ガンダムビルドファイターズ 黒き帝王と白き皇帝 作:MR.ブシドー
「本当に……ガンプラバトルを辞めるか?」
「ああ……俺はもうガンプラバトルをする気はない」
二人の少年はガンプラバトル部と書かれたプレートがある部室でそう話をしていた。
引退試合も終わり、問い掛けた少年は少し前に問われた少年が前に言っていた事を確認する。
引退試合を終えたらガンプラバトルを辞める……問われた少年はそう言っていたのだ。
「ならせめて蛍と同じ高校へ進んで欲しい!一緒に居て欲しいんだ……」
「それも無理だな……すまないが諦めてくれ」
そう言って問われた少年は背を向け歩きだし、少しずつ遠ざかって行く。
問い掛けた少年は手を伸ばし追いかけようとするが、伸ばした手を握り締めた。
「蛍は武が戻ってくるの待っている……!だから……だから……ッ!」
問い掛けた少年-白柳 蛍はそう叫び、問われた少年-黒河 武は背を向けたまま手を振る。
この別れが新たな戦いの幕開けになるとは、二人は思ってすらいなかった。
◇
入学式が終わり、数日経った。
仲の良いグループが出来始めたり、部活を始めたりしている頃であろう。
だが……黒河 武は違った。
仲の良い人物と共にいる訳でもなく、部活を始める様子もない。
常に一人で居るのだ。
昼休みになり武は何時も通り屋上の小陰へ行くと、弁当を食べ終えてから寝転がる。
「……ガンプラバトルを辞めるって言っても、お前だけは手放す事が出来ずにいるんだよな」
肌身放さず持っている腰に付けているガンプラケースに触れ、武は一人でそう呟いてから大空を見上げた。
ガンプラバトルを辞めてからも愛機であるガンプラを手放す事がはなく、一人言の様にずっと話しかけているのだ。
武は大空を見上げたままボーッとしていると、屋上のドアが開き誰かやって来る。
「はぁ……期限は今週なのに、この調子だと一人も集まらなかいよ……」
入って来たのは武と同じクラスの女子であった。
自己紹介の時に名前などを聞いていなかった武は同級生と言う事はわかったが、名前まではわからずにいるのだ。
「お姉ちゃん達が守って来た部活、潰したくないのに……」
武と彼女の二人しかいない屋上では、彼女の声がよく聞こえた。
興味がなくとも武の耳に入ってきてしまう。
「最悪、私一人で戦うしか……ないかな?大丈夫だよね、クシャトリヤ」
「クシャトリヤ?」
「だ、誰!」
クシャトリヤと言う言葉に武は反応してしまい、音を立ててしまった。
音を立ててしまった事で気付かれ、彼女は武がいる方を見る。
「貴方は……確か同級生の……」
「黒河 武だ。別に覚えなくてもいい」
「黒河、君……もしかして聞かれちゃった?」
「もしかしなくても聞こえた」
彼女は困った様に笑い、溜め息をついてしまう。
悲しそうな彼女の様子に……武は頭をボリボリと掻き、何故か彼女と蛍が重なってしまった。
「ったく……そんな顔するなよ。話ぐらいなら聞いてやる」
「……ごめんね?それと、ありがとう。実はね……」
ポツリポツリと彼女は語りだした。
彼女はガンプラバトル部の部員……っと言っても彼女の姉やその部員も卒業してしまい、部員は彼女一人と後一人の二人だけだ。
そのため生徒会から廃部と言われたのだが、彼女は部の存続を願い出たのだが……そのための条件が部員を3名集め、実力を示す事である。
部員が3人集まり、生徒会が申し込んだ対戦校にガンプラバトルで勝てば部の存続は決まるのだが……一人は決まったのだが、その人物は初心者であるため勝つのは厳しいであろう。
それに後一人決まっていないため……このままではバトル以前の問題である。
「ふぅ……話をしたら大分気が楽になったかな……」
「ん?ああ……話を聞いたぐらいに役にたったなら何よりだよ」
「うん!本当にありがとうね!!」
彼女はブンブンと手を振ってから屋上を後にする。
一人取り残された武は彼女が去って行った方を見ながら、無意識に腰のガンプラケースを触れていた。
「っとチャイムが鳴ったな」
すぐに昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響き、武は少し急いで教室へと戻って行った。
◇
先程、武と話していた女子生徒-赤羽 弥生は自分の席に座るり、窓から外を見ながらあることを考えていた。
黒河 武と言う名前に聞き覚えがあるからだ。
姉から聞かされていた弥生と同じ年齢で中学生のタッグ戦で優勝した人物と同じ名前なのだが……それほど有能な人物が名門でもないこの高校に進学する訳がない。
(同姓同名の人物、なのかなぁ……本当に彼だったら嬉しいのに)
そうすれば希望が繋がる……っと考えていた所で首を横に振った。
これは自分たちで切り開いていかなければならない道なのだ。
他人にすがって勝つ勝利では意味がない。
弥生は気持ちを切り替えて、後一人を探す事に集中することにした。
◇
学校が終わり武は図書室で本を借りてから、帰路につこうとしたのだが……ある部屋の前にいる人物たちに気付いて隠れていた。
武が昼休みに話をしていた弥生と見知らぬ男子生徒に、生徒会長と副会長である。
「それでもう一人は集まったのかな?期限は対戦校は彼方の都合上……明日までになる」
「あ、明日って……そんなの無理に等しいじゃないですか!」
「無理なら諦める事だな。では生徒会の話は以上だ」
言うことだけ言い生徒会長は副会長を連れて去って行き、部屋の前には弥生ともう一人だけが取り残された。
二人の顔は絶望に染まっており、その場に立ち尽くしている。
「こ、このまま立っていても仕方ないよね!まだ学校に残っている人がいるかもしれないから探してくる!!」
「あ、赤羽さん!」
弥生は走りだして男子生徒は取り残され……弥生は曲がり角にいた武とぶつかってしまった。
武はかなり身体を鍛えているため女子がぶつかっても問題はなく、逆に弥生は尻餅をついてしまう。
すぐに残されていた男子生徒も駆け寄って来たのだが、その視線は武と弥生を交互に見ていた。
「イタタ……あ、黒河君……?」
「ああ。大丈夫か?」
武は弥生を助け起こそうと手を差し出すと……両手で差し出した手を掴まれた。
いきなりの事で武やもう一人の男子生徒が戸惑っている中、弥生だけはかなり真面目な様子で武を見ている。
「黒河君、明日だけでいいので協力して!」
「ちょっ、いきなりは不味いでしょ赤羽さん?!」
昼休みの話で何よりに協力すればいいのかは、聞かなくてもわかっていた。
明日だけ協力するなら簡単だが武は首を横に振る。
ガンプラバトルには二度と関わらないと決めたのだ……協力する事はできない。
「そっか……ごめんね、いきなり言っちゃって……」
弥生は武の手を放し、走り去って行く。
男子生徒は走り出した弥生を追いかけ走り去って行き、その場には武だけが取り残されしまった。
武の本心は出来ることなら協力したいと言う気持ちはあったのだが、それでは蛍と別の高校に進学した意味も無くなってしまう。
「これで……いいんだよな……?」
武はその場で借りて来た本を握り締め、逆の手は腰のガンプラケースを触れていた。
っと言う訳で第1話 決別になりました
ちなみにこの作品の主人公の黒河 武はヅダの亮のモデルキャラ?になります!
次は何時になるかわかりませんが、自分の作品を読んでくださっている方に心よりの感を……