東方雑多録   作:ヨコミチ

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のけ者にされちゃったジュンと妖夢のその後の雑多録

 妖夢とジュンの二人が部屋から出た場面である。

 二人は今、幅が広い廊下を二人出歩いていた。

 妖夢はジュンの手を握っている。身長差があるためにジュンは腕を伸ばしていた。

 

「ねぇ、ジュンちゃんこれから何しよっか?」

 

 妖夢は手をつないでいるジュンに問いかける。その顔は終始ニヤけていた。

 そのニヤけ顔でジュンの方を見ると一生懸命トコトコとついてきていた。

 ジュンと妖夢の足の長さにはアドバンテージがあるので、妖夢が一歩進むたびにジュンはそれより多い数を進まなくてはならないのだ。

 その事に気付いた妖夢は「あっ、ごめん」と軽く謝罪をして、ジュンがついてこれるペースまで歩調を落とした。

 

「うーん」

 

 対してジュンは何をしようか決めかねているようだった。

 そんなジュンを見ながら妖夢はふと、外を見ると太陽が既にかなり西へと傾いている事に気がついた。

 

「これは、紫様は今日はお泊りかな?」

 

 妖夢は呟く。ここ白玉楼ではそういう事が多々あるのだ。勿論言うまでも無くジュン目当てなのだが。

 妖夢は紫のことはここ幻想卿の管理人として尊敬をしてはいるが、ジュンのことに関してだけは不満を抱いていた。

 その理由もこのようなものである。妖夢はいずれジュンが私達の元を離れて独り立ちすると思っている。それと同時に恐らくジュンは誰かと恋仲になり結婚をするであろうということも考え及んでいた。

 そしてその時その相手をジュンの育ての親として見定めたとき、紫は論外であった。管理人の仕事は藍任せで自分は何もしていないし。暇があればジュンに手をだそうと遊びにくるしで妖夢の中では紫とジュンが結婚するという事は完全にNO!である。

 結果、妖夢の脳内に地底に住んでいる。心読みの嫌われ者のことが頭に浮かんだが、頭を振ってその考えを打ち消す。ジュンが地底という場所の存在を知る事は無いだろうと思ったからだ。

 

「ゆかりん今日お泊りなの?」

「うーん。わかんないけど。多分お泊りになるんじゃないかなー」

 

 ジュンの問いかけに妖夢は答える。それと同時に先ほどまで考えていたジュンのお嫁さんは誰がいいか?という頭の中の議論を打ち切った。

 

「なら、ゆうかりんから貰ったお花を見てもらう!」

「それは、いい考えね!」

「いっつも、お花に水遣り頑張ってるのを褒めてもらうんだ」

 

 そう言ったジュンを見て妖夢は少し苦笑いを浮べる。

 ジュンの水やりはかなり水の量が多いのだ。妖夢は注意しようと度々思っているのだがジュンが水をやる姿が可愛い過ぎて注意する事を忘れてしまうのだ。

 

「なら、これからお部屋に行って。お絵かきとかしながらお花のお世話でもする?」

「うん!」

 

 妖夢は、中腰になりジュンと目線を合わせて尋ねるとジュンは笑顔で返事をした。

 

 

 二人はその広い廊下を歩いていき、ジュンの部屋となっている部屋の扉を開ける。

 妖夢はジュンよりも先に部屋の中に入り部屋の隅にある蝋燭に火をともす。少し時間が早い気もしないではなかったがこれからお絵かきをするので明るいほうが良いと思ったからだ。

 

「いいよ。おいで」

 

 そして、火がともると妖夢はジュンを部屋の中に招き入れる。

 ジュンはその言葉に従ってトコトコと中に入って行き、部屋の棚のようなところに飾ってある。一輪の花が入った花瓶を持ち出してきた。

 

「何時見ても綺麗な花ですね」

「うん。ゆうかりんがいっちばん良いのっていうのをくれたんだ」

「じゃ、お水を持って来ますから待っててください」

 

 妖夢はそう言うと、ジュンを一人部屋に残し。台所の方へお水を汲みに行った。

 ジュンは持っていた花を下ろし、自分も寝そべってその花を観賞しはじめた。

 

「綺麗だなー」

 

 そしてジュンはそのまま鑑賞をしていると、直ぐに妖夢が戻ってきた。

 

「お待たせしました。さて、お水をあげましょうか」

 

 ジュンは寝そべっていた状態から腰を起こす。

 妖夢は花瓶の方へと歩み寄り腰を落として花に水が掛からないように水をかけた。

 

「これでよし、今日もお花さんはお腹がいっぱいです」

「じゃあ、お絵かきするー」

「はい、ちゃんと。紙と書くものも持ってきましたよ」

 

 妖夢はジュンに紙と鉛筆のようなものを差し出した。ジュンはそれを受取る。

 

「何を書けば良いかな」

「そうですねー。恐らく今日は紫様がお泊りになると思うので紫様の似顔絵でも書いてみたらどうでしょう? よろこびますよ」

 

 それを聞いたジュンは表情をパッと明るくし、妖夢の持ってきた紙に鉛筆を走らせる。

 そしてしばらく、その紙に鉛筆を走らせるとジュンは難しい顔をして、妖夢に今書いた絵を見せた。

 

「上手くかけない」

 

 それを見た妖夢は少し顔が引きつってしまった。ジュンの書いた絵を見てこれは紫だ。と判断できる要素が少なかったからだ。

 ジュンを見る。少し落ち込んだその様子に胸ときめく妖夢だった。が、すぐさまジュンのフォローに入る。

 

「それなら、もう一度書いてみましょう。ほら、紙はこんなにもいっぱいありますし。それに、そうですね。クレヨンでも持ってきましょう。色がつけばもっと上手く書けるようになりますよ」

 

 妖夢は先ほど自分が持ってきた紙を指差しそう言うと今度はクレヨンを持ってくるために部屋を出た。

 ジュンはそれをちょっと沈んだ面持ちで見送る。

 

「ゆかりんゆかりん」

 

 ジュンは、今度こそ上手く書こうと思いよく思い出しながらもう一度紙に鉛筆を走らせる。

 しかし、またしても結果は同じで。上手く書くことができなかった。ジュンは見るからに落ち込んでしまった。

 しかし、傍に積んである紙を少し睨みそこからまた一枚を取り鉛筆を走らせる。今度は目をつぶって頭の中に思い浮かぶ紫の輪郭をなぞるようにして書いていた。

 

「ジュンちゃん。戻りましたよ」

 

 妖夢が、クレヨンを片手に部屋に戻ってくる。

 そして、どんな按配だろうか?と思いジュンの手元を見てみると息を呑んだ。

 

「ジュンちゃん上手いじゃない!」

 

 妖夢が見る先には、まるで写真のように描かれた。紫の似顔絵……もとい、肖像画があった。

 その上手さはクレヨンを必要としないほどだった。

 ジュンは妖夢のその声に自分も目を見開きその絵を見る。

 

「すごい! ゆかりんだ! 見て! ゆかりんがいる!」

「すごい上手いですよ。これなら、紫様も大変喜んで売れると思います」

 

 ジュンはそう言ってその書いていた紙を掴み妖夢に見せる。

 それを見て妖夢は賞賛するが、それを見た幽々子がしょぼくれているという未来が容易に想像できた。

 

 そうしてジュンと妖夢の二人でジュンの描いた絵について話しあっていた。そして話の区切りがついたとき妖夢が先ほど合った事を話しだした。

 

「ジュンちゃん。そういえば、さっき幽々子様が言っていた事だけどやっぱり紫様はお泊りになるそうですよ」

「ホント!?」

「えぇ、本当ですよ。だから、お夕飯の時にでもジュンちゃんお得意の芸を見せてあげたらどうですか?」

「芸?」

「あれですよ、前に幽々子様にもやってあげたじゃないですか? 私と二人で」

 

 先ほど妖夢がクレヨンを取りに屋敷の中を歩き回っていて紫や、幽々子が談笑をしている部屋に通りかかったとき部屋から顔だけだした幽々子から紫が今日お泊りであるという事を聞いたのである。

 そして思いついたのがジュンの得意としているこの芸だ。その内容はまだ作品の進行上の問題で書けないがあの幽々子ですら引っ掛かったものである。

 しかし、ジュンはその芸が何のことを指しているのか分からなかったようだ。妖夢はその事に微笑みながら懇切丁寧に思い出させるきっかけを話す。

 

「あぁ、あれの事かぁ! よし、やってみる!」

「じゃあ、二人で打ち合わせをしないといけませんね。けど、私はこれから幽々子様や、紫様、ジュンちゃんのお夕飯の支度をしてこなくてはならないのです。だから、一人で練習していてくれませんか?」

 

「では、お夕飯の支度をしてきますね」

「僕はからあげが食べたい!」

「はーい、分かりました。からあげですね」

 

 妖夢は立ち上がり、ジュンからの夕飯の希望に承諾するとジュンを部屋に残して一人台所へと向かっていった。

 そんな妖夢の頭の中は先ほどジュンに言われたからあげのレシピが展開されていた。

 

 妖夢が一人廊下を歩いていく。

 外はもう良い時間になっていた。この頃は少し寒くなっているせいか、少し肌寒く感じられる。

 そして妖夢は先ほど通った。紫と幽々子がいる部屋まで来ると、その扉を開ける。

 

「あら? 妖夢。ジュンはどうしたの?」

 

 妖夢に気がついた。幽々子が妖夢に話しかける。紫も妖夢に気付きその方を見る。

 

「ジュンちゃんなら今は自室でお花でも見ているかと思います」

「ジュンのこと見てなくてもいいの?」

「いえ、見ていたいのは山々なんですがこれから、お夕飯の支度をしなくてはいけなくて」

 

 妖夢は至極残念そうに紫の問いに答える。

 幽々子はふぅん。と言って今日のお夕飯は何かしらと考えていた。

 

「ならなにか用かしら? 私達今ジュンがいかに可愛いかで話しあってて忙しいんだけど」

「あっ、そうでした。紫様、お夕飯のときにジュンちゃんからプレゼントがあると思いますので楽しみにして置いてください。それと、私とジュンちゃん二人で芸をやる予定ですのでそちらの方もお楽しみに」

「え? プレゼント? ホントに」

「えぇ、そうですよ。何をプレゼントするかはさすがに言えませんが凄いもですよ。私もさっき見て凄いと思いましたから」

 

 妖夢はそう言うと部屋から出て、台所へと行ってしまった。

 この部屋の中にはプレゼントがもらえると聞いて浮かれている紫と、私には何も無いのね。と若干落ち込んでいる幽々子がいた。

 

「それにしてもジュンは芸もできるのね。凄いわ。藍にも何か覚えさせようかしら」

「芸って、あれのことかしら。確かにあれは凄いわよ」

 

 そして浮かれている紫に、すこし落ち込んでいる状態から回復した幽々子が話しかける。

 幽々子は妖夢の言っていた芸について思い出した事に少しだけ苦笑いをする。

 

「へぇ、幽々子が苦笑いをするなんてね。そんなに凄い芸なのかしら今から楽しみだわ」

「貴女も言っていたでしょ? あの子の能力は最強なのよ」

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