今日は博霊神社にて大きな宴会が開かれていた。見れば所狭しに妖怪やら、数は少ないが人間やらそれにつられて集る妖怪などたくさんの人(?)達で溢れていた。
妖夢や、藍、それに咲夜。料理を作る者達は忙しそうに走り回っていた。まるで、戦争であった。
その集った勢力の中の一つ、児童組。そこでも一つの争いが生まれていた。
「ジュン? サイキョーのあたしにお酌しなさい!」
「はいはい」
そう言ってジュンはチルノの持っている徳利に酒をトクトクと注ぐ。それを見てチルノはフフンと笑みを浮べていた。
それを少し離れたところでジト目で睨んでいた者が一人いた。
(くっ、何で。ジュンとサルノがこんなに仲良くなってるの? 寺子屋でジュンと仲良くなってラブラブ生活を送るはずだったのに……)
橙は持っている徳利をクイッと煽る。そばに控えていた紫が橙の徳利に酒を入れる。
「あら、橙。良い飲みっぷりねぇ。ほら、もう一杯」
「うぅ~。紫様~」
橙は紫に泣いて抱きつく。
何で、こんな事になっているのか。それはジュンの妖夢お手製お弁当をチルノが氷付けにし、ジュンが切れた時まで遡る。
あの後、ジュンは慧音や、幽々子、紫、妖夢から大目玉を食らい、一日中お布団に入りぐじぐじしていた。
そのジュンが泣き包まっている布団に一人近付く人物がいた。
「どうしたの、ジュンくん?」
「ぐすっ、だって、だって悪いのはチルノなのに幽々子も、紫も妖夢も僕を怒るんだもん」
「そっか、酷いわよね。ジュン君は悪くないのに」
藍であった。
藍はそこまで言うとジュンの寝ている布団に自分も入り幼い子供にやるように抱きしめながらジュンの頭を撫でる。
「でもね、チルノはお馬鹿さんだから。またこういう事があるかもしれないじゃない? その時また、紫さま達に怒られる事にならないように考えましょう」
「でも、どうすればいいのか分からないよ」
「そういう時はね。とりあえずハイハイっていう事を聞いておけば良いのよ」
藍は自分が紫から理不尽を押し付けられたときの対処法を話す。
ジュンは幽々子の胸の当たりに自分の顔を押し付けて決して顔を見せようとはしなかった。
藍は胸の当たりが湿ってきたような気がしたが気にせず、ジュンの頭を撫でていた。
ジュンは先ほど藍がいった事を了解するように頭を縦に振る。
「よしよし、偉い偉い。それでこそ男の子だぞ」
藍はジュンがまたもや事件をお越し、紫等に怒られ落ちこんでいたために幽々子がジュンの励ましになるようにと幽々子が呼んだのである。
そして、幽々子の目論見どおりジュンは少しだけふさぎ込んでいた状態から回復した。
ジュンは藍が撫でるその感触に身を任せ意識を闇へと落としていった。
と、このような事があったのである。そんな訳でジュンはチルノの言っていることを仕方なしに聞いているのだった。
しかし、その事を藍は橙に話してはいない。
「ふん、私向こう行ってくる」
橙はしばらくジュンとチルノを見詰めているとイライラした表情を隠す事無く二人のいる場所とは藍がいる場所へと行ってしまった。
その事に紫は優しそうな笑みを浮かべ自分も立ち上がると、紫も橙についていく。
ここからだ、ジュンとチルノのパッと見運命がマジわらなそうな二人が濃い絆を結ぶ事になった出来事が起きたのわ。
「ジュン、あたしはちょっと暇になってしまったからこれから探検に向かうわよ」
「はいはい」
先ほどまでお酒を飲んでいたチルノは突然そう言い出した。
対してジュンは、なんでもハイハイと返す癖がついてしまったせいか肯定で返事を返してしまった。
瞬間、チルノが何を言っていたのか気付き嫌な顔をする。
「さっ、では行くわよ!」
「まっ!」
そう言ってチルノはジュンの手を取り空へと飛び立ってしまった。
ジュンはその行為をやめさせようと声をあげるが、チルノが突然飛び立ってしまったために声をあげることが出来なかった。
その間二人を見ている者はいなかった。
チルノは空高く飛び立つと、一旦空中でバランスを取りフフンと笑いながら当たりを見渡す。
チルノの右腕にはジュンが落ちないようにと必死にしがみついていた。
「ジュンにはこれから私がよく修行をしているところを教えてあげるわ」
そう言うと、チルノは幻想卿の一角にある何時の時期でも氷山になっている方向へと飛び出す。
腕で必死に抗議の声をジュンがあげるがチルノはそれらを全て無視する。
ジュンの目の前に高速で迫ってくる氷の山。それにジュンは情けない声をあげる。
「う、うわぁぁあああああああ!」
すると、チルノは目の前すぐそこに氷山という状況で急ブレーキをかける。
ジュンは当然のごとく慣性の法則で前へと放り出される。ジュンの尻に氷山の表面がかさる。
「つめたっ!」
「うーん。ジュン、いちいちうるさいわねぇ」
「そんな事言われても僕は普通の人間だから……」
「なら、ジュンの能力で冷たいのを拒絶しちゃえば良いじゃない」
「そうか!」
「やっぱり、あたいっててんさーい」
キャハハとチルノは甲高い笑い声を上げる。
ジュンはチルノに言われ始めて気がついたようで、拒絶をする程度の能力を使い周りの温度干渉を拒絶する。
さらに、真似をする程度の能力をつかってチルノの氷の羽を真似し、チルノの腕を放して自ら空中に浮いた。
「ジュンもやれば出来るじゃない。あたいの真似をすればジュンもサイキョー一直線よ」
そのジュンの姿を見てチルノははしゃぎだす。
それを見たジュンは溜まらず苦笑いをしてしまう。
「じゃ、あたいがいつも使ってる基地へと行くわよ!」
「あっ、まってよ!」
そういってチルノは氷山のとある洞穴のような場所まで飛んでいく。
それを慌てて追いかけるジュン。
進むにつれ周りの温度も低くなっていった。それに比例するようにジュンの拒絶をする程度の能力の出力が上がっていく。しかし、その事にジュンは気づいていなかった。
ジュンとチルノが氷山で修行という名の遊びをしだしてから既に数時間たっていた。
空を見ると、かなり暗くなっていて幽々子たちが心配していると思ったジュンは連絡を取ろうとした。
「チルノ? ちょっと、幽々子たちに連絡したいんだけど」
ジュンは何気にチルノと遊ぶ事に熱中し始め今日は帰りが遅くなるようだった。
「ん? それなら、そこらへんにいる妖精を使えば良いわよ」
ジュンの問いかけにチルノが答える。
いま二人がやっていることは氷山の洞穴をドンドン先に彫っていくという単調な作業である。
チルノはこの先に何か凄いものがあると信じて止まず、今はジュンがいて二人なので今のうちに掘り進めておこうという話しになったのである。
「じゃあ、ちょっと白玉楼に僕は帰るのが遅くなるって伝えておいて」
ジュンはそばにいた妖精に頼む。妖精はいやいやそうだったが頼まれそのまま消えていった。
「じゃあ、ジュン続きを彫るわよ」
そういってジュンとチルノの二人はドンドンと先へと進んでいった。
そして、ある程度まで掘り進めたときジュンがふと、気付いたように辺りを見渡す。
「チルノ、ちょっと。静か過ぎない?」
「んー。気のせいじゃない?」
周りには生物の気配がまったくせず、先ほどまでいた妖精達も一匹たりとも消えていた。
その事にジュンはチルノに警鐘を鳴らすが、チルノはまったくと言っていいほど取り合おうとはしなかった。
ジュンはそんなチルノの様子を見てここに一番詳しいチルノが言うのだから問題ないのだろう、と気にすることをやめた。
「ジュン! 穴があるわ!」
そしてさらに彫り続けたときチルノが叫んだ。それを聞いたジュンは後ろから前へ顔を覗かせる。
さきほどからジュンは何故か体力の消耗が激しく、息切れが凄かったため彫る作業をチルノに任せたのだった。
すると、ジュンとチルノが見詰める先には確かに穴があった。
しかし、それは一見した所普通の穴とはどこかが違っていた。
「チルノ! その穴は危ないよ!」
そう、その穴はまるでこの世界ではなくどこか別の世界、異世界に繋がって良そうな穴であった。
「ふふん! さっ、行くわよ!」
「あっ!」
その不気味な穴にジュンが叫ぶが、チルノはその叫びが耳に入っているのかいないのか。一人でその穴へと飛び込んでいってしまった。
チルノが穴に飛びこんで行ってしまい。一人残されたジュンはぼーっとしていた。そしてハッと今の状況が理解した時ジュンは叫んだ。
「あー、もう。チルノの馬鹿!」
そう言ってジュンもチルノのあとに続いた。