

この人がいたから……自分は助かっているのだと……。

 

彼の浮かべている表情に嘘偽りをついているような感じはない、極めて自然な…ありのままの彼の意思だと、穂乃果はこの時なんとなく感じた。

 

「じゃあ……あなたが私を助けてくれたんだね」

 

「……でも……危ない状況に、変わりは………うっ…!」

 

突然、ミライが再び肩を押さえて苦しそうに顔を歪める。

するとそれを皮切りにしたかのように周囲の空間が歪に歪み始めたではないか、あまりにも異様な事態…穂乃果はすぐさまミライに駆け寄る。

 

「ね、ねぇ! どうしたの!? さっきからすごく苦しそうだけど…」

 

「…すみません…僕の方も…なんともないわけではないんです……こうして、あなたの命を繋ぎとめてるのもやっとな状態で……このままだと……」

 

「そんな……え……あ、あの! 体…体が!」

 

辛方な息使いをしながらも言葉を続けるミライ、するとその姿が徐々にではあるが薄く……透けはじめたのだ。

周りの空間も不安定に歪んでいく中、ミライの姿もどんどん薄れていく……穂乃果はこの状況に彼が只事ではない状態であることを理解した。

 

「………穂乃果さん……僕は……あなたの中にあるのは……僕の“魂”とも呼べるものです……でも、それはとても不安定で……それを維持する時間も少ない……このままだと……僕が消えると同時にあなたも……!」

 

「そんな……ど、どうすればいいの!? ねえ、ねえってば!」

 

「………“体”を………分離した僕の体を見つけてください………そうすれば……きっと……」

 

消えかかっているミライが苦しそうにしながらもそう言うと、彼は穂乃果のことをまっすぐに見つめながら……こう告げた。

 

 

 

「………思い出してください………あなたと僕が………“始めて出会った場所”を………」

 

 

 

そして、次の瞬間………穂乃果の視界はまるで白い強い光で照らし出されるかのように…ホワイトアウトしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ぅ………ぁ」

 

気がつくと、穂乃果はいつも通っていて見飽きるほどに見覚えのある場所にいた。

その場に座り込むようにして目を開けた穂乃果、少しぼーっとした思考の中、目に映り込んできたその光景を見て数回瞬きをする。

そして、とっさに彼女は自身の体をさすったり頬に手を当てるなどをして、あることを確かめた。

 

「………生きてる………よね?」

 

手に感じる自身の肌の感触、ほんのりと広がる自身の肌の温度……それらを感じ取った穂乃果は自分が今、生きているということを実感する。

 

ということは……先ほどまで見ていたものは………。

 

 

 

「…………夢…………じゃない」

 

 

 

あまりにも現実離れした先ほどまで見ていたあの出来事……それを夢と思いたかったのか……そう感じてはいけないということなのか……。

 

 

 

穂乃果に現実を突きつけるように、彼女の後ろには疎らな野次馬がいる中でもはっきりとわかる………道路に穿たれた大きな窪みがあった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここまでの会話を聞いて、その場にいた一同は神妙な面持ちを浮かべざるをえなかった。

彼女がこうして生きている理由……そして、その要因となったミライという青年の言葉、それらを踏まえて彼女が昨日から今まで置かれていた状況が只事ではないということを彼女たちは理解した。

 

「……それで……そのあと、穂乃果はどうしたの?」

 

「……その後、私は家に帰ったんだけど……どうしてもその時に言われたことが気になってて……」

 

「……体を見つけて……初めて出会った場所を思い出して……って言葉ね」

 

先ほど穂乃果とメビウスから聞いていた話を元に絵里がそう言うと穂乃果はこくりと頷く。

するとその後、にこがそれに続くようにしてメビウスへと目を向けた。

 

「……その前になんで……メビウス、よね? あんたが穂乃果と前から一緒にいたのよ」

 

『それは……』

 

「まあまあ、にこっち焦りは禁物やよ?」

 

しかし、それを遮るようにしてにこの隣にいた希が微笑みながらそう言う。

 

「まだ話は終わってないし、最後まで聞くのがええちゃう?」

 

「……そうですね……希のいう通りです、にこも最後まで聞きましょう?」

 

「……なんであんたがそう言うのか気になるけど、それもそうね……で、その後どうなったの?」

 

希の提案に賛同する海未、それに少し気にかかるような形ではあるが同意したにこはとりあえずは穂乃果とメビウスの話を聞くことにした。

そして、それを確認した穂乃果とメビウスの二人もまた……話を続け始める。

 

「………その後、私は部屋に戻ったんだけど………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分は、今生きている……でも、それは本当の自分の命とは違う……。

ここにある、今いる自分を繋ぎとめているのは…あの時に自分が出会った、あの謎の青年……ヒビノ ミライが繋ぎとめてくれている…彼の魂…。

そんなことを考えながら、その後なんとかいつも通り自宅に戻った穂乃果は自室でベッドに横たわり、天井を見上げていた。

 

あまりにも現実離れしている……未だに信じがたい話だと思う。

だけど、全てが……自分が体験したことすべてがあまりにもリアルすぎて……見たこと、聞いたこと、感じたことに……非現実にも似た感覚こそあっても、それすべてが自分とは無関係とは思えなかった。

 

故に、穂乃果の心は………今揺らいでいた。

 

(……あの人が言っていたことが本当なら……私……このままだと)

 

自分の中にある、ヒビノ ミライと名乗った青年の命……彼女が今こうしている生きているのは彼の命と繋がっているから。

しかし、あの時……最後に見たミライのあの様子を見て……なんとなくわかる……このままだと彼もまた危ないのだと……。

 

自分だけでない……自分の命を繋ぎとめてくれた彼も危ない状況なのだと感じた穂乃果はなんとかしなければいけないと思っていた。

 

だが、それ故に……彼女の心は揺らいでいた。

 

「………でも………思い出せないよー!」

 

彼が最後に自分に言った言葉………。

 

穂乃果とミライが、“初めて出会った場所”。

 

そこがどうしても彼女は思い出せずにいたのだ。

 

彼女が今まで生きてきた人生、その記憶のどこをめぐっても今日出会ったミライという青年の記憶がない。

子どもの頃も、小学生の頃も、中学生の頃も、そして高校に入ってからも……もしかしたら家族が何か知ってるのかと思ったが、妹も母も父もその名前に聞き覚えはないという。

 

なら、自分は……いったい、いつ、どこでミライと出会ったのか……。

 

もやもやとした思考の渦に飲み込まれるような感覚を感じながら穂乃果はやらなければという使命感を感じながらも何もできない無力感を感じざるをえなかった。

 

「………私………どうしたらいいのかな……」

 

何もできないことが歯がゆい………こんな感覚は久しぶりだった。

 

それはまるで、自分の学校に廃校の通達が来た、あの日と同じようで……。

どうしたらいいのかと右往左往に手探りの状態で打開策を探し回っていた時と同じだった。

あの時はスクールアイドルという存在を知った時に…これだ、と閃きにも近い感覚があったが…今はそれがない…。

 

閃きも……何も浮かばない……。

 

 

 

「………お姉ちゃーん?」

 

 

 

そんな時だった、ふと自身の部屋のドアが開き、長い時間を共に過ごしてもうすっかり聞き覚えという感覚を通り過ぎた声が、特定の呼び方をしながら自分を呼んだ。

その声に導かれるように顔をドアの方に向けた穂乃果、その視線の先にいたのは、彼女の妹……“雪穂”だった。

 

「雪穂…なに?」

 

「お風呂わいたよ? ……どうしたの? なんか今日、帰ってから元気ないけど」

 

付き合いが長い故にわかってしまうのか……雪穂の言葉にそう感じながらも穂乃果は誤魔化すための微笑みを浮かべながらベッドから立ち上がる。

気がつけば外はもう日が沈み、すっかり夜の様相を保っている。

いつの間にか、そんな長い時間考え込んでいたようだ。

 

「なんでもない………お風呂貰うね?」

 

「う、うん………変なお姉ちゃん」

 

雪穂のそんな言葉を背に受けながら誤魔化しきれていないのかと感じながらも、穂乃果はこの複雑な思考を落ち着けようと風呂場へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

彼女の自宅の風呂場はごく一般的な家庭にある風呂場であり、タイルの壁に覆われ、彼女一人が入る分には十分な大きさの湯船が完備されている。

そして、湯船に張られたお湯に体を沈める穂乃果はその近くから見える小窓を開けて、そこから見える夜空を眺めている。

 

しんと静まり返った空気の中…暗闇という真っ黒な無地な世界でぽつぽつと輝く小さな光の点が綺麗に彩り、穂乃果はそれを見つめる。

暖かなお湯を肌で感じながら眺める星空……それは少し……少しだけいつもと違う感覚を味わえて彼女は好きだった。

 

元々、星空というのが好きだったのもあるのかもしれない。

小さな光だが一生懸命光り輝くその光がとても綺麗で…尊くて…。

 

「………ふぅ」

 

だから眺めているといつの間にか見入ってしまう、普段はそれほど意識してるわけではないのに…。

先ほどまで悩んでいたことも、この時間ばかりは忘れてしまいそうだった。

 

「………星、綺麗だなぁ……」

 

なんてベタなことを言う穂乃果が見上げる夜空は今日もとても静かで……星が穏やかな光を放っている。

都会は街の光のせいで夜になると星空は見えにくいのだが彼女が住んでいるあたりは元々の光の量が少ないためか、自然と見えるのだった。

 

「………そう言えば、あの日の流れ星も……綺麗だったな」

 

そんな時、彼女はふと思い出した。

先日自分が見た、“色付きの流れ星”のことを……。

 

あの日に見た流れ星は今でも印象に残っている、夜空を駆け抜ける星たちそれぞれに色があって次々に空を駆け抜けていくのはとても綺麗だった。

彼女が見た中でもあの日の流れ星は初めてだった………特に、最後に現れたオレンジと金色光が混じったような流れ星はとても印象強く残っている。

 

あの流れ星が見えた時ずっとその光を追いかけた。

駆け抜け始めた場所から、その光が消えるのを目で追いかけて………。

 

 

 

「………あれ」

 

 

 

……そこまで考えていたところで、穂乃果はふとあることに気づいた。

 

その流れ星を目で追って………目で追って、その後に……“何があったのか覚えていないのだ”。

 

そう言えばこれは今日の練習の時も似た感じがあった。

確かあの時もその先を思い出そうとした瞬間に頭痛に襲われたのだった………。

 

なんで思い出せないのか……すぐにその疑問が彼女に浮かんだ。

確かあの後、星が最後まで落ちるのを見た…見たはずなのだ…しかし、その後がどうしても思い出せない………あの後、自分は………どうしたのか……。

 

穂乃果は自分の中にあるその時の記憶を必死に巡らせて思い出そうとする。

あの日にあったことを……あの日に起きたことを………あの日見たことを……。

 

 

 

「………あっ!!」

 

 

 

そして、ついに彼女は……思い出した。

 

次々と彼女の中に浮かび上がってくる記憶の断片、それらが組み合わさり、穂乃果の中で記憶のパズルが完成した。

 

あの日彼女は見たのだ………色付きの流れ星が夜空を流れていき……やがてそれが地に落ちていった瞬間を………流れ星が“地表に落ちた瞬間”を……。

 

「そうだ……そうだったんだ! 思い出したよ!!」

 

その時のことを思い出した穂乃果は湯船から飛び上がるようにして出ると脱衣所のスライド式のドアを開けると体にタオルを巻いてそのまま廊下を早足で駆け抜けると一直線に向かったのは………。

 

「雪穂!!」

 

「うわぁぁぁ!? お、お姉ちゃんどうしたの!? そんな格好で!!」

 

雪穂の部屋だった。

突然裸も同然の姿で部屋に突撃してきた姉に驚いた雪穂だが、そんなことは御構い無しと言わんばかりに穂乃果は彼女に詰め寄る。

 

「ごめんちょっと自転車借りるね! すぐ返すから!」

 

「それはいいけどお姉ちゃん服着て!! タオル! タオル外れかけてるから!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

半ば強引に雪穂に頼んで自転車を借りた穂乃果はその後急いで自室で着替えを行い、準備を整えるとそのまま記憶を頼りにその時の行動を再現した。

 

(そうだ……私はあの後、最後の流れ星が落ちたところに行ったんだ……!)

 

夜の街を自転車に跨り、駆け抜けていく穂乃果。

その時に見た光景、記憶の中にある映像を頼りにペダルを漕ぐ彼女にとってはその浮かび上がった記憶こそが彼女にとっての最後の希望だった。

 

おそらくそこに………そこに穂乃果の求めている答えがある……彼女はそう信じてペダルを漕ぎ続けた。

やがて彼女は見覚えのある町並みを駆け抜け、街はずれにある林の方へと向かっていった。

 

近くに自転車を止めて、その中へは自身の足で向かっていく。

 

(そうだ……あの日もこんな風に……この奥に落ちていったのを見て……!)

 

自分が忘れていた記憶を頼りに、彼女は足を進めどんどん奥へと向かっていく。

あの日の夜もこんな風に静かな夜空に星が輝いていた…。

 

そんなことを思いながら林の奥、さらに奥へと進み続けていくと………穂乃果はやがて開けた場所にたどり着いた。

 

「………ここ」

 

木々の位置がまばらで上から差し込む月の光がぼんやりとあたりを照らす、そこに浮かび上がる風景、目に映るそのそれら全てを……彼女は知っている。

 

「……覚えてる……そうだ……ここだったんだ」

 

彼女の中にあった記憶の中の空白のページ、それが今完全に埋まったのを感じた。

 

 

 

穂乃果はあの日……色付きの流れ星を見たあの日、この場所に落ちた流れ星を見に来た……。

 

そして、彼女はここで……ここで……。

 

 

 

「っ………!」

 

 

 

記憶を頼りにその場所に足を踏み入れた穂乃果、自分があの日にしたこと、見たことが正しいのなら、きっとこの場所に………“いるはず”だ。

 

 

 

ーーー ………あれ? なんだろうこれ……

 

 

 

(あの日……あの日私がここに来て……拾ったもの……手にしたもの……そうだ……今ならわかる……あれが……あの時の……“人形”が……!)

 

 

 

あの日彼女が見たもの……その手に握ったもの……今思えば、今日出会ったあの青年、ミライが目の前に現れる前に見た巨大な人影……そして、夢の中で出てきた……あの戦士の中の一人と……酷似していたのだ。

 

だとするなら……ここに……ここにきっと……。

 

穂乃果はそのまま足を動かしながら、自身の記憶の中にある“それ”見た場所へと向かっていく。

 

 

 

 

 

だが、その時だった。

 

 

 

 

 

「っ!? え……わあっ!?」

 

 

 

突然、彼女の足元の地面が盛り上がり、何かがその場から飛び出してきたのだ。

突然のことに驚く穂乃果、いきなりのことに対応できずにその場で後ろ倒しに倒れ、尻餅をついてしまった。

 

「いったぁ〜い…! もう、なに?」

 

腰に響く痛みに堪えながらも一体なにが飛び出してきたのかを確かめようと目を開けて穂乃果は目の前を見る。

そして、そこにあったのは………。

 

 

 

まるで、自分を見下ろすように地面から伸びてその先端をゆらゆらと動かす………触手だった。

 

 

 

「………え?」

 

 

 

あまりにも異様なものが目の前にあることに穂乃果はその場で呆然となる。

それに対して、地面から伸びているその長く、かなりの太さを誇る触手は揺らめきながら徐々に穂乃果へと距離を詰めていくではないか。

 

「ちょ…な、な…な…なに!?」

 

反射的に目の前にある触手が普通ではないものと判断せざるを得ない状況になった穂乃果はたじろぎながら後ろにあとずさって行く。

 

だが、次の瞬間……触手が怪しげに揺らめいたかと思ったら、その体をしならせ、穂乃果に向かって勢いよく向かってきたではないか!

 

「ひゃあ!?」

 

身の危険を感じた穂乃果は咄嗟に横に転がるようにして回避行動を取り、触手の動きをかわすが……直後、激しい衝撃と僅かな揺れを感じた。

恐る恐ると顔を上げてみると……なんと、さっきまで自分がいた場所の後ろにある木が真っ二つに折れている。

 

もしあのままかわすことができなかったらと考えた瞬間、ぞっとした寒気が彼女の背筋に走った。

 

だが、まだこれで終わったわけではない、依然として触手はその場にとどまっており、怪しげな動きを見せながら再びその先端を穂乃果へと向けると狙いを定めるように徐々に距離を詰めてくる。

 

「ひっ……こ、来ないで……来ないで!」

 

おびえた様子で後ずさる穂乃果、しかし、触手はその狙いを外すことなくまっすぐと彼女に近づいてくる。

少しずつ、少しずつと距離を縮めてくる触手、それを避けるようにして後ろに後ずさる穂乃果は……やがて逃げ場をなくして、背後の木に背をつけてしまった。

これではもう後ろに下がることはできない……。

 

「あっ……あ……あぁ……」

 

もう逃げ場がない……これを好機と見たかのように、穂乃果の目の前の触手はまた怪しく揺らめきながら大きくしならせるように動く………そして、さながら鞭を振り下ろすかのような動きで彼女はと一気にスピードを上げて迫る!

 

もう避ける余裕がないと悟った穂乃果は反射的にその場で目を瞑る。

 

 

太い何かが空気を割く音、自分に迫ってくる驚異の存在、穂乃果の身に大きな危険が迫ろうとした………。

 

 

だがその時、その驚異の存在が…阻まれた。

 

 

 

ーーー……ドシュウ!

 

 

 

突然、穂乃果の目の前まで迫った触手に衝撃波のようなものが当たり、彼女を触手から守ったのだ。

その衝撃波の直撃を受けてたじろいだように大きくのけぞった触手は音を立ててその場に倒れ込む。

 

「………あ、あれ? …え? こ、今度はなに?」

 

立て続けに起きたこの異様な出来事に警戒しながらも目を開けた穂乃果、きょとんとした様子で目を何度も瞬きさせると今自分が助かったという事実だけは遅れながらも理解することはできた。

 

しかし、一体今の一瞬でなにが起きたのか…新たな疑問を彼女が感じていると……。

 

 

 

「……今のうちに早く行った方がええよ、穂乃果ちゃん?」

 

「え? この声って………え!?」

 

 

 

彼女にとってとても聞き覚えのある声が聞こえてきた……この声の主は彼女もとてもよく知っている。

だが、なぜこの場所に、しかもなんであんなものが近くにあるのにそんな落ち着いた言葉が出せるのか……彼女は半ば混乱しかけた思考を持ちながらも反射的に声がした方向へと目を向ける。

 

 

 

「……夜道の一人歩きは……ご用心やよ」

 

「の、希ちゃん!?」

 

 

 

μ'sの創設に強く関わり、そして……メンバーの中でも特に不思議な雰囲気を纏った、穂乃果よりも歳が一つ上の大切な仲間……。

 

 

 

東條 希がいたのだから…。

 

 




いかがでしたか?

次回は! 穂乃果のピンチに駆けつけたのんたん! そして、穂乃果は無事に目的に物を探し出せることができるのか!

次回もお楽しみに!
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