白玉楼。朝の事。まだまだ寒い時期
「やったぁぁーーーー。朝だー」
白玉楼にジュンの元気な声が響いた。その声に既に起きていた妖夢は優しく笑い。いまだ眠っていた幽々子は目をパチクリしていた。
外に出、空を見上げてみると太陽の位置からまだ時間が早いうちだという事が知れた。なのに、何故ジュンがこんなにも早くにおきているのかそれはとある一つの理由があった。
今回はその理由に関する雑多録。
ジュンは、ワクワクを胸いっぱいに膨らませ、朝食を食べる部屋へと急いでいた。その足取りは早い時間にもかかわらず軽く、目もパッチリと見開かれている。
歩いている途中ジュンは一回洗面所を通り過ぎたが、我が白玉楼では食べる前に一回歯を磨く事が習慣になっていることを思い出し戻って洗面所へと入った。
目を横線一本にしながら口を開けゴシゴシと歯ブラシで口内を洗っていく。
ジュンはそれが終わり部屋へと再び急いだ。
ジュンが扉を開けるとすでにそこには妖夢が暖かそうなちゃんちゃんこを羽織ってコタツに入り新聞を読んでいる姿があった。
妖夢は扉が閉じる音がするとそちらへと顔を向けた。そして入ってきたのがジュンだと分かるとその顔をほころばせた。
新聞を持っていた手の片方をはずし手招きをする。
「おいでおいで。寒いでしょ? まだ早いから一緒にあったまろ?」
ジュンはそれを聞くと笑顔になり妖夢の元へと駆けていく、そして妖夢の腕と太ももで出来ている隙間からもぞもぞと入っていった。
そしてジュンがいつも食べるときの定位置である妖夢の股の間を確保すると、ジュン自身も妖夢の真似をしてジュンは新聞を読み始めた。ちなみに、ジュンは漢字が読めないので読んでいるふりだけだ。
妖夢はジュンが定位置に来たのを確認すると、ジュンをそのまま包み込むかのように腕を回し、妖夢自身も新聞を読む。
そして、それからしばらく時間が経った頃、ガタガタちその部屋の扉が開かれる音がした。
妖夢は、扉に顔を向ける。
「あっ、幽々子さま。おはようございます」
「おはよう、妖夢。今日も良い朝ね」
そこには幽々子が立っていた。パジャマを着込みこちらも妖夢と同じくちゃんちゃんこを着込んでいる。
幽々子はいそいそとコタツの方へと歩み寄ってくる。そして、妖夢とは対称の位置に座る。
「あっ」
そこで始めて幽々子はこの部屋にジュンもいることに気がついた。
ジュンは妖夢の間に包まり眠っていた。朝早くおきすぎて眠気がまだ残っていたのだろう。
幽々子は妖夢の中で眠っているジュンを見つけ優しい微笑みの顔になる。
妖夢はそんな幽々子の視線に気付き、見せ付けるようにジュンの頭を撫でた。
「確か今日ジュンは紫たちと外へ出かけてくるんだったかしら」
「そうですよ。幽々子様、お昼ちょっと前にこちらへ来て向こうで食べるそうです」
ふぅん。と幽々子は妖夢の答えに対して相槌を打った。
ジュンが置きだしたのはそれから数十分後の事だった。
ジュンが目を覚ますとそこはコタツの中で、ムクリと状態を起こし前を見ると微笑んでいる幽々子がそこにいた。
ジュンは眠る前、妖夢も一緒にいたことを思い出し、キョロキョロと妖夢の姿を探すが、見つからなかった。しかし、ジュンの鼻が温かいお味噌汁の匂いを嗅ぎ取った。
「妖夢なら今朝ごはんを作ってくれてるわよ」
「うん。お味噌汁の良いにおいがするね」
「そうね、また今日も朝からご飯が進むわ」
そういってジュルリとよだれをすする幽々子にジュンは少しだけ引いた。
「そういえば、今日は紫たちとお出かけだったわね? 用意とかは大丈夫なの?」
「うん。昨日の夜に妖夢と一緒にやったから」
幽々子は今思い出したかのようにジュンに尋ねた。その問いにジュンは嫌な顔せずに答える。
「幽々子様ー、ジュンちゃん。ご飯で来ましたよー」
そんな時妖夢が丁度良くこの部屋にご飯が入っているであろう木で作られたオケを持ってきながら登場した。その木の桶からはしゃもじが飛び出し、外のゴミを入れないためか少しぬれた布が被せてあった。
妖夢はちゃぶ台のジュンと一緒に妖夢自身もいつも座っている場所の近くに桶を置く。
「ジュンちゃん。熱いのでさわっては駄目ですよー」
妖夢はジュンに一言注意するとおかずを持ってくるために台所へと戻っていった。
ジュンは妖夢が行ったのを確認してからソロリと桶に近付きその布をめくってみる。そこには真っ白なご飯がたくさんあった。
それを幽々子は見ていたが特に咎めようとはしなかった。
そして直ぐに妖夢の足音が聞こえたのでジュンは急いでその桶の布を元に戻し先ほどの位置へと戻った。
「さっ、持って来ましたよー。今日の朝ごはんはお漬物とお味噌汁、それにお魚さんですよ」
妖夢は器用にもその二つの腕に三人分のお盆を乗せて、やってきた。
それを見たジュンは特に何も考えずに妖夢が持っているお盆のうち一つを受取った。
「手伝う」
「わっ、ありがと。幽々子様もジュンちゃんを見習ってくださいよー」
「ジュンがやってくれるからいいじゃない」
ジュンが手伝ってくれる事に妖夢は嬉しくなった。
そして傍らでボーっとしているだけの主人にジト目を送る。
しかし、妖夢は対して効果が無かった事に軽く溜息をついて、幽々子の前にお盆を一つ置く。
ジュンも自分のところに一つお盆を置いた。妖夢はそのとなりにお盆をくっつけるようにして置いた。
そしてジュンは座った。その隣に妖夢も座る。
幽々子は二人が座った事を確認すると、手を合わせる。パンと綺麗な音が鳴った。それに、連れ立つように妖夢とジュンも手をパンと合わせる。
「いただきます」
「「いただきます」」
幽々子の声にあわせて妖夢、ジュンの二人も復唱する。
そして三人は朝ご飯を食べ始めた。
11時ちょっと前。
ここ、白玉労に来訪する者達がいた。来訪した人物達は三人ばかりで、それらは男がみたら100人のうち95人は振り返るような美女が二人(残りの5人はゲイだ)と、将来、美女になるだろう雰囲気を匂わせる美少女の三人だ。その三人は、これから何かイベントでもあるのか、おめかしをしていた。
その中でもピンク色の傘を持った美女が白玉楼の入り口を叩く。
「幽々子ー、妖夢ー、じゅんー?着たわよー」
「はーい。今あけますね」
そういってパタパタと妖夢の足跡(だろうか)が扉の向こうから聞こえてきた。
「じゅんちゃーん? 紫さまが来ましたよー」
「分かってるー、ちょっと待って!」
扉の向こうがバタバタとあわただしくなってきた。
紫たちの顔に笑みがともっていく。
「紫さま。用意してなかったんでしょうか」
そう言って藍は顔をしかめる。藍が思っている事は橙の将来の婿がこんな体たらくで良いのだろうか。もっとちゃんとしてくれなくてはという事である。
「それは無いでしょ。妖夢だっているんだから、多分行く準備が整って無かっただけだと思うわ」
「それならいいんですが……」
「大丈夫よ。将来は良い子になっててくれるわ」
なら、いいのですが。そういって藍は前を向き治りジュンが出てくるのを待つ。
藍が向き直ったのを見て符カリは一度フフフと笑って前を向いた。
そして、すこしだけ時間が経ち。ジュンがようやく出てきた。
妖夢とともに出てきたジュンは急いでいたのだろう、かぶっていた帽子が少しだけ曲がっている。
先ほどまで藍達の後ろにいた橙がでてくる。そしてジュンに詰め寄ると顔をジュンの顔に近づけ下から人差し指でジュンを指差す。
「ちょっとジュン。遅いわよ、私達が来るまでにはちゃんと用意しておいてよね!」
そう怒鳴る妖夢に、ジュンは照れ笑いを浮かべ頭をかく。
「えへへ、ごめん」
「まったくもう、ほらっ、帽子がちょっとずれてるわよ」
そういって橙はジュンの頭の上に手を伸ばして帽子を直していた。
その上では保護者の会話が繰り広げられていた。
「申し訳ありません紫様。遅れてしまって」
「いいわよ、そんな事。私達も、大して待ってないわ。それにジュンのおめかし姿も見れたし、上々よ」
「そうです。私も対して気にしていません」
ホホホと、保護者が当たり障りのない受け答えをする。
「ほら、あなた達。早く行かないと遊ぶ時間なくなっちゃうわよ」
そんな中、そう言ってきたのは置くから少し気だるそうにしている幽々子だった。
「あら、そうね。じゃっ、行きますか」
「おう!」「いっぇーい!」
その紫の言葉にジュンと、橙は元気に返事をした。
妖夢がそんなジュンの背中をポンと一回押す。ジュンは妖夢の元から離れ紫の下へと行きじゃれ付く。
「じゃあ、お願いしますね」
「えぇ、任せなさい」
妖夢がそう言うと紫の背後の空間がぱっくりと横に割れる。
そして後ろに4人は振り返り、紫とジュンと橙が紫を中心にして手をつなぎ、藍はその後ろからつれそうに、スキマの中へと入っていった。
「じゃ、行ってきまーす」
その中の一人であるジュンは歩きながら振り返ると、そう言って大きく手を振る。
「「いってらっしゃーい」」
そして白玉楼でお留守番の二人は、小さく手を振りながらジュンを送った。
最後までお読みいただきありがとうございました。