男はベホマラーを唱えた。
「さぁ、今の状況を説明してもらえないかしら?」
ここは、冥界。白玉楼。その場所にて今回の異変における主要な人物が一同に解していた。猶、八坂、諏訪湖、早苗に関しては荒れ果てた神社を元に戻すために戻っている。
ここにいるのは、霊夢、魔理沙、幽々子、妖夢、幽香。そして、異変時にはサンに境界をいじられ外に出てくる事が出来なかった八雲たちがいる。
先ほど発言したのは、紫だった。
その発言を聞いた霊夢と幽香が揃って渋い顔をする。
「まぁ、私もその事について聞きたいけどさ。何であんたがいってるわけ?」
「そうよ」
「うぐっ、良いじゃない。今回あんまり出番が無かったからこういうときに出ておきたいのよ」
「「はぁ~」いいわ、あなた説明をお願いできるかしら」
ダダをこねるように言う紫に二人は溜息を着いた。
幽香が男の方を向いて言う。
そして先ほどまで、紫を中心とした漫才?のために全く出番の無かった男はいきなり自分に話が振られると思っていなかったのか驚いたような顔をしていた。
「あ、あぁ。いいけど、どこから説明をすれば良いかな?」
「そうね、まずは、あなたのことからお願いできるかしら? いつまでもあなたのままでは今回の異変の功労者なのに悪いしね」
「おk。じゃ、話すとしようかな。先ず俺だが、そこで眠っているジュンのもう一つの可能性と言った奴だ。まぁ、いきなり言われても分からないとは思うが……。ジュンが能力を使って成長を止めているって言うのは知っているか?」
男の話しにしょっぱなから首をかしげていた一同であったが、ジュンが能力によって成長を止めている事は割りと羞恥の事実であったので皆頷いた。
男は、見回し皆が頷いているのを確認するとつづける。
「ジュンの能力『拒絶をする程度の能力』はジュンの持っていた寿命を生命の危機に関するものだとし、そうそうにその存在を拒絶し消去した。恐らくその時だろうとは思うが、その時にジュンの中でとある思念大河生まれる事になる。言わずもがな、それが俺である。」
「ちょ、ちょっとまって、ならジュンが大きくなったら貴方みたいになるっていう事?」
「まぁ、成長する。という事がありえないがその通りだろう。」
それを聞いた。霊夢はほぇ~っとほうけた顔して男の顔をみつめる。
男はその視線に疑問を感じながらも受け流す。
聞いているそばで一組の主従は、膝の受けに寝かせているジュン顔をと男の顔を見比べていた。
「という事は貴方も、ジュンと同じ能力を使えるのかしら?」
これは幽香である。
「あぁ、それに関しては別の説明がある。俺が今まで生きていた場所というのは、俺意外に何も無かったのだ。だから、拒絶する事がそもそもない。故に俺には『拒絶をする程度の能力』が無い。まぁ、『まねをする程度の能力』があるし、拒絶の能力の変わりに『物に効果を付与する程度の能力』を持っている。それに俺はジュンの中にいたので、固有名詞はそもそも持っていない。あったとしてもジュンという同じ名まえだろう。」
そこまで言って、ジュンは辺りを見渡す。
他に疑問が出てくるものはいないようだった。まぁ、今の説明に頭が追いついていないだけかもしれないが……。
「他に疑問も出てこないようだし、今度は今回の異変についてだ」
そう言うと、各々散っていた視線が再び男に集る。
「これについては、俺もほとんど分かっていない。さっきまでジュンの中にいたから当然ともいえるが。闘っていたときに、あいつは紫の能力を知っていた。他にもあいつは幻想卿のことを知っていたという可能性が多いにある。まぁ、これにいたっても確証には至らないのだが。そもそも今回の異変が突発的、災厄と思うより他無いだろう」
そういい終えると男は口をつぐみ、一同の方を見る。発言を待っているのだ。
しかし、他の一同も質問といえるものを持っていなかった。なぜなら今回の異変。何もかもが幻のように分からないことばかりだからだ。
そんな中、妖夢がおずおずと手を挙げた。
「何かな?」
「あの、私たちは貴方の言う魔法で、目が覚めたんですけど、ジュンちゃんがさっきから全然目を覚まさなくて……」
妖夢のその言葉に、幽香がはっとする。
「そうよ。貴方が出てきたら、ジュンが倒れたの。そこの説明をまだしてもらってないわ」
その言葉を聞いた一同は男に冷たい視線を送る。
その言葉に男はあちゃーっといったような顔をする。
「悪い悪い。説明し忘れちった。いってなかったが、ジュンと俺は同一の存在。世界が同一の存在が同じ場所に存在する事を認めないんだ。だから、俺が出てきている間、ジュンは眠りに落ちてしまう。ジュンが目覚めるとその逆の現象が起きる」
「そ、それじゃあ。貴方はまたジュンの中に戻ってしまうの?」と、霊夢。
「いや、以前ジュンから聞いた話しだと、ここには地底という所があるらしいじゃないか。そこならこことは隔絶しているためそちらに行こうと思っている」
その言葉を聞いた霊夢は、ほっと一息ついていた。
男は、肩をすくめてクスリと笑う
「だが、まぁ俺はこれからちょっとやる事があってね」
「やる事?」
紫が尋ねる。
「あぁ、君たち。覚えていないか? ジュンがどこだか知らんがチルノと一緒に遭難してしまったときの事。」
「え、えぇ。覚えているわ」
「その時助け出したのが俺と、紫だ。どうやら、今のタイミングで助けに行く必要があるらしい。そういえば、紫あの時ジュンはどうやって治ったのだろうか?」
「えぇっと、確かチルノが目覚めたら、チルノが何かして、治ったような覚えがあるわ。何分もう大分前の話だから覚えてないのよ」
「ふむ、とりあえずチルノを起こせば良いんだな」
「そうよ」
「あぁっと、すまない。幽々子紙と書くものをくれるか?」
「良いわよ。ちょっと取ってくるわね」
そういわれて、幽々子は奥へと消える。そして幽々子は紙と筆を持ってきた。
それに男は何やら書き込んでいく。
そして書き終えると、インクが乾くまで待ち、乾くと折りたたんだ。
「では、今回はここらでお開きとしようじゃないか。疑問等がわいたらまたの機会にしてくれ。俺は今から紫と、過去に行く必要がある」
「あなた、過去にいけるの!?」
その突然の告白に紫は、驚いたような顔をする。
「あぁ、俺の能力を併用してだけどね。それで、紫一緒に言ってくれるかな?」
その問いに紫は少し考える。
「ねぇ、貴方って。ジュンの未来の姿なのよね」
「そうだが……」
そう言って紫はグヘヘと、少し一般大衆に聞かせてはいけないような笑みを零した。
すると、突然紫はバサッと男の腕に抱きついた。
「もっちろんOKと。さっ、一緒にいきましょ!」
「ちょっと、何勝手に引っ付いてんのよ紫! あんたにはジュンがいるでしょ!」
「ふん。彼もジュンですものねぇ? ジュン?」
紫が男の腕に抱きつくと、霊夢が凄い勢いで紫に怒鳴りかかる。
そして紫がいった事に幽々子は溜息をついた。
「はぁ、紫。あなたそんなに血の多い人だったなんて。これで絶対にジュンを八雲家にだすわけには行かなくなったわね」
その言葉を聞いて顔を青くしたのは紫と、もう一人八雲藍であった。
「紫様! 私の計画に師匠が出るような事をしないでください!」
「ちょっと聞いてるの? 紫!」
紫は、サラウンドで聞こえてくる両者の怒鳴り声に耳を塞ぐ。
「あー、やだやだ。女の怒鳴り声はやかましいわね。いい? 貴女たち聞きなさい。良い女はね、男の一人や二人囲って当然なのよ」
その言葉に二人の怒鳴り声はさらに激しさを増した。
そんな、やり取りを男は笑いながら見ていた。
「まぁまぁ、三人とも。そこまでに。それと紫それもどうかと思うぞ? そんな事言ったらそこにいるジュンがかわいそうだ。」
「「そうよ!!」」
「二人も抑えて、そろそろ私たちは、行かないと不味いような気がするので行ってくるな」
男は言うと指をすいーっとしてスキマを開ける。
それは、紫がいつも開く隙間と違って黄色だった。
「じゃ、皆。私はジュンとの過去旅行を楽しんでくるとするわ」
男はなにも言わず。紫は手を振りながらスキマの中に消えた。
男が消えた瞬間。
「ジュン!」
先ほどまで、目を瞑っていたままだったジュンが目を覚ました。
その事に気がついた妖夢は喜びの声をあげる。
そして即座に膝の上で眠っていたジュンを抱き上げるとジュンの顔を頬ずりする。
「ジュン。やっと起きたのね。皆も心配したのよ?」
そう言ったの幽香。
立ち上がり、ジュンに近づくと腰を下ろしてジュンの頭を優しく撫でる。
なすがままのジュンは状況が良く飲み込めていなかったようで目をパチクリとしていた。
「え、えっと。皆どうしたの?」
どうやら、さきほどまであった異変の事を忘れているようだった。
「ん、皆。ジュンがおきてくれてうれしいよーって言ってただけよ」
慈愛の勘定を込めた笑みを浮かべて幽香は言った。
「幽々子さま、申し訳ありません。主があんな事をいたしてしまって」
「そうよ、酷いわ。全くうちのジュンがかわいそうで仕方ない」
藍は、自分の主がした不躾な事について謝罪したのだが、幽々子にそういわれては藍としては、ただ縮こまる事しか出来なかった。
大して少し辛辣な言葉を吐いた幽々子で会ったが、その顔は笑みで埋まっおり、先ほどから妖夢、ジュン、幽香がいる方を見ていた。
「ねぇ、藍。」
「難でしょう。幽々子様」
「あのジュンの表情を見ていると、やっと平和が戻ってきたんだなって感じがしない?」
そういわれた藍はジュンの表情を見る。
妖夢と幽香が傍にいるためによくは見えなかったのだが、それでも笑みを浮かべていることは分かった。
そんな、ジュンを見ると、藍は自分の主がした失態などどうでもよくなった。
「そうですね幽々子様」
こうして、幻想卿の平和は続いていく。。。