ウルトラブライブ! 9人の少女と光の勇者達   作:白宇宙

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前回のウルトラブライブ!

絵里「穂乃果がウルトラマンメビウスと同化したことを知った私たちμ’s、他のみんな全員が似た境遇だってことを知ったり、穂乃果が一度命を落としたってことを知って驚くことばかりだったけど、彼女の提案もあって私たちはスクールアイドルだけではないもう一つの道を見つけた!」

ティガ「僕達とμ’s、みんなで力を合わせてこの世界の危機に立ち向かう事に…なったんだけど…」




みんな一緒に!

光の巨人、その存在が世間でも認知されるようになったのは街に突如として現れた巨大怪獣、ベムラーとそれに立ち向かった1人の若きウルトラ戦士が地上に姿を現した……その日から数日経った日のことである。

 

 

 

『続いてのニュースです、国家防衛局は先日起きた巨大生物、通称“怪獣”とされる存在に対する防衛策として、怪獣専門の特別機関を創設することを発表しました』

 

 

 

『先日、東京都千代田区に出現した怪獣により多数の被害が発生したものの、その直後に現れた“巨人”によって怪獣は撃破され、大きな被害は免れたものの、今後いつこのような事態になるかわからないとし、防衛局は急遽……』

 

 

 

朝のテレビから流れるニュース、いつものように朝を迎えた絵里はそれを見ながら朝食のトーストにバターを塗っていた

 

「……やっぱり国側もこのままではいられないってなったのね」

 

街に突如として現れた怪獣、そして、それを倒すために自分は……自分たちはその怪獣に立ち向かってきた戦士たちと協力することを選んだ。

それに関してはどうこうというわけではない……ただ、自分たちはいいとして、世界がこのままというわけにはいかないだろうというのも絵里は予想していた。

 

なにせ、巨大な生物が現れて街を破壊し、人々の脅威として現れたのだ。

それを得体の知れない存在に任せてばかりという方がどうかしているだろう。

 

「すごいね、お姉ちゃん! ティガさん以外にもいたんだね!」

 

「……ええ、そうね、私も心強いわ」

 

机の正面で無邪気な笑みを浮かべる妹に微笑みを浮かべる、ちなみに絵里はまだ亜里沙には他のメンバーたちも同じ状況にあるということは伝えていない。

まだ真実を伝えるには少しかかると判断したための配慮だ。

そんな中、絵里はまたニュースに目を向ける。

 

 

 

『世間ではこの巨人は我々人間に味方する存在という見方が強く、SNSやインターネットではこの巨人を“ウルトラマン”という呼称を使っているようですね』

 

 

 

「………偶然ってあるのね」

 

『違う世界なのにその名前で浸透することになるとは思わなかったよ』

 

ニュースの内容に呟いた絵里の言葉に返答したのは朝食の置かれた机の上で人形の姿でテレビの方を見る、ウルトラマンティガだった。

 

彼らウルトラマンは、違う世界では大きな影響力を持ち、その名を知らないものはいないとされる英雄的存在ではあるがここはその概念がない別世界、それでもその名前で浸透するというのは偶然か、あるいは必然か……不思議なものである。

 

「ねえねえ、ティガさん、この前のウルトラマンさんはティガさんの仲間なんだよね?」

 

『え? ……うん、一応はね、住む世界は違うけど』

 

「わぁ……あってみたいなぁ……」

 

そして、そのウルトラマンという存在を板に気に入っている妹の様子を見て絵里は口元に苦笑を浮かべた。

 

「……あははは……迂闊にあわせられないわね」

 

もし身近な人物、しかも憧れの人がウルトラマンと一心同体になっている……なんてことが知れたらどうなるのか、絵里は複雑な心境だった。

ともかく、亜里沙にはまだしばらく自分以外のメンバーたちのことは伏せた方がいいだろう。

あまりにも大きな影響力を与えるこの出来事、一気に真実を知ってしまったら何が起こるかわからない…………それに………“あのこと”もある。

 

妹に隠し事という若干の後ろめたさを感じながらも絵里はトーストを口に運びながらあることが思い浮かべた。

 

 

 

音ノ木坂学院に突然現れた………あの“謎のローブの人物”のことだ。

 

 

 

突然校舎の中に現れ、そしてウルトラマンの存在を知り、なによりも………“怪獣を呼び出した”……。

あの人物が何者なのか……あの人物が何を目的として動いているのか……謎が多い、それ故に一番警戒するべき存在だと……。

 

「……ティガ、学校に行ったらちょっといいかしら」

 

『……え?』

 

 

 

だからまずは………自分たちにできることは………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………会議をはじめるわ!」

 

 

 

音ノ木坂学院、スクールアイドル研究部の部室に絵里の威勢のある声が木霊した。

ホワイトボードに書き込まれた、『第1回 ウルトラμ's会議』の文字を手で叩きながら宣言したその言葉にその場に集められた8人は一瞬だがきょとん、とあっけに取られた顔を浮かべた。

 

「ど、どうしたのよ……急に……」

 

「あれから考えたの、私達はこうしてウルトラマンと協力していくことを選んだ…でも、だからこそこちら側も動く必要があるって思ったの」

 

『……具体的にはどういうことだよ?』

 

絵里の突然の提案に戸惑い気味のにこと彼女の頭の上に乗って同じように問いかけるダイナ、すると机の上にいたティガがふよふよと浮遊し、絵里の肩に乗ると今度は彼が説明を始めた。

 

『あれから僕たちの方も考えたんだ、まず一番になんとかする問題は……僕たちを狙って現れたあのローブの人物だって』

 

ティガのその言葉にそのばにいたぜんいんがハッとしたような表情を浮かべた。

 

「……確かにあの人はおそらくですが、私達の知らない何かを知っている……というよりも、ウルトラマン達の側に対して明らかな敵対心がありました……それを突き詰めていけば自ずとこの世界の異変を知ることができるということですね」

 

「ええ、そうよ……今、海未の言ったように私達は知ってることがかなり少ないわ……だから私たちなりに活動し、私たちなりにこの問題も解いていかないことには何も変わりはしない……この世界で起きていることをまずは探り当てるの」

 

「………でも、わざわざそいつを探さなくてもよくない?」

 

「え?」

 

絵里とティガの提案に頷く海未、それに付け足すように説明した絵里の言葉にも全員がふむふむと真剣に聞いている中、ふと真姫がそう言い放った。

 

自分の髪を人差し指でくるくるといじりながら、真姫は視線を自分のカバンに向けるとその中からガイアの人形が飛び出し、机の上に着地した。

 

「当事者、ここにいるんだし、知ってることをガイアたちに説明して貰えば早くないかしら?」

 

「おお! なるほど! 真姫ちゃん賢い!」

 

「………ていうか、あなた達そのローブのやつにばかり気を取られてて当事者がすぐそばにいること忘れてたんじゃ」

 

真姫のその言葉に彼女の提案を褒めた穂乃果を含め、真姫を除く全員が………そういえば………と言いたげな顔を浮かべていた。

 

それを見て真姫は大きく一つため息をつくと……

 

「……ガイア、あなた達の知ってることとりあえず教えてくれない?」

 

『あぁ………それに関してはいいんだけど………』

 

真姫のその言葉にガイアはそう言いながら彼女の鞄から顔を出すとふわりと浮き上がって机の上に降り立った。

しかし、なぜかガイアの放つ雰囲気はどことなく不安げなように感じた。

 

「どうかしたの? 何か言いにくそうだけど」

 

『……この際だ、ガイア……奴らが何者なのか改めて確認しよう』

 

『……ああ』

 

絵里がガイアに問いかけた後、ティガは諭すようにそう言ってガイアは渋々と言った様子で承諾した。

そして、彼は全員が囲むようにして座っている椅子の中央へと移動すると人形の体をぐるりと一回回転させて全員へと目を向けた。

 

『………奴らは言わば僕たちを習っている刺客………光の巨人を排除しようと動いている、僕達はその存在を仮に“エージェント”と呼んでいる』

 

「エージェント………なんか映画とかで聞いたことあるよね、アクション映画!」

 

「エージェントということは人知れずに役目を全うする、そういう存在……ということですか?」

 

『単純に言うとその通り……だけどそのエージェントの役目は……』

 

ガイアがそこまで言いかけたところで全員は何かを察したのか息を飲み、ふと穂乃果の方を見た。

当の本人は首を傾げて、頭に疑問符を浮かばせているようだが……彼女の方に目が行くのも無理はないだろう。

何せ彼女は明確に、そして確実に命を狙われたのだ………自覚がなかったもののウルトラマンと一心同体となっていたが故に………。

 

そこから予想される答えはひとつ。

 

 

 

「………光の巨人と、その力を引き出す人間の排除………ていうわけやね?」

 

『………うん』

 

 

 

希がそういうとガイアは肯定するように身体を揺らして頷いてみせた。

 

現に襲われたのは穂乃果だけではない、海未、真姫、凛もその人物の姿を見ている。

彼女たちも明らかにウルトラマンに対しての敵意のようなものを感じ取っていた。 ローブの人物の行動自体も明らかにウルトラマン達を排除しようとするものと見て、相違ないものだった。

 

「でも、そもそもなんでウルトラマンたちをそんなに狙うのかにゃ……そんなに仲が悪いの?」

 

「いや、仲が悪いとかそんなレベルじゃないでしょ、あれ……」

 

『………あいつらにとって俺たちは邪魔なんだよ』

 

そう言ったのはにこの鞄の中から顔を出したダイナだった。

ダイナはそのまま鞄から出てくるとにこの座る席の前に移動した。

 

『あいつらは俺たちを消そうとしてる……その後にこの世界を掌握しようとしてるんだ』

 

「世界を掌握!? そ、それって…せ、世界征服とかですか!?」

 

『それで済めばいいけどな……あいつが狙ってるのはこの世界……つまりは地球だけじゃない……この“宇宙”、そのものだ』

 

世界ではなく宇宙そのものが狙い、そのあまりにもスケールの大きすぎる一言に、その場にいた全員はなにも言わずにしんと静まりかえった。

無理もないだろう、地球だけじゃない、その外にすらも視野を入れてるというほどに大きな目的を持った存在なんて、現実世界に早々いやしない、故に彼女たちも理解が追いついていなかった。

だが、同時に………絵里はありえない話ではないと思った。

 

(………ウルトラマンの力………今まで現れてきた怪獣達………そして、あのローブの人が使った力………私たちにとってはありえない、それこそ現実とは思えないこと………それがすべて現実………)

 

それだけでも不安要素としては十分すぎるものだった。

だからこそ、やはり自分達はここで手を拱いているわけには行かない…。

 

 

 

「………止めないと………なんとしてでも」

 

 

 

絵里は全員へと目を向けながら改めて決意を固めた。

自分たちの大切な場所、大切な思い出、大切な時間を過ごしたこの学校を……この世界を好きにさせはしない。

守る力を持っているのなら、その役目を果たさなければ……それが……。

 

(………それが新しい、私のもうひとつの使命………ね)

 

決意を固めた真っ直ぐな瞳をする絵里、その姿はμ'sとしての絢瀬 絵里ではない……“音ノ木坂の生徒会長”としての役目を担っていた時の絵里と、どこか同じに見えた。

 

そして、そんな絵里を………穂乃果はじっと見つめていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、絵里は練習をした後に夕焼け空になり始めた街を歩きながら周囲に目を向けていた。

相手はどこに潜んでいるかもわからない、見落とすことがないように……念入りにとばかりに目を向けていく。

 

「………やっぱり人目が多い所には出てこないのかしら………穂乃果の時は人通りの少ない所で襲われたって言ってたし………」

 

相手はいつどこで目を光らせているかはわからない、それ故に学校の帰りも油断はできない。

ふとした隙を突かれて襲われることも十分あり得るからだ……例えばそう……。

 

(あのゴミ箱………怪しいわ)

 

ちょうど人が入れそうなポリバケツ型のゴミ箱、その中に隠れていて突然出てきたと同時に襲ってくる……なんてこともあり得るし……。

 

(マンホールの下………なんてこともあり得るわね)

 

地上ではどうしても見つかってしまう可能性がある、その時のことを考慮して地下に隠れているなんてことも考えられる。

今目の前にあるマンホールの蓋が突然開いて………ありえなくもない。

 

(まさか………すでにこの人だかりの中に……!)

 

木を隠すなら森の中、人を隠すなら人の中……街の人間に紛れて、突然背後から襲ってくるなんてことも……。

 

なんということだろうか、身を隠す所なんてどこを探してもあるではないか、これでは油断も隙もない……常に警戒しないと、次の瞬間にもなにかが……!

 

 

 

「えーりちゃん♪」

 

「ちかぁぁぁぁああああああああ!?」

 

 

 

突然背後から肩を叩かれ、絵里は思わず妙な叫び声をあげてしまった。

びくり! と体を跳ねさせ、慌てて後ろを振り返った絵里はかなり驚いた表情を浮かべながら自分に声をかけた人物が何者なのかを確認する。

 

だが、その人物の姿を見たとき、絵里は目を点にした。

 

「………ほ、穂乃果………?」

 

「び、びっくりしたぁ………もう! 絵里ちゃんいきなり大きな声出さないでよ! 穂乃果までびっくりしちゃったよ!」

 

「ご……ごめんなさい……じゃなくて! 驚かさないで欲しいのはこっちもよ! 私もすごく驚いたのよ!?」

 

「あ、ごめん………なんかつい、あはは……」

 

絵里に声をかけてきたのは穂乃果だった。 いつものような笑顔を浮かべながら申し訳なさそうにしている。

しかし、彼女はどうしてここにいるのだろうか……先に帰った自分の後を追いかけてきたのだろうか……。

 

確かこの道は彼女の帰り道とは違う方向だったはず……それなのになぜわざわざ……。

 

 

 

………まさか………。

 

 

 

「………あなた、本当に穂乃果?」

 

「………はえ?」

 

 

 

絵里のまさかの言葉に穂乃果はきょとんとした表情を浮かべずにはいられなかった。

一気に警戒を強めた絵里は彼女と少し距離を開けながら疑いの眼差しを彼女へと向けてきた。

 

「わざわざ違う道を一人で追いかけてくるなんて………まさか、私が一人になったのを狙ってきたニセモノ………?」

 

「えぇぇぇぇ!? なんでそうなるの!? 違うよ! 本物だよ! 正真正銘! 穂乃果は穂乃果だよー!」

 

「………怪しい………」

 

じとー、とした目を穂乃果に向け続ける絵里。 あわあわとしながら否定をする穂乃果だが彼女の疑いの目はなかなか晴れない…。

 

「だ、だったら穂乃果が本物ってこと証明してあげるよ! 絵里ちゃんと私にしか知らないことを教えてあげる!」

 

「………例えば?」

 

「えっと………絵里ちゃんと初めてハンバーガーを食べに行ったとき絵里ちゃん、ハンバーガーを受け取った後に『ナイフとフォークはないの?』って店員さんに聞いてた!」

 

「なっ!? そ、そのことをこんな所でしかもそんな大声で言わないで!!」

 

生徒会長としての責務が忙しかった時代、まともに女子高生としての楽しみ方をしてなかった彼女ゆえに、世間知らずなことを言ってしまったその時のことを絵里は恥ずかしい思い出としてしっかりと覚えていた…。

 

「あと、学校のアルパカ小屋に行くのをなんとなく避けてたり、前に秋葉でライブした後衣装のメイド服がなかなか脱げなくて涙目になってたり……最近絵里ちゃん練習のたびになんだか胸を気にしてて、希ちゃんが調べたらまた大きくなったって……」

 

「わかった! わかったからそれ以上はやめて!! 本当にやめて!!」

 

後から出てくる何気に気にしている恥ずかしいエピソード、それをよく街中でつらつらと出せるものだ……これはある意味、穂乃果の恐ろしさの一つだ……純真無垢故にできることなのだろうか、わざとでないことを願いたい……。

 

だが、こんなエピソードを話せるということは当事者でないとわからないこと、最後のは別としてハンバーガーやアルパカはその時に穂乃果がいたからこそ理解しえるものだからだ。

ニセモノではないというのは確かなようだ。

 

「はあ………それよりも穂乃果、なんでこんなところに? あなたの帰り道はこっちじゃないでしょ?」

 

「あー、うん、そうなんだけどね……絵里ちゃんのことがなんか気になっちゃって……」

 

「……私が?」

 

唐突にそう言ってきた彼女に絵里は小首を傾げる。

すると、穂乃果は頷きながらじっと絵里のことを見つめた。

 

「……絵里ちゃん、無理、してない?」

 

「………え?」

 

予想だにしていなかった彼女のその言葉に絵里は呆気にとられた。

無理をしているつもりはなかった、それ故になにをどうして無理をしているように見えてしまったのかがわからなかった。

 

「………む、無理なんてしてないわよ? 私は単に帰ろうとしてただけで」

 

「けど、周りをずっとキョロキョロ見てたよね? それに私が声をかけて驚いたし、ニセモノかもって疑ってたし…」

 

「あ………」

 

あまり外に出すつもりはなかったのだが、彼女は無意識のうちに警戒を強めているのを表に出してしまっていたようだ。

穂乃果はそれを彼女についていきながらしっかりと見ていたのだ……だからそう感じたのかもしれない……。

 

絵里はそう分析すると彼女を安心させようと微笑みを浮かべて見せた。

 

「……ごめんなさいね、けど大丈夫よ、いざって時は私が」

 

「そうじゃなくて、絵里ちゃん………もっと、穂乃果たちのことも頼ってほしいな………それにそんなに気負わなくてもいいと思うし」

 

「………た、頼ってって……私はあなたたちのことを信用して……」

 

「けど、絵里ちゃん………なんか凄く一人で無理してるよ………」

 

絵里を見つめながら次第にだが心配そうな表情を浮かべる穂乃果に絵里は戸惑いを隠せなかった。

みんなを、メンバーを信じていないわけではない、同じ境遇となりウルトラマンと力を合わせることを誓い合った同じ志を持つ者として信じていないわけはない……だが、それなのに……何故穂乃果にはそう見えたのだろうか……絵里の頭の中はその疑問でいっぱいになっていた。

 

だが、絵里は次の瞬間、穂乃果に言われた言葉にハッとした…。

 

 

 

「………μ'sに入る前の時みたい………」

 

「っ!」

 

 

 

………μ'sに入る前………音ノ木坂学院の生徒会長として、祖母の通ったこの学校を守るためにと奮闘していたあの時………その時の自分と同じ………そう言われるとは思ってもなかった。

 

いや、今思えば……確かにそうだったかもしれない……。

 

自分達が………自分が他の人たちにはない特別な力を持ち、その力を持つ意味がこの世界に迫っている危機から世界を守ること………それは他の誰にもできない自分の役目……。

 

(………本当………似てる………あの時と………)

 

音ノ木坂の生徒会長という特別な席に座っていたが故に、この学校の危機をなんとかできるのは生徒会長としての自分の役目………そう思いながら自らも動いていたあの時と………。

 

そう感じた時、絵里は自覚した。

 

自分が無意識のうちに守ろうとして一人で抱え込もうとしていたことを…。

 

「………そっか………私、また、やっちゃったのね」

 

「………絵里ちゃん」

 

「………ダメね、私って……大切な仲間とか言ってたくせに………一人でなんとかしようとして………悪い癖ね」

 

3年生だから、生徒会長だから、自分にしかない技術があるから、やらなければいけないことだから、守りたいものがあるから………。

 

たくさん理由がある中でそれらすべてを自分でなんとかしようとして………自分の役割と、心の中でそう決めて………。

 

本当に悪い癖だ。

前の時と変わってない………生徒会長としての役割も残りわずかだというのにこんなのでは………次の世代にバトンを渡すのもまともにできるかわからなくなってくる。

μ'sのメンバーたちにこれからのことをと会議まで開いて……何をしているのだろう………何をそんなに、焦っているのだろう。

 

「………絵里ちゃん………」

 

穂乃果が目の前まで来て顔を覗き込んでくる、純粋な輝きを秘めた瞳がじっと自分のことを見つめてる。

その瞳を真正面から見た時、絵里の胸の奥が、どきり、と跳ねた気がした。

 

まるで、誰にも見られたことのない………自分の弱いところを見られてしまうような、そんな気がしたから……。

 

自分は本当は誰かの前に立ってどうこうできるような、そんな強い器じゃない……本当は怖いだけなんだ……。

自分の大切な物が……宝物が……ふとした拍子に壊れてしまうことがないように……だからよく見える位置に立とうとしていた、壊れそうになる要因から守れるように……よく見える位置に立って……一人で……全部を……。

そんな器用なこと………できるはずがないのに………。

 

無理をしてばかり………。

 

 

 

「………絵里ちゃん、あのね………わっ!」

 

「きゃっ! な、なに!?」

 

 

突然、地面が大きく揺れ始めた。

穂乃果がその揺れに足を取られて倒れそうになるのを、絵里は咄嗟に彼女を受け止めて転倒するのを止める。

 

「穂乃果、大丈夫!?」

 

「大丈夫だよ、だけど…この揺れって…」

 

「普通の地震って感じじゃないわね……」

 

あたりに響き渡るのは地震のようなグラグラと続く横揺れではない。

まるでそこから響いてくるかのようなドドドド、という断続的な揺れだ。 しかも、それは徐々に大きくなってきている……まるで何かが近づいてくるかのように……。

 

すると、次の瞬間、街のコンクリートで固められた地面が割れた。

いや、正確には……突き破られたと言ったところだろうか。 何かが地面を貫いてくるようにして飛び出して来たのだ、しかもかなりの大きさをしている……その姿を目の当たりにした時、絵里は反射的に理解した。

 

……また、来たと……。

 

 

 

ーーーグァァァァァァァァァァア!

 

 

 

咆哮を上げて地上に飛び出して来た巨体を持つ生物、そう、怪獣だ。

鋭角な形をした頭部に牙の生えた顎を持つ、土色の体をした体をまるでドリルのように体を回転させながら地面から飛び出してきた怪獣は地上の街を見下ろした。

 

その瞬間、街のあちこちから驚嘆と悲鳴の声が上がり、たちまち人々はパニックに陥った。

再び現れた怪獣の脅威に恐怖する人々、怪獣はそれを見てまるでさらに人々を威圧するかのように叫び声をあげる。

 

「また怪獣が………てことは………まさか!」

 

そんな中、絵里はふと周囲へと目を向けた。

街中を慌てて駆け抜けていく人々の合間、街中の物陰、建物の屋上、くまなく目を凝らしていくと……。

 

「っ! いた!!」

 

電柱の上、明らかに人間が立つにしては不自然な場所に立っているローブをかぶった何者かの姿、間違いない以前に音ノ木坂学院を襲撃してきたあのローブの人物だ。

 

ということはやはりあの怪獣はあのローブがまた呼び出したということなのか……。

 

「これ以上こんなことをさせるわけには…!」

 

絵里はローブの人物の元へと向かおうとする……だが、その手を穂乃果は咄嗟に掴んだ。

 

「ま、待って絵里ちゃん! このままだと怪獣が!」

 

「でも………!」

 

怪獣は街を破壊しようと暴れ出している、このままだと被害は広がっていく一方だ。 しかし、ローブの人物をここで見過ごしてしまったら相手の尻尾を掴むせっかくのチャンスを無駄にしてしまうかもしれない。

 

どうすれば……!

 

焦りを見せる絵里、だがそんな彼女を穂乃果は腕をぎゅっと掴むと絵里と向き合うように彼女を自分の方へと向けた。

 

 

 

「大丈夫! 穂乃果たちも、みんなもついてるから!」

 

 

 

迷いのない、彼女を奮い立たせるようにしっかりと彼女の肩を掴んでそう告げた。

絵里はそれを聞き、逸る気持ちを抑待っていくのを感じながら彼女を見つめ返した。

 

「………みんな?」

 

「うん、みんなだよ………絵里ちゃんには、μ'sのみんなと………私がいるよ!」

 

「………!」

 

その言葉に絵里は再び気づかされた。

そうだ、一人で無理なことでもみんななら頑張れる……みんながいるから前へと進めた……そうだった……そう知ったはずだったのに………また自分は………。

 

「ほら……来てくれたよ!」

 

「え? ………あ!」

 

穂乃果がそう言ってローブの人物のいた方に目を向けた、絵里がそれにつられて再度その方向に目を向けると…。

 

「見つけたわよ! あんたが怪獣を呼び出してる奴ね! にこがいる限りこれ以上好きにさせないにこ!」

 

「そんなこと言う前に早くあいつを捕まえないと………逃げられるわよ」

 

「わかってるわよ! あいつが怪獣を呼び出してるなら、こっちには借りがあるんだから!」

 

パニックになった人々が安全な場所に向かっていったためか人通りが少なくなったそこに、にこと真姫の二人が駆けつけたのだ。

駆けつけた二人に見つかったローブの人物は二人の方を見下ろすとバツが悪そうに微かに見える口元を歪めた。

 

「なんで、あの二人が……」

 

「あの後みんなで話したんだ、もしもの時のために練習終わりはパトロールしながら帰ろうって……何かがあったらすぐに駆けつけられるように場所も割り振って」

 

「……いつのまに……」

 

自分の知らないうちに彼女はメンバーにそんな提案をしていたのか…しかもみんなも練習の後は疲れているはず…それなのに…。

 

「絵里ちゃん、1人で頑張らなくても……みんなで頑張ればなんとかなるよ、きっと! だから、1人で抱え込まないで!」

 

いつになく真剣な目を向けながら言い放つ穂乃果、その言葉を聞き絵里は自分の中にあった焦りが徐々になくなっていくのを感じた。

 

………やはり、穂乃果は侮れない………他人のことをしっかりと見ていて、そのために一生懸命に手を伸ばせる……。

 

(………本当にすごい子………)

 

自分にはできなかったことを、彼女は平然と出来る……だからここまでμ'sを……みんなを一つに出来た。

彼女と一緒なら………きっと………この危機も………世界も………。

 

「………ええ、そうね………みんなで、ね?」

 

「………うん!」

 

スクールアイドルも、ウルトラマンたちのことも……。

 

自分の弱い所も……彼女と一緒なら、乗り越えられる……。

 

「あ! こら! 逃げるなぁぁぁ!」

 

「にこちゃんが変なこと言ってるから! もう、早く追いかけるわよ!」

 

電柱の上にいたローブの人物が跳躍し、どこかへと逃亡したのを見てにこと真姫の2人もその後を追いかけていった。

 

「……あっちはとりあえずにこちゃんと真姫ちゃんに任せよう、私たちは……」

 

「そうね………一緒にいきましょう、穂乃果!」

 

穂乃果の提案に頷いた絵里はその言葉に嬉しそうに微笑んだ。

その後、2人は横に並ぶと穂乃果はメビウスの人形を取り出し、絵里はティガの人形を取り出した。

 

『………絵里ちゃん』

 

「ティガ? どうかしたの?」

 

ふと、ティガの言葉に耳を傾ける絵里、するとティガは二つの光る双眼で彼女のことを見つめながら……告げる。

 

 

 

『君が不安に思う必要はない……その不安という闇を君なら打ち払える………仲間と一緒にいる、君なら』

 

 

 

………その言葉に、絵里は強く頷いた。

 

そうだ、自分の力の原動力は使命でも、役割でもない。

 

守りたい物のために、みんなと力を合わせること……それが、自分の力の原動力となる。

 

 

 

「行くわよ………ティガ!」

 

「メビウスさん! 一緒に、ファイトだよ!!」

 

 

 

心の中から湧き上がってくるものを感じながら2人はそれぞれの人形が形を変えたアイテムを掲げ、光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方の街に突如として現れた怪獣、ギラリと光る目で辺りを見回しながら建物に狙いを定めると顎を開き、そこから強力な火力の火炎放射を放つ。

溶岩もかくやというほどの熱量の火炎が街のビルを包み込む。

 

だが、そこに二筋の光が現れた。

 

天へと昇るようにして現れた光の柱、それが晴れるとその中からウルトラマンメビウスとウルトラマンティガの2人が現れた!

 

「奴は“地底怪獣 テレスドン”、気をつけてください、地面に潜られたら厄介な相手です」

 

「あぁ、行くぞ、メビウス!」

 

「はい!」

 

メビウスとティガは街で暴れる怪獣、テレスドンと対峙し身構えた。

テレスドンも現れた光の巨人2人を前にして臨戦態勢に入った。

 

ーーーグォォオオオ!!

 

叫び、テレスドンが動き出した。

ずしん、ずしん、という足音と地響きを響かせながら2人のウルトラマンに突進してくる。

だが、メビウスとティガは怯むことなく構えを維持したまま迎え撃つ。

 

突進してきたテレスドンを2人は真正面から押さえ込むように立ちはだかった。

足で地面を踏みしめ、押し込まれまいとする。 そして、テレスドンの突進はそれによって勢いが徐々に収まり始め失速したタイミングを狙い、反撃に転じる。

 

「テァ! ハッ!!」

 

「シャア! セアァァァ!」

 

ティガとメビウスはタイミングを合わせてテレスドンを押し返し、同時に横蹴りを放って後退させた。

2人の蹴りを受けてよろめくテレスドン、2人はすかさず追い討ちをしかける。

 

ティガが跳躍し、テレスドンを頭から抑え込むとその顎に重い膝蹴りを繰り出す。 さらに怯んだところに連続でパンチをたたき込んでいく。

数発のパンチを連続で浴びせた後、ティガはメビウスと交代するように入れ替わり、前に立ったメビウスは体をひねりながらテレスドンの横腹に水平チョップを打ち込んだ。 そのまま攻撃の手を緩めることなくメビウスは連続回し蹴りを放ってテレスドンを攻め続ける。

 

2人のウルトラマンの息のあったコンビネーションを受けたテレスドン、連続攻撃を受けてこのままではまずいと感じたのかテレスドンは追い討ちを仕掛けてこようとしたメビウスに向けて灼熱の溶岩熱閃を吐いた。

 

「ウァァァァァ! グッ…アァ!」

 

かなりの熱を持つ炎がメビウスを襲い、メビウスは攻撃の手を緩めてしまった。

その隙をついてテレスドンは反撃を始めた。

体を回転させて長い尻尾をメビウスに横薙ぎに叩きつけた。

 

重い一撃を受けたメビウスはたまらず横倒しに倒れ込む、それを見たティガはすぐさま彼の救援に入ろうとするが………。

 

ーーーグォォオオオオオオオオオオオオオ!!

 

テレスドンはそれを許さずさらなる攻撃を仕掛けてきた。

咆哮と共にテレスドンは地面を蹴ると、なんとまるでドリルのように自身の体を回転させながら突進してきたのだ。

 

先程の物とは比べ物にならない勢い、ティガは咄嗟に防御しようとするがその攻撃はその防御をも弾いた。

 

「ジュアッ!?」

 

ティガの体を浮き上がらせるほどの一撃、その場に倒れ伏したティガをよそにテレスドンはそのまま回転しながら再度地面へと穿孔しながら潜っていった。

 

『地面に潜っちゃった!』

 

「しまった……地底怪獣のテレスドンはあの方法で地面を自在に動くことができる、どこから出てくるか……!」

 

警戒して辺りを見回すメビウス、だがそれを嘲笑うかのようにテレスドンはメビウスの背後の地面から飛び出し、メビウスに奇襲攻撃を仕掛けた。

不意打ちにも近いその攻撃をメビウスは背中に受けてしまった。

 

地上からは見えない地面の中に再度潜っては飛び出し、攻撃してくる。

厄介なこの攻撃を前に2人のウルトラマンは苦戦し始めた。

 

ーーー………ピコン、ピコン、ピコン、ピコン

 

2人の胸の水晶、カラータイマーも活動限界を知らせる点滅を始める。

 

「このままじゃ………」

 

『……ティガ、あれ、無理やりにでも止めることって出来そう?』

 

「絵里ちゃん? ………わかった、やってみよう」

 

なんとか状況を打開するべく、絵里はティガにそう問いかけると何かを察したのかティガは立ち上がり、両腕を額の前で交差させた。

 

「ウゥゥゥゥゥン………! ハッ!!」

 

その両腕を勢いよく下に降ろす、すると紫と赤に銀のラインが入っていたティガの体が次の瞬間、赤と銀の体に変化した。

これはメルバとの戦いの時に使ったタイプチェンジ能力、スピードを活かした戦法が得意だったスカイタイプとは違う戦い方を得意とするティガのもう一つの姿だ。

 

タイプチェンジで姿を変えたティガは意識を集中させる、そして………。

 

 

『……あっ! 絵里ちゃん! ティガさん! 右!!』

 

 

咄嗟に穂乃果が言った方向にすぐさま対応したティガ、すると彼女の言う通りテレスドンはティガ右側の地面から飛び出して来た!

すかさずティガは回転しながら突っ込んでくるテレスドンと向き合うと………。

 

「テァァ!!」

 

回転を恐れることなく真正面からがっしりとその手で掴んだ。

そのまま脇に抱えるようにしてテレスドンを抑え込むとその回転に負けないように腕に力を込める。 するとテレスドンの回転があっという間に止まってしまった。

 

ギリギリと締め付けるような腕の圧倒的な力で体を抑えこまれ、テレスドンは動きを止められてしまったのだ。

 

そう、この圧倒的なパワーこそが赤いティガの得意とする戦い方。 これこそがティガ、“パワータイプ”の真骨頂なのだ!

 

「フン! ハァァァァァァア!」

 

そのままティガはテレスドンを抱えたまま、力強く体を回転させてジャイアントスイングさながらにその巨体を振り回す。

そして、その勢いそのままにテレスドンを投げ飛ばし、地面に叩きつけた。

 

力強い投げにテレスドンは多少のふらつきを見せるがまだ闘志は消えてないようだ。

再び身構えるとティガに向かってくる。

 

『ティガ、一気に畳み掛けるわよ!』

 

「あぁ! テャァア!」

 

それに対してティガは燃える闘志をそのまま拳に乗せるかの如く、真正面からテレスドンにぶつかっていく。

先程とは比べ物にならない重い拳がテレスドンの顔を捉え、その衝撃にたまらずテレスドンがよろけた。

さらにそこに回し蹴り、肘打ちなどを織り交ぜた力強い連撃が次々と放たれていき、テレスドンを押し返していく。

 

「デュァァァアアアアアア!」

 

トドメとばかりに放たれたアッパーカットがテレスドンを空中に舞い上げた。

 

地底怪獣のテレスドンは空に打ち上げられてはなす術がない、チャンスは今!

 

「フン! ハァァァァァァア…!」

 

ティガはそのまま両腕を斜め下に広げ、両手にエネルギーを集中させるとそれを胸の前で手の平サイズの球状にする。そして、それを大きく振りかぶり……。

 

 

 

「『デラシウム光流!!』」

 

 

 

力強く、それを空中のテレスドンに向けて放った。

球状にしていたエネルギーはそのまま燃え盛る隕石のような尾を引きながらテレスドンに向かっていき、直撃する。

 

そして、それを受けたテレスドンは堪らず断末魔を交えながら空中で爆散した!

 

テレスドンが爆散したのを見たティガはパワータイプの必殺光線、“デラシウム光流”を放った体制を解くとメビウスの方へと向きなおる。

メビウスもそれを見て膝をついた体制から立ち上がった。

 

『………す、すごい、絵里ちゃん………』

 

『………ふふふ、時には大胆にね? でも、あの時あなたが奴がどこから出てくるか教えてくれなかったらわからなかったわ……ありがとう、穂乃果』

 

『うぅん! 私別にそんなこと……偶然地面が盛り上がってるのを見ただけだし……』

 

なんとか勝利を収めた2人はその気持ちを分かち合うように談笑する。

メビウスとティガも互いを見て頷いた後、勝利を分かち合うように拳を向けあった。

 

この勝利は1人のものではない、助け合ったからこそ……勝ち取ったものなのだと、言うように……。

 

「………シュワ!」

 

「………ジュア!」

 

2人のウルトラマンが夜になり始めた空に向かって、並んで飛翔する。

赤みがかった空は夜の暗闇へと変わり始めた頃だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ〜………昨日は結局あいつに逃げられた〜………あんたがこっちに行けば先廻りになるとか言うから!」

 

「なっ! それを言うならにこちゃんだって足が遅いのよ! だから私はその方がいいと思って!」

 

「まあまあ2人とも……わかったからそのくらいに」

 

翌日、にこと真姫が追いかけていったローブは結局どこかに行ってしまい、また行方が分からなくなってしまった。

テレスドンによる被害もティガとメビウスによって抑えられ、大惨事とまではいかなかったのは不幸中の幸いだが……まだまだ油断は許されないようだ。

 

朝から互いに睨み合うにこと真姫の2人を宥めながら絵里はそう感じていた。

だが、心の中ではもう、焦りや不安はなかった。

 

「次はまた頑張ればいいじゃない、なんなら私も手伝うから、ね?」

 

「………まあ、絵里がいるなら少しは安心できるかもね」

 

「にこちゃんよりはマシかしらね…」

 

「ぬぁんですってぇ!?」

 

「まあまあにこ、真姫も! 喧嘩しない!」

 

なんだかんだ言っても、ここにいるみんな……仲間と一緒ならなんとかなる。

 

 

例え、それがどんな大きな困難でも……きっとみんなでなら……μ'sなら……。

 

 

 

 

 

「………絵里ちゃん、なんだか昨日よりいい顔してるね」

 

「うん、なんだか楽そうっていうか……いつもの感じに戻ったっていうか……」

 

「とにかく、これで一安心ですね」

 

その様子を後ろの方で見ながら話すのは穂乃果を中心に左右を挟むようにして並んで歩くことりと海未の3人だった。

昨日までの気を張り詰めさせた絵里よりも今の絵里の方が彼女らしい……そう思った穂乃果はどことなく嬉しそうにその様子を見つめた。

 

「………よーし! 今日もみんなで頑張るよー!」

 

「あ、そうそう、頑張るといえば穂乃果ちゃん……後でお母さんが来て欲しいんだって」

 

「え? なんで? ……はっ!? まさか追試とか!?」

 

「あなたまさかこの前のテストの成績が悪かったのですか!? 勉学もおろそかにしてはいけないとあれほど!」

 

「違う違う違う! そうじゃなくて、スクールアイドルとしての話なんだって」

 

ことりの言葉に冷や汗をかく穂乃果、それを見て海未がまさかと穂乃果を問い詰めようとするが慌ててそれをことりが間に割って入って止めた。

スクールアイドルとして、ことりの母、この学園の理事長が話があるとは……一体なんなのか……。

 

 

 

「その………会いたいっていう人がいるんだって………私たちに………」

 

 

 

この時、穂乃果たちの背後の方……学校の校門のすぐ近くでは、黒い外車が止まっていた。

 

バタン、という音とともに運転席が開き、そこからすらりとした足が出てくるとハイヒールを鳴らしながら車から運転者と思われる人物が下りてきた。

 

スーツに身を包んだ黒髪の凜とした雰囲気を纏った女性、彼女は校門から見える学院の様子を見つめながら、目にかけていたサングラスを外した。

 

 

 

「………久しぶりだな、音ノ木坂学院………そして………」

 

 

 

女性はそのままその視線を校門を通り、校舎に入ろうとする穂乃果たちの姿を捉えた。

すると、女性は口元に微笑を浮かべ……。

 

 

 

「………お手並み拝見と行こう………スクールアイドル、μ's………」




次回のウルトラブライブ…

にこ&真姫「「VDF!」」
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