東方喰種:MM~美食家が幻想入り~   作:ナライ

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凄く遅れてしまいましたすいません!定期で用事ができてしまったんで今まで投稿ができませんでした。あと、データが消えたりもして大変でした...。
でも!嬉しいこともあって!嫁セイバー当たりました!(二枚!)ついでにジャンヌも来ちゃって...もう今年の運全部使い果たしたんじゃないのかな?

パンパンだったフレが空いたのでID貼っときますね。孔明、玉藻、欠片男とかだと嬉しいです。

あと今回初めて挿絵投稿します。これを書き終わってから描いたので雑いですwあまりにもひどいと思うのなら削除ともう絵は投稿しないようにします(保険)

まぁ、そこんところは感想に書いておいてください。

で、今回は結構、展開速いんでそこんところは温かい目で(約束)

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第九話 二乗

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――と言う事よ...」

 

「...」

 

 レミリアはこれまでにあったこと全てを話し終えた。それを聞き咲夜は絶句する。なぜならどれだけ異常な状態にフランがなっていたとしても、いつもの明るかったフランの思い出が話された事実よりも勝るからだ。

 

「お嬢様、まずここから離れましょう お嬢様は回復したばかりですから私が背負わせて頂きますね」

 

 とレミリアを背負う体勢に咲夜は入ろうとする。が...

 

 クラッ...

 

 眩暈がし思わず床に手を付いてしまう。

 

「やっぱり貧血症状を起こしていたのね その様子だと今の能力を維持するのもやっとでしょ」

 

「...」

 

 自身の身体のことを主に正確に指摘されて不甲斐無く思ってしまう咲夜。落ち込んでいる咲夜に向って静かに答えた。

 

「いいのよ咲夜、貴女は私の命を救うために今の状態になっているのだから私は何とも思っていないわ だから貴女も自分を責めないで それに、回復したばかりであまり体は動かせないけど貴女をパチェたちがいる壁際の方までは運べるわ あと咲夜 能力、解除してもいいわよ」

 

「え...?」

 

 レミリアはある方向に振り向く。

 

「あんな遠くに...きっとシュウは私たちの危険を失くすためにフランを向こうに誘導してくれたようね...」

 

 咲夜は刃を交える二人の方へ視線を向ける。

 

「...シュウ...」

 

 四肢を無くしたレミリアを全快させるには大量の血液が必要なのは月山も既知していた。それで月山は咲夜にレミリアのことを頼んだのだ。そしてその後、咲夜がレミリアに自身の血液を与え、疲弊することも予期していた。そう月山はレミリアたちの逃げる時間を稼ぐためにワザと向こうの壁際まで移動し、刃を交えたのだ。

 

「咲夜、私が手を貸すから向こうまで行きましょう 能力の使用もやめなさいじゃないと今度は貴女の命が危ういわ」

 

「...いいえお嬢様向こうへ行くまではこの力を止めるわけにはいきません 妹様は既に私たちが思っている力の範疇を超えてしまった存在 この距離でも、もしかすればシュウの攻撃を避けてこっちに向って来るかもしれません。お嬢様のお命を守る私にはそれは絶対に阻止しなければなりませんし、シュウもこっちを気にして戦いに集中することができません だからこの力は向こうに着くまでは何としても続けます それに...」

 

 咲夜は告げる自身の揺るがない信念を。そして、何よりもまだ知り合って三日も経っていないが新しく自身に出来た大切な者への思いを。

 

「シュウの重荷にはなりたくないのです」

 

 レミリアは咲夜の覚悟を身をもって知る。そして、あの堅物だった咲夜にここまで大切に思わせている月山習と言う男の底知れぬ影響力を...。

 

「...そこまで言う貴女はもう何を言っても聞かないものね それじゃ頑張ってちょうだい 私もなるべく早く貴女をパチェたちがいる方へ運ぶわ」

 

「...お手数をお掛けします」

 

 そう申し訳なさそうに咲夜は言い、レミリアの手を借りてその場所から離れた。

 

 

 

 

 

 

-------------------

 

 

 

 

 

 

「シュウ!」

 

 遠くの方から僕の名を呼びかけるレミィの姿があった。失っていた四肢は新たに構成され、折られた首も元に戻っていた。

 

「良かったよレミィ!無事だったのかい?」

 

「...よく言うわ分かってた癖に」

 

 互いの無事を確認し、喜び合う僕らだったがその反面、隣から黒いナニカが感じ取られた。

 

「チッ...生きてたのかよ... あの時粉々にしておけば良かった...」 

 

そう言って大鎌を携えた少女は鋭い眼光をレミリアに向けギリッと歯噛みをする。すると瞬間、彼女はレミリアに向って飛び出していた。

 

「だったら今度こそぶっ殺...」

 

 ブォン...

 

しかし、少女の目の前には深紫の大剣が向かうべき進路を見事に塞いでいた。

 

「Wait(待ちたまえ)君がテイスティングするのはこの”美食家”月山習だよ but...(しかし...)君に食べられる気はさらさら無いがね」

 

そう言って僕は少女の前に立ちはだかる。僕が邪魔したことが気に食わなかったのか少女は苛立ちをさらに大きくさせる。

 

「邪魔するな キザ野郎!!」

 

少女は所持している大鎌を僕に向け大きく振りかぶる。苛立っている少女の攻撃は先程の攻撃よりも単調で直線的だった。

 

ブオンッ!!

 

物凄い勢いで大鎌は僕に向かって振り下ろされるが攻撃が読みやすくなっているため先程よりも簡単に僕はその斬撃を軽々と回避していく。

 

「アァ!!アッ!!ウッアァ!!!」

 

ブオンッ!!ブオンッ!!ブオンッ!!

 

少女は何度も何度も怒りの感情を込めた斬撃を繰り出し続ける。が、その斬撃は標的である僕には掠りもせず何度も空を斬ってしまう。

 

「フフ...どうしたんだい?そんな感情任せの攻撃じゃあ僕をkill(斬り殺す)ことはできないよ もう少しcalmato(落ち着きたまえ)...」

 

「! ...確かに」

 

 コン...。

 

 少女はそう言い、大鎌を振り回すのを止めた。

 

「スーーハ...スーーーーハ......」

 

 すると少女は気持ちを落ち着かせるためか深呼吸をし始めた。

 

「...意外とdocile(素直)に聞いてくれるんだね」

 

 苛立たせてもっと戦い易くしようと思ったのだが、僕の予想を裏切り素直に僕の言う事を少女は聞いた。そんな少女の急激な態度の豹変に少し驚いた。その時だ―――

 

 ”シュウ 聞こえるかしら?”

 

 僕の頭の中にレミィの声が響いた。

 

 ”ん?レミィかい?これは...?”

 

 ”これは魔法の一種である念話(テレパシー) 因みに相手に伝えたいという意思がなければ心の声は相手に届かないようになっているからそこんところは安心しなさい。さっきは思わず貴方の名前を呼んでしまったけど、今は戦いの最中...こうして伝え合う方が都合良いでしょ それに貴方には今すぐ伝えなくてはいけないことがあるの...”

 

 ”妙に深刻気だね だが君が心配するほどのことではないよ... 僕が負けることは絶対にないし、僕には必ず勝てるという保証があるからね”

 

 ”...そういう事じゃないの... 今、貴方に話すことは貴方の目の前にいる娘の事よ... まず、その娘の名は『フランドール・スカーレット』 私の妹よ”

 

 ”ッ!?”

 

 そうレミィに言われて僕はもう一度目の前の少女を観察する。

 

「スゥーーーハァーーーー...スゥーーーーハァーーーーー....」

 

 目の前の少女は大きな呼吸を何度も繰り返している。髪色は金で、翼の形状もレミィとは違ってはいるがそう言われてみると目はレミィと同じ緋色、背丈や年齢も同程度に見える。だが、あの時感じたレミィによく似た香りは彼女から一切感じられなかった。

 

 ”確か君の妹は僕が来ただけで地下室に籠ってしまうようなshygirlと言う話じゃなかったかい?あっ...でも少々気が荒いとも言っていたかな...?地下室に行ったら八つ裂きにされるんだったっけ?”

 

 僕は昨日、レミィから聞いていたフランの話を思い出す。

 

 ”あれはほんの冗談よ あの娘は昔から家族思いの優しい娘よ...でも...いいえ何でもないわ”

 

 レミィは何かを隠しているようだった。でもそれを聞く権利は僕には無い。今、僕が聞くべきことは何故このような状況に陥っているのかそれだけだった。

 

 ”...で、何故、君の妹がこの紅魔館を壊し、君やこの紅魔館の住人を傷つけたんだい?”

 

 レミィは少し念話を黙っていたが、暫くするとその重い口を開け、悲痛に満ちた震えた声でそれを言った。

 

 ”.......それは、私のせいなのよシュウ...”

 

 ”?...それはどういうことだい?”

 

 ”実はね 私たちもこの幻想郷にやって来たのは少し前のことなのよ 元々は外の世界に私たちはいたし、この紅魔館も外の世界にあったの”

 

 レミィたち紅魔館の住人は元々は外の世界にいたらしいということをレミィは僕に話した。だがそれが彼女を豹変させたことと何の関係があるのだろうか?レミィが伝えたいことはその原因がこの幻想郷に来る以前にあったという事だけは分かる。

 

 ”察しづいてくれているとは思うけど、あの娘があんな風になった原因はその頃にあった...いや、その頃から続いていたの...私はあの娘を一度も外に出さなかった ずっとここに来るまで地下室に閉じ込め続けていたのよ...”

 

 ”何故、そんなことを彼女に...?”

 

 ”...フランが大切だったからよ 所謂、箱入り娘...いや箱入り妹と言うべきかしら 外の世界は私たち吸血鬼を含め妖怪が生きていくにはとても厳しい環境なの あの娘はとてもやんちゃでね このままでは自力で勝手に外の世界に出っていってしまうと思ったの だから私はあの娘の意思を無視して閉じ込め続けたのよ...過保護と言うやつね”

 

 ”ということは彼女は自分を閉じ込め続けた君のことを恨んでこんなことをしたという事かい?”

 

 ”それもあるけど...そんなことだったら私だけを襲えばいい... パチェたちを襲う理由にはならないわ”

 

 ”ということはまだ彼女をlunatic(狂人)にさせた原因があると?”

 

 ”ええ...それはフランを閉じ込めたことで皆に抱かせてしまった『恐れ』よ...”

 

 ”fear...(恐怖...)?”

 

 ”私がフランを閉じ込めたという本当の理由はパチェたちの紅魔館メンバーしか知らないわ 勿論、フランは自分が閉じ込められた本当の理由は知らない だったらフランを含む知らない者たちは「何故フランが閉じ込められているか?」という疑問が頭に浮かぶ。そしてそんな疑問を解決させようと知らない者たちによって作り出された理由がフランをあんな風にしてしまった最大の原因なった... 『フランは地下室に閉じ込めなければならないほどの問題児』という理由を噂として作り出し、フランの耳にもそれが入ったのでしょうね 今思うとあの娘もその噂を信じ切ってしまっていたのかもしれないわね...”

 

 ”何故、理由を教えなかったんだい?”

 

 ”あの時の私はフランを守る事だけで頭がいっぱいだったのでしょうね あの娘が外に興味を持つことを極力避けたかったのよ フランには外の世界は危険だと教え続け、咲夜以外のメイドたちにはあの娘に外のことを話さないように本当の理由を教えなかったし、あの娘と面会できないように地下室の扉を細工したりもしたわ そして噂は時に真実になりえる 私はこの幻想郷に移住しようと考え、紅魔館ごと幻想入りしたときよ 実はこの時、私はフランを外出させようと考えていたの この幻想郷は人間も妖怪もある形ではあるけど共存して暮らしている。ここならフランを心配なく外出させることができると思ったのだけれど... フランはその噂通りになってしまった...”

 

 ”...フランは外に出すことができないほど問題児になってしまった 噂が通りになってしまったというわけだね...”

 

 ”ええ、幻想郷に着いたとき、あの娘を地下室から出してみんなの前に出させた時にね 幸い怪我人は出なかったし、今日程ではなかったけど紅魔館中をあの娘は暴れ回ったわ それも人が変わったように... それで結局フランをまた閉じ込めることになってしまったのよ。ま、すぐにそんな状態は嘘みたいに消えてしまったのだけど... でも、今回あの娘は間違いなくその事で暴れている あの娘はね私にこう言ったの「”その目”で見てくる」って 自分を気味悪く見てくるって...そう言ったの!あの娘はそう見られていたのよ!初めてみんなの前に出したとき噂の理由を信じた者たちに!私が知らない間にフランは疑心暗鬼になってしまった!フランは何も信じることができなくなってしまったのよ!!私が正直にあの娘を閉じ込めた理由を言わないから!結局、あの娘を苦しめることになってしまった...”

 

 フランは他人から恐怖を与えていた。そしてそれを自覚していた。自分はそういう存在なんだと嘘の理由を信じて...。そして実際に自分がそういう目で見られているのを実感してしまった。だから彼女は暴れまわった。そういった者たちを嫌悪し、憎み、そしてこの現実を壊したいと思ってしまったから...。だが、それが彼女の噂を更に肯定し、精神を蝕んでしまうことも知らずに...。

 

 ”本当にそんな目で君は彼女を見たのかい?”

 

 ”見るわけないでしょう!?そんなわけあるはずないじゃない!!だってあの娘は私の大切な...たった一人の妹よ...”

 

 僕の精神に響く彼女の声は愛と哀で震えていた。だがレミィがフランに恨まれるようなことをしていないことは分かった。それとは真逆にレミィがフランに注ぎ続けた愛情の大きさを僕は実感した。そしてフランのことも...。

 

 ”だったら心配しなくてもいいよレミィ 彼女は少し勘違いをしているだけさ こんなにも自分のことを愛してくれている姉を恨むなんて普通に考えて可笑しいことだ だから君は何も心配しなくていい...本当の彼女は君を愛しているはずさ 君が知っているフランドール・スカーレットはこんなことをするような娘だったのかい?”

 

 ”ッ!!”

 

 僕の放った言葉にレミィは暫く黙った。どうやら何かに気づかされたようだった。この様子だ、おそらくレミィの中の彼女がそういった存在で無いことはよく分かった。

 

 ”だったら今考えられることはたった一つだ 『彼女は何かのせいであんな状態になっていること』 何か心当たりはないかい?彼女の豹変ぶり以外でいつもと変わってることとか?特に僕が聞きたいのはあの鎌は元々彼女のものなのかどうか?”

 

 ”...いいえ、私もあの大鎌は初めて目にしたわ まさかシュウ、貴方はあの鎌について何か知っているの?”

 

 ”ああ、僕の世界でよく目にしたものによく似ているんだアレは でも僕が知っているアレには人を狂わすような力は無かったはずだが...いや、元は赫子からできているから狂わす要素はあるのかもしれない...”

 

 そう言って僕は喰種の本能によって狂わされた彼のことを思い出す。もしかするとあのクインケに似た大鎌にはそうさせてしまうような影響力があるのかもしれない。

 

 ”これは僕の推測なのだが、もしかするとあの鎌を破壊すれば元の彼女に戻るかもしれない”

 

 ”!それは本当なのシュウ!!”

 

 ”ああ、おそらくね 急にあんな風におかしくなってしまうのは普通では考えられない...という事はあの大鎌が彼女をおかしくさせた原因の可能性は高い”

 

 ”...でも、あんな大鎌をあの娘は何処で手に入れたのかしら?”

 

 ”分からない だがこれでやるべきことは見つかった 僕は彼女と戦い、その過程であの鎌を破壊すればいいんだ”

 

 でも、あの鎌を彼女は本当にどこで手に入れたのだろうか?あの鎌も僕と同じように僕の世界から誰かにこの幻想郷に呼び出されたのか?だが、ユカリも言っていた。この幻想郷に来るのは世界から忘れ去られたもの、もしくは自分から否定されたいと願ってしまったものだと。それらのきっかけがなければどんな強大な力を持つ者でも遥か遠くに存在し、並行する世界のモノをこの世界に持ってくるなんてことはできない。無論、記憶は無く、今でも信じることはできないが、それは僕にも言えることだ。そして僕の世界にあったクインケという武器は世界から忘れ去られるようなものではない。クインケは僕ら喰種を駆逐するために使用する武器だ。これを忘れようものなら人類は喰種の対抗手段を失ったことと同じことになる。だからまず人々(喰種捜査官のみだが)から忘れ去られることなんて考えられない。そしてクインケは武器だ。武器が否定されたいという意思を持つなんて考えられない。

 

 そんなことを考えていると、レミィの今にも消え入りそうな声が僕の頭に響く。

 

 ”ねぇ...シュウ... 貴方にお願いがあるの...”

 

 ”ん?何だい?”

 

 ”約束して、あの娘を...フランを元に戻して...!優しくて、無邪気で、笑顔の可愛い元のフランに... だかr...”

 

 ”Non...(言わなくてもいいよ...)”

 

 そう言って僕はレミィの言葉を制止させる。

 

 ”大丈夫だよレミィ 君の言いたいことは十分分かっている。僕は彼女を殺さない 殺さず彼女を...フランを君の元に返してみせるよ ...C'est promis(約束だ)”

 

”...な、何で...貴方はそこまでしてくれるの?私たちは知り合ってまだ三日も経ってない仲よ でも何故そんな簡単に貴方は命をかけることができるの?”

 

 ...そうだよね。レミィから見れば僕のしようとしている行為はとても異常なのかもしれない。否、一般的に見てもだ。知り合って僅かな日数しか経っていない人物の言う事を聞き、素直に命をかける―――。

 

 ”確かに...abnormal(異常)だね”

 

 自身でも自身の異常性を理解した。

 

 ”以前の僕なら君の言う事を聞かなかったと思うよ でもね、レミィ 僕は大切な者を失う苦しみをよく知っている... だから君の大切な者を失わせるわけにはいかない たったそれだけの理由だよ...”

 

 脳裏にはあの情景が...。目の前を進んでいく彼の姿。そして―――。

 

『僕の手から離れる誰かの手』

 

 あの時の彼が何故僕の呼びかけに応じず、あのまま死地に赴いていったのか。未だに彼の心境を僕は理解することができない。でもこれだけは解る。

 

 『もう、大切な者たちを失いたくない』その気持ちをあの時、抱いたことは....!

 

 

 ポタッ...ポタッ...ポタッ...

 

「...!」

 

 僕の耳に何かの音が聞こえてくる。

 

 遠方...位置...水滴...涙...

 

 泣いていた。泣いていたのだ。紅魔館の主、レミリア・スカーレットは。傍にいた咲夜も戸惑いを隠せないでいる。

 

 

 ”...ありがとう”

 

 次にレミィの声が僕の脳裏に響いて来た。その声は感謝に満ち震えていた。

 

 ”礼には及ばないよ これは僕の勝手だ それに、もう向こうは準備が出来たようだしね...”

 

「よっよっと、よいしょ!ほっ!と」

 

 グルングルングルン....ガギィン...

 

 先ほどまで深呼吸をしていたフランはそれを終え、手持ちの大鎌を振り回し、柄の先を地面に突き置く。

 

「どうだい?気持ちは落ち着いたかい?」

 

「ええ、さっきは忠告どうも お陰様で今度こそ冷静にそして確実にアンタを殺すことができるわ」

 

「...君 レミィの妹だったんだね 名前は...”フランドール・スカーレット”だったかな?」

 

「...そうか、あいつのテレパスで教えてもらったのか...ええ、そうよ。私の名前は”フランドール・スカーレット” フランって呼んでね まぁ、アンタを殺すまでだけど」

 

「そうか、フラン。君が自己紹介をしてくれたんだ僕もしなくてはいけないね。僕の名は”月山習”。君も知っていると思うが新たにこの紅魔館の住人となった美食家(グルメ)だ。”これから”はシュウと呼んでくれて構わないよ。」

 

 そう僕が言い終わり、僕とフランの両者は戦闘態勢に入る。とその時、僕の脳裏にレミィの声が響き渡る。

 

 ”シュウ...!最後に1つ言っておかなければいけないことがあったわ。あの子、実は...”

 

「それじゃあそろそろ...」

 

 とフランも何かを口にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ”本気で戦ってないわよ。”

 

「本気で殺すから...」

 

 ブゥゥゥゥゥゥゥン....

 

 瞬間。フランの後方が鮮やかな背景に変わる。よく見るとそれは弾だった。無数の光弾が彼女の後方に浮いていたのだ。

 

「...What does this mean?(何なんだこれは?)」

 

 今、自分の目の前にあるモノが何なのかは外見で分かるが、僕はこれらがもたらすナニカを思考することができない。

 そんな僕に気づかせるかの如くレミィは僕に何をすればいいのかを僕に伝える。

 

 ”早く!避けてシュウ!!!”

 

「ッ!?」

 

 だが気付いた時にはもう遅かった。

 

 

 

「禁弾『スターボウブレイク』」

 

 

 

 ドドドドドドドドドォォォォォォン!!!

 

 無数の光弾が僕の下に降り注ぐ。刹那で視界は真っ白に染まり、身が焼かれる感覚がやって来る。そして次に気が遠くなる感覚に襲われた。

 

「あっ...」

 

 その時、何かが見えた気がした。それはこんなに光に満ちた場所なんかじゃなくて、もっと薄暗く体の底にまでしみる冷たい風が吹くような場所。そこに”彼”はいる。何を考えているのか分からない虚ろな目で僕を見つめる。 たったそれだけ。このvisionも一瞬のこと。あとはこの閃光に包まれていく真っ白な景色が真っ黒に染まっていく...それが見えるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-------------------

 

 

 

 

 

 

 

 バラバラバラバラバラバラ......

 

 大広間はさっきフランが放った弾幕のおかげで白煙が立ち込め、吹き飛んだ瓦礫の欠片などが舞っている。

 

 

「...ふーんまだ立ってられるんだ」

 

 そう言葉を発したのはフラン。そしてその目線の先には...

 

 

 月山がいた。が、

 

 その体からは血を流し、自慢の剣も所々傷ついている。決して無事だとは言えない状態だった。

 

「フッ...意識が飛びかけたがこの剣のおかげで何とかね それがフラン。君の力なのかい?」

 

「ええ。これは私の力の一つでもある『魔法』の力なの スゴイでしょ!」

 

「....」

 

 

 ”確かにこれは予想外だった 肉弾戦ならこちらにも勝機があったが、こんな戦いをするとなるとまた変わって来る 向こうは遠距離、中距離、近距離もまったくスキのない攻撃ができる 一方こちらは近距離、良くても中距離の攻撃しかできない ここは接近戦に持ち込んで...”

 

 そんなことを考えていると、僕はさっきから僕の頭に響いていたのだろうその声に意識を向け答えた。

 

 ”シュウ!返事をしてシュウ!!”

 

 ”大丈夫だ、僕は無事だよレ...いや、その声はサクヤだね”

 

 僕の脳内に響いて来たのは先程まで話していたレミィではなく、サクヤの声だった。だが、今は悠長に話している場合ではない。

 

 ”心配してくれるのはうれしいが、今から激しい戦いが始まってしまう 動けるようなら早く君たちは何処かに避難していてくれたまえ telepathyも戦いが終わるまでは止めていてくれ”

 

 ”あ、でも...”

 

 ”Don't worry.(大丈夫、心配しないで。)それじゃあ”

 

 そう言って僕は意識を眼前の敵に向ける。

 

 ”このtelepathy 僕が拒否の意思を抱けば繋がることはないらしい 例え間接的でも彼女たちに肉親との戦闘を体験させるような残酷な行為を僕はしたくない これは僕と彼女の一騎打ちなんだ。僕のphysical(身体的)な外傷は僅かに残っている喰種の治癒能力で多少は何とかなった 赫子の耐久力もこれほどなら元通りに回復させられる。戦いを行うには問題ないだろう もしあの爆発が連続で来ようとも数回分は僕の赫子が防いでくれる 問題は戦いの運び方” 

 

 そして僕は両脚に一気に力を加え、フランの下に向かって行く。

 

「ふん!やっぱり接近してくるわね!そんなのさっきの戦いで読めてるわよ!!」

 

「禁弾『カタディオプトリック』!!!」

 

 シュン...シュン...シュン...シュン.....

 

 フランの後方から青白い発光群出現。そして発光群は四方八方へ拡散。瞬間、『屈折』!!!!

 

 グワン!グワン!グワン!グワン!グワン!グワン!

 

 全ての発光体は別々のタイミングで屈折するが、標的として完全に僕を狙っていた。そう僕の元に光弾の群れは異なるタイミングで向って来るのだ。

 

 ”だが...”

 

 シュッシュッシュッシュッシュッ....

 

 僕はその光弾の群れを優雅に、そして華麗に回避してみせる。

 

 ”速度(スピード)密度(デンシティ)”も先程のbarrage(弾幕)よりも易しい...その分、trickyさを加えてきたようだが...そんな小細工は元の世界で何度も経験している”

 

 imageは鱗赫の喰種の戦い。その考えを予見し、軽々と回避していく。

 

 ”こんなものカネキ君のに比べれば、まるでskipping(縄跳び)しているようなものだ。”

 

 そしてフランと僕の距離は更に縮まる。だがまだ接近戦に持ち込むには遠すぎる。まだ近づかなければ僕に勝機はない。

 

「チッ...そんなに接近戦がやりたいのなら!やらせてやるよォ!!!!禁忌『フォーオブアカインド』!!!!」 

 

「!?」

 

 フゥゥゥゥ....

 

 視線の先のフランの背面から三つの影が出現する。なんと僕の前方には四人のフランが立っていたのだ。

 

 ”そうかこれがレミィが言っていた彼女の『分身(シャドウ)』か...”

 

「これじゃあどうしようもできないでしょ!さぁ!アイツを殺レ!!!」

 

 本体の命令通りに三体の分身は僕に向って来る。

 

 ”スピードも本体と変わらない韋駄天の如き速さ。確かにこれでは僕をやれるかもしれない が!”

 

 ザクッ...!

 

「フラン、君は勘違いをしている...」

 

「ッ!?」

 

 ザクザクッ...!!

 

 両者の眼前には紫の長槍に貫かれた三人のフランの姿があった。

 

「僕は近距離戦闘も得意だが、『中距離』の戦闘も得意なんだよ」

 

 その長槍は赫子。そう月山の剣を伸ばしたものだったのだ。フランはその事を知らなかった。今まで接近戦しかしてこなかったのだ。彼女が月山にそれ以外の戦法がある事に気づけるはずもない。

 

 ”これはいざという時に使おうと思ったが、あんなものを見せられてはね...”

 

 シュゥゥゥゥゥゥゥゥ....

 

 そしてその三つの幻想は灰のように消えていった。そして―――。

 

「さぁ...本当の戦いを始めようか。フランドール・スカーレット...」

 

「...」

 

 僕とフランとの間の距離は僅かな距離。完全に僕の剣の間合いに入っていた。

 

 『接近戦』。今の状況は僕が望んだとおりのシナリオになっていた。

 

 ”この距離では自慢の魔法も使えまい。あれ程の爆発だ。まともに受ければ五体満足にはいかない。回復しようとも血がなければそれほどの大けがを治す方法はない。つまりこれで彼女には僕との正々堂々とした一騎打ちをするほかなくなったというわけだ。”

 

「...フフフフ...アハハハ、ハハハハハハハハハハh!!!!」

 

「っ!?」

 

 いきなり目の前の少女は笑い出した。何のためにフランが笑い声を上げているのか僕には分からなかった。

 

「...何がおかしいんだい!?」

 

 そう言って僕はフランに向けて、剣を構える。そんな僕の様子を見てフランは更に声高く、笑い声を上げながら僕に答えてくれた。

 

「いや、3つほどおかしなことがあってねwwまず一つ、アンタがここまでできるヤツだとは思わなかったこと。さっきの様子じゃ魔法も弾幕もちゃんと体験したことないんでしょうけど、それをケガありきですぐに馴れてしまうなんてほんとにスゴイわwww褒めてあげるwwww」

 

 と笑い混じりに僕を賞賛してくれている。そんな感じは微塵も感じないが。

 

「...だったら、残り2つも僕を賞賛してくれる言葉なのかい?」

 

「いやいや、全然違う。逆逆w今度はアンタの無知に笑ったのw」

 

「僕の、無知...?」

 

「アンタが接近戦に持ち込みたかったことの理由。これが2つ目。最初はアンタに接近戦でしか戦うことのできない脳筋野郎かと思ってたけど、さっきの分身を消し去ったあの戦い方でその線は無くなったわ。という事は何故、アンタは接近戦に持ち込みたかったのか...それは私の弾幕を封じるため。私の弾幕は強力だから近場で撃つと私自身を巻き込んでしまう。だからアンタは私が撃てないと思っていると思っているんでしょ?」

 

「....。」

 

 ”確かに彼女の言う通りだ だから僕は接近戦に持ち込んだ これのどこが無知だというのだ... いや、まさか彼女には『自爆』を防ぐ方法でもあるというのか!?”

 

「だけど残念ね 私にはそれを防ぐほどの治癒力があるの 血を飲まなくてもねw」

 

「!?」

 

「更に3つ目ェ!!!アンタのその剣は強固な盾にもなるようね さっきの爆発でヒビ入っていたのにもう治っているようねぇ~その感じだと弾幕ぶつけてもあまりアンタにはダメージ入らなさそうだし、アンタもその事に気づいて私が弾幕を出してもある程度は大丈夫だと思っているみたいねwでもねそれも無駄なの」

 

 そして、彼女は僕の剣に向け手のひらを向けてくる。そして...

 

「きゅっとしてドカーン♡」

 

 握った。

 

 バギィィィィンッ!!!!

 

 それと同時に僕の剣は破壊される。それも一瞬で―――。何が起こったのか僕は理解することができなかった。

 

「さっき私は言ったわよ 『魔法』は私の力の一つだって そしてこれは私個人の能力...『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』!!!全ての物質に存在する『目』っていう緊張している部分あって私はそれを手の中に移すことができるの そしてその『目』を握りつぶすことで私は壊したいと思ったものを壊すことができる フフフフフッ...これでアンタの頼りにしている盾は無くなったわね...」

 

 ”ま、不味い―――!!!”

 

「これで終わりよ 禁弾『スターボウブレイク』。」

 

 ドガァァァァァアアアン!!!!!!!

 

 また辺りは熱い閃光に包まれる。両者の姿が見えなくなるくらいの白に飲み込まれて...。

 

 

 

 

 

 

-------------------

 

 

 

 

 

 熱い。暗い。痛い。重い。

 

 瞼の筋肉が凝り固まっているのか自力で瞼を開けることができない。しかし、必死で僕は光を探そうと暗闇の中でもがいた。

 

 もがく度にゆっくりと僕の視界は開けていく―――。

 

「一体何が起きたんだ...?確か僕は彼女の弾幕を...ッ!!!」

 

 身体全体から僕の脳髄に激痛が走る。

 

 ”体の至る所の骨が折れている...!現在の僕の回復できる範囲を超えてしまった。さらに言えば彼女の力で破壊された僕の赫子も復元できない。これでは戦えない...”

 

 この時、月山は気付いていなかったが彼は咄嗟に、無意識にフランのスターボウブレイクを不完全ではあるが回避していた。一度目に放たれたスターボウブレイクのパターンを身体が自然に覚えていたのである。だから彼は今、満身創痍ではあるが五体満足で生きている。

 

「フランとの距離を爆風によって離されてしまった ここは...」

 

 横になった状態で僕は近くを見渡すと、あるモノに目がいった。

 

「僕のバッグ...玄関前か かなり飛ばされたみたいだ」

 

 それは僕がフランと対峙する前に玄関近くの壁に置いておいた鞄だった。さっきの爆風で壁際に立てかけていたバッグは倒れ、その中身は床に散乱していた。

 

「あっ...」

 

 僕はその中のあるモノに目がいった。

 

「チルノが作ってくれた僕の氷像...」

 

 それは僕のためにお礼として創作してくれた僕の氷像だった。出来はとてもそっくりにできており、さっきの爆風の影響で熱気が立ち込めている大広間の中にあっても一向に溶ける様子はない。

 

 ”自分で言うのもなんだがやはり僕は美しいね。見とれてしまうよ...。だがよかった壊れなくて。”

 

 僕はバキバキに折れてしまった体を必死で動かし、その氷像を手に取った。

 

 ”冷たい...”

 

 手には氷像の冷気が直に伝わってきた。だが痛いほどではなかった。寧ろ何だか心地の良い冷たさ…。チルノの気持ちが伝わるようだった。

 

 ”僕の痛みを少し忘れさせてくれる…それに......『美味しそうだ』”

 

 

 ズズズズズズズズ....

 

「!?」

 

 僕は自身の背後で何やら異変が起きている事に気が付いた。僕はゆっくりと振り向く。視界の先には爆発の影響で無数のクレータができた大広間の景色とあるモノだった。

 

「No kidding...(冗談だろ...)」

 

 そこには身体のあらゆる部分が欠損していたフランの姿があった。そう欠損『していた』彼女の姿が...。今は違う。その欠損していた部分は修復していき、元通りの姿かたちになっていく。

 

 ”あの爆発をまともに受け、常人なら死んでしまう程のダメージを負ったのにそれをいともたやすく回復してしまうのか...なんて娘だ ”

 

 そして時は来る―――。

 

「フゥーー...死ぬほど痛ったいわぁ~」

 

 ゴキッゴキッ

 

 フランの傷は全て完全に治癒し、体の異常がないか確かめるように彼女は軽快に首を鳴らしている。

 

 ”ああ...終わった”

 

 そう僕は確信する。体中の骨は砕け、内臓は損傷し、まともに体を動かすことはできない。僕の死は確定していた。

 

 そしてふと思った。

 

 ”この世界での『死』とは何なのだろう もしかするとこの世界は僕が創り出した夢の世界で死ねば僕はこの夢から目覚めることができるんじゃないのか?そうすれば元の世界にも...”

 

 と思った時だった。

 

「イッ...!」

 

僕の右手に小さく鋭い痛みが走った―――。それは僕が氷像を握っていた掌からだった。さっきまで心地よく感じていた冷気が今になって雷に打たれたかの如く鋭く痛む。

 

 まるで僕の諦念を叱咤しているかのように...。

 

 

「ハハッ!!やっぱりアンタすっごいわ!あの距離でその程度ですんでるってw 苦しいでしょお礼よ 痛みを味合わせずに一瞬で逝かせてあげるわ♪」

 

 ギィィィィィーーーーーーーー

 

 そう言ってフランは大鎌を引きずりながら月山に近寄って来る。

 

 

 

 瞬間。僕の頭には今日のチルノとルーミアの笑顔が浮かんでくる。

 

 ”そうか...ここで死ぬことは彼女たちに対するbetrayal(裏切り)だ 彼女たちと交わしたもう一度会うという約束がもう二度と果されない”

 

 

 

 ギギッギギッゴゴギギーーーーー

 

 少しづつ月山とフランとの距離は縮まっていく。

 

 

 

 僕の頭の中が多くの思い出の画で埋まっていく...。

 

 

enjoyable()

 

wrath()

 

ecstasy()

 

lamentable()

 

beloved()

 

detestable()

 

 

 memories...(の記憶たち...)

 

 

”ここでやっと出来た居場所なんだ...”

 

”失くしたくない”

 

以前の僕ならこんなことなんて行動しなかったし、考えもしなかっただろう...。だがどれだけ強がろうとも人も喰種も心を持つ者には『孤独』は辛いものだ。帰りたいと思っていてもその場所にもうあるべきものが無い。だから代わりになる拠り所を”幻想郷”に僕は見出してしまったのかもしれない。もしかすると僕の本心はもう元の世界に帰る事なんてどうでもいいと思っているのではないか...?

 

 でも、これらが虚偽であり真実であろうともこれだけは分かる。今はただ...

 

”みんなを守りたい...!彼女を救いたい...!それだけだ!”

 

 そう思ったとき、かつて僕にボロボロになりながらも何度も何度も向って来た男を思い出す。

 

”何にも...無え...”

 

 あの時の彼の心境は今の僕に近いものかもしれない。無償の救済。自己犠牲≦愛。肉を切らせ骨まで切らす。無駄な行為。だが分かっていながらもそのpassion(熱情)は止まることはない。『誰かの救い』と言う終着点を迎えるまでは...。

 

 

 ギギッ―――。

 

 

 遂に悪魔は眼前に立つ―――。

 

「さぁフィナーレにしましょうか シュウ 今、楽にしてあげるから...」

 

 そしてフランは大きく振りかぶる。

 

 

 ”立て...ッ 動いてくれ...!”

 

 だがそんな僕の思いとは裏腹に僕の身体は微動だにしない。

 

 ”何が騎士だ!何が剣だ!こんな時に戦えなくてどうするんだ!”

 

 ”facking!(くそっ!)結局僕はまた何もできないのか...背を見送る事しか......”

 

『シュウ!立って!!!』

 

「ッ!」

 

 止めていたはずなのに何故、今彼女の声が聞こえてきたのかは分からない。もしかすると僕の幻聴かもしれない。だってこの声は僕の一番身近にいた人の声によく似ているから...。

 

『いい加減なことを貴方に呼びかけるだけで私たちは何もできない 結局はシュウ一人に任せてしまっている...だけど。独りで戦っているって思わないで 見えなくても私たちはあなたと共に戦っているから...』

 

 ”独り...じゃ、ない...”

 

『だからシュウ立って...!まだ貴方は死ぬような男じゃないでしょ!』

 

 僕は気が付いた。皆を守ると言っておきながら僕は独力だけで乗り切ろうとしていた。勝率を下げていたのだ。真に勝つためならなぜ頼らない。今なら分かる。僕は一人で戦っているんじゃなかったんだね。

 

 ”ああ...まだ死ねない だから立て!月山習!立つんだ!!”

 

「ググッ...ア”ア”ア”ア”!!!」

 

「!?」

 

 身体の限界は完全に超えてしまっている。だが僕の身体は動いてくれた。立った。誰かが僕を支えてくれているかのように...。

 

「フッ...ハハハハハハハ!!!やっぱアンタすごい!でももうこれで終わりよォ!!」

 

 そして朱き刃は振り落とされる...。

 

 

 ”僕自身に力なんてない だったらどうすればいい ”

 

 ”君ハ独リジャナイ 君ガ完璧ニナルタメノ方法ハ モウ分カッテルハズダヨ”

 

 ”そうだね...僕は独りじゃない...いつも何かしらの形で僕は他人の力を借りてきた だから今回も僕がするべきことは一つしかない...”

 

「ガリッ...ガリガリッ...!」

 

 僕は右手の氷像を喰らう。それが意味することは何故だか勝手に理解している。

 

 ”サァ 解キ放トウ アノ娘ノ力ヲ ソノ真ッ白ナキャンパスニ”

 

 僕は例の手帳を手にしていた。いつ手に取っていたのかも思い出すことができない。でも今はこれが必要だ。僕は手帳の中から一枚の白紙のカードを取り出す。

 

 

 ”サァ 名ヲ言ウンダ ソシテ君モ ”

 

 

#Ⅸ(ナンバーナイン)....」

 

 白紙のカードに何かが刻み込まれてゆく。

 

 

 ”風ニナロウヨ”

 

 

 「氷喰(ひぐい)『エターナルブリザード』...」

 

 ビュォォォォォォォォ!!!!

 

 

 僕の周りには吹雪が巻き起こる。何故か傷口は塞がり、折れた骨骨も修復していく。赫子には代わりのように氷の刃が新しく作られていた。

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 名は自然と僕の口から零れた まるでこの言葉を昔から知っているかのように...。

 

 




はいwすんませんw中の人ネタですww(タグでMM=宮野真守って付けてるくらいだから仕方ないね)
力の内容と何故、この力に月山さんが目覚めたかは次回あたりで説明したいと思います。

絵のイメージはジャックの時の絵の感じかな?(言い訳)

P.S 魔改造タグ付けておくほどではないと思う...多分。(やっぱ一応付けておこうかな)
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