ありえないなんてことはありえないだなんて誰が言ったのだろうか。
私または、俺だが、それはとても上手い言い回しだと心底そう思う。
私または、俺がこの世に生を受けて早数十年はたっているのだろうか。
私または、俺の周囲はいまだ闇につつまれたままだ。
ジュンは一人山道を駆け上がっていた。
風が、強く回りにある木々は派手な音を立てて軋んでいた。その音がジュンの不安心をさらに強めた。
風が強くなったのはつい先ほどからである。今日、ジュンが起きたとき、魔理沙、霊夢たちと一緒にいたときは、さほど強いということは無かった。
ジュンがあるいているその山道は普段人里に住む人たちが、守矢神社にお参りに行くための道であるので、そこそこ整備をされてはいるのだが、所詮は山道険しい事に変わりは無いのだった。
ジュン今も必死に息を切らしながら走り続けている。
滝のように汗をかき、来ている洋服が身体にピチッと張り付いていた。
だがしかし、走っても走っても頂上が見えてくることは無い。けれど、歩くということはしなかった。
走っているジュンの瞳からは涙が流れていた。口も力強く食いしばっている。
真剣に走り続けていたからだろうか、ジュンは足元にある大きめの石に気づく事が無く蹴躓いた。
顔から派手な音を立て地面に突っ込んでいく。非常に痛痛しい音だ。
ジュンは、その顔から倒れたまま、動く事をしなかった。
「うぐっ、ひっく、う~~~……」
すると、ジュンはそのまま啜り泣きを始めた。周りには誰もいない。
そして、どれくらい泣いたのだろうか。正確な時間は分からない。
すこしの間泣き続けていたジュンからはいつのまにか、泣き声が止み、そのまま動かなくなってしまった。
side???
ここに自分では無い生き物が入ってきたのは何時振りだろうか。
いや、そもそもここに人が来たこと事態が初めてかもしれない。
初めて来た客人は、酷く幼い容姿でここに来たときからすすり泣きをあげているのだ。
その事に私または俺はほとほと困っていた。何分ここに人が来る事が初めてなのだ。コミュニケーションも糞も無い。
その少年は、自分がここにいることに気がついていないのだろうか、先ほどから顔をあげようとしない。
「おい」
声をかけてみた。しかし、泣き声の音量に負けてしまったようで届いていないようだ。
「おい」
もう一度声をかけてみる。しかし結果は変わらず。
「おい!」
「ひくっ!?」
今度は叫ぶほど大きな声で、すると今度は声が届いたようで身体をピクリと震わせた。
そして、恐る恐ると言った感じで身体を起こしている。
俺の顔を見、辺りをキョロキョロと見渡す。今起こっていることが理解できていないようだった。
それは、俺も同じだ。
「おい、お前。どうやってここまで来たんだ?」
「お兄さん。誰?」
そいつは俺の問いに質問で返してきた。
こいつ……。
そう思ってそいつの顔を見ているとふと、誰かの顔がダブって見えた。昔どこかで見たことがあるのだろうか……。いや、そんな事は無い。俺は生まれてこの方、誰とも接した事は無いはずだ。気のせいだろう。
見たところ、どうも子供だ。俺の質問より、まずは自分の疑問なのだろう。普通なら、質問に質問で返すななどというのだろうが、そんな事はしなかった。
「俺に名前は無い。そしてここはどこだか分からない。暗闇だ。そんな中俺とお前、お互いの顔が簡単に認識できているが、それも何故だかは知らない。ここまでで何か質問はあるか」
俺は、再び質問をされることがめんどうだったので俺が知りえる情報を全部与える。
質問をされても、俺が分かるかどうかは微妙だ。
「ん~。どうして僕はここにいるの? さっきまで、山で悪い奴に追いかけられてて、それで……。それで、妖夢と、幽々子がぁ……」
言いながらまたもや泣き出してしまった。
嫌なことを思い出してしまったのだろうか。
先ほど泣き続けていたことからコイツは泣き始めると中々泣き止まないようだ。
ならば、先ほど得ることが出来た情報から、コイツの事を推測でもしてみようか。
どうやら、この子は先ほどまで山で悪い奴に追いかけられていたという。悪い奴が出るほど物騒な、世の中なのだろうか。
そして、最後に泣きながら出てきた妖夢と幽々子という言葉。恐らくこの子に近しいものだろう。そして、今泣いていることから考えると、妖夢と、幽々子はその悪い奴にやられてしまったのだろうか……。
そこで、ふと、先ほどまで思い出せなかった。この子に似ている人物の顔に一人思い当たる人物がいた。
「おい、坊主。俺に顔を良く見せてみろ」
俺はそう言って、泣いているそいつの顎を取り無理矢理こちらを向かせる。
泣きじゃくっているために、顔はひずみ。顔の大半が涙を拭う手で隠されていたが、確かに見覚えあるそいつだった。
「おまえ……。うっ!」
俺が、そいつに話しかけようとしたときそいつの目が丁度良く見開き俺との目が合った。
その瞬間、俺の脳内に何かが大量に流れ込んでくる。
俺は、その時に伴う苦痛に顔を歪め、掴んでいた顎を話し、頭を抱え地面にはいつくばった。
頭が割れる。
坊主が、とつぜんのたうちまわる俺を見て驚き声をかけてくるが、それに反応する余裕は無かった。
そして、どれくらい経っただろうか。
一分? 十分? 一時間? 全く分からない。しかし、俺の頭痛は完全に引き前のときよりも意識がはっきりしていた。
そして、坊主……。いや、ジュンの顔を見る。相変わらず泣き虫だ。
なるほどね。こういうわけか。OKOK。
「おい坊主、泣いてばかりでいいのか? お前のおねぇちゃんや、おかあちゃん。皆頑張っているんだぜ」
「お前一人の力じゃ何も出来ないってか? 大丈夫だ。俺がいる。一緒にそいつをやっつけよう」
さて、幼き俺のために物語をトゥルーエンドに導くとしますかね。