ウルトラブライブ! 9人の少女と光の勇者達   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です!

久々にこちらを更新、一ヶ月くらい間が空きましたが、お待たせいたしました!

今回のお話は……ちゅんちゅんこと、ことりのお話!

彼女が諦めずに一歩を踏み出した時、正義の光が翼に変わる!

それではお楽しみください、どうぞ!


諦めずに飛び立つために ことりと正義の巨人

 

 

 

 

その少女は前で走れなかった…。

 

 

 

小さな頃、そうまだ子どものころ、ひょんな理由から出会った一人の少女と友達になったその時から、彼女には大切な居場所が出来た。

少女にはその時に出来た少女のような積極性も、活発に動き回る程の大きな度胸もなかった。

親のしている仕事が仕事でもあったので、他人の目を幼いながらも気にしていたのかもしれない…。

 

その時の少女は、まさに自分が生きている“巣”から勇気を出せずに飛び立つことのできない、“雛鳥”と同じだった……。

 

だが、そんな雛鳥が飛び立った時、彼女には掛け替えのない宝物がたくさん出来た。

今迄見ることのできなかった景色、今迄出会うことのなかった面白い事、今迄出会うことのなかった……たくさんの人……。

 

それを教えてくれたのは自分よりも遥かに元気で、いつも前を向いて勢いよく走り続ける自分と同い年の女の子だった。

同じ年なのにこんなに違う、自分よりもたくさんのことを彼女は出来る、それを知った少女は自然とその後ろについて行き、共にたくさんのことをしたいと思った。

 

まだ話したことのない同年齢の子ども達と関わり、普段行かないところに行き、普段はできないことをたくさんして来た。

中には木に登ってやや危ない目にあったりと言った物もあるのだがそれも今となってはいい思い出である。

 

そして、そんな大切な友と長い時間を共にしてやがて少女は高校生となった。

 

だが、その矢先に訪れたのは予期せぬ自体だった。

 

彼女達が通う高校、“音ノ木坂学園”が“廃校”の危機に瀕していたことである。

もともと女子校という、生徒が女子という限定された環境は少子高齢化社会の今ではなかなか厳しい物であり、同時に古くから存在する高校故に新しい学校ができて行くにつれて生徒もそちらに行き、入学志願者も少なくなる一方……。

 

高校生としての生活を謳歌する少女の友人は、その通達を受けた時、かなりのショックを受けていた…。

彼女はこの学校が大好きだから……この学校は彼女にとっての掛け替えのない物だったから。

 

だがそんな状況の中で、また少女の友は動いた。

 

 

 

スクールアイドルとして、この学校を存続させるために奮闘する道を……

 

 

 

この時、少女もまた決意した。

 

自分の大切な人達が通い、未来のために懸命に羽ばたこうとする……彼女達と共に………自分も、羽ばたくことを………。

 

 

 

「始めまして、μ'sの“南 ことり”です!」

 

 

 

自分の大切な友が守ろうとするこの学校を守るため……自分達がいるこの大切な居場所を守るため……彼女は小さな羽を大きく羽ばたかせる決意を固めた。

 

そして、その志を同じくする物が集まり始めて……気付いた時には……

 

 

 

 

「μ's!!ミュージック、スタート!!」

 

 

 

 

大切な仲間が……“居場所”が賑やかになり、彼女にとってより掛け替えのない宝物になっていた。

出会い、話し、経験し、学び、悩んで、笑って……彼女にとって、この“居場所”は何物にも代え難いものになっていた。

 

 

そして、同時に新たな“挑戦”もこの時から始まった…。

 

 

だが、彼女はある日、さらなる一歩を踏み出し…とある出会いを果たすこととなった。

 

 

 

これは、本来めぐり合うことのなかった女神の名を持つ9人の少女達と、光をその身に宿し、戦い続けてきた光の巨人達との出会いの物語。

 

 

 

 

 

~ウルトラブライブ! 9人の少女と光の勇者達~

 

「諦めずに飛び立つために ことりと正義の巨人」

 

 

 

 

 

休日、高校生にとって休日をどのように過ごすかは人それぞれである。

部活がある時は朝早くから昼過ぎまで練習に明け暮れる生徒もいれば、休日で空いた予定を有意義に過ごすために何処かへ出かけたり、趣味に没頭する生徒もいるだろう。

だが中には、ちょっとした理由から働く生徒もいる。

 

そう、“アルバイト”、つまりは“バイト”だ。

 

理由は人それぞれで、単に小遣いを稼ぐため、生活を助けるためなど人によって様々な理由でバイトをすることがある。

 

だが、それとは別な理由でバイトを始めることも少なからずある。

 

“彼女”がそうなように………。

 

 

 

「いらっしゃいませ、お客様、3名様でよろしいですか?」

 

 

 

その辺りの趣味を嗜む人間にとっては別名で聖地とも呼ばれる街、“秋葉原”。

多くの人たちが秋葉原の街を歩き回り、目当ての物を散策するこの街にある一件の喫茶店。

 

いや、ここは主に10代の少女がメイドと呼ばれる職に付いた人間が制服として着る衣装、所謂“メイド服”に身を包んで訪れた客を接客する飲食店、“メイド喫茶”だ。

 

現代、メイドという存在は二次元に多く見られることが多く、三次元のリアルなメイドを求める人物や、単に観光で訪れた人物が興味本位で訪れるこの店では、働くメイドとして接客を行う女性職員達がメイドとしての振る舞いを心掛けて、出迎え、席へのエスコート、そしてメニューの確認から料理を運ぶまで、リアルなメイドを意識したサービスを提供する。

 

そんなメイド喫茶に来店した3人の客を出迎えた彼女もまた、このメイド喫茶で働くアルバイトの一人、同時にこの辺りでは名がしれた“カリスマメイド”の二つ名を持つ人物であった。

 

「こちらの席にどうぞ、お冷をお持ち致しますので少々お待ちください♪」

 

灰色がかった挑発を上で一纏めにし、タレ目君のおっとりした眼差しで来店したお客を出迎えるメイド服に身を包んだ少女。

 

彼女の名はアキバのカリスマメイド“ミナリンスキー”。

 

 

本名、音ノ木坂学院2年、南 ことり。

 

 

音ノ木坂学院スクールアイドル、μ'sのメンバーである。

 

「今日も来ちゃったよ、ミナリンスキーさん」

 

「いやー…やっぱり癒されるなぁ、ミナリンスキーさんの笑顔…」

 

「俺もう今週5回目だよ、ここに来るの」

 

「いつもありがとうございます、今日もゆっくりして行ってくださいね?」

 

このバイトを初めて、もうしばらく経つ。

最初こそふとしたきっかけで始めたこのバイトだったものの、気づいた時にはカリスマメイドなんて呼ばれるようになり、自分を慕って来てくれるリピーターのお客も増えてきた。

 

こうしてリピーターの常連さんとも親しく会話しているものの、最初こそ、こうなるなんて思っても見なかったのだが…

 

「こちらメニューになります、お決まりになりましたらお手元のベルを鳴らしてお呼びください」

 

手際よく人数分のお冷を運び、メニューを渡して清楚な笑顔を浮かべるあたり、かなり慣れたものだ。

人間というのは何であれ回数を重ねれば慣れていくものなのだな、とふと感じてしまう。

 

「すみませーん、注文いいですかー?」

 

「かしこまりました、只今参ります」

 

別の席のお客のオーダーを確認し、メモを取る中、ことりは最初にこのバイトを始めた時のことをふと思い出した。

 

まだμ'sが三人だけで始まって間もない頃、スクールアイドルの情報収集とアイデアを見つけるために秋葉原を散策していた時にこのお店の勧誘を受けたのをきっかけに、このメイド服に袖を通した。

まだ半信半疑で、今では先輩となっている店員から太鼓判を押され、半ば押し流されるかのように連れて来られたこの店で初めてメイド服に袖を通して、気づいたらこのお店でアルバイトをしていた。

 

μ'sのメンバーの衣装作りの参考としてもメイド服が魅力的だったというのもあるが……なによりも、あの時のことりにとっては、このバイトはある意味で“挑戦”だった。

 

 

ことりはこの時、他のメンバーに比べて自分にはこれと言った自信に繋がるものがなかった。

そのため、自分には幼馴染である穂乃果や海未に比べて、“なにもない”と思っていたのだ。

みんなを引っ張るようなカリスマ性も、叱咤する強さもない自分はこれからμ'sとしてみんなの支えになれるのか……穂乃果のように前を向いて行けるのか、不安だった。

だからこそ、何かを見つけられるかもしれない……何かに繋がるかもしれないと、このバイトを続けたのだった。

 

(けど……まさか、あんな形でみんなにバレちゃうなんて、思わなかったな)

 

以前に、偶然にもメンバー全員にこの事が知られた時はどうなることかと思ったが、今となってはいい思い出になった。

あれがあったからこそ、ことりは新しい一歩を踏み出せたと言っても過言ではないだろう。

この秋葉原で行ったライブのことは今でも鮮明に覚えている。

 

(……よし、今日もバイトがんばって、次の練習にも繋げられるように頑張らなきゃ!)

 

以前のことを思い出して意気込むことり、彼女にとってこのアルバイトもμ'sとしての活動も同じくらいに大事なのだ。

 

 

 

「おい、そう言えばさ聞いたか? 例の妙な噂」

 

「あぁ、この辺りで最近話題になってる、“あの話”か? 目撃者とか増えてるらしいけど…」

 

 

 

 

ことりが人知れず意気込んでいる中、ふと彼女の耳になにやら気になる話が聞こえてきた。

この辺りで話題になってる話とは、一体なんだろうか? もしかしたらスクールアイドル関連の新情報かなにかだろうか?

 

「あの……あの話ってなんですか?」

 

気になったことりはメニューを聞くついでにその話をしていたお客に思い切って聞いて見た。

 

「お? なに、ミナリンスキーさん知らないの? 最近アキバで有名な噂」

 

「ミナリンスキーさんならもう知ってると思ったんだけどな……」

 

「す、すみません、なんだか気になっちゃって…」

 

ことりの問いかけに意外そうな顔を浮かべる二人の男性客、しかし、こちらは知らないのだからなんとも言い返し用がない。

とりあえずことりは申し訳なさそうに笑みを浮かべて答える。

 

「……まあ、ミナリンスキーさん忙しいみたいだし、知らなくても仕方ないかな? じゃあ、せっかくだし教えてやるよ」

 

だが人当たりのいい常連客のその男性はそう返すとこほんと咳払いを一つして上着のポケットに入れているスマホを取り出した。

 

 

 

「最近ネット掲示板とかで話題になってるんだけどさ、この辺りに出るらしいんだよ………“蛍”が」

 

「…蛍? …あの虫の、ですか?」

 

 

 

 

男性客がそう言って操作していたスマホをことりに手渡してくる。

ことりが男性客の言ったことに疑問を感じながらもスマホを受け取ると、スマホの画面にはこの秋葉原を中心にしたオカルト関連、所謂“都市伝説”の纏めページが表示されていた。

そして、そのサイトの現在トップとして上がっている話題が……その男性の言う、“蛍”に関する物だった。

 

「通称、“秋葉原の隠れホタル”、最近この辺りで目撃情報が絶えないんだよね、蛍を見たって」

 

「……でも、こんな都会で蛍なんて普通見ないですよね?」

 

「そう! そこなんだよ、聖地であり電気街であるここ、アキバに蛍が住めるようなとこなんて普通ないんだ、それなのに最近暗がりとか、夜になったらよく目撃されるようになったんだよ、その蛍が」

 

男性客が説明する蛍についての話題、それを聞きながらことりはなんとなしに纏めページに掲載されている秋葉原の隠れホタルについてのページをタップしてみた。

 

すると、ページが切り替わり、そこには幾つかの写真が添付されていた。

 

男性の言うとおり、夜の闇にぼんやりと小さな緑色の光が幾つか浮かんでいる。

しかもそれだけでなくまだ日が出ているような時間帯なのに、暗がりで浮かび上がる緑の光を捉えた写真も確認できる、その姿はまさに蛍その物のように見えた。

 

しかし、蛍が秋葉原のような都会で見られることはなかなかないと言うことはことりでも知っていた。

 

蛍は本来、綺麗な水の川などの水辺に生息する昆虫であり、秋葉原にはそんな蛍が生息できるような水辺が少ないはず……それなのに、なぜこんな大都会のど真ん中で蛍が確認されるようになったのか……。

 

「なんで蛍が見られるようになったのかはわかんないんだけど……噂じゃあ、この秋葉原の何処かに蛍が住み着いてる場所があるとか、誰かが遺伝子操作で作り出した進化した蛍を実験で外に出されたとか、いろんな情報が毎日更新されてるんだ」

 

「え? 俺は蛍に襲われた人がいるって話聞いたけど…」

 

「バカお前、蛍が人間を襲うはずないだろ? そんな凶暴でもないし」

 

興味深そうにスマホの画面を見つめることりをそっちのけで蛍に関するそれぞれの考えを交え始める男性客たち。

そんな中あまりこういう話題には疎いことりだが、なぜかこの時、彼女はこの話題に妙な興味を抱いていた。

 

蛍という都会離れしたロマンチックな存在に興味が湧いたと言うのもあるが、最近はこの秋葉原ではなにかと不思議なことが話題に上がると言うことが多くなっていたのだ。

 

「そう言えばこの前も不思議な流れ星があったし、不思議なことばかりですね」

 

「あー、確かに……思えばあの流れ星からこういう話題が上がるようになったんじゃないか?」

 

「まあ、最近はスクールアイドルもそうだけど、こういうオカルト話も人気になって来たよな」

 

「………あ、それよりも、お客様? ご注文はお決まりですか?」

 

そんな何気ない会話を交わしながら、ことりはこの秋葉原の隠れホタルがなんなのかを気にしながら、本来の務めを思い出した彼女は二人の男性客の注文を確認する。

 

すると……

 

 

 

「あれ?」

 

 

 

突然、店の電気が数回点滅しだと思ったら停電したのだ。

 

「……なんだか最近多いですね、停電」

 

「確かに、ここ以外の店でもたまに停電するらしいよ?」

 

「電気会社はなにしてんだろうな……あ、そうそう、俺は……」

 

しかし、男性客もことりも始めてのことではないのかそう言ってメニューを確認し始める。

実はこの現象は今に始まったことではないのだ、しばらくしたら復興することもあってか、彼女も男性客もそんなに困ることはなかったのだ。

 

そのためことりはいつも通りに仕事を続ける。

 

 

 

 

だがしかし、この不思議な話と現象が、彼女の新たな出会いのきっかけになるとは思いもせずに………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、ことりは学院に登校し、休み時間を利用してある人物の元を訪れた。

 

 

「……え? 秋葉原の隠れホタル?」

 

「うん、希ちゃんなら何か知ってるのかなーって…」

 

 

同じμ'sのメンバーにして三年生の先輩である、東條 希のところである。

ことりが突然訪れて、いきなりそんな話題を振ってくるとは思わなかった希は若干珍しいと言いたげな表情を浮かべてことりを見つめる。

 

「ことりちゃんがそんなスピリチュアル満々な話をして来るなんて、珍しいね? なんかあったん?」

 

「ううん、特にこれと言った理由があるわけじゃないんだけど……実は昨日バイトしてたらその話を聞いてなんだか、気になっちゃって」

 

「あー、最近はそう言うのがよく話題にあがるからな~、お仕事しとったら聞いちゃうこともあるわけやな」

 

ことりの話を聞いてなにやら納得したような返答を返した希は柔らかな微笑みを浮かべた。

 

「そうやね、せっかくやしうちが知ってることを教えるわ」

 

そう言うと希は何処からか自前のタロットカードを取り出して、ぴっ、と一枚のカードを取り出してことりに絵柄を見せながら得意げな笑みを浮かべた。

 

「これも、このカードと同じ、“運命”かもしれんしね?」

 

「……運命……?」

 

希の言葉に首を傾げることり、だが彼女にはお構いなしに希はそのカードをとりあえずとポケットの中に仕舞うと話題に上がった秋葉原の隠れホタルについての話を始めた。

 

「まず秋葉原の隠れホタルが見られ始めた時期なんやけど……これは前に穂乃果ちゃんが見たっていうカラフルな流れ星さんが見られた時と重なるんや」

 

「え、そうなの? 結構最近なんだ……」

 

以前に穂乃果を含む数人が目撃したという色とりどりの流れ星、あれはつい先週かそこらだったことをことりは覚えていた。

ことりの言葉に希がこくりと頷く。

 

「そう、あの流れ星が見られた次の日あたりの夜から目撃されるようになったんや、名前にあるとおり秋葉原のあたりでな?」

 

「でも、どうして秋葉原なんだろう……蛍が住めるような場所ってわけじゃないのに……何処かに住める所があるのかな?」

 

希の説明にことりが不思議そうに首を傾げながらそう呟く。

すると希はそれを聞いた瞬間、にっ、と口元に笑みを浮かべた。

 

 

「………そう、この話題の大事な所はそこなんよ、ことりちゃん」

 

「………ほえ?」

 

「どうして秋葉原に蛍が見られるようになったんか……問題はその蛍がどこから来てるか」

 

 

希はことりにそう言うと、彼女のスマホを取り出して指を液晶画面に走らせる。

そして、しばらくして希は秋葉原の地図を映し出した地図アプリを立ち上げてそれをことりに見せる。

 

「実はな、蛍が見られてるのは秋葉原全域って訳やないんよ、見られるのは主に……この辺りやね」

 

希は画面に表示された地図に指で範囲を示すように小さく円を描く。

 

「発見情報とか、ネットに上げられてる画像から見るとどこもこの辺りを中心にした物が多いんよ」

 

「へぇ……あれ? この辺りって確か、結構前に別の噂があった場所じゃない?」

 

その範囲を目にした時、ことりはあることを思い出した。

この蛍の話を聞く以前に同じようにお客から今まさに希が示した範囲のあたりを中心にしたとある噂が広まっていたことを思い出した。

 

 

 

「おぉ、気づいたみたいやね? そうここは前にネットでも話題にあった都市伝説の一つ………“地下大空洞”があるかもしれんって言われた場所やよ」

 

 

 

“地下大空洞”

 

それはμ's発足より少し前まで話題にあった秋葉原の都市伝説だ。

 

内容は秋葉原のどこか、街の地下深くに謎の大空洞が存在するという物だ。

地下鉄の何処かにその第空洞に繋がる入り口が存在し、地下には自然に出来たとは思えない大きな空間が広がっているとのことだ。

この都市伝説に何人かの人間が独自に捜索を始めたらしいが、これと言った結果は得られず、時間とともに自然に消滅していった情報だ。

 

しかし、なぜその都市伝説があったとされる場所を中心に、今度は蛍が現れたのか。

 

「うちはな、この二つの都市伝説が何かしらの関係があると思ってるねん」

 

「関係? なんで? 蛍がその空洞となんで関係してるの?」

 

「………どこを探しても見つからない蛍の住処、それが地上で見られないなら、考えられるのは………“下”やん?」

 

「………あ」

 

そう言われてことりは理解した。

蛍が一体どこから来てるのか、一体どこに住処があるのか…。

この二つに関係するとしたら、上がるのは一番の謎とされている蛍の住処だろう。

 

「もしかして……蛍はその地下空洞から?」

 

ことりが希に問いかけると、希はなにやら満足気な笑みを浮かべてこくりと頷いた。

 

「実際に、地下鉄のホームでも蛍を見たって情報はあるしね」

 

確かに仮説とは言え、この二つの都市伝説が関係するとしたら理にかなった話だとは思う。

もし、その第空洞に蛍がいるなら……そこには見たこともない光景が広がっているのだろうか……。

 

ことりがもしもと考えてほんの少しばかり妄想してみる。

地下の第空洞に広がる暗闇の中でふわふわと浮かびあがる蛍の綺麗な光……想像するだけでも、幻想的な空間が広がっているのだろう…。

ことりはその光景を思い浮かべて、なんとも言えないロマンチックな雰囲気を感じずにはいられなかった。

 

「……ことりちゃん、見てみたいん?」

 

「…え? み、見てみたいって…?」

 

「蛍さん、その住処」

 

ことりの満更ではなさそうな表情を読み取ったのか希はそう提案してみる。

するとことりは表情を読み取られたことに対して苦笑いを浮かべるが内心は興味津々だったのか、すぐに首を縦に振った。

 

「ま、まあ、見たくないって言ったら嘘になるかな? 私も間近で蛍って見たことないし」

 

ことりがそう言うと、希はなにやら悪戯っ子のような笑みを浮かべて見せた。

 

 

 

「ほんなら、ちょっと探してみる? 秋葉原の蛍さん」

 

「………ほえ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の放課後、μ'sの練習をひとまず終えたことりと希はそのまま秋葉原へと直行した。

今いるのは秋葉原の移動手段である地下鉄のホーム、そこにことりと希は来ていた。

 

「まさか本当に来るなんて……」

 

「うち自身こういうスピリチュアルな話には目がないからね~♪ せっかくやし、ことりちゃんもってね?」

 

「………まあ、確かに、見てみたいっていうのは本当だけど」

 

突然始まった希との都市伝説捜索ツアーにことりは何かしらの不安や、期待にも似た感情を感じながらも地下鉄のホームを希と一緒に歩き始めた。

 

「でも、本当にいるのかな? こんな所に蛍って」

 

「……まあ、おらんにしても何かしらの物がおるとは思うんやけどね?」

 

「の、希ちゃん? 変なこと言わないで……ちょっと怖い……」

 

冗談交じりなのか、隣を歩きながらそういった希にことりがそう告げると、希はほんの少しばかり申し訳なさそうな表情を浮かべた。

 

「あはは、ごめんやん? ……でも、なんや最近秋葉原でおかしなことが起きてるらしいやん? 停電とか」

 

「あ、うん、確かに最近多いよ? 停電とか……」

 

「もしかしたらその停電、何かが関わってるかもしれんで?」

 

「な、何かって?」

 

「それはうちにもわからへんな」

 

希のその言葉にことりは不安を募らせるが希はそんなことは露知らず、最後にそう告げるとことりは軽く呆気に取られて、その場でコケそうになってしまった。

 

「…まあ、なんかあったらすぐに逃げればええ話やん? いざとなったらうちが守ったるし」

 

「の、希ちゃん、なにかある前提で話を進めないでよぉ…」

 

希の話に不安を感じ始めたことりが彼女にそう告げる。

彼女が言うと、まさかと思っていたことも本当のことではないのかと思えて来てしまうから怖いのだ。

 

しかし、希はことりにまあまあと言いながら宥めると再度あたりを捜索し始める。

 

夕方近くとは言えまだまだ人が多い駅のホーム、正直に言うとこんな所に出るかどうかを考えても本当かどうかも疑ってしまうのだが…。

 

 

「……でも、ことりちゃん、ほんまにどうしたん? あんまりこういうの興味あるって感じやなさそうやったんやけど」

 

「あ、うん……まあ、なんていうか……私もちょっと、いろいろ前に進みたいなって」

 

 

希がふと気になってかことりにそう言うと、ことりは不安に感じながらも希にそう告げた。

 

前に進みたい、その言葉に希はなにやら予想してなかったと言いた気な表情を浮かべる。

 

 

「前にって?」

 

「……私ね、ちょっと前までみんなに大切なこととか言わないでいろいろ迷惑かけたり……なんだか、まだみんなみたいに進めてない所があるんじゃないかなって……思えることがたまにあるんだ」

 

 

あの時もそうだった。

 

ことりは積極的に前に出るような性格ではない、みんなの一歩手前に立って、表立って迷惑をかけたくはないと感じるあまりになにもできずに終わる。

そのせいで、彼女はなにか大切な物を失いかけた………。

 

でも、それを救ってくれたのは……自分の中で、いつの間にかみんなを見守りたいという思いを殻にして、嫌われたくないからと本心の何処かで感じていた己の殻を盾にしていた自分を………その思いのために迷走していた自分に手を差し伸べてくれたのは……あの時と同じ、始めて会った時と同じように手を差し伸べてくれた大切な幼なじみだったのだ。

 

彼女は、穂乃果のように率先的に前を進めなかった。

だが、それではいずれ彼女には追いつけなくなってしまう。

 

置いていかれないように、彼女と一緒に道を走り抜けられるように……ことりはあれから決意したのだ。

 

前に進もうと、そのためにもたくさんのことをしようと……

 

「あんまり関係ないかもしれないけど、私もいつもとしないことをしてみようかなって…それで少しでも何かに繋がるなら…」

 

「………頑張ってるんやね、ことりちゃん」

 

ことりの胸の内を聞きながら希はそう言うと、ことりに向き直り微笑みを浮かべた。

 

「……なら、何かに繋がるようにうちも協力しようかな?」

 

「あはは……本当はちょっと怖かったりするんだけどねぇ…」

 

そして、二人は再度都市伝説捜索を始めようとする。

 

すると………

 

 

 

「………あれ?」

 

 

 

ふと、辺りに視線を巡らせた時にことりが何かを見つけた。

 

人混みが行き交う、ホームの片隅、誰も目を止めることがないような目立たないホームの隅の暗闇に……一瞬だが、小さな緑の光が横切ったのを……

 

「いた……いたよ、希ちゃん!」

 

「え? ほ、ほんま!? あ、ちょ、ことりちゃん!?」

 

それを目にしたことりは希を置いてその光を見失わないように早足でその後を追いかけていった。

その後ろに希は着いて行く……だが、その際に希はさっきことりには見せたことのないような表情を浮かべた。

 

 

 

「っ………それ、ほんまなん? ………だとしたら、これ………ちょっと、悪い方の運命やったかもしれんな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふわふわと浮かぶ蛍を追いかけて、ホームを行くことりと希、見失わないように追いかけ続け、気づいた時にはことりと希はあまり人が来ないような人気のない場所へと来てしまった。

 

「あれ……ここ、どこなんだろう……」

 

ことり自身も夢中になっていたあまり、どうやってここに来たのかあまり覚えていない。

その場所に迷い込んだことりは後ろに希がいることを確認しようと振り返る。

 

 

だが、不運なことにそこには希の姿がなかった。

 

 

どうやら知らないうちにはぐれてしまったようだ。

 

「そ、そんなぁ…こんな所に一人って、流石に私も無理だよぉ…」

 

一気に不安が増していくことり、そのままあたりをキョロキョロしながらなんとか連絡を取ろうとスマホを取り出して希のスマホの番号を入力しようとするが……

 

「………圏外………」

 

とことんついてない…。

 

連絡手段も絶たれたことりががっくしと肩を落とす。

これからどうやってここから出たらいいのか………ことりが不安に思いながらもそんなことを感じていると………

 

「………あ」

 

そこに再び、あの蛍が現れたのだ。

 

ふわふわと浮かんで浮遊する場違いな蛍、状況がこんな状態とは言え、この蛍に出会えた時、ことりには安心にも似たような感情を感じた。

 

そしてその時、ことりはあることを思いついた。

 

「そうだ! 蛍が外にも出てるなら着いて行ったら何処かに出られるかも!」

 

蛍に道標を頼み、地上に出られる可能性にかけてみることにしたことり、本当に出られるかどうかはわからないがこの状況でなにもしていないよりかはマシだ。

そう思ったことりが蛍の後をついて行こうとすると……

 

 

 

 

 

ーーー……離れろ……ここは危険だ……。

 

 

 

 

 

「……?」

 

不意にどこからか聞こえた謎の声、それを聞いたことりは足を止めて辺りを見渡す。

だが、どこにも声がするような人影は見当たらない。

 

聞き間違いかなにかかとことりは首を傾げたことりはあまり気にすることもなく、目の前の蛍を再び追いかけ始めた。

 

 

 

……その後ろに、眩い光が彼女を見つめるように浮かんでいることにも気づかずに……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なに……これ……!」

 

ことりが蛍を追いかけていき、しばらくすると彼女はある場所に辿り着いた。

 

だが、そこで見た物を目にした時、ことりは驚愕のあまりに目を見開いた。

 

 

 

そこにはなんと、大量の蛍が群れをなし、ある物に集るかのように固まっていたのだ。

そして、蛍が集まっているもの……それはどうやら“発電機”のようなものらしかった。

数台配置された発電機全てに群がるように集まる蛍、その光景は正直に言うと、異様としか言えない光景だった。

 

バチバチと音と電気を放ちながらも蛍はまるで嬉々としているかのように蠢き続ける謎の蛍、あまりにも異様すぎるその光景にことりは本来のロマンチックさなど微塵も感じず、畏怖にも似た感情を感じた。

 

そして、反射的に察した……。

 

この蛍たちがこの発電機に群がる理由を………

 

 

 

「……もしかして、これ……電気を食べてるの……?」

 

 

 

だとしたら、最近このあたりで停電が頻発するようになった理由にも説明がつく。

この蛍たちは人知れず、地上にも姿を現し、今と同じように何処かで電気を貪るように食べていたのだ。

だからここ最近、この辺りで停電が相次いで発生してたのだ。

 

ことりはこの光景にそう仮説を立てたとき、同時にこの謎の蛍達を放っておくことは出来ないと反射的に感じた。

このままでは何か、嫌なことが起きると彼女の中にある本能がそう告げている…。

 

そう感じたことりはこの蛍達をどうにかしようとするが、対応策を思いつかない…。

ことりがどうしたらと迷いを見せてる中……。

 

 

「っ!? きゃっ!」

 

 

突然蛍が強い輝きを放ちながら発電機から一斉に離れた。

そして、一気にことりの方に向かってきたのだ、それに対してことりは反射的に目を瞑りその場にしゃがみ込む。

 

だが、謎の蛍たちはことりに目もくれることもなく通り過ぎて行った。

 

「………あ、あれ?」

 

恐る恐ると言った様子で目を開けたことりが、蛍が過ぎ去って行った方に目を向ける。

すると、蛍は一斉に進路を変えてさらに何処かへと消えてしまった。

 

「………ど、どうしよう………」

 

それを見たことりは戸惑いを見せる。

あのような自体を目の当たりにして自分になにができるかなんてわからない……自分にはあんな物に対抗するだけの手段があるわけではない、本当ならここから離れて、頼りになる人に助けを求めたい。

 

 

……だけど、あの様子では何かがいつ起きるかわかった物ではない。

 

 

何かが起きてからでは、もう遅い……。

 

 

なんとかしないと、何かが起きる、その前に…。

 

「………わ、私も、頑張らないと……だから!」

 

意を決したことりが蛍が向かった方向に行こうとした……その時だった。

 

 

 

「えっ!? な、なに!?」

 

 

 

突如としてことりがいた足元が急に大きく揺れ初めたのだ。

地震の如く揺れ始め、反射的にその場に座り込んだことり、するとあたり一体に亀裂が入り始めたのだ。

 

このままではこの辺りが崩壊するのも時間の問題だ、ことりは慌てて立ち上がりこの場から逃げ出そうとするが……

 

彼女が立っていた場所の床が崩壊した。

立つ場所が無くなり、自身の体にふわりとした浮遊感が襲いかかり、遅れて彼女は床がほうかいしたことで生まれた大穴の中に落下していった。

 

「きゃぁぁぁぁぁぁああああああああ!!」

 

成す術なくそのまま落下して行くことり、暗闇が続く穴の中に落ちていく。

どうにかしようにも捕まる場所も足元も見えないこの状況ではどうすることも出来ない…。

 

 

 

(………私、ここで死んじゃうの………こんな………こんな突然………そんな………)

 

 

 

この事態にことりはどうすることもなく、この状況を飲み込むことも出来なかった。

あまりにも突然すぎることに着いていけていないということもある。

 

抗う術も知らずに流されるかのように穴の中へと落ちていくことり…。

 

待ち受けるのは永遠に繋がる闇か………。

 

 

 

(こんな時……穂乃果ちゃんならどうするのかな……?)

 

 

 

その時、ふとことりの脳裏にいつも自分の前に立って、引っ張ってくれていた幼なじみのことが浮かびあがった。

もしこんな時に穂乃果がいたら彼女ならどうしたのか……。

ふとそんなことが脳裏を横切ったことり、そしてその答えは自然とすぐに出てきた。

 

 

 

(多分………こんなことで、諦めたりしないよね………穂乃果ちゃんなら………)

 

 

 

彼女はすぐにめげたりしない…。

 

どんなに苦しいことがあったも、前を向いて走り続ける…。

 

どんなに転んでも立ち上がり、走り出す…。

 

どんなに辛くても、絶対に諦めることはない…。

 

 

 

(……ダメだよね……こんな所で諦めたら、笑われちゃうよね……!)

 

 

 

前に進む、そう決めたから…。

 

 

こんな所で諦めたら、穂乃果に追いつくことなんて出来ない。

なら、ここで諦めるわけにはいかない、なんとしてでもこの状況を打開してみせる。

 

強い決意を胸にことりが目を開ける。

 

 

すると………。

 

 

 

 

『この状況でそんな目をするとは………なにがお前をそうさせる』

 

 

 

 

また、頭の中に不思議な声が聞こえた。

すると、目の前にさっきの蛍とはまた違った明るい光が現れた。

 

「………そう決めたから」

 

いつもなら戸惑うところだが、さっきあんな物を目にしてこの垂直落下している状況で、逆にことりは落ち着いていた。

じっとその光を見つめることりは聞こえてきた声にそう返答を返す。

 

「ここで諦めてなにもしなかったら、もう終わり……だけど、諦めなかったら何かが変わるかもしれないから……私の大切な人は、いつもそうしてきたから……私も……だから……!」

 

彼女の言葉に、光は何も言わずに目の前で浮かび続ける。

だが、しばらくすると光が一回り大きくなり始めた。

 

すると、その光が突然弾け、ことりの目の前に赤い体に黒と銀のラインを走らせ、銀色の顔に二つの双眼を輝かせる一体の人形が現れた。

 

 

 

『こんな絶望的な状況で、諦めず………希望を持ち続けるか……』

 

「あの……あなたは……?」

 

 

 

目の前の人形にそう問いかけることり、だがそれに対して人形は再び光に包まれると手のひらに収まるほどの大きさに縮小し、ことりの手の中に収まった。

その光を手にしたことりが手に握った物を見る。

すると、そこには先ほどの人形とは違い、一対の翼が中心の水晶のような物に着いているバッジのような物があった。

 

 

 

『希望を捨てずにいるなら……この力をお前に貸そう……この状況を打ち破る力を……』

 

「……本当、ですか?」

 

『………だが、危険も伴う………お前に、どんなことがあっても逃げ出さない決意が………勇気があるか?』

 

 

バッジから声が聞こえ、ことりに問いかけてくる。

それに対し、ことりは先ほどと同じ強い眼差しを浮かべながら、手にしたブレスレットをそっと握りしめた。

 

「………このままじゃダメだっていうなはわかるから………今更、そんなことで逃げたくない………私も、頑張りたいから!」

 

ことりかそう言ったその瞬間、彼女の握っていたバッジがそれに答えるように力強い輝きを放った。

 

 

 

『…なら、この力をお前に貸そう…私の力を………“ウルトラマンジャスティス”の力を………』

 

 

 

 

その瞬間、ことりの体が眩い光に包まれ………暗闇が続く大穴を明るく照らし出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ことりが落ちていった大穴の底、そこには見たこと間ないような大きさの巨大な空洞が広がっていた。

人口的な補強により、壁のような物で固められてはいない……まるで洞窟のような不思議な空間。

そう、ここが都市伝説の一つとして話題に上がっていた“地下大空洞”そのものだったのだ。

 

そして、この空洞の奥深く……そこにはことりが目撃した謎の蛍が先ほど以上の数で一つの個体として群がっていたのだ。

激しい電気をスパークさせながらより強く輝きを放つ蛍…。

 

そして、やがて蛍たちはその姿を変貌させ始めた…。

 

まるで巨大な一匹の蛍を思わせるかのような姿、それに不気味にも無機物のような機械がいくつも組み合わさったような体で構成された異形の存在。

 

赤く輝く不気味な光を放つ二つの目、昆虫のような顔が特徴的な巨大なこの生物………その名は、“カオスバグ”。

 

このカオスバグが地上の電気を吸収していた理由、それはこの体を構築するエネルギーを求めた結果だったのだ。

小型の分身に別れたカオスバグはその体を作り出すために電気をエネルギーとして吸収し、体を構築したのだ。

 

体を構築したカオスバグは赤く輝く目の上に着いた触覚から光線を発射し、周囲を爆破し始めたのだ。

轟音が響く地下空洞、このカオスバグは外に出るつもりなのだ……。

 

もしこの怪獣が地上に出たら、この上にある秋葉原の街は崩壊してしまう。

 

甲高い鳴き声を上げながら光線を打ち出すカオスバグ、振動と共に地下空洞に揺れが生じる…。

 

 

だが、その時……暗闇が包む地下空洞に、一筋の光が舞い降りた。

 

 

突然現れた眩い光に驚くような動きを見せたカオスバグ、注意を光へと向けたカオスバグ……そして、しばらくしてその光が静かに晴れると………。

 

 

 

そこには、巨人がいた。

 

 

 

光に包まれ、姿を現したのは真紅の体に黒と銀のラインを走らせ、胸には銀色のプロテクターとひし形の青い水晶を持ち、二つの光り輝く双眼を持った銀色の顔…。

 

 

凛とした姿で地下空洞に降り立った光の巨人、それを前にしてカオスバグは警戒を見せる。

 

「………シュア!」

 

巨人は両手で拳を作り、身構える。

それに対して、巨人を敵と判断したカオスバグもまた臨戦態勢にはいる。

 

 

正義の名を宿した光の巨人、“ウルトラマンジャスティス”とカオスバグが地下空洞で激突した。

 

 

目の前に現れたウルトラマンジャスティスにカオスバグは先制を仕掛けるべく額の触覚から光線を発射する。

それに対し、ジャスティスは両腕を前に突き出して光の障壁を展開し、その光線を遮る。

 

バリアによって攻撃を防いだジャスティスはそのままカオスバグに向かって走りだした。

そして、その勢いに乗せてジャスティスは強烈な膝蹴りをカオスバグに叩き込んだ。

 

轟音と共に揺れるカオスバグの体、だがカオスバグも反撃とばかりに左腕をふるってジャスティスを攻撃し始める。

 

「フッ! シュワ!」

 

しかし、ジャスティスはその攻撃を右腕で防ぎ、カウンターの蹴りを叩き込んだ。

 

「デュアァァァア!」

 

さらにジャスティスは猛烈なラッシュを打ち込み、とどめとばかりにアッパーカットでカオスバグを打ち上げた。

大きく身を後ろに仰け反らせて大空洞の地面に倒れこんだカオスバグ、ジャスティスはそこへさらに畳み掛けるように馬乗りになり、拳を打ち込もうとするが……。

 

「ウオォッ!?」

 

その瞬間、カオスバグが触手から光線を発射し、至近距離でジャスティスを攻撃した。

溜まらず後ろに倒れこむジャスティス、上に跨る者がいなくなったために立ち上がったカオスバグは倒れこんだジャスティスに追撃を仕掛けるべく足を振り上げると、ジャスティスの体を容赦無く踏みつけた。

 

周囲を揺るがしながら何度もジャスティスの体を踏みつけるカオスバグ、ジャスティスはなんとかそこから脱出しようと試みるがカオスバグはとめどなく足を振り下ろして畳み掛け続ける。

 

反撃を受け、苦戦するジャスティス…。

だが、ジャスティスはこんな状況で諦めはしない、ジャスティスは足を振り下ろされる前に素早く両腕を胸の前でクロスさせると踏みつけをまともに受ける前に防御し、衝撃を和らげる。

 

そして、一瞬のタイミングを見計らい、足を振り下ろした瞬間に足を掴んで受け止め、同時に右足を振り上げてジャスティスの上に立っていたカオスバグを蹴りつけた。

 

ジャスティスの戦闘センスを生かした攻撃を受けたカオスバグは身を揺らがせてジャスティスの上から後退した。

その隙を着いて素早くネックスプリングで身を持ち上げたジャスティスはそのまま受け身を取りながらカオスバグと距離を取る。

 

そしてジャスティスは身を持ち上げると、両腕を上に構え、エネルギーを収束させる。

暗がりを照らし出す、眩い光がジャスティスの両腕に集まっていく。

 

「ハァァァア……シュアァァ!!」

 

両腕に集まった眩い光のエネルギー、それを限界まで高めたジャスティスはそのまま両腕を思い切り前に突き出し、光の光線を発射した!

 

カオスバグに向かっていくジャスティスの光線、“ビクトリューム光線”、カオスバグはとっさに触覚から再び光線を放つ。

 

ぶつかり合う二つの光線、だがカオスバグの光線は激突したジャスティスのビクトリューム光線に押し返され、カオスバグの体にビクトリューム光線が直撃した!

 

「デェア!!」

 

甲高い鳴き声を上げて、その場に倒れこむカオスバグ、そして同時にジャスティスは両腕を上げて飛翔し、地下空洞の上にある穴に向かって行った。

遅れてカオスバグが轟音と共に爆発し、地下空洞が大きく揺れる。

そして、発生した爆炎を背にしながら、ジャスティスは体を光で包み、地下空洞の上にある穴へと入って行った…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ことりが落ちて行った大穴、そこが見えないほどに暗いその穴の奥がわずかに輝き、穴の奥から一つの光が出てきた。

 

その光は穴の淵に降り立つと、静かに光が収まって行き、やがてその中から穴の中へと落ちて行ったことりが姿を現した。

 

「ふ……ふえぇ……疲れた~……」

 

ぺたんとその場に座り込むことり、先程起きたことに驚くばかりのことりは乱れた息を整えながらある物を握る右手を見つめる。

彼女が右手に握るもの、それは……先程ことりが変身したウルトラマンジャスティスの人形だった。

 

「………一体、これって……」

 

「………運命ってこういうことやったんやね」

 

「え……?」

 

突然聞こえた声にことりが戸惑う、すると彼女の目の前にはぐれてしまった希の姿があった。

ことりをじっと見つめる希、それに対してことりは彼女がなにを言っているのかわからないと言いたげな目を向ける。

 

「の、希ちゃん……?」

 

「………休み時間に引いたカード、あれが“正義”を示したのは………こういうことやったんやね……」

 

そういうと、希は懐から一枚のカードを取り出すとその絵柄をことりに見せた。

絵が刻まれたカードの下、そこには正義を意味する“Justice”の文字が刻まれていた。

 

「………でも、ことりちゃんも選ばれるなんて………」

 

そして、希は肩にかけていた鞄の中からあるものを取り出した、それは銀色の体を持つ、ことりの持っているものと似ている人形だった。

 

 

 

「希ちゃん……それって……」

 

「………ことりちゃん、うちらは今、また違った道へと進もうとしとるみたいや………」

 

 

 

 

これが、“四人目の出会い”…。

 

μ'sのメンバー、南 ことり。

 

そして、正義の名を持った力強き赤の巨人、ウルトラマンジャスティスとの出会いだった…。




いかがでしたか?

これで出会ったのは四人目、次回は一体誰が誰と出会うのか……。

ちなみに今回の地下空洞、大きさはショウ達ビクトリアンの暮らす地下世界と同じくらいだと思ってください。

それでは次回でお会いしましょう!
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