今回で現代へと(ryは最後となります
ジェットコースターという、ジュンにとっての悪魔の関門を乗り越え、今四人は、遊園地内にあったカフェテリアで休憩を取っていた。
橙と、紫は並んでうつむきながら腰掛、その前にある丸いテーブルの上にはジュンが二人を見下ろすようにして立っていた。そして、その後ろに藍が見守るようにしてコーヒーをすすっている。
その様子に周りの人たちは、何事かと、覗き込もうとしていたがナニカによって出来ないでいた。
「何か、申し開きはありますか」
「「ありません」」
この年代にしては難しい単語をジュンは使う。
それには、少し前に映姫様が白玉楼を尋ねたことに起因する。その時映姫様はいつもの通り幽々子様を説教していたのだが、その様子を見ていたジュンがそれをなんとなく覚えてしまったというものだ。
「だいたい、分かってるんですか? 私は乗るのはいやだって言ったのに、無理矢理乗せるなんて……」
「でも、いいじゃない。ほら、ジュンも楽しかったでしょ?」
映姫様の影響か、説教するときは一人称が私に変わるジュン。
あははははと、笑いながら紫は言う。
その様子を見たジュンは自分が何を行っても無駄だと悟り、溜息を着く。
「はぁ、もういいです。」
「さっすがジュンね。うん、分かってくれる子は私好きよ」
「あとで、映姫様にちくります」
「「えっ……」」
その一言に固まる紫と、橙。
映姫に何故か気に入られているジュンがもしこの事をちくったとしたら、どれほど長い説教が待っているというのか。考えるだけで鬱だった。
そんな二人を見て藍は口を挟む。
それは、極最近頻繁に使われている言葉だった。
「二人とも、諦めは大事ですよ」
「そうね。藍」
そして、ジュンも改めて席へとすわり、藍それを見届けると、ポケットからここの遊園地のパンフレットを取り出し、見開きを開いて、テーブルの上に置く。
「では、紫様。今度はジュン君が乗りたいものを選ぶってことで良いですよね」
「そうね。どれが、乗りたいかしら?」
「んー。そうだなー」
ジュンはテーブルから乗り出すようにしてそのパンフレットを見る。
ここは、小さい遊園地であったが、アトラクションの数はそこそこに豊富なため、どれにしようか迷うジュンであった。
そして、そのパンフレットを一周、二週。と見回し一つの乗り物に指を刺した。
「僕、コレが乗りたいな」
「それね。良いわよ。場所は……ここね、では行きましょうか」
ジュンが指差したのは、飛行機を模した乗り物で、真ん中にある柱を中心にして回り、搭載されているスイッチを押すと乗り物が上下に動くというよくありそうなものであった。
紫はジュンが指差した所を覚えて、そのパンフレットを一旦受け取り場所を確認すると、立ち上がった。
それに伴って他の三人も立ち上がる。
それからは、ジュンにとって楽しい遊園地であった。
メリーゴーランドや、コーヒーカップなどにも乗り、充実していた一日であったといえる。
ジェットコースターを乗る以外は、特にジュンにとって恐いといえるものを選ぶ事もなく、一回お化け屋敷に行くという話しを紫が出したのだがそれは、橙とジュンで必死に却下した。
最後に乗った観覧車まで楽しいの連続であったといえる。
紫たちご一行は同じゴンドラに乗りこみ、沈む太陽を見ながら今日一日を振り返っていた。
「楽しかったわね」
「そうだね」
「私は少し疲れたわ」
「私もです。紫様」
全員、言葉数が少ないのは疲労が溜まっているからに違いない。
子供は怪獣とはよく言ったもので、そこそこに体力には自身があった紫と藍であるが、終わりに近付く頃にはくたくたになっていた。
四人は言葉を切り、少し狭かったが同じ側の席に身をつめながらすわり。言葉を切り、太陽を見詰め、今日の終わりを感じていた。
座っている順番は、藍、橙、ジュン、紫である。紫の方が扉の側だ。
そんな時、ふと藍が口を開く。
「こんなに、科学が発達し、環境を食い散らかした現代(ここ)でも夕焼けというのは数百年まえと全然変わりませんね」
そう思いふける藍を紫は見る。その姿からどことなく自然に、哀愁が漂っており、紫に愛おしさを催させた。
ふと、ぎゅーっと藍の方まで、紫は身体を詰め、藍を抱く。
「ちょッ!紫!?」
「うぐっ!」
「紫さま?」
「ふふふ、藍、橙、ジュン。これからもずーっとずーっと一緒よ」
突然の行動に驚く三人であったが紫のその言葉を聞くと、全員笑顔になった。
「はぁ~、今日も遊んだわね~」
遊園地の出口、紫は伸びをしながらそう叫ぶ。
「そうですね紫様。少々疲れましたが楽しかったです」
そう言った藍の両手にはジュンと橙が捕まり、眠そうに目をしょぼしょぼさせながら藍に引っ張られるようにしてついてきていた。
その二人を連れている藍の表情は、僭越としていた。片方は男の子であったが藍にとってはまさに両手に華の状態だった。
紫は振り返り、眠そうにしている二人を見ながら微笑む。
「二人とも、眠そうにしている場合じゃないわよ。これから、オムライスを食べに行くんでしょ?」
「「そうだった」」
言うが二人の反応は眠そうなままであった。
「うーん。コレはもうお開きにした方がいいのかしらね」
「そうですね紫様。でも、せっかくこっちに来たのですから頑張ってもらうほうが良いかと思われます」
「そうよね! じゃ、オムライスが食べられる所まで行きましょう!」
紫はそう言って、グルメマップを見ながら歩き始めた。
それに伴って藍と、それに引っ張られるようにしてジュンと橙がついていく。
しばらく歩いた所に、そのお店はあった。
やはり、遊園地の近くという事もあり、店の繁盛具合は上々のようだ。
紫たちは、扉を開け中に入る。すると、直ぐウェイトレスが出迎えた。
「お客様は、四名でよろしいですか?」
「えぇ」
「ではこちらになります」
そういわれて案内された場所は、奥のほうであった。
四角形の四人用と思われるテーブルに着いた。紫と、藍がすわり向かいに橙とジュンが座る。
橙とジュンは、しばらく歩いたお蔭か、大分回復したのか、眠気が一回転してなくなったのか先ほどのような眠気はなくなっているようだった。
紫は、立てかけてあるメニューを手に取る。
「ふぅ、客がいっぱいいるようだけど。席が取れてよかったわね」
「そうですね。紫様。この状態で更に待たされるとなると、さすがに二人が眠ってしまうかもしれませんしね」
そういって紫と藍は、二人を見る。
どうやら、二人もメニューを手に取り選んでいるようだった。
「うぉおおお! 凄い! オムライスだけでこんなにある!」
「どれにしようか迷うわね」
そう言って二人が見詰める先には、6種類のオムライスがあった。
ビーフシチューが掛かっているのだったり、普通のケチャップとは違ったものが掛かっていたり、きのこが乗っていたりと。多種多様だ。
それからは、各々ガチャガチャという他の客が食べている食器の音をBGMにどれが食べたいかを選んでいた。
結果四人とも違うものを選び、それぞれを食べ比べてみるという事で決着がついた。
注文し、しばらくして料理が届いた。
ジュンが選んだものはハンバーグが乗り、デミグラスソースが掛かったもの。
橙は、ビーフシチューが掛かったもの。
紫は、他とはちょっと違ったケチャップの、オムライス。
藍は、和風オムライスという物を頼んだ。
それらは、いつも四人が食べている物とはちょっと違い。大変おいしそうに食べ勧めていった。
そして、全員が四分の一くらいを食べた所で食べているものをまわして食べる。
完食して、どのオムライスが一番だったかを聞いてみると。
ジュンは自分が頼んだオムライス。橙と紫はジュンが頼んだオムライス。そして、藍は橙の頼んだオムライスという事となった。
四人が外へと出ると、もう辺りは暗くなり。今日という日が終わる事を告げていた。
「さて、おなかも膨れた事だし、帰りましょうか」
紫はそう言い、なんとなく人気の無い場所を探しながら歩く。
後ろで藍と手をつないでいる橙、その橙と手をつないでいるジュンは先ほどのオムライスについて話し合っていた。
辺りからヒトの気配が消えて行き。限り無く人通りが零の通りに入る。
紫は、その人の少なさを確認して、ビルとビルの合間にスキマを展開して入る。
そして藍、橙、ジュンもそれについていき。
四人は、現代から消失した。
所変わって白玉楼。
「ごめんくださーい」
「はーい」
紫が玄関の扉を叩きながら言う。
そして、ずっと待っていたのだろうか。呼びかけてから直ぐに返事が聞こえた。その声はどことなく嬉しそうに見えた。
玄関からは、妖夢そして幽々子が現れる。
そして、ジュンの姿を認めると妖夢が声をあげる。
「お帰りなさい」
「ただいまー」
そういってジュンは橙から手を離して妖夢の方へと駆けていく。
そして、ジュンを膝の辺りで抱きしめてから妖夢は、紫の方へと向き直る
「今日はありがとうございます」
「私からも礼を言うわ」
「いえいえ、礼を言うのはこちらの方です。楽しい一日をありがとうございます」
「そうですか、なら良かったです。ジュンちゃん今日は楽しかったですか?」
「うん」
ジュンは満面の笑みで妖夢に頷く。
それから、二三言、話して紫たちは帰っていった。
「またね! ジュン。またあっちに遊びに行きましょ!」
「橙もじゃーね!」
橙は紫たちと手をとり、スキマの中へ帰っていく。ジュンたちはそれを見送ってから妖夢、幽々子に手を引かれ白玉楼の中へと入っていった。
「ジュンちゃん。あっちではどんな事をしたの?」
「それはねー……」
今日も幻想卿は平和です。
最後までお読みいただきありがとうございます。
次回の投稿は2012年8月14日の私が起きたころぐらいという事で