タイトルが厨二くさい。
その日、ここ幻想卿は春を向かえ、低かった気温に別れを告げ、暖かい陽気を迎えていた。
そんな日に、幻想卿の白玉楼に住む男の子ジュンは、博麗神社に一人足を運び、両隣に座る博麗霊夢、霧雨魔理沙とともにお茶をすすっていた。
「ふぅ、久しぶりにジュンがここに来たと思ったら桜を見に来ただなんて意外に風流人ね」
「えへへ、妖夢が、この頃に咲く桜は綺麗だから見に行ったほうが良いって言うから来てみたんだ」
「それなら、こんな貧乏くさい神社じゃなくて、山のてっぺんにある守矢神社の方に行けばよかったのに、あそこなら、山の中だからいっぱい桜が咲いてるぜ」
そう言うジュンたちの目の前には、立派な桜の木がどーんと立っていた。
ジュンは、それを聞きながらお茶を一啜り。そして、今魔理沙に言われた事実について考えていた。
霊夢はその魔理沙のセリフを聞いて、こめかみにむかつきマークができる。
「ちょっと、さっきの言葉もう一回言ってみなさい。」
「おっと、怒るとしわが増えるって話しだぜ。それに、信仰を集めようとしていないのに威張れる話でもないぜ」
「いいのよ。私は、家には家の。守矢には守矢の役割ってもんがあるんだから」
機嫌を損ねた霊夢に魔理沙はおどけたように言うが、あきらか喧嘩を売っているような言葉だった。
その言葉に霊夢は、反論するが、完全に屁理屈だった。
その時、ジュンの考えがまとまったようだった。
「うーん。良く考えてなかったから分からないや。何となく、博麗神社に行こうって思っただけだし」
結果よく分からないという事でジュンの脳内では、結果が出たようだった。
その言葉に霊夢は気を良くし、ふっふん。と笑みを浮かべながら見下ろすように、魔理沙を見た。
「そうっ、博麗神社は、ジュンにだけ信仰されてれば良いのよ。ほらね、ジュンだって分かってるの。無意識の内に家に来たいと考えてしまったのね」
霊夢は、お茶菓子としておいてある金ツバに手をつける。
この金ツバは、ジュンが博麗神社に行く事になったとき、手ぶらでは何だからと言って妖夢がジュンに持たせたものだ。
「それは偶然な気がするがな、まぁ、私もジュンに会うのは久しぶりだし、たまたまでも、博麗神社に来てくれて嬉しいぜ」
魔理沙はそう言うと、ジュンの頭を撫でた。
ジュンは照れくさそうに笑う。
「そうよ。ジュンが来てくれたお蔭で、こうやって、おいしいお菓子も食べられて、何よりジュンと一緒にいられる。これほど、有意義な時間の過ごし方なんて他にある?」
「ないな。」
「でしょ? それは、やっぱり、この博麗神社のお蔭なのよ」
「あぁ、そうかもしれないな」
本人が、納得していればそれで良いのだろう。魔理沙は、ニヒルに微笑みながら、霊夢を見る。
霊夢は、立ち上がりガッツポーズをしていた。そして、その力説も終わると、すたっと何事も無かったかのように、腰を落とす。そして真剣な顔をしてジュンの方へと向き直った。
その事にジュンは首をかしげる。
霊夢は、そのしぐさに、思わず抱きしめたくなる衝動に駆られたが、先ほど思い浮かんだとある質問をぶつけるために思いとどまった。
「そういえば、あの姫様は何故博麗神社に来なかったのかしら?」
「あっ、それ私も思ったぜ」
ジュンは、それを聞き、うーん。と考え込む。ジュンがここ幻想卿に来てから早数年。白玉楼で、桜をめでる花見をした事が無かった事を思い出す。
しかし、そんな事。霊夢に言われなければ気づかなかった事で、大して気にした事も無かった。
「わからないや。でも、言われてみれば、花見って下事無いかも……」
あはははは、と笑いあう三人。
そしてふと、魔理沙が何かに気付き空を見上げる。
その事を不審に思った霊夢は尋ねた。
「どうしたのかしら」
「いや、あれを見てくれ」
「どうしたのよ」
そう言って、魔理沙は空のとある方向を指差した。
言って霊夢も、魔理沙が指差したほうを向く。つられて、ジュンもその方向を見た。
「わー、何だあれ? 真っ黒?」
魔理沙が指差す先。そこは、空に真っ黒な雲のようなものが浮いていた光景があった。
霊夢は、それを認めた瞬間。今までのお茶らけた雰囲気など、微塵も感じさせないようなほど、真剣な顔をして魔理沙に尋ねる。
ジュンは、その黒い雲のような固まりの正体を掴もうと必死に目を凝らしている。
「異変、かしら……」
「多分、そうだろうな。野生の生き物は、私たちに比べてナニカの感覚に鋭い。それが、あぁやっていっせいに逃げているんだ。ナニカが起きようとしてるんだろうぜ」
魔理沙は、非常にめんどくさそうな顔をしながら言った。
霊夢は、急いでジュンが持ってきた金ツバを魔理沙の分も一緒に食べ、お茶で流し込み立ち上がる。
それを見て、魔理沙は「あーッ」と声をあげるがそれを無視して言った。
「魔理沙、貴方はジュンを白玉楼に送っていって。私は、ちょっとあれの原因を調べてみるわ」
「うぅ、良いけどよぅ。私の金ツバが……」
「カラス……?」
ジュンは、ようやくあの黒い雲の正体をつかめたようだ。
ここからでは、距離があるために、黒い塊にしか見えないのだが、近くに行って見るとジュンの言うとおりカラスの大群だった。
今頃は人里も大混乱に陥っている事が容易に予想された。
霊夢は、ジュンには聞かれないようにと魔理沙の耳元に顔を近づける。
「いい? 頼んだわよ。ジュンには絶対に能力を使わせないで」
「あぁ、分かってる。任せろ」
「じゃ、お願いするわ」
「気をつけろよ」
「分かってるわよ」
霊夢は、いつもどおりに微笑む。
霊夢は、いつもここ幻想卿で異変が起きるとこんな感じなのだ。そしてなんやかんやで解決できてしまう。
だから、変な緊張感も無いはずなのだが、魔理沙の勘は、今回の異変は他とはどこか違う。そう感じていた。
しかし、自分よりも、勘の鋭いはずの巫女がいつもどおりなのだから、その勘定は気のせいとして流してしまった。
魔理沙は頭を二・三回振るとジュンに向き直る。
「あえ? どうしたの?」
「いいか? ジュン。よく聞くんだ。あの黒いの見えるだろ? あれは、多分どっかの悪い奴が起こしてるものなんだ。もしかしたらここが危なくなるかもしれない。だから、もう白玉楼に帰るぜ」
「えぇ、まだ早いよ~」
「こら、ジュン。いう事を聞きなさい。私だって、ジュンとは遊んでいたいけど、ジュンが怪我しちゃったらいやだからね。幽々子のところに行っていなさい。大丈夫、直ぐに解決しちゃうから。おねぇちゃんこれでも強いのよ?」
「分かったよ……」
霊夢と、魔理沙の説得にジュンは渋々といった感じだが頷いた。
「じゃ、ここに乗って私にしっかり捕まっててくれ」
魔理沙は、自分の乗っている箒の後ろにジュンを乗せる。
そして自分も、その箒にまたがると、霊夢と視線があった。
「直ぐ戻ってくるぜ」
「早く行ってきなさい」
その言葉を聞いて、魔理沙は地面を蹴った。
魔理沙と、ジュンを乗せた箒が鳥のようにビュンビュンと風を切りながら進んでいった。
魔理沙は、前だけを見て後ろを振り返ろうとはしていなかった。先ほど流したはずの嫌な感じが、博麗神社から離れるにしたがってどんどん強くなっていっていたのである。そんな魔理沙を、早く早く。という思いがせかしていた。
「う、うぅ……。ま、魔理沙ぁ、ちょっと早い」
後ろでは、ジュンがもうスピードで進んでいるために、軽い呼吸困難に陥っていた。
普段の魔理沙であったなら、その事に直ぐ気がついたのだが、焦燥の思いは、その基本的なことを魔理沙の頭の中から消し去っていた。
「あぁ、悪い悪い。ちょっと、焦っちまったぜ」
そう言って、魔理沙はジュンに謝りスピードを落とすが、それもほんの少し落としただけだった。
ジュンは、もう一度、魔理沙にスピードを落としてもらおうかと思ったが、魔理沙は集中しすぎて、あまりこちらを気にすることが出来無そうだったため、今のままでも、我慢できないほどではなかったので、そのままでいた。
そして、そんな馬鹿早いスピードで進んでいたせいか、早くに白玉楼へとついた。
「よし、着いたぜ。ジュン、降りてくれ」
「うん」
魔理沙は、ジュンを下ろして白玉楼の玄関の前まで行き、ドンドンとその扉を叩いた。
二人は、少しだけその場で待った。
嫌な汗が魔理沙の頬を伝う。ここまで、いやに緊張感があるのは自分だけだろうと魔理沙は考えていた。
しばらくして、扉から妖夢が姿を現した。
「あら、ジュンちゃんと、魔理沙じゃないですか。花見はどうしたんですか? まだ、真昼間ですよ?」
早い時間に帰ってきたジュンと、魔理沙を見て妖夢は首をかしげていた。
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次回の投稿は2012年8月16日です