ウルトラブライブ! 9人の少女と光の勇者達   作:白宇宙

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どうも! 長らくお待たせしました、白宇宙です!
リアルやらなんやらの都合、さらには四女神オンラインの発売などで更新が遅れました…(汗

気づけばオーブも終わってオリジン・サーガが始まり(まだ見ていない)、ウルトラマンゼロクロニクルも始まる始末(これは見てる)…。
しかし! こちらはまだまだ続きます!

さて、今回は前回のお話の続き、穂乃果の前に現れたのんたん!
果たして穂乃果はメビウスの元へといけるのか!
そして、穂乃果が下した新たな決断とは!

それではお楽しみください、どうぞ!


始まりの出会い 後編

 

 

 

『えぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええ!?』

 

 

 

穂乃果の話を聞いている中、突然アイドル研究部の中から複数の驚愕の声が響き渡った。

学校の校舎に響き渡るほどの声だったが、この声を出したμ'sの面々にとってはそれ相応のことだったのだ。

 

「な、なんで希ちゃんがそこにいるにゃ!?」

 

「どういうことなの希!? あんたまさか最初から知ってたの!?」

 

「ふふふ、さあー? どうやろなぁ?」

 

「そ、そんな意味深な返し方されても……これはもう知ってるとしか思えないよ……」

 

まさかの事実に聞かずにいられなかったのか、凛とにこが早速とばかりに希に詰め寄るが当の本人はなにやら面白そうな表情を浮かべてどこ吹く風と言いたげに答える。

そんな中、この状況においてもそれを面白がっている様子に花陽を含め戸惑いながらも確信したメンバーは複数人いた。

 

「というか、それなのになんでわざわざ隠してたわけ? あの場にいたのなら全部知ってるんでしょう?」

 

「そうね、それについても教えて欲しいのだけど……希も知ってることを」

 

「……お願いします、希」

 

真姫、絵里、海未の三人にそう言われた希はちらりと三人を見たあとゆっくりその視線を再び穂乃果へと戻した。

 

「……こういうのは、その場にいた目撃者に話を聞いた方がええんとちゃう? どっちにしろ、穂乃果ちゃんはうちのことも踏まえて言うてくれるやろうし」

 

微笑みながら告げた希の言葉に全員の視線が再び穂乃果へと向けられる、すると穂乃果はわかったと言いたげにこくりと頷くと再度続きを話し始めようと全員へと目を向けた。

 

「危ないところを希ちゃんに助けられたわけで、そのあと私は………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なんで希ちゃんがいるの!?」

 

後に再び聞くことになる驚愕の言葉を受けながら、特殊な形をした銃を構えた希は穂乃果にふっと微笑みかけると、その狙いを再び目の前にいる地面から顔を出している怪しげな触手へと向けた。

 

「占いで出たんよ、今日の夜、運命が動きだすって!」

 

ーガシュン!

 

ハンドガンのような形状をしている銃の銃身の下側の部分をポンプアクションよろしく前後に動かした希はその狙いを外さずに再び銃口と思われる部分から強力な衝撃波を打ち出した。

 

それは再度触手へと直撃し、触手は怪しげに揺らめいた後に再び地面へと戻っていった。

 

「……ふぅ、なんとか撃退ってとこかな」

 

「……の、希ちゃん……銃なんて使えたんだ……すごい」

 

「ん? ……んー……ハワイに行った時にちょっとね〜」

 

「………ハワイ?」

 

意味深な発言をするとともになにか含みのある微笑みを浮かべた希、彼女の仕草というかその意味深な言動に穂乃果は戸惑いを感じながらも今は首を傾げることしかできない。

 

「そ、それより! 希ちゃん、占いでって言ってたけど、希ちゃんはもしかして、何か知ってるの?」

 

意を決して穂乃果は希に問いかける、すると希はその言葉に先ほど顔に浮かべていた表情を真剣なものに変えると手に持っていた銃を仕舞った。

 

「………それは穂乃果ちゃん自身が知ること………いや、気づくことやよ………うちはただその間の手伝いをするだけや」

 

「て、手伝い?」

 

「そう、邪魔をされないように、うちが露払いをするってこと…」

 

その時だった、再び二人が立つその場所が小刻みに揺れたかと思うとその揺れが地震さながらに大きくなり始めた。

その揺れに戸惑いながらもなんとか踏ん張る穂乃果、それに対して落ち着いた様子でその場に立つ希。

 

すると、しばらくして………穂乃果と希がいる地点から離れた位置の地面が大きく崩れ、そこから巨大な……あまりにも巨大な影が姿を現した。

 

「うぇぇぇぇええええええ!? な、なに!? 今度はなに!?」

 

「あれが邪魔者ってことや」

 

「なんであんなのを前にして落ち着いていられるの希ちゃん!?」

 

穂乃果が目の当たりにしたのは明らかに常軌を逸した存在だった。

その体躯はあまりにも大きく、優に街のビルや建物を超える巨大を有しており、その見た目も見たこともないものだった。

 

一見するとそれは昆虫などを思わせる独特の光沢感を持った硬い印象を受ける体表をしていた、だが印象こそそれではあるが実際の大きさは虫のそれを優に越している。

というか越しすぎていて道端にいたら気にも留めない小さな虫と目の前のこの凶悪な爪を持った昆虫のような怪物を比べものにする時点でおかしいと言っても過言ではないレベルだ。

 

「の、希ちゃん! 早く逃げないと! このままじゃ、私も希ちゃんも一緒にまとめてぺしゃんこだよ!? 漫画みたいに!」

 

「漫画みたいなんで済めばおもしろいけどなぁ、そうはいかへん……それに、ここで逃げてええの?」

 

穂乃果が希を説得しようとそう言いだしたものの、希はまっすぐに穂乃果を見つめそう言い放った。

 

 

 

「穂乃果ちゃんは何かやることあってここに来たんやろ?」

 

「…………あ」

 

 

 

そう言われて穂乃果は我に帰り、思い出した。

自分がここに来たわけを、ここに来た本当の理由を……。

 

「………うちがあいつを抑えとる、だから穂乃果ちゃんは見つけてきて………きっと、向こうも穂乃果ちゃんのことを待ってるよ?」

 

「え……で、でも……一人でなんて無理だよ!」

 

「大丈夫………うちは、一人やない」

 

自分の目的もそうだが目の前にいるメンバーのことも心配と言いたげな穂乃果、だが希はそんな彼女の不安そうな表情を安らげるかのような微笑みを浮かべた後地中から現れた怪獣へと視線を向けると数歩前に出た。

 

 

「……いくよ、ネクサス」

 

 

すると、どうしたことか希の周囲を何やら光り輝く何かが浮遊しながら飛び回り始めた。

それが何かと穂乃果がよく目を凝らしてみるがそれよりも早くその光は希望の手元に収まると、それは白い小刀のようなものへと姿を変えた。

 

脈打つ鼓動のように光を放つそれを手に持った希はそれを腰だめに構えると勢いよく抜き放ち、星たちが瞬く夜空へと掲げた。

その瞬間、小刀から抜き放たれた光が周囲を照らし出さんばかりに光り輝き、希の体を包み込むと、やがてそれは一本の光の柱となって天へと伸びていった。

 

あまりの眩い光にとっさに目を覆った穂乃果だったが恐る恐ると目を開き、前を向くと………。

 

 

 

「………うそ………希ちゃん………?」

 

 

 

そこには希の姿はなく、巨大な怪獣と相対するように現れた銀色の光の巨人の姿があった。

 

 

 

「………シェア!」

 

 

 

巨人は一度穂乃果の方へと目を向けた後、すぐに怪獣へと視線を戻し右腕を握り前に、左腕を手刀にして胸の前に構える独特のファイティングポーズをとった。

 

対する怪獣は突如として目の前に現れた巨人を見ると明らかな敵意を向け、両手の鋭い爪を構え耳障りな金切り声を上げる。

 

「………奴は“インセクトタイプビースト バクバズン”………」

 

『なんとなく、女の子が嫌いそうな感じやね、さっさと片付けよか、ネクサス!』

 

銀色の巨人、ウルトラマンネクサスは一度こくりと頷くと走り出すと昆虫型の怪獣、“インセクトタイプビースト バクバズン”に接近し、徐に両腕を振り上げると正面からバクバズンの体に掴みかかり、押さえ込みにかかった。

巨大同士のぶつかり合いで周囲が激しく振動する中、穂乃果はその様子に見入っていた。

 

「デェア! シュア!」

 

ネクサスを振り払おうと抵抗するバクバズン、しかし、ネクサスは押さえ込んでいるバクバズンの顎に膝蹴りを打ち込み、怯ませると体に数回拳を打ち込み、休ませる暇も与えず高く振り上げた右足で回し蹴りを繰り出しバクバズンの頭部を横薙ぎに蹴る!

 

強烈な攻撃の連続にバクバズンはたまらず大きく後ろに後退するとネクサスは再び身構えながらも視線を一度、穂乃果のいる方へと向ける。

 

「…………」

 

「………え」

 

何かを訴えかけるように見つめた後、首を少し動かしたネクサス、その動きを見て穂乃果はそれが何を意味しているのかを感じ取った。

 

 

早く行け、と………。

 

 

「………ありがとう!」

 

 

巨人と、その巨人となった大切な友達にお礼を告げた穂乃果は自分が本来為すべきことをするために走り出した。

 

 

 

林をかき分け、道無き道を進む穂乃果、背後では大地が揺れるほどの衝撃がぶつかり合い、地を時たまに揺らす。

だが、彼女は進み続ける。

自分の中にある何か………微かだが感じる何か………自分を呼んでいるものに導かれるように………。

 

あの日ここに落ちた流星、それを追いかけてきた穂乃果はここで確かに出会っていた。

そして、彼女はその記憶を忘れていた……いや、思い出せなかったのだ。

 

それはおそらく、自分自身ではなく、先日出会った青年…ミライが施したものだと、彼女は反射的に理解したのだ。

 

 

 

(あの時の夢……私が見たあの夢は、私のものじゃない、あれは…あれはあなたの夢だったんだ……)

 

 

 

巨人たちが強大ななにかに向かっていくあの夢、あれはきっと無意識のうちに彼と感覚を共有していたから……だから、あのような形で見てしまったのだ。

彼の記憶の一欠片を………。

 

自分の中にある、ミライという青年の魂から………。

 

早く戻してあげないと、彼も自分もまだやりきっていない……やり残したことがあるから……それに手を伸ばすためにも、はやく!

 

穂乃果の足取りが徐々に早まり、やがて彼女はある場所に来た。

雑木林の中、鬱蒼と茂る木々が生える場所……その中に唯一、どういうわけか左右に開けたかのように木々が生えていない場所。

 

「……はぁ……はぁ………ここだった……そうだよね………うん、絶対そうだ」

 

穂乃果は覚えていた。

 

あの日、色つきの流星が街に降り注いだ時、そのうちの一つの光がここに落ちたのだ。

それを家から見ていた穂乃果は気になって今日のように自転車を走らせ、ここにたどり着いた……。

 

 

 

『これ……隕石……じゃないよね』

 

 

 

紐解かれた自分の記憶、彼女がここで見たのはゴツゴツとした宇宙から落ちてきた石などではなかった。

それは弱々しく光を放つ、“光”だった。

 

まるで命の鼓動を繰り返すかのように胎動するその光を見つめていると、それはやがて穂乃果の目の前である姿へと変わった。

 

………それが、光の巨人………ウルトラマンメビウスとの、最初の出会い……ファーストコンタクトだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あの日、流星が街に降り注いだ日はウルトラマンの方々がこの地球に降り立った日だった……その日に穂乃果はもうすでに出会っていたのですね」

 

一連の話を聞いた海未がそう呟くと穂乃果はこくりと頷いた。

 

「……でも、その時の記憶はどの道後から思い出したことだから、それまでずっと忘れてたんだし」

 

「でも、なんで穂乃果はその時のことを思い出せなかったの?」

 

気になったのか絵里がそう問いかける。

確かにそのような出会いをしていれば嫌が応にも印象に残るだろうし、穂乃果が多少抜けていたとしても忘れることはさすがにないと判断したからだ。

 

『……それは、僕がそうしたんです……彼女を……穂乃果さんを守るために』

 

「穂乃果を…?」

 

質問に対して答えたメビウスに絵里が首を傾げる。

 

『………あの時の僕はダメージを受けていたせいでいつ消えるかもわかりませんでした、そんな時穂乃果さんが現れて………僕は一連の事情を話しました……自分が何者で、何があったのか……そして、穂乃果さんは言いました』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『私にできること、ある? こんなことで消えたらダメだよ! まだ、まだやり残したことあるのに!』

 

あの時、彼女は目の前で倒れこみ胸の水晶を点滅させる光の巨人にそう告げた。

メビウスはその言葉に僅かに驚きを見せるが、穂乃果は迷いのない瞳で自分のことを見つめてくる。

 

やがてメビウスは苦渋の決断を下し、己が肉体を光へと変換し、その一部を穂乃果の体へと避難させたのだ。

そして、その際に彼の体となるものと、彼の魂とも言える部分が分離した。

 

そうしたのは、己の存在を他の存在に気取られないようにするため。

 

もし、自分が瀕死の状態で生きていて彼女と行動を共にしていると知られれば穂乃果自身に危害が及ぶと考えたのだ。

そのためにメビウスは己の魂だけを分離させて穂乃果の中に避難した……傷ついた体を暫く休めるための緊急措置として……。

 

そして、その際にその時の記憶も封印させたのだ。

こうすればその時が来るまで彼女は普段と変わらない日常を送り、危険が及ぶことはないはずだと思ったから…。

 

しかし、その時は来てしまった………。

 

 

魂と体を分離させるというこの行動は緊急措置とはいえそれ相応の危険を伴う、時間が経過すれば己の肉体を残し、魂が消滅してしまう恐れがあったからだ。

 

時間が経過するにつれてその兆候が見られ始めた…。

 

そして、先日……限界が近づき始めたことで気取られたのか、穂乃果を危険に晒すことになってしまったのだ。

 

 

 

これが全ての経緯、穂乃果がメビウスと出会った、“本当の始まり”……。

 

 

 

「………私のことを守ろうとしてくれたんだね………」

 

 

そう呟いた穂乃果は雑木林の中で自分の中にいる、光の戦士にそう問いかけた。

すると、穂乃果の中から弱々しく光る、小さな光が出てきた。

これがメビウスの魂……穂乃果の中に身を隠しながら責任を感じ、彼女を精一杯に守ろうとした光だ。

 

『………僕は、あなたの好意に甘え……あなたを危険な目に合わせてしまった……』

 

「……気にしてないよ、私も多分そうなることもあるってわかってた気がする」

 

『………穂乃果さん』

 

「………だから、最後まで助けるよ……あなたのこと」

 

穂乃果はその弱々しく光る輝きを手で受け止めるようにすると、そのまま歩き出した。

やがてあるところで足を止めると地面をじっと見つめる。

 

「………ここだね………」

 

意を決した穂乃果がその光を持ったままその場にしゃがみ込む………すると、その時……。

 

 

 

ーーーギァァァァァァァア!!

 

 

 

後方の方で何かの咆哮が聞こえた。

慌ててそちらの方へと目を向けると……。

 

「っ!? もう一匹!?」

 

そこにはなんと新たに現れた二体目の怪獣がいたのだ。

まだ虫型の怪獣と戦いを繰り広げているネクサスの後方に現れた怪獣、同じ昆虫型のようにも見えるが今度は人型をしているその怪獣は唸り声をあげながらネクサスに接近すると背後から鋭い爪を振り下ろした。

 

「グォ! っ! ウァァァァ!?」

 

鋭い爪の一撃を浴び、怯んだネクサスに畳み掛けるようにもう一匹が頭突きを食らわせる。

すると、ネクサスは大きく後ろに吹き飛び、地面を転がった。

 

二体の怪獣は並び立つと違いに持つ鋭い爪をギラつかせてネクサスに狙いを定める。

 

「………シェア!」

 

それを見て、ネクサスは力を振り絞るようにして立ち上がると再び身構え、怪獣達に向かって突撃する。

しかし、二体一ではやはり分が悪い、片方の怪獣を狙おうとして拳を繰り出すがその後にもう一体が反撃を仕掛け、ネクサスは返り討ちに遭ってしまう。

 

「ウァァァァァァァァァァア!!」

 

人型の虫怪獣の鋭い爪が再びネクサスの銀色の体を切り裂く、そしてそこに間髪を入れずにもう一体、バクバズンの爪も振り下ろされ、ネクサスは二体の怪獣の爪攻撃を受けて大きくよろけた。

 

奇しくもこの二体、形さえ違うがその名には同じ名前が当てはめられている。

人型の怪獣の名称は“バクバズン ブルード”、形は違うが同一個体とも言えるこの二体は互いの特質を理解した戦い方を行えるようだ。

予想もしないタッグ怪獣に苦戦を強いられるネクサス、その場に膝をつきながらも闘志をまだ見せるネクサスだが………

 

「っ!? ウォッ! オォォ!?」

 

突如としてその腕にバクバズンの尻尾が迫り、その尻尾についている凶悪な顎でその腕に噛み付いてきた。

突然の不意打ちをつかれたネクサスは腕に走る痛みに耐えながらそれを振りほどこうとするが顎の力は強く振り払うことができない。

その間にもブルードの方が再び爪を立ててネクサスに迫る………。

 

「希ちゃん! 大変……どうしよう……」

 

ネクサスの危機を感じ、動揺する穂乃果。

このままではネクサスは………自分にできることはないか……何かないのか………そう模索する彼女はふと、自分が手のひらに乗せている光へと目を向ける。

 

「………そうだ………ねえ、ミライさん!」

 

『っ!』

 

突然名前を呼ばれたことに驚いたのか、光はぴく、と動く。

それに対し、穂乃果は真剣そのものな表情で光を見つめる。

 

 

「あの巨人さんを………希ちゃんを助けることってできる?」

 

 

その問いかけは自身の大切な友人を思って下した問いかけだった。

だが、それはメビウスにとってもさらなる苦渋の決断を強いられるものでもあった。

 

『……僕の魂を肉体に戻せば可能ではあります……ですけど、今の僕は不完全……本来の力を出すためには……僕だけの力じゃ足りません』

 

「なら、もう一度私も協力する! それなら」

 

『いけません! あなたはもう十分に巻き込まれ、危険な目にもあった、これ以上………あなたを危険に晒すわけには!』

 

「今は私のことはいいの!!」

 

メビウスの言葉をかき消すかのように穂乃果が叫ぶように告げる。

その勢い……いや、必死さに押されたかのようにメビウスはたじろいだ。

 

 

「………大切な……大切な友達を……助けたいから……あなただけじゃない、希ちゃんも………あなたの仲間も助けたいから………だから!」

 

 

ともに誓い合った仲間、手を取り合った友達、だからこそ……穂乃果は諦めない……。

 

 

 

「助けられるなら! 私も戦う! 可能性があるなら……あなたも、希ちゃんも、みんなも助ける!!」

 

 

 

………ああ………。

 

 

 

………なんて………。

 

 

 

………なんて………。

 

 

 

『………強い人なんだ………』

 

 

 

彼女の揺るがない決意の心、曲がらないその真っ直ぐな瞳に宿る輝き……メビウスはそれを間近に見て初めて理解した。

彼女の“強さ”を……果てしない、“輝き”を………。

 

だからこそ、自分は彼女の命を……自分の命と共有するという危険な賭けをしてまでも……守りたかっ他のかもしれない……。

 

 

 

『………僕はあなたのことを守ります………絶対に………』

 

「………私も、あなたのことを守るよ………」

 

 

 

 

ならその輝きを……互いに見た、この輝きを……守りたい………だから………。

 

 

 

「だから………」

 

 

 

 

 

「『いっしょに!』」

 

 

 

 

 

直後、メビウスの魂の光が一層強い輝きを放つと天高く舞い上がった。

夜空に光り輝く太陽の陽炎、それを思わせる光の揺らめきとともに勢いよく降下したその光はやがて穂乃果の目の前の地面へと突き刺さる。

 

そして、その地面を突き破るように一体の人形がその姿を現した。

目と思われる部分ち力強い輝きを放つその人形は穂乃果と向かい合う。

 

『行きましょう、穂乃果さん!』

 

「うん、ミライさん……うぅん……メビウスさん!」

 

互いの名を呼びあう二人、するとメビウスの人形は光を放ちながら穂乃果の左腕へと近づくと光を放ち、赤と金の装飾が施されたブレスレット……“メビウスブレス”へと姿を変えた。

 

そして、穂乃果の周囲に眩い光を纏いながらブレスの中央にある球体部分に右手を当てて回転させ………。

 

 

 

「『メビウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウス!!』」

 

 

 

天高く左腕を突き上げながら穂乃果はともに戦い、守ると誓った戦士とともに叫んだ。

 

光の巨人としての、戦士の名を………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オォォォォ……!ウッ……アァァァ…!」

 

ギリギリと締まるバクバズンの尾の顎、腕に噛み付かれたままネクサスはその場で苦しむ声を上げる。

このままではいつネクサスの腕が噛みちぎられてもおかしくない、だがその前に着実に近づいてきているブルードも危険だ。

 

『ネクサス!』

 

ネクサスと一体化している希が彼を心配して名を呼ぶ、一体化しているとはいえ戦闘で負ったダメージの大体がネクサスに蓄積されるためだ。

 

 

このままでは………希が危惧を感じ始めた、その時………!

 

 

 

ーーーギェェェェ!

 

 

 

突如としてバクバズンの体から火花が上がった、その瞬間ネクサスの腕に噛み付いていた顎の力が緩んだ。

 

「ッ! シェア!!」

 

その隙を見逃さなかったネクサスはバクバズンの尾を振り払うと接近していたブルードに回し蹴りを打ち込み、怯ませるとすぐさま後ろに飛んで後退した。

 

突然のことに動揺を隠しきれない様子のバクバズン達、だがネクサスはそれが何によるものなのかを知っていた。

 

バクバズンの体から火花が上がったのは自分よりも後ろから飛んできた“光の刃”によるもの……そして、それを飛ばしたのは……。

 

 

 

『………うちの占い通りや………』

 

 

 

後方へと目を向けるネクサス、その視線の先にいたのは………。

 

 

 

右腕をまっすぐに伸ばした体制で佇む、赤と銀の体を持つ、もう一人の光の巨人………ウルトラマンメビウスだった。

 

 

 

「………目覚めたか………メビウス」

 

「遅くなってすみませんでした……でも、ここからは」

 

 

 

ネクサスの言葉にメビウスはそう返すと彼に近づき自身の右腕をさしのばした、ネクサスはその手を見つめた後その手を取るとそれを支えにネクサスは立ち上がる。

 

 

 

『私たちもいくよ、希ちゃん!』

 

『……やっぱり、穂乃果ちゃんならそうする思っとったわ……それじゃあ、うちらももうひと頑張りや!』

 

 

 

そして、二人の巨人と一心同体となっている穂乃果と希もまた同じように意気込む。

並び立つようにたった二人の巨人は握り合っていたその手を離すと、目前の敵へと目を向けて再び身構える!

 

『よーし……ファイトだよ! メビウスさん!』

 

『諦めんでいくよ、ネクサス!』

 

「セア!」

 

「ヘァ!」

 

二人の少女の言葉に答えるように身構えるメビウスとネクサス、対するバクバズンとブルードの二体も二人のウルトラマンを威嚇する。

 

これで戦況は二体二、五分五分となったこの戦いで再び先手を打ったのは、ネクサスだった。

 

「………フッ、ヘア!」

 

一歩前に出たネクサスは自身の胸のY字型の赤い水晶、エナジーコアに左腕を当てがうとそれを斜め下へと下ろした。

 

その瞬間、ネクサスの銀色の体に変化が起きる。

 

銀と黒の体を持つネクサスの体に赤色が加わり、さらにシャープながらも力強さを思わせる姿へと変わったのだ。

 

『さあ、第ラウンド行こうか……“ジュネッス”はまた違うよ!』

 

「シュア! …………オォォォォ………」

 

赤き姿、“ジュネッス”へと変わったネクサスは腕を十字にクロスさせると青い光を右腕に纏わせ、それを左から右へと移動させると………。

 

「………ヘア!!」

 

それを天高く掲げ、青い光を天高く打ち上げる。

やがてその光は空で弾けると、そのままメビウスとネクサス、さらにはバクバズンとブルードの二体を包むドーム型の光を形成する。

そして、その光が地面にまで達すると……四体の巨人と怪獣はその場から姿を消した……。

 

だが、これはその場から姿を消した訳ではない。

今は二人と二体はこことは違う、“異空間”へと移動したのだ。

 

 

 

『ここって………』

 

『………“メタフィールド”………ジュネッスになったネクサスが使える技や、ここなら周りを気にせず思う存分やれるよ』

 

 

 

メビウスと一体化している穂乃果は周囲を見回す。

そこは赤土の荒野ような大地にところどころに光が輝き、空もオレンジがかったオーロラのような不思議な空間……。

 

ここは、“メタフィールド”……ウルトラマンネクサスのみが使用することができる現実世界への被害を最小限に抑えるとともに自分が有利に戦える環境そのものだ。

 

その場所に立つメビウスとネクサスの二人、そしてその空間へと引き込まれたバクバズンとブルード……それを前にして二人の巨人は互いの顔を見合わせて頷くと怪獣達に向かって走り出す!

 

「デェア!」

 

「タァァ!」

 

距離を縮めるとメビウスはブルードに、ネクサスはバクバズンへと飛び掛る。

それに対して二体の怪獣も抵抗を見せ、暴れる。

 

上から押さえ込むようにバクバズンに飛びかかったネクサスは振り払われそうになりながらもそれを押さえつけ、バクバズンの体に膝蹴りを打ち込む。

 

メビウスもブルードの体を両手で掴むとその勢いのままにブルードを投げ飛ばし、体を捻りながら飛び蹴りを叩き込む。

 

二体の巨人の攻撃を受けた怪獣は反撃しようと爪を振り上げる。

だが、二人のウルトラマンはその腕を素早く片手で受け止めるとネクサスは右腕、メビウスは左腕で肘打ちを打ち込み、同じタイミングで追撃の拳を打ち出す。

さらに二人は怪獣達に追いすがると鋭い回し蹴りを頭部に叩き込み、更なるダメージを与えていく。

 

「シュア!」

 

「セェア!」

 

怒涛の連続攻撃を受けてひるんだバクバズンとブルードの二体、メビウスとネクサスは負けはしないとばかりにファイティングポーズを向ける。

 

だが、それに対してバクバズンもまた負けじということなのかふと体を小さく震わせると……背中が開き、そのから巨大な翅を外へと出す!

途端にその翅が震え、バクバズンはブルードを残して飛翔するとブルードはその後ろに立つ。

そして、そのまま二体はネクサスとメビウスの二人に向かってくる。

 

空中と地上の同時攻撃を仕掛けてきたようだ。

 

しかし、それに怯む二人ではない、メビウスがネクサスの前に立つように移動すると左腕を右斜め上へと掲げる。

 

すると、メビウスブレスから∞型の光が閃くと……そこから光の剣がブレスから伸びた。

これはメビウスが持つ武器であり、彼の得意とする戦法の一つ……光の剣、“メビュームブレード”だ。

 

そして、その背後でネクサスは両腕の籠手型の武装、“アームドネクサス”を体の前で交差させる。

 

その間にも空中と地上の二つから接近してくるバクバズンとブルードの二体、だがメビウスは臆することなくメタフィールドの光の大地を踏みしめると………。

 

 

「………ハッ!」

 

 

勢いをつけ走り出す!

 

そして、接近するバクバズンと背の翅を………

 

「ハァ!」

 

袈裟懸けに切り落とす!

 

さらに身を翻しながら……

 

「セァァァァァァアアアアアアアアア!」

 

すれ違いざまにブルードの爪を切り捨てる!

 

メビウスの剣技を受けたバクバズンとブルードは勢いを止め、地面に落下し、足を止める。

そして、そこにトドメとばかりに………

 

 

 

「オォォォォォォ………フッ! デアッ!」

 

 

 

両腕の間に走る青い光のスパークを纏わせながら垂直に立てると両腕を上へと上げ、その腕をL字型に組むと………その腕から青白い光の破壊光線、“オーバーレイ・シュトローム”を放つ!

 

そして、その光線は地上に落ちたバクバズンを先に直撃すると、さらに後続のブルードにも直撃し…………。

 

 

 

ーーーバガァァァァァァァァァァン!

 

 

 

二体の怪獣は青い光の粒子となって爆散、消滅した!

 

 

「………」

 

「………」

 

 

メタフィールドに静寂が訪れ、共に戦った二人の巨人が互いを見合わせる。

そして、二人は互いに頷くと……やがてその巨人達もまた、光に包まれてその場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが………あの日に起きたこと、私とメビウスさんが出会った話だよ」

 

皆が知りえない二人だけのこと、それをメンバー達に改めて伝えた穂乃果に他のメンバー達は驚きとも似て取れるような表情を見せる。

 

「……それがあなた達の出会いだったのですね」

 

「私達の知らないうちに…穂乃果ちゃんも戦ってたんだね…」

 

「………うん、ごめんね、海未ちゃん、ことりちゃん……びっくりさせちゃって」

 

幼馴染二人に対して謝罪をする穂乃果、だがそれに対して二人は気にしていないと言いたげに首を左右に振る。

 

「最初なら私はあなたを止めたでしょうが……こうなってしまってはもう後戻りはできませんからね」

 

「……私たちも、一緒に戦うことになるんだし………ね? みんな?」

 

ことりの言葉にその場にいた全員が頷くとそれぞれに鞄や制服のポケットの中に手を入れてある物を取り出す。

 

それはまぎれもない、メビウスと同じように人形へと姿を変えたウルトラマン達だった。

 

「やっぱり、みんなも同じだったんだ」

 

「………穂乃果ちゃん、これからどうふる? うちらにはスクールアイドルって役目がある………でも、それだけやなくてウルトラマンたちと出会ったことでもう一つやるべきことを背負ってしまうことになるよ?」

 

 

全員を代表するように、希がそう言う………スクールアイドルとして活動してきた彼女達が背負う、もう一つの役目……。

 

それは、本来なら少女達のものではない、戦士達が背負う役目……。

 

あまりにも大きな圧倒的に大きな役目……。

 

 

だが、それを受け、穂乃果は尚もその瞳にまっすぐな光を灯す。

彼女は隣に浮遊しているメビウスへと目を向けるとこくりとうなずき、メンバー全員へと目を向ける。

 

「……昨日、希ちゃんと別れた後メビウスさんと話したんだ……これから、私たちがすること……私がしたいこと……スクールアイドルとは違うもう一つの……!」

 

穂乃果はそういうと指でピースサインを作ると、それを前へと突き出す。

そして、その上に人形のメビウスが移動する。

 

 

 

『今この世界は、大きな脅威に晒されています、そしてそれがこの世界に来たのは僕たちのせいでもある……これを退けるためにも、どうかお願いします……ウルトラ戦士の光と同調した皆さん!』

 

「一緒に………ウルトラマンのみんなの手伝いをしよう、私達………μ'sで!」

 

 

 

 

メビウスの願いと穂乃果の宣言、互いに話し合って出した結果、それを皆に伝えた穂乃果………その言葉を聞いたメンバー達は………。

 

「………昔から、言い出したら聞きませんものね」

 

「うん、だったら……私達も」

 

穂乃果をよく知り、共に走り出した幼馴染の二人はその隣り合わせになるようにピースサインを作り、それに合わせ……。

 

「こうなったらとことんまでついていくにゃ!」

 

「ちょっと怖いけど……みんながいれば大丈夫だよね」

 

「仕方ないわね………まあ、こっちも途中で降りたりなんかしたら、後味悪いしね」

 

そして、その後に共に足を揃えて走り出した一年生の三人もまた、それに続くようにピースサインを合わせ……

 

「………まったく、しょうがないわねぇ、スーパーアイドルにこにーも加われば百人力だから安心しなさい」

 

「あはは、みんなノリノリやな? まあ、焚きつけたのはうちなんやけど」

 

「………まったく、希ったら………でも、そうね………これはもうウルトラマンたちだけの問題じゃない……」

 

そして、最後に共に手を取り合わせ、走り出した三年生の三人もまたピースサインを合わせる……。

 

………これで全員が揃った………。

 

穂乃果の心はこの時、大きな安堵と、計り知れない心強さに包まれていた。

あまりにも大きなこの出来事、自分達の世界を包みこもうとする“闇”………だが、それはこの仲間達なら薙ぎ払うことができる………自分たちだけの、“光”で。

 

 

 

「よーし! 行くよ、みんな!」

 

『はい!』

 

 

 

ここに集ったのは、女神の名を持つ歌姫の9人の少女と光を宿した、9人の光の勇者達…。

 

「1!」

 

「2!」

 

「3!」

 

「4!」

 

「5!」

 

「6!」

 

「7!」

 

「8!」

 

「9!」

 

………少女達と光の勇者達の戦いは、ここから始まる………。

 

 

 

「μ's! ………うぅん、今は改めて………“ウルトラμ's”!!」

 

 

 

 

 

 

ーーー ウルトラミュージック、スタート!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………まさか、奴らが揃うとは………」

 

そしてまた、闇も動きだす……。

 

音ノ木坂の街のはずれ、廃墟となっている場所に訪れたローブの男は壁にもたれかかりながらその頭にかぶったフードを取り去る。

 

「………だが、所詮はあがきでしかない………奴らの“切り札”はすでにこちらの手に………」

 

ローブのフードを取り去った男は白髪と黒髪の混ざったような髪に鋭い目つきをしており、そういうと天井、いや、その先にある夜空のはるか先へと目を向ける。

 

 

 

「………我が主よ、お待ちください………あなたの目的を果たしてみせます………この私が………“キリエル人”たる、この私が………!」

 

 

 

“キリエル人”………男が確かにそういったのと同時に、その廃墟の上を鋭い轟音を上げて三つの影が飛び退る。

 

目にも止まらぬとはこのことか猛スピードで空を切り裂かんばかりに飛行するそれは鉄で出来た翼を持つ、“英知の結晶”とも言える、人類の力の証だ。

 

その3機の翼で空を切り裂く乗り物、言うなれば“戦闘機”とも見て取れる機体に乗る人物のうち、1番先頭の機体に乗る人物はコクピットの中で操縦桿を握る。

 

 

 

「………テスト終了……これなら実戦でも使えそうだな………こちら、“ヴァルキリー1”、これよりベースへと帰投する………土産にこの機体の性能報告を用意しておく」

 

 

 

コクピットの中でヘルメットをかぶった人物がそういうと先頭の戦闘機が先を言う形でその場で急速旋回し、3機の戦闘機は空を駆け抜けていった。

 

 

 

月光に照らされて輝く、“VDF”という文字を煌めかせながら…。




いかがでしたか?

ここからウルトラブライブの物語が本格始動することとなります(笑)
さてさて、次回は……なにやらえりちにフォーカスが当たる予感?

それではお楽しみに!
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