久々に更新することができた……
さてさて、第5話となる今回、主役はにこにーこと、矢澤 にこ!
果たして彼女はどんな出会いを果たすのか、お楽しみください!
その少女は夢に全力を注いだ…。
小さい頃からの夢だった、あの輝かしい、本当に夢のような存在、彼女はそれを目指して全てを賭けて全力で走り続けてきた。
憧れ、願い、希望、そのどれとも取れないこの思い、彼女にとってその夢を目指すことに妥協ということはしなかった。
必要なことは何か、テレビや雑誌媒体を活用してそれらを学び、自分が夢見たステージにいつか立てることを夢見て、彼女は走り続けて来た。
彼女はその夢を追い続けて、やがて高校生になった。
どんどん夢に近づいて行っている、この学校に入学してからの三年間もその夢を叶えるために、全力で駆け抜けよう。
そう心に誓った彼女は、この学校に入学してすぐにある部活を立ち上げた。
“アイドル研究部”。
そう、彼女の夢である存在、アイドルを知るために……そして、アイドルになるためにはどうすればいいかを学び、経験するための部活。
彼女はその部活を立ち上げ、早速アイドルとして必要なのはなんたるかを共に入学してきて、同じく興味を持った生徒とともに活動を始めた。
だがそこで、彼女は“孤独”ということを知ることとなった…。
彼女の目指した夢、そのためにと彼女が胸抱いた熱意が高すぎたのか……ついて行くことが出来ない、と一人、また一人とやめて行き……最後には彼女一人となってしまった。
だが、そんな中でも彼女は夢を諦めなかった………いつか必ず、その夢を叶えるためにとたった一人でも………。
しかし、現実はうまくいかない……一人ではうまくことが運べない……なにをしても、うまくいかない……。
やりたい、けどうまくいかない……たった一人の孤独に負けず、夢へと走り続ける彼女はこの時、言い知れぬもどかしさを感じていた。
そして、気がついたら彼女は……3年生になっていた。
だが、その年の始め……彼女の前にある少女達の姿が映った。
…彼女の通う学校、音ノ木坂学院で新たに結成されたスクールアイドルである。
はじめは彼女達のことを受け入れるつもりはなかった。
彼女達にはアイドルのなんたるかがわかっていない、アイドルに必要なもの、それが理解出来ていないような者たちをアイドルと認めるつもりは一切なかった。
そして彼女はそのスクールアイドルを結成した少女達に解散を忠告したりもした、だがそのしっぺ返しとでも言うかのように彼女の目の前に再び、その少女達は姿を表した…。
だが、この出会いが彼女の進む運命の道を照らす、新たな道標となって行った。
認めたわけではない、しかし少女達は言った……“このメンバーで”……と。
その中には含まれていたのだ、自分も……なら、覚悟は出来ているのだろう。
本気でスクールアイドルとして、活動する覚悟を……。
だからこそ、彼女は夢を目指して走り続ける中で、知らないうちに諦めかけていたその道を再び走り出した…。
今度こそ、夢へと辿り着くために………“全力”で………。
「にっこにこにー♪ あなたのハートににこにこにー♪ 笑顔届ける、“矢澤 にこ”にこ!」
本気でやると言うならどれだけの本気で挑めばいいのか、自分が教えてやろう。
言い出した以上、もう立ち止まることは出来ない。
今度こそ、叶えるんだ……このメンバー達で………。
最後まで、思い切り……走り抜けるために……。
「μ's!! ミュージック、スタート!!」
今の自分なら出来る気がする…。
だって、もう一人じゃないから……すぐそばには一緒にいる仲間がいる。
この出会いはきっと、まだ夢を諦めるには早いと神様が与えてくれたチャンスなのかもしれない…。
だからこそ、答えないと……夢を叶えるために……そして、今自分が“夢を見せている”、あの子たちのためにも……。
そして、その強い思いが……彼女に新たな出会いを手繰り寄せた。
これは、本来めぐり合うことのなかった女神の名を持つ9人の少女達と、光をその身に宿し、戦い続けてきた光の巨人達との出会いの物語。
~ウルトラブライブ!9人の少女と光の勇者達~
「夢へ向かって全力で にこと熱き魂の勇士」
長机が二つ並べられ、壁や本棚には所狭しと様々なアイドル関連グッズが並べられている。
棚にはアイドル関連のDVDが年代順であいうえお順に並べられており、壁には日本各地で有名な、名のあるスクールアイドルのポスターが掛けられていて、その中には彼女達が住む音ノ木坂から電車で少し離れた場所にある“UTX学院”のスクールアイドルにして、“第一回ラブライブの優勝グループ”である、“A-RISE”のポスターもある。
ここはこの音ノ木坂学院のスクールアイドル、μ'sが活動の拠点としている部室、“アイドル研究部”の部室である。
彼女達がアイドルとしての知識、そして必要な能力を磨くため、その活動を行うための本拠地とも言える場所であるこの部屋に一人の少女の姿があった。
長机の端に置かれた椅子に腰掛けながらせっせと鞄の中に荷物を詰め込む彼女は音ノ木坂学院3年生の証である緑のリボンを首元に結んだ制服に身を包んだ小柄な体に似合った二つ結びの髪が特徴的な、一見すると可愛らしいという印象が強いその少女は夕方の夕日でオレンジの光が差し込むその部屋でなにやら時間を気にしながら帰る準備をしていた。
「…ちょっと練習はりきりすぎたわね…早く帰らないと」
彼女、スクールアイドルμ'sのメンバーである3年生、矢澤 にこは今日、練習が終わるとすぐさま帰らなければならなかった。
少し予定をオーバーしてしまった故に少し焦りながら支度を済ませたにこは鞄のチャックを閉めると、それを肩にかけて部屋を出ようとドアへと向かった。
ドアノブを回して部屋の外へと出たにこ、すでに放課後の学校の廊下はどこか閑散とした雰囲気を放っているがまだ何処かで部活をしている生徒の掛け声らしき声がちらほらと聞こえてくる。
その声を聞いながらにこは部屋のドアを閉めるとあたりをキョロキョロと辺りを見回す。
「そろそろみんなもこっちに来る頃ね……みんなが来る前に早く帰らないと」
にこは今日、この後の予定のために練習が終わるなりすぐさま部室へと戻り、帰るための支度をしたのだがその理由に関しては他のメンバーち言っていないのだ。
もし途中で誰かに会って詮索されては面倒くさい、誰かがこっちに来る前に早く学校を出よう……そう考えたにこはすぐさまその場を後にしようとするが……。
「あら、にこ、もう帰るの?」
「うっ! ……え、絵里……ま、まあね~」
少し遅かった……。
後ろから声を掛けられた瞬間、にこはぎくり、という擬音が似合いそうな感じで体を跳ねさせて後ろを振り向くと…そこには同じμ'sのメンバーであり、同学年である絵里の姿があった。
「いつの間にかいなくなったと思ったら……どうかしたの? なにか用事?」
「え、えぇ、まあそんなところよ、わたしだってプライベートってのもあるから詳しいことは言えないんだけど~、ちょっと外せない用事があるのよね~」
「へぇ……まあ、それなら仕方ないわね」
「そ、そうなの! だから今日は早く帰るわね! そういうわけだから絵里、なんかあったら代わりは任せたわよ!」
なんとかその場で言い訳を行い、部長としてこの後に何かあった時の対応を絵里に任せたにこは慌てるように足早にその場を後にした。
その後ろ姿を絵里はじっと見送る
「……よっぽど急いでたのね、引き止めたりして悪いことをしたかも……」
「はぁ…なんとか絵里を言いくるめられたから良かったわ……もしもうまく行かなかったらもっと遅れてたかもしれないし……」
絵里に理由を言ってなんとか学校を後にすることができたにこは少し疲れた様子で息を乱しながら、家路へと付いていた。
少し時間に余裕がなかったからというのもあるが流石に学校の正門から家へと続く道をノンストップで走り抜けるのはやりすぎたかもしれない。
そんなことを自分自身の反省として言い聞かせながらにこはようやっと辿り着いた自身の家へと目を向ける。
「それに……もし怪しまれて着いて来られて、このにこにーが、まさかこんなとこに住んでるなんてバレたら一大事だし……」
にこの住む家、そこは………ありふれた街並みにひっそりと建つ、“ありふれたマンション”だった。
「なんやかんやでメンバーには、“普段は豪邸に住んでるお淑やかなお嬢様のにこにー”ってキャラで通してるから、バレたらなに言われるかわかったものじゃないし……」
決してそれは見栄ではない。
スクールアイドルとはいえ、ファンのみんなにはキラキラと輝くアイドルとして、一番に輝く自分を演出しなければいけない。
多少事実と違っていても、“キャラ”というのは何よりも大切なのである。
それは結局嘘なのではないか? ……細かいことはこの際気にしないでおいていただきたい。
彼女はそれによって、何よりも大切な彼女の“最初のファン”達に“アイドルである自分”を見せているのだから。
マンションの共同玄関を通り、エレベーターのボタンを押して上へと上がる。
目的の階に到着するとエレベーターを下りて、自分が生活してる部屋の前に辿り着くとやれやれと胸を撫で下ろしてそのドアを開ける。
「よし……ただいま~」
「あ、お姉さまです!」
「お姉ちゃんおかえり~!」
にこの声を聞いた瞬間、その声を聞きつけて早速元気な声が聞こえてきた。
ありふれた造りのマンションの一室、その奥の部屋へと続く廊下から元気な足音が二人分響いてくると早速にこを出迎えようと二人の小さな“ファン”が姿を表した
「ただいま、“こころ”、“ここあ”、ごめんね?ちょっと遅くなっちゃって」
「気にしてないです、なにせお姉さまはアイドルとして多忙ですから!」
「ねぇねぇ!今日はどんなことしたの?ライブ?もしかしてテレビ出演とか!?」
「そのことは後で話してあげるから、ほら二人とも通して? お腹減ったでしょ? すぐにご飯作るからね~」
そう、これがにこの“最初のファン”達。
自分よりも年下のまだ幼くて可愛い、二人の“妹”…。
次女の“こころ”、そして三女の“ここあ”である。
黒髪を向かって右側で纏めた礼儀正しい口調のこころ、反対に左側に髪を結んで活発なイメージを感じさせるここあ。
二人はにこが帰ってくるなり、彼女に群がって今日にこがなにをしていたのかを興味津々といいたげな目で聞いてくるがにこはそれを慣れた様子で流し、荷物を持ちながら部屋の奥へと向かう。
するとここでにこはあることに気づく。
「あ、そうだ…こころ、“虎太郎”は?」
「虎太郎は今は一人で遊んでますよ、こころたちの部屋です」
こころに言われ、部屋のドアを開けると台所のすぐ隣にある畳が敷かれた和室、そこで一人おもちゃのモグラ叩きでもくもくと遊んでるこころやここあ達よりも幼いファンがもう一人…。
「……おかえりー」
「虎太郎、ただいま、いい子にお姉ちゃんたちのお話聞いてた?」
「きいてたー」
ここあとこころよりも年下の末っ子、黒髪に一本のアホ毛を生やし、のんびりとした口調でにこを出迎えたのはにこの“弟”の“虎太郎”である。
そう、この子達こそが“アイドルである矢澤にこ”の“最初のファン”となった子達……。
にこの大切な“家族”である。
「「ごちそうさまでした!」」
「ごちそーさまー」
「はい、お粗末さまでした」
満足と言いたげな子どもたちの声を背に、にこは嬉しそうに微笑んで答える。
まだ小さくて幼い三人の妹と弟は出された食事を残さず食べている、この先大きくなるためにも今はたくさん食べる時期というのもあるが、この子達の食欲には目を見張るものがあるとにこは改めて感じた。
今日、にこが他のメンバーよりも早く帰った理由、それはこころ達三人の晩御飯を作るためだったのである。
にこの母親は多忙な人であり、仕事で家を開けることや遅くに帰ってくることがしょっちゅうあり、そのために長女であるにこはまだ小さい妹二人と弟の面倒を見るために学校が終わったらこうして早く帰ることがあるのだ。
母親が自分達のために仕事をしてるのだ、ならそのお手伝いをするのも長女の勤め、母がいない代わりにこの子達を見守ることが出来るのは自分しかいないのだから…。
「お姉さま、今日は練習だったのですね、どうだったのですか?」
「んー、みんなやっとわたしに近づいて来たって感じかしら、あの子たちも頑張ってるみたいね」
「次の曲もお姉ちゃんがセンターなんでしょ! やっぱりお姉ちゃんはすごいなぁ…」
「ふふん、なにせ“スーパーアイドルにこにー”こと、このわたしがいるんだもん、当然よ♪」
「みゅーずー」
そして、“スーパーアイドル”という自分を彼女達に見せるというのも、自分の役目である。
当然、わかってはいる。
自分は未だにアイドルとしてまだまだではあるし、スーパーアイドルなんて遥か遠い存在だなんてことは…。
でも、彼女達はそう信じてるのだ。
姉である自身の夢を知り、応援してくれて、自分が高校でアイドル研究部を立ち上げてアイドルとしての活動を始めたあの時から、この子達にとって自分は、ステージでキラキラと輝くスーパーアイドル、矢澤にことなったのだ。
まだ幼いこの子達に余計な心配は与えられない、だからにこはこの子達にはなにも言わなかった……アイドルとして、自分はまだ始まったばかりの存在なのだということも………。
「……まあ、次のライブもわたしがいるから大人気間違いなしだから心配しなくていいわ、それよりもこころ達は今日はどうしてたの?」
もうそろそろ話題を変えようと思ったにこはそう言うと……。
「あ! そうでした! お姉さま!そのことでお願いがありまして…」
「………?」
なにやら珍しく、こころが自分にそう言って来たのだ。
こころは三人の中でも年上なだけにしっかりしており、礼儀も正しく、我儘もそんなに言うことはないのだが……どうしたことかとにこは首を傾げる。
すると今度はこころの隣に座っていたここあがそれに賛同するように頷きながらにこへと目を向けて来た。
「実はね、お姉ちゃんに合わせたい友だちがいるんだ」
「え……こころとここあのお友だち?」
「……ともだちー」
ここあの言葉に、遅れて虎太郎が手を上げながらそう言った。
どうやら三人合わせて、共通の友達らしい。
これは今までなかったことだ、確かにそれぞれに友達を持っていることはあっても、三人共通の友達を持ったなんてことは今までなかった……しかも、自分に合わせたいと言うほどに仲良しなのか……。
「それでその方と約束して……お姉ちゃんと合わせたいと……」
「……うーん」
普段は自分がアイドルであると信じてるからそんな簡単に友達を呼んだり、紹介したりすることはなかった三人。
その三人がこういうと言うことは、
余程仲が良いのだろうか……。
にこはどうしたものかとしばらく考えるが……答えを心待ちにしながらもどこか心配してる様子のこころとここあ、そしていつも通りぼーっとした様子ではあるがじっと自分を見つめる虎太郎の姿を見て、にこは悩みながらも答えをだした。
「……いいわ、ちょっとだけね? 丁度今度休みの日があったし」
「本当ですか!」
「やったー!」
「やったー」
仲良しのお友達を紹介したい、なんて始めてのことだ。
今回は特別に会ってみよう、この子達と仲良くしてくれてるお礼も言わなければいけないし……姉として。
だがその前に一応名前は聞いておかないと……そう思ったにこは三人に問いかけてみる。
「で、その友だちってどんな名前なの?」
「あ、えっとお名前は…」
こころが答えようとしてにこの方に向き直る。
だが………
「……“だいな”ー……」
それよりも早く答えたのは虎太郎だった。
「うん、そう! “ダイナ”! 虎太郎が最初に知り合って、最近ここあ達も知り合ったんだ!」
そして、それに付け加えるようにここあが答える。
それを聞いた末っ子の虎太郎が最初に知り合ったと言うのも驚くことだったのだが……。
「へぇ~……ダイナ……外国の子?」
まさか外人の友達がこの子達に出来たのかということに、一番驚いたのだった。
そして約束の日、にこはこころ達に連れられる形で三人の友達と会うための場所へと案内された。
「……こころ、ここあ、虎太郎、本当にこの先なの? ここ町外れの雑木林よ?」
「はい、いつもこの先で会ってますから、間違いないです」
「大丈夫、怪しいやつじゃないから! ほら着いて来て、虎太郎が行っちゃう!」
案内されたのは町外れにある雑木林、半ば道とは言い難いその道をこころとここあは慣れた様子でにこを導きながら進み、その先を末っ子の虎太郎が先導している。
小さい子どもの活発さというか……こういう探検的な興味がこの子達にもあったのか、と感じながら雑木林を進み続けるにこ、聞いた話によればとても面白くてカッコいいらしいのだが……まさか、この子達怪しい人に目をつけられたのではないのだろうかと心なしか不安を感じ始めるにこ……だがそれにしてもこんな雑木林に毎日いる怪しい人というのも不思議なものだ。
一体この子達は自分にどんな友達を紹介させるつもりなのだろうか、そんなことを考えながら進む中、しばらくすると……。
「よっと………うわ、音ノ木坂の町外れにこんな場所があったのね」
にこは三人に導かれ、まるで周りを木々で覆われた自然のステージのような開けた場所に出た。
近くに都会があるとは思えないとても綺麗なその場所、子供とはいえこういう秘密の場所的なスポットをよく見つけられたものだ。
なんて関心をしながら周りを見渡すにこ、すると……
「お姉さま、あそこです」
「いつもあそこにいるんだよ」
「え? あそこって……ただの木みたいだけど」
こころとここあが指差した先、そこには一本の木が生えていた。
一見すれば根元のあたりに大きめの穴が空いていること以外はなんの変哲もない木、だがそれを確かに指差した二人、そして、その木の前でにこに向かって手を振る虎太郎、一体どういうことなのかとにこが疑問を感じながらもその木へと近づく。
そして近くまで行くと、こころとここあがにこから離れると木の穴に近づいた。
「ダイナさん、いますかー?」
「今日はお姉ちゃんも連れて来たんだよー? 出ておいでよー!」
「だいなー」
穴に向かってそう言う三人、丁度子どもが一人やっと入れそうなその穴に小さな子どもが寄り添ってしきりに誰かを呼ぶ姿はなにやら少しおかしくも見えるような、ファンタジックにも見える気はするが、余計ににこの謎は増すばかり……。
だが………
『おっ、来たのか、虎太郎、ここあ、こころ!』
その声にはっきりと答えが帰ってきた。
それに対してにこは半ば驚くような表情を見せるが、三人は楽しそうに笑みを浮かべる。
「え、こ、こころ? ここあ? 虎太郎? そこにその……ダイナがいるの?」
「はい、お姉さま!」
「紹介するね、ここあたちの友だち!」
「…だいなー」
そして、にこの疑問に答えるように三人はそう言うと木の穴から何かを取り出すとそれを手に乗せるようにしてにこに差し出した。
そのお友達を目にした時、にこは驚きというか呆気というか、よくわからない何かに襲われ、ついその場できょとん、と立ち尽くしたという……。
こころ達が差し出した、お友達。
それは人型のシルエットをしながらも鮮やかな赤と青の色が走る銀の体を持ち、銀色の顔に乳白色の双眼を持ち、胸に小さな五角形の水晶を持った……“人形”だったのだから。
そして、なにより……。
『おう、お前が虎太郎達の姉ちゃんか! よろしくな?』
その人形が、喋ったのだから……。
「な、なによこれぇぇぇぇぇぇええええええ!?」
『いやぁ、悪いな、いきなり驚かしちまって…こっちにはそんなつもりなかったんだけど』
「いや、今でもかなり驚いてるわよ……ていうか、着いていけてるかも怪しいわ」
突然目の前に差し出された喋る謎の人形を前にして驚いてから、なんとか落ち着きを取り戻し、その人形とこころ達から一連の話を聞いたにこ、だがそれににこは正直着いていけてるかどうか怪しかった。
『ん? そうか? 結構簡単に話したつもりだったんだけどな』
「いやいきなり理解出来るわけないでしょ! だって……あんた今は人形だけど元は宇宙人ってことでしょ!?」
『まあ、そうだな』
「それでこの前の“色付きの流れ星”が降った日にこの地球に来て、しばらくここに身を隠してたら偶然ここに来た虎太郎に会って、仲良くなってこころとここあとも仲良くなったってことでしょ?」
『おう』
「この際虎太郎達と会った経緯はいいとしても……あんたがいきなり宇宙人とか言われても、着いて行けるわけないでしょ!?」
自分の目の前にいる小さな人形に激しくツッコミを入れるにこ、しかしダイナと呼ばれた人形は特に反論する様子もなく小さな体を揺らしてみせるのみ。
『…そうは言われてもなぁ、実際宇宙から来たわけだし、他になんて行ったらいいのかもわからないしな…』
「……ねぇ、あんた本当に宇宙人? 本当は人形にスピーカーとか入れてるんじゃないの?」
『おわっ!? お、おい! 引っ張るんなよ!』
訝しげな目を向けながらダイナを手に取ったにこは確かめようとダイナの上半身と下半身を引っ張りはじめるがダイナはそれを嫌がるような発言をすると、すぐさま抵抗するように体を揺らしてにこの手を振りほどき、ふわりと空中に浮いた。
「う、浮いた!? ひ、紐とか着いてなかったわよね!?」
『だから言ってるだろ、俺は元は宇宙人で……ちょっとした理由でこの姿になってるんだって』
驚くにこに言い聞かせるようにダイナが言うと、ふわふわと浮きながら木の根元に着地した。
『本当ならあんまり人と関わらないようにしてたんだけど……虎太郎に見つかって、なんかいつの間にか仲良くなっちまってな……』
「……宇宙人がそんなあっさり地球人と馴染むなんてのも驚きよ」
『なんだと? これでもな結構長い間地球に居たんだぞ!』
少し離れたところで遊んでいるこころ達へと目を向けながらそんな会話を交わすにことダイナ。
他人からみたらとても不思議な光景であろうが、二人とも今はわりかし真面目に話している。
「……で、その宇宙人がなんでこの地球にいるのよ……映画とかみたいに地球侵略って感じじゃなさそうだけど?」
そんな中、ふとにこがダイナにこの地球に来たことに対する経緯に着いて問いかけた。
宇宙人、というだけでもかなり気になるがこの見た目で、しかも子どもの虎太郎にあっさりと見つかるあたり地球侵略を企むようなとんでもない宇宙人、とは考えにくいが……実際理由によってはなにが起こるかわかったものでもないし、聞いておくに越したことはない。
するとその質問に対して、ダイナは少し間を開ける。
『………命からがら逃げて来たってところだ』
「……はい?」
なにやら深刻そうな感じで答えたダイナ、その言葉の中に出た“戦い”という言葉がにこは気になった。
すると、その言葉の意味について……ダイナは話し始めた。
『“奴”はとんでもない強さを持ってた……俺達が力を合わせて、やっと太刀打ち……いや、もしかしたらまともにやりあうのがやっとってところだ……俺達はそいつと戦い、危ない所で逃げて来たんだ』
そういうダイナの姿を見て、にこは何かを感じた。
なにか大きなものに直面したというような、焦りにも、不安にも似た何かを……。
『でも、このままでいるわけにもいかない……早くどこかに散らばった仲間達を見つけないと……でないと……』
「……でないと、なによ?」
『………』
それ以上はダイナは答えなかった。
それ以上は何も言うこともなく口を閉ざしたダイナ、その小さな人形の姿をじっと見つめるにこ……。
だが、しばらくするとダイナは体を再び無邪気に遊んでいるこころ達へと向けた。
『……元気だよな、こころ達』
「ちょっと、さりげなく話題変えたでしょ?」
『……まあ、これはあくまで俺たちの問題だからな、言っても仕方ないことだしよ』
「なによそれ、用は都合が悪くなったんじゃない」
話題を変えたダイナを訝しげな目で見ながらそう言ったにこ、だがじっとこころ達を見つめるように体を向けているダイナにつられてか、自然とにこも三人の方へと目を向ける。
『いつも言ってたぜ? お姉ちゃんはすげースーパーアイドルなんだって、自慢気に話してた』
「……そう」
『……違うのか?』
「…あの子たちにとっては、そうなんでしょ…」
ダイナの言葉に対して、にこはそう返答する。
その表情は、どこか複雑そうで……。
「……あの子たちにとって、わたしはそう言う風に写ってるなら、私はそうでなくちゃいけないの……」
『……本当は違っててもか?』
「…今は違ってても…これからよ」
そう言うとにこはその複雑そうな表情を払うように表情を引き締めると、ダイナの方を向いた。
そして……。
「にっこにこにー♪ あなたのハートににこにこにー、笑顔届ける矢澤 にこにこ♪」
アイドルである自分の姿を、ダイナへと見せた。
トレードマークである笑顔をいっぱいに、両手は親指、人差し指、小指の三本を立てて頭の上に、いつもの“アイドルとしての自分の姿”を……。
それに対してダイナはなにも言わずにその姿を見据え続ける。
「………今はまだスタートしたばっかりでも、まだ始まったばかりだからこそ、わからないものでしょ? なら、あの子達の夢を本当にすることだって出来る」
まだそれは決まったことではない。
今はまだ虚像でしかない、目指した者の姿であったとしても……それは今はまだわからないもの、この先の未来でそれを叶えることだって出来るかもしれない。
いや、叶えるのだ。
ずっと昔から目指した、夢なのだから。
叶えてみせる……みんなと一緒に、最後まで走り抜けて……いつか必ず……自分の最初のファンであるこころ達のためにも……。
「……文句ある?」
ダイナに向かって目を細めながらそう聞くにこ、それに対してダイナは……。
『……いや、俺はなにも言わねぇよ』
なにも言い返すことはなかった……。
ただただそういったダイナににこは少し、呆気に取られた表情を浮かべる。
「……聞いといて返答はそれ?」
『……だって何か言っても仕方ないだろ? ……それは紛れもない“お前の夢”でもあるんだから』
「……え?」
なにを言うでもなく、なにを言い返すでもなく、ダイナはただ当然のことを言った。
そう、これはにこにとっての夢、にこが小さい頃から目指したにこ自身の夢である。
それはそれ以外の何物でもなく、誰のものでもない。
だが、その当たり前のことを、何故ダイナは言ったのかにこは不思議に感じずにはいられなかった。
そして、しばらくしてダイナが再び話し始めた。
『例えどんなに辛い道のりでも、全力で走り抜けた先で見える“光”がある、お前も夢に向かって全力で走ってるならそれに俺が文句を言う筋合いもないだろ? ……例え、今がそうでなくても、お前はそれを目指して、全力になれるんだから……頑張れよ、スーパーアイドル』
その言葉ににこはしばらく呆然とするが、しばらくするとどこか勝気な笑みを浮かべるとダイナに向き直り片手で先ほどやった指を三本立てる仕草をしてみせる。
「当然よ、見てなさい? いつか必ず……本当になってみせるんだから!」
そんなやりとりをにことダイナが交わしてる中、そこから少し離れた場所の森の中に一人の人影があった。
体を漆黒のローブに包み込んだその人物は両手に何かを持っておりそれを目の前に持ち上げる。
「……この辺りにいるはずだ……なら、纏めて破壊した方が早い……」
そう呟くと右手に持っているなにやら凶悪な面構えをした獣のような人形の足の裏へと左手に持っていた何かを押し当てる。
『リヴァイブライブ! ダイゲルン!』
その瞬間、その人形は怪しげな光に包まれ、空へと向かって一人でに浮き上がり、飛んで行った…。
『………っ!』
僅かだが、ダイナの体が震えた。
そして、さっきまでとは打って変わった様子ですぐさま空中に浮き上がったダイナは辺りをキョロキョロと見回すように体の向きを変える。
「ちょっとどうしたのよ、いきなりそんな忙しなく…」
その姿に只事ではなさそうな何かを察したにこは不思議に思い、ダイナにそう聞く。
『……何かが来る、しかもかなり近い……』
「……何かって、なにがよ?」
ダイナの呟きに対してにこが再度問いかけた、まさにその時だった。
「きゃーーーーーー!!」
甲高い小さな悲鳴が少し離れた所から聞こえてきた。
その悲鳴を聞いた瞬間、にこはまっさきにその声が聞き覚えのある声だと言うことに気づく。
「今の……こころの声!?」
『急ぐぞ! 嫌な予感がする!』
そして、この自体を事前に察知したのかダイナはすぐさま空中を滑るように飛び始め、にこはそれを追う形で先ほどこころ達が遊んで行った方向へと走り出した。
まさか、あの子たちに何かがあったのか……胸に詰まる不安を抱えながら木々の間を抜けていくと……。
「な……なんなのよあれ!」
そこには今までに見たこともないようなずんぐりとした、あまりにも巨大な怪物がいた。
まるでちょっとした山のように大きな体には恐竜のような太い尻尾に、強靭な手足が着いており、鋭い爪を光らせている。
そしてなによりも……凶悪な印象をこれでもかと与えてくる鋭い目に、ずらりと並んだ鋭利な牙……。
いったい、どこからこんな怪物が出て来たのだろうか……にこのそんな疑問は次の瞬間に吹き飛んだ。
ーーーガォォォォオオオオオオオオオオオオオオ!!
こんなものは映画などでしか見たことがない、まさに“怪獣”と呼べるような巨大な怪物はにこの目の前で凄まじい咆哮を上げた。
耳をつんざくような強烈な怪獣の叫び、それを聞いて反射的に耳を抑えたにこ、だがその時、彼女はあることに気づいた。
「っ!! こころ! ここあ! 虎太郎!」
怪獣の目の前、そこにこころ達がいたのだ。
三人は目の前の怪獣に怯えた様子でその場に座り込み震えている。
そして、その三人を前にして怪獣は見下ろすように目を向けると口を開き、ぎらりと口に並ぶ牙をのぞかせた。
あの怪獣はこころ達を狙っている、そうにこが判断するのに時間はかからなかった。
そして、同時に動くのにも時間はかからなかった。
『あ、おい!!』
咄嗟に走りだしたにこはそのまままっすぐにに怪獣が見下ろしているこころ達の元へと急ぐ。
(あの子達を……怖い目になんか合わせたりしない!!)
あの子たちの夢を守るためにスーパーアイドルとしての自分を見せて来た、それと同じようにあの子たち自身を守るのも自分の役目だ。
にこは一心不乱に走り出し、咄嗟にこころ達と怪獣の間に割り込むように入ると、そのあまりにも巨大すぎる怪獣を睨みつけながら手近にあった石を拾うとそれを思い切り怪獣目掛けて投げつけた。
「ちょっとあんた! この子達になにかしたら……わたしが許さないわよ!」
「お……お姉さま……!」
「あ、危ないよ……!」
「………」
「……安心して、絶対に守ってあげるから……」
不安そうな表情を浮かべる妹と弟達、だが彼女はこころ達を安心させようとそう言うと、じっと怪獣を睨みつけながら一歩も退こうとしなかった。
本当は怖い、でも逃げる訳にはいかない……この子達を守るためにも……。
この子達の“夢”を守るなら、この子達そのものも守ることが出来なくちゃ意味がない。
だからこそ、怖がる訳にはいかない、ここで自分が逃げる訳にはいかない……。
絶対に……。
その強い意思を自身の瞳に宿しながら、にこはまっすぐに怪獣を睨みつける。
しかし、怪獣はそれに対して先ほど石を当てられたことによってか、唸り声をあげながら今度は狙いをにこへと変えた。
そして、牙を覗かせる口を開くとにこ目掛けて頭を振り下ろす!
「っ!」
咄嗟ににこは目を瞑った。
情景反射で瞑った瞼で周りの世界の風景が強制的に遮断される。
だが、その次に来ると思っていた……体に走る痛みはなかった。
なにが起こったのかと、にこがゆっくりと目を開けると……。
「……なによ、これ……?」
「…お姉……さま…?」
自分の体を眩い光が包んでいたのだ。
まるでにこの体から溢れ出るかのように出てくる光、それを見て彼女だけでなく、後ろにいたこころ、ここあ、そして虎太郎達も目を大きく見開いて驚く。
彼女から溢れ出したその光は、まるで彼女を守るかのように大きくなり、その光の強さに怪獣も驚いたのか数歩後ろに後ずさる。
『ったく、無茶して突っ込みやがって……危ねえな』
「え……あ、あんた……!」
すると、にこの目の前にダイナが現れた。
同じように光に包まれているダイナがにこにそう言うと、次第にその光が強くなりダイナの姿が完全に光に包まれてダイナの体が変化する。
次の瞬間、彼女の目の前にあったダイナの人形の姿は全く別のまるで石で出来た彫刻のような物へと姿を変えた。
まるでダイナの顔が刻まれているかのようなそれをにこはじっと見つめる。
『でも、嫌いじゃないぜ、そう言うまっすぐな心』
すると突然、頭の中にダイナの声が響き、にこの目の前に浮遊していたその人面石とも呼べるようなアイテムがゆっくりと彼女に近づいてきた。
『……多分お前なら俺の力を解き放つことができる、こころ達を守るために……俺も力を貸すぜ』
「……あんた……」
ダイナのその言葉ににこはちらりと後ろにいるこころ達へと視線を向ける。
今、この子達を守るために自分が出来ること……それが……その唯一の方法がこれなら……。
「……しょうがないわね!」
アイドルは人を笑顔にする、そしてその大事な笑顔を守るためなら……。
「やってやろうじゃない! 見てなさいよ、絶対にこの子たちを守ってみせる! だから……力を貸しなさい、ダイナ!!」
『おう! 行くぜ、にこ! 本当の戦いは……ここからだぜ!!』
意を決したにこは目の前に浮遊する、“リーフラッシャー”と名の着いた石を手に取ると、それをすかさず上へと掲げた。
その瞬間、リーフラッシャーの中にあった光の水晶が外へと飛び出し、水晶から放たれた力強い光が彼女の体を包み込んだ。
にこの体から溢れ出した光に気圧され、後ろに数歩後退した怪獣、その怪獣の体に次の瞬間とてつもない衝撃が走った。
何かがぶつかるような感覚とともに大きく後ろに吹き飛んだ怪獣はそのまま地面に倒れこむ。
そして、倒れた怪獣の目の前に眩い光の柱が天に向かって駆け上る。
その光が徐々に晴れて行くと、その中から眩い光を放ちながら一人の巨人が姿を表した。
銀色のラインが走る、赤と青の体。
胸の金色のプロテクターと、その中央にある五角形の青く輝く水晶。
額に輝くクリスタルを持つ、銀色の顔に乳白色に光る二つの目。
右手で拳を作り、それを上に伸ばし、左腕を曲げて顔の横に起きながら現れたその巨人は、姿を表すや否や倒れこんだ怪獣へと視線を向けて両手を前へと突き出して身構えた。
「ディア!」
そして、その後ろ姿を見つめるこころ達……彼女達はこの時、反射的に理解していた。
この巨人は敵ではないということを……あの巨人は……。
「お姉さまが……」
「おっきなダイナに……変身した!」
自分達の味方であることを……。
そして………。
「………ウルトラマン………」
あの巨人こそが、“ウルトラマンダイナ”であるということを……。
姿を表した光の巨人、ウルトラマンダイナを前にして地面へと倒れていた怪獣は起き上がると凶暴な目をダイナへと向けてすぐさま威嚇の咆哮をあげた。
だが、ダイナは物怖じする気配もなく身構えると力強く地面を蹴り、まっすぐに怪獣へと向かって行く。
それに対して怪獣も迎え撃たんと地響きを鳴らしながら走り出す。
そして、その間合いに隙間がなくなった瞬間、ダイナと怪獣が激しく衝突した。
ずんぐりとらした体をした怪獣の体、そこにダイナが勢いを乗せた体当たりをしかける。
だが怪獣はそれを払いのけると強靭な腕をふるってダイナを攻撃する。
「フッ、ハッ!」
しかし、その攻撃を回避したダイナはすぐさまカウンターパンチを横腹に叩き込み、さらに追い打ちで蹴りを打ち込む。
その攻撃を受けてダメージを受けたのか、怪獣は数歩後ずさると反撃とばかりに体を翻し、尻尾で攻撃をしかける。
横薙ぎに振るわれた尻尾、まるで鞭のようにしなりながら振るわれたその一撃に対してダイナは果敢にもその上を飛び越えて回避し、さらに反撃の肘鉄を怪獣へと落とす。
「ダァァァア!」
さらに追い打ちとばかりに怒涛の拳による連打を叩き込む。
休む暇も与えない怒涛の攻撃の嵐、重く、正確なら攻撃の数々に怪獣も怯み始める。
そしてそこに、とどめとばかりにダイナが大きく拳を引いて怪獣の顔面へとストレートパンチを繰り出す。
だが、その一撃が繰り出された、まさにその瞬間、怪獣も同時に反撃出た。
繰り出されたそのパンチを真正面から口を開いて、その牙が並んだ口で受け止めたのだ。
そしてさらに顎を閉じ、その腕に鋭い牙を立てる。
「ウァァァァァァア!?」
拳と腕に走る痛みに、ダイナは必死に抵抗を試みる。
だが、怪獣の強靭な顎はダイナの腕に噛み付いたまま離そうとはせずに、むしろ軽々とそのままダイナを顎で振り回すと勢いをつけたまま口を開き、ダイナを地面へと叩きつけた。
そして、怪獣の反撃は続く、地面へと叩きつけられたダイナがなんとか立ち上がるとそこに追い打ちとばかりに口から高熱の炎を吐いたのだ。
灼熱の炎がダイナを包み込み、さらにダメージを与える。
その攻撃のあまりにダイナは堪らずその場に膝を着く。
すると、それを好機と見るや怪獣はすぐさま一直線にダイナへと突進して行く。
「頑張れ……頑張れお姉さま! ダイナさん!」
「負けるなー! 怪獣なんかに……負けるなー!」
「…だいなー」
その時、ダイナの耳にこころ達の声援が聞こえてきた。
……負けるわけには、いかない。
「………シュア!!」
再び自身を奮い立たせるように大きく頷いたダイナは向かってくる怪獣へと再び構える。
そして、距離が一気に縮まり怪獣の突進が直撃するまさにその瞬間に……
「ディアァァァア!」
下から身を返しながら怪獣の頭を抱え込み、そのまま思い切り、怪獣を背負い投げの要領で投げ飛ばしたのだ。
突進の勢いを乗せたまま大きく体を回転させて地面へと体を叩きつけた怪獣。
そして、その隙を逃さずダイナは再び怪獣に接近すると仰向けに倒れた怪獣に馬乗りになり、激しく拳を振り下ろしていく。
力強い音と共に直撃するダイナの拳、抵抗する怪獣の体を全体重を乗せて押さえつけ攻撃を加えて行く。
しかし、怪獣はダイナを振り払うべく口を開けるとそこから火炎を吐く、ダイナはそれを受けて堪らず怪獣の上から飛び退くと、怪獣はすぐさま立ち上がり、怒りの雄叫びを上げながらダイナへと向かっていく。
だが、ダイナは恐れない。
向かってくる凶悪な怪獣をしっかりと見据え、強靭な腕を何度も振り下ろし、爪で引き裂こうとする怪獣の連続攻撃、それを自身の腕を怪獣の腕に当てて弾いていく。
そして、一瞬の隙をついて怪獣の懐に蹴り込みを打ち込み、怯ませると素早く膝を曲げて高く跳躍し、怪獣の上を身を捻りながら飛び越える。
「フッ! ……デェェェェェエエエエエエ!!」
怪獣の背後を取ったダイナは怪獣の尻尾を両手でしっかりと掴むと、それを力いっぱいに引き、自分の体を軸にする要領でまるでハンマー投げのように怪獣の体を持ち上げると、遠心力の力に任せてその尻尾を手放し、怪獣を遠くへと放り投げた。
地面へと落下し、遠心力と衝撃によって昏倒する怪獣。
チャンスは今だ。
ダイナはバク転を数回きって距離を開けると狙いを地面に倒れた怪獣に定めてとどめの一撃を放つ。
「デュアッ!!」
両手を大きく回しながら右手を垂直に、左手を水平にして十字作るように構えた瞬間、ダイナの手から光線が打ち出された。
まっすぐに伸びて行く光の光線は地面へと倒れた怪獣に直撃し……次の瞬間、オレンジの光の光輪を浮かび上がらせながら激しく爆散した。
ダイナの持つ必殺光線、“ソルジェント光線”が決まり、怪獣を撃破したダイナ、すると彼は光線の構えを解くと戦いを見守っていたこころ達の方へと向き直る。
そして、三人へと向けて親指を立てたサムズアップを見せた。
それに応えるようにこころ達もダイナへとサムズアップをみせる……。
『え、俺も着いて行くのか!?』
「まあ、あの子たちが気に入ってるみたいだし、仕方なくね」
その後、ダイナと分離して無事にこころ達と合流したにこはこころ達に先を歩かせながら帰路に着く際にダイナも一緒に来てほしいと誘ったのだった。
「言っとくけど、ちゃんとあんた達になにがあったのか、そして、なにが起こってるのかちゃんとわたしに話した上でよ! ただでさえ訳がわからないんだからちゃんと教えてもらわないと」
『け、けどよ……本当にいいのか?』
にこの申し出になにやら渋る様子のダイナ、しかしにこはそんな人形の彼にこう言い放った。
「あんなことがあった以上、ちゃんと話してもらわないとわたしも気になるのよ! それに……ついでにあんたにも特別に見せてあげることにしたわ」
そう言うと、にこは得意げに笑みを浮かべる。
「このわたし、アイドル、矢澤 にこの夢が本当になる瞬間を……しっかりとね!」
『お、おう……まあ、しゃあないか……今は俺もお前の力を借りるしかないみたいだし』
「お姉さまー!置いて行っちゃいますよー!」
遠くの方でこころが呼んでいる。
それを聞いたにこはダイナの人形を手に取るとそれをポケットへと入れて走り始める……。
これが、五人目の出会い……。
μ'sのメンバー、矢澤 にこ。
そして、熱き魂をその身に宿した力強き巨人、ウルトラマンダイナとの出会いだった…。
いかがでしたか?
次回の更新も未定ですが、首を長くして待っていただけることを……(汗
それでは次回でお会いしましょう!