注意。ジュン君の精神年齢がかなり低めに設定されています。
おやつ時のことっであった。その日は日差しも朗らかで過ごしやすい気温でもあった。
ここ白玉楼の主である西行寺幽々子は今日のおやつであるどら焼きを大量に妖夢から貰い、一人黙々とそのどら焼きを食べていた。
いつもならここには妖夢とジュンの姿もあるはずなのだが、ジュンはどうやらこの暖かい陽気のせいでおねむになりお昼ねをしてしまっているのだ。
そして妖夢は幽々子におやつを与えた後ジュンの様子を見てくると言ってジュンの部屋へと行っているのである。
幽々子は久しぶりの一人でのおやつであったので暇をもてあましていた。
「あーうー。妖夢ー? じゅんー? 早く来てよー」
そんな事をブツブツ呟きながら食べていたどら焼きも残り少なくなっていた。
幽々子は残っているどら焼きの数を数える。その数8。幽々子はあと何個食べようかと悩んでいた。
いつもどおりならここで幽々子は全部食べてしまうのだが、いまの白玉楼にはジュンがいる。ジュンにもこのどら焼きを食べさせてあげたいという願いからその自重するという考えが生まれていたのである。
そんな事を知ったら妖夢は感激の涙を流すに違いない。
「どうしようかしら、全部食べちゃったら。ジュン。泣くわよね……。はぁ、一個残し解けば良いのよ一個。」
そういいながら幽々子は残ったどら焼きのうち7個を次々と口に放り込んでいく。
そしてラスト一個を口へと放り込み終わったとき幽々子のいる部屋の扉がザザッという音を立てて開いた。
「あっ、やっときたー」
そこから現れたのは妖夢とその妖夢に手を引かれているジュンであった。
ジュンは何かあったのかうつむき絶対に話さないようにと妖夢の手をぎゅっと握っている。そんなジュンを見て妖夢は苦笑いを浮かべていた。
そんなジュンを見て幽々子は何があったのか怪訝そうな顔をする。
「妖夢。何があったの?」
「えぇ、幽々子さま。どうやらジュンちゃんは恐い夢を見ていたそうで」
「よーむ、笑うなよー。ほんとーに恐かったんだぞー」
「はいはい」
いたってまじめに尋ねる幽々子に妖夢はくすくすと笑いながら答える。
そんな妖夢を見てジュンは顔をりんごのように真っ赤にし、妖夢の手を放して太もも辺りをポカポカと叩き始めた。
妖夢は微笑みながら腰をかがめるとジュンがポカポカとしている両手(すこしだけ顔に当たった)を無視して抱き上げる。
するとジュンはまるで借りてきた猫のようにおとなしくなった。その様子がおかしくて妖夢はクスクスと笑う。
その様子から幽々子も大事では無いとしり自然と表情に笑みが戻る。
「さっ、どら焼きでも食べましょうか」
妖夢はそういってジュンを抱き上げたまま幽々子のいるちゃぶ台に向かいあぐらで座る。そしてジュンは自分の又の間にできた空間に座らせた。
ジュンは先ほどまっで恐がっていた事を忘れ目の前にどら焼きが差し出されると目をキラキラさせる。
「あっ、どら焼きだー!」
「では食べましょうか」
ジュンは妖夢に抱きかかえられながらして身を乗り出すようにする。
妖夢は現金だなぁなどと思いつつ一つだけ残っているどら焼きを手に取る。そして半分に折り食べやすいように一口サイズにちぎって。ジュンの口元に持っていく。
「あーん」
すると、ジュンはまるで小鳥のようにパクッとそのどら焼きに噛み付いた。そしてもくもくとその小さな口を大きく使いどら焼きを噛み砕いていく。小さくなった所でそのどら焼きを飲み干した。
そして次のどら焼きを間を見て妖夢は差し出した。そして先ほどと同じくどら焼きに噛み付く。
そこでその光景を見ていた幽々子が聞いた。
「ジュンは今日どんな夢を見たのかしら?」
幽々子がその言葉を発した瞬間ジュンはどら焼きを噛むのを止めた。せっかく忘れていたのに幽々子のその発言で思い出されたからである。
そんなKYな発言をした幽々子を妖夢がジト目で睨む。
幽々子はその妖夢とジュンの反応を見て地雷を踏んでしまったと気付きマンガ汗を流した。
「よしよし、今は夢の中じゃありませんからね。もう恐くありませんよー」
そんな主をフォローするように妖夢はジュンをあやすが既にジュンの瞳には涙が溜まっていた。
「あぁ、泣かないでジュン。ごめんなさい、私が悪かったわ」
「う、う、うわぁぁあああああああああん」
幽々子もジュンを必死になだめようとするが結局は泣き出してしまうのだった。
夜。月がまん丸と空高くに上りあがり山の方から風情のある虫達の合唱。ときおり吹く夜独特の冷たい風。
ここは、白玉楼の中でもジュンの自室である。部屋の端にはちっちゃな勉強机がおかれその上には折り紙が途中まで折られた状態で放置されている。壁に設けられた窓からは外からの月明かりが優しくその部屋を照らしていた。
その部屋の真ん中、ジュン、幽々子、妖夢の三人は二つの布団を合わせ、大きな布団のようにして川の字あらぬ小の字の短い部分と長い部分が逆のような感じでもぐっていた。
以前ジュンがここへと来た頃はこのようにして三人で眠ることも多かったのだがこのごろ、ジュンも成長してきたのか最近は自分の部屋を持ち一人で眠っていた。その事に二人は嬉しくもあり、寂しくもあり。複雑な心境であった。
そして久しぶりに一緒に眠れるという事もあり妖夢と幽々子の二人はワクワクしていた。
「ジュン? こうして一緒に眠るのは久しぶりね?」
「そうですねー。幽々子様」
「って妖夢。あなたは違うでしょ? たまにジュンとよく寝てるじゃない」
「でも幽々子さま。それはお昼ねの時だけでして……」
「どっちも同じよ!」
幽々子の言葉を取っ掛かりとして何故か軽い言い争いが発生してしまった。
それを間に入って聞いているジュンはもう眠いのか目をしょぼしょぼさせながら迷惑そうに妖夢の方を向きその胸に顔をうずめていた。
そして妖夢が何か言い換えそうとする。
それを感じたジュンはうるさいという元気も無いのでただ妖夢のパジャマの袖をきゅっと握った。
その感触に気がついた妖夢は下を向く。
「どうしたの?」
「眠い」
「あっ、ごめんなさい。ちょっとうるさかったですね」
妖夢はそう言うとジュンを抱きしめ幽々子と視線を合わせる。
するとそれだけで幽々子は妖夢が何を言いたいのか悟ったのかフッとそばに置いてあった蝋燭の火を消しスススッと妖夢の方へと近付いていく。
そしてジュンと妖夢を丸々包み込むように抱擁をし、目を閉じる。
そうして夜は更けてゆく、悪夢を見てしまった場合の雑多録。
最後までお読みいただきありがとうございました。