東方喰種:MM~美食家が幻想入り~   作:ナライ

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 皆さんお久しぶりです。元気にやってました作者のナライです。
 ホントすいませんでしたァ!!m(__)m何回も延期しまくたりやるやる詐欺したりしてホントすいません!!
 何とか仕上げることができたので今日、七夕の日に投稿できました。
 意味不説明は前回ほどではないはずなので読みやすいと思います(ただし分かるとは言っていない)
 どういう状態にあるのか分からない部分があるかもしれないのでそこんところは皆さんの想像にお任せ...(殴 その時はまた感想の方に送って来てください。

 それでは今回も温かい目でご覧ください!どうぞ~♪

P.S ちょっと書けていなかった部分があったので付け足しておきました本当にすいません!


第十二話 空蝉

 

 

 

 

 

「もう!あんなに知らない人は呼ばないでって言ったのに!」

 

 少女はそう言い、ベッドに勢いよく飛び込み、枕に顔を埋める。

 

「お姉様、私が人見知り名の知ってるくせに…」

 

 どうやら姉妹の間で何かあったようだった。少女は埋めていた顔を出し、仰向けになり、その部屋の広大な天井を見渡す。

 

「―――また私が暴れてしまうかもしれないのに…」

 

 先程まで浮かべていた苛立ちの表情はいつの間にか消え、少女の表情は不安のみが満ちていた。

 

“みんなはもう大丈夫って言ってくれるけどやっぱりまだ心配だ。それは自分がまだみんなを信じ切れていないからなのかな…。もしそうならいつ暴走してもおかしくない。もういっそこのまま引きこもっていた方が良いかも…。”

 

「傷つけるのが怖い…抑えられないあの“私”が怖い…」

 

 と少女は口零す。本心からの恐怖なのだろう。少女の体は震えていた。

 

 

 

 

『イイヤ チガウナ』

 

「えっ?」

 

 突然、少女の耳に何者かの声が入って来た。その声は擦れており、あまり日本語が流暢ではないのか言葉と言葉の間に長い無言が入る。

 少女がその奇妙な声のする方向へと振り向くと赤黒く、形容しがたい異形の物体がそこにはいた。その物体の中心には大きな口のようなものがあり、少女がこちらに気づいた事を確認するとその口は口角を上げる。まるで笑顔を浮かべているかのように。

 

「何なの?あなた?」

 

『オマエハ イツデモ タニンヲ ギシンノメデ ミテイル』

 

「!?」

 

 少女は驚愕する。自身が今しがた考えていたことを目の前の口が心を見透かしたかの如く言い当てたからだ。

 しかし、少女は簡単にそれを認めるわけにはいかない。

 

“だってそれを認めてしまえば…私はただの欠陥品じゃないか。”

 

「あんなの私じゃない!私はあんなこと求めてなんかない!」

 

 少女は異形のモノに向け激昂する。それはまるで今の自分を肯定するかのように。だが、その口はまた少女の心を見透かしたかのように淡々と告げる。

 

『ショウジキニナレ オマエハ タニントハ チガウ ケッカンヒン ダ』

 

「ゥ!?」

 

 少女はその言葉にたじろぐ。そしてその心を黒く暗いナニカが覆いつくしていくのを感じる。

 

『ワカッテイルダロウ アノスガタハ オマエノネガイ オマエノゼツボウ オマエノゾウオ…』

 

「……」

 

 その擦れた声は少女の深くまで入って来る。それほどまでに少女は聞き入ってしまっていた。声は少女の箍を溶かし、中身をどす黒いもので覆いつくしていく。そして少女はそれを拒もうとはしない。魅惑的だったのだ。その声が。その言葉が。

 

『オマエハ ニクイハズダ コノセカイガ ジブンダケ イラナイモノニサレルコノセカイガ』

 

「………」

 

 少女は言い返すことができない。それは己自身が本心で思ってしまったことだからだ。

 

『ナラバ コワスシカナイダロウ オマエハ ソノタメダケニ ウマレテキタンダヨ』

 

 ―――堕ちる。少女はその言葉が告げられた時、そう確信した。暗くて深い、醜くて魅惑的な、二度と正常には戻れないような異常と言う闇の中に…。

 

「ハッ……ハハハ」

 

 少女は闇に堕ち、そして気付いた。自分がなぜここに存在するのか。

 

 

 

―――殺すためだ。

 

 

 

 少女は渇いた笑い声を上げ、その心は疑心で満ち溢れる。否、そればかりではない。嫉妬、憎悪、憤怒、絶望、殺意、破壊……その瞬間、少女は自身が悪魔なのだと確信する。

 

 

 しかし、少女は踏み出そうとはしない。心象は黒い願望に溢れるが、それでも少女はなぜか悪魔になりきれなかった。

 

 その様子を見て、異形は「ハァー…」と呆れたように溜息を吐いた。

 

『キガツイタガ ソコマデオチルコトハデキナイカ フミダセナイノナラ オレガ カワッテヤル イヤ オマエニナッテヤル』

 

 異形のモノは少女の元に近づきその擦れた甘い声で少女の耳元に囁く。

 

『ダカラ モウ シンパイハ イラナイ…』

 

 そう言って異形は少女の頬に触れる。よく見るとその触れているものは人の手だった。そんなものさっきまでは異形のモノからは生えていなかったのに。

 

ズズズズズズズズズズ……

 

 もう一度異形のモノに少女は振り向く。するとそこには先程までのようなモノは立っていなかった。否、“立ってはいなかった。”

 

異形の体は縦に伸びたり、横に伸びたり、両者が縮んだりしながら変形していたのだ。

 

『ダッテ 私は…」

 

ズズズズズズズズズズ……

 

「あなたは一体?」

 

 少女がその言葉を言い終わると同時にその音は鳴り止んだ。

 

私の良き理解者(フランドール・スカーレット)だから」

 

 少女の目の前に映るのは妖しい笑みを浮かべた己の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

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月山が言い放った言葉にその場に居た者たちは驚愕した。あの何処からどう見てもフランドールに違いない少女が本当はそうではないというのだから。そう言われたフラン(?)本人も呆れたそうな表情をとりこう言った。

 

「ハァ?何言うかと思ったらどこからどう見ても私はフランドール・スカーレットよ!お姉様だって私本人だって言ってたでしょ!」

 

 そう月山にフランと思わしきものは主張する。自身がフランドール・スカーレットだということを。 しかし、月山はな何やら確証があるのか余裕を持った表情でこう続ける。

 

「レミィに聞いたんだ…君の治癒力は吸血鬼のモノを遥かに超えているとね」

 

 

 時は先程の念話会話の場面へ戻る。

 

 

 

 

 

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『そこで、少し聞きたいことがあるんだフランの事でね』

 

『?』

 

『君から見てあの回復量は吸血鬼として考えられるものなのかい?』

 

『…そりゃ多くの血があればかなりの傷でも治癒できるけど…』

 

『僕が知っている限り彼女が血を飲んだのはレミィの左腕を喰らったときのみ そこから彼女はかなりのダメージを負っているはずだ それでも彼女の傷は回復していく…おかしくはないかい?』

 

『!?…シュウ、貴方は一体何が言いたいの?』

 

『彼女はフランドール・スカーレットではない これが僕の結論だ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「それだけじゃない 君の血だ 君の血はまるで喰種のflavorが漂っている それにその傷口から垣間見えるcharming mouth…それは僕のいた世界で見たことがある」

 

 月山の脳内にはある情景が浮かんでいた。そこは薄汚れ、廃墟と化した部屋。視界の先には上半身と下半身が真っ二つになった人物が倒れている。瞬間、その切り離された体は互いの体を求め、癒着しようと切り口の肉が蠢き出す。暫くするとその身体は元の通りに復元し、“口模様”の面の裏でその人物の目は静かにこちらを見ているのだった。

 

 そう、その現象は先程から異常なまでの回復を見せるフランとよく酷似していた。

 

“あの異常な治癒力は以前、カネキ君を救出するためにアオギリに潜入したときに戦った彼のとよく似ている…それにあの傷口のmouth達も僕は『何処か』で見た?いや今は思い出すことが重要じゃない。その結論から得た彼女の正体だ。”

 

「はぁ?アンタが住んでいたトコの事なんて私が知るわけないし、喰種なんて単語も初めて聞いたわ それにこの治癒力は私が復讐のために得た力よ あんな欠陥吸血鬼と一緒にしないで!」

 

「まだ気づいていないようだね…」

 

「?」

 

「ここへ入ってくるために僕は扉を開けたが、どうやら咲夜も焦っていたようだね…いつもの瀟洒な彼女ならそんなことはしないはずなんだが今回はそれが功を奏したようだ」

 

「はぁ?アンタ何言って...」

 

「陽はまだ沈んではいないよ」

 

 そう言って月山はフランの足元を指さす。

 

「...ッ!?」

 

 フランは驚愕する。そして彼が何を言いたいのかを理解した。月山が指を指す場所には影が伸びていたのだ。

 

 そう、彼女の背は沈みゆく洛陽の光を受け止めていたのだ。

 

 よく見るとその背に当たる光は空中に浮かぶ氷塊たちによって扉の外から屋敷の中に入って来る日光を反射させたものだった。その光は夕日のようなひ弱なものではなく反射した氷がレンズのようになり、常夏の太陽を思わせるような強い輝きを放っていた。

 

「普通、吸血鬼は影ができないと言うが、レミィにはできていたようだしそれはlieなのだろうね しかし直射日光には弱いということはレミィから聞いていた 受け続ければ体は気化してしまうと...」

 

「気づかないのも無理はない その傷と僕への強い殺意のせいで正常な思考が持てなかったのだろうね そのせいで君は先程から日光を浴び続けていることにまったく気づくことができなかった」

 

「...」

 

「これで君は吸血鬼ではないと証明された...つまり君はフランドール・スカーレットではないという事だ さぁ!自らの口から正体を名乗り給え!フランドール・スカーレットに化けし死神よ!」

 

「......フフ、フフフフフッ、フハハハハハハハハッハハハハハハハハハハ!!!!!!!」

 

「違うわ!私は正真正銘、フランドール・スカーレット!この力もこの怨嗟の叫びもすべて私のモノ!!知った風に口を聞くんじゃねぇ!!」

 

 そう言い、フランを名乗る少女はまた月山に向け嵐のような斬撃を繰り出してゆく。

 

「ウラァァァア゛ア゛ア゛ア゛!!!」 ブオンッ!!!

 

 “ここまでは予想通り、もう少し追求すればあるいは…。”

 

「fun...それでは仮に君がフランドール・スカーレットだとしよう...」

 

「ア゛ア゛ッ!!!」グオンッ!!!

 

 月山はフランの怒りの一撃、一撃を掻い潜りながら一言一言フランに向け問いかけていく。

 

「君は今まで溜め込んでいた怨恨をなぜ今日解放した?」

 

「ハッ!!」グワンッ!!

 

「君はこれまでにも暴れたと聞いているがこの幻想郷で多くの仲間と出会ったことにより、それからはそういったことが無かったとも聞いている」

 

「ウ゛ゥル゛ルラァ!!!」ブオンッ!!ブワンッ!!!

 

「そんな君がなぜ今になって復讐を誓う?」

 

「ラア゛ァ!!!」ブウンッ!!

 

「君自身、皆の温もりに触れ、もうそういった事が単なる被害妄想だと気付いていたはずだ」

 

「イチイチうるせぇ!!」ブオンッ!!

 

「何よりそんなことを望むような娘でないことはレミィの話でよく分かったよ」

 

「ア゛アァ!!!」ブンッ!!!

 

「しかしそれまで穏やかだった君が今日、復讐を実行するとはどうしても僕には思えないんだよ」

 

「アンタに私の何が分かるってんだよ!!!」ブオンッ!!

 

「君は何かに憑りつかれたために破滅を望んでいる そう、始め僕は思っていたが...おそらく君は憑りつかれたのではない その望み、願いが無ければダメな理由があったのだと僕は考えを改めた」

 

「ウルサイ!ウルサイ!ウルサイ!ウルサイ!ウルサイ!ウルサイ!」ブオンッ!ブオンッ!ブオンッ!ブオンッ!ブオンッ!ブオンッ!

 

「ならばその理由とは何か...」

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァァァァァアアア!!!ダマレ!ダマレ!ダマレエェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!!」ブオンッ!ブオンッ!ブオンッ!ブオンッ!!!!!!!!!!

 

「君はその願いが無ければ存在を保てないのではないのかい?」

 

「ッ……」

 

カラン…

 

 月山へ殺意むき出しにし、幾度も斬り、叫び続けた少女は唐突に動きを止める。手に持っていた大鎌は床に転げ落ち、その憎悪に満ちていた目は生気が無くなりまるで人形を思わせるようだった。

 

「こう仮定付けた自分が未だに信じられないよ でもそう考えれば考えるほど説明がついてしまうんだ 君の異常なまでに執着した復讐 いつまでも消えない憎悪、怨念…etc それらの行為、感情はどこからくるのか? それは『生』への渇望からによるもの 生きるためにそうしているのなら納得はできる 僕も元の世界ではそういった人達を何度も見てきたからね…」

 

 生きるために…。生き延びるために…。死にたくないために…。そういった願いを抱いた者たちが戦って来た姿を僕は見てきた。そしてそういった者の多くはその瞬間に常軌を逸した力を出すことがある。それが僕の目にはこの少女と同じように見えたのだ。

 

「君はその憎悪が無ければ存在できない それは同時に本物のフランドール・スカーレットが君に願いつづけなければならないということ つまり本物のフランドール・スカーレットは今も何処かで生きているはずだ!」

 

そう言った月山はすぐさま傷ついた者たちの方へと振り向いた。

 

「ユカリ!本物のフランを探しに向ってくれ!おそらくこの事件の発端の場所『地下室』に彼女はいる!それに皆をsafetyな場所へ!」

 

 目の前の少女が戦意を失っている今が好機。月山の仮説の確認、そして傷ついた紅魔館メンバーをこの危険な場所から遠ざけることができる。そう思い月山はこのタイミングで紫に頼み込んだのだ。

 

「ええ、分かったわ 私に任せて」グワン…!

 

 そして紫は月山の思惑を察したのかそれを了承し、すぐさまそれを実行しようと彼女がここにやって来た時に出現していたあの裂け目が紫の側にできていた。そして紫は紅魔館メンバーをその裂け目に誘導する。大体の者がその裂け目に入った時、月山の名を呼ぶ声が聞こえてくる。

 

「…シュウ!」

 

 その声の主は咲夜だった。

 

「シュウ」

 

 再び月山の名を呼ぶと少し言葉を溜めながらゆっくりと口を開き、ある言葉を言った。

 

「A tout de suite.(また すぐ後でね)」

 

 少し月山は驚いた。まさか彼女の口から仏語が出てくるとは思わなかったからだ。月山はその言葉の意味を噛み締めながら、いつものキザな笑みを浮かべて言葉を返す。

 

「…Bien sûr.(もちろんさ)」

 

 そう言葉を交わした後、咲夜と紫はその裂け目に消え、その裂け目も忽然と消滅した。

 

 月山の浮かべていたキザな表情は消え、また戦士の顔つきに戻る。そして再戦の開始、否、全てを終わらせることを少女に宣言する。

 

「それでは終わりにしようか…Jane Doe(名無しの権兵衛さん)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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彼は何故この世界にやって来たのだろう?

 

彼は救うためにやって来たのか?それとも救われるためにやって来たのか?

 

いや、どちらにしてもこんなに愉快なことはない…

 

おっと!少し私自身の本音が出てしまったわ

 

でも笑いを止めるのはホント難しいわね…いつまで経ってもこれだけは治せない

 

今は彼に頼まれたことを優先しないと

 

大丈夫よ…

 

今回、彼が何を成すのかを見ることができなくても、機会は幾らでもある

 

だって彼は波乱の運命に飲まれることが決定してしまった人

 

面白いことはこれから始まるんじゃない

 

フフッ…そんなこと考えてたらやっぱり笑いが出てくる…

 

月山習…

 

彼がこの幻想郷で何を成すのか?私はそれが知りたい

 

まぁ、異変解決だけでも面白いけど、不定期なのよねぇ

 

だったら私から何かしらのアクションを起こすってのも…フフフ

 

ああ…これからが楽しみだわ

 

 

 

 

 

 

八雲紫の独白

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 さぁ…どうすればいいか…。

 

 月山は考えていた。それはこれからの行動についてだ。まず、一番簡単で確実に目の前のフランを名乗る少女を制止させるには本物のフランに彼女の動力源である『殺戮』の願いを止めさせることだが、それまでにどれくらいの時間を要するか分からないし、もしかすると一生その願いを取り除くことができないかもしれない。ならば別の方法を考えなければならない。考え付くには付くのだが…カードの力をすべて開放し、全力の一撃を放ってもフランを名乗る少女を殺し切ることはできないかもしれない。また、精神的に追い込んだ所で勝機があるという事に確かな確証はない。しかし、ここは賭けなければならないことを月山は理解していた。

 勝機があるとすればただ一つ…。前述した両方をタイミングよく完璧に利用すること。成功する確率はほとんど0に近い。だが、やるしかない。今、この怨嗟の渦を終わらせるために…。

 

「いいのかい?逃がしても?君の標的の居場所が分からなくなってしまうよ ああ、そうか その感情も偽物だったねぇ どうせ君が抱いていた感情は借り物 その程度のものだったと言う事さ」

 

 月山は煽るようにフランを名乗る少女に語り掛ける。

 

「!」

 

 その言葉を聞いた少女は虚ろな目から脱する。そして大きく目を見開き月山の方を見た。そんな少女にお構いなく月山は話を進める。

 

「そんな中途半端な想いで殺戮を続けるのならもう消えてくれないだろうか?正直君は危険と言う意味ではなく、ただただ存在が邪魔だ…君は…」

 

 

 

 

「美しくない…」

 

 

 その言葉は少女のどす黒い怒りを再び蘇らせるのに十分な言葉だった。

 

「ウルセェ!!!オマエニ私のナニが分かるゥ!!!!殺すことでしかイキテイケナイワタシの気持ちのナニがお前にワカルゥ!!!!!」

 

「生きるために殺すか…先程君は言っていたが恩讐の下、君は後に世界中の人々を殺し切ると言っていた、と言うことは君はそれが達成されたと同時に消滅するというわけだね めでたし、めでたし 君という少女の物語はこれにて完結した」パチパチパチ

 

「グゥゥゥゥウウウ!!!!!」

 

「つまり君がこれから歩もうとしている道は暗黒に視界が遮られた夜道であり、誰にも頼ることのできない獣道でもあり、確実に死に陥るゴールへ続く遊歩道だ」

 

「ウルサイ!ウルサイ!ウルサァーーーーーイ!!!!ヒトリデナニガワルイ!イキタイトオモッテナニガワルイッ!!タトエソレガ ハメツシカナイ ミライダッタトシテモ ワタシハ……」

 

「得た生を最期まで謳歌する!」

 

フワァ……

 

「ハァァァァアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」

 

「私の魔力をすべて注ぎ込んでこの技を放つッ!」

 

「禁忌『レーヴァテイン』!!!」

 

ジュゥウウウウウウウウ……!!!

 

彼女の両手から巨大な焔の剣が出現する。その焔の熱量は凄まじく、各位置に配置してあった氷塊が一瞬にして溶け、水溜まりとか化す程だった。

 

「ンッ!」

 

「この熱量ではいくらアンタの自慢にしている氷のスペルも思うように出せないでしょ!!これで本当に終わりにしてあげるわ!!!」

 

 

「………」

 

 しかし、月山は動じない。寧ろそれを良しとしている表情だった。

 

「!?」

 

 少女の表情が驚愕に変わる。右足に何かしらの力が加わり大きく体勢を崩してしまったのだ。そこをよく見ると足首に何かが巻き付いていた。それは氷だった。氷で出来た縄だった。それは眼下に広がる水たまりから伸びていた。

 

「ア゛ァァアアアアアアアア!!!!死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネ死ネェ!!!」

 

 その縄は少女の右足から上に侵入し、更に絞める力を強くする。これでは思うように振り回す力を籠めることができない。そういう状態に追い込まれた少女は月山に向けて絶叫する。

 

「…君の敗因は…まずその僕の氷を全て溶かしてしまったことだ そして、その熱の所為で氷だった水が湯水になってしまったこと…」

 

パキキキキキン!!!

 

「湯水の方が早く凍るんだよ…知らなかったかい?」

 

 更に月山はその力を強くする。完全に月山はフランを名乗った少女の下半身を拘束した。そして月山は機が熟したことを察知し、ある準備に取り掛かる。

 

「それでは僕も全力でやらせてもらおうか!」

 

 僕は自身で魔力を生成すること、変換することはできない。ただただ空気中にある神秘を身体に取り込み続け、弱っていってしまうか弱い生き物だ。そのためにこの魔力変換機であるこのカードが僕の力となり、生命維持装置の役割となってくれている。今、僕が変換することが出来る魔力の属性は『氷』。氷と言っても別に凍らせて氷を作成するような『温度を操ること』だけがこの能力の本来の力ではない。この能力の本当の強みは…

 

 

『物質の密度を大きくできるという事』。

 

 

この能力は僕のこの甲赫の力を最大限に発揮することができる魔力の属性なのだ。甲赫の特徴は他の赫子と比べてRc細胞の定着時間が長いことだ。つまり、甲赫は全赫子中、一番Rc細胞の密度が大きい赫子だということだ。

Rc細胞は液状の筋肉――。それをこの『氷』の魔力で最大限にまで密度を上げ、更に毒になる限界まで魔力を身体に流し込み、身体能力を跳ね上げる。

 

バキンッ!!!

 

右手に携えていた甲赫の形状が変わっていく…。それはまるで大きな鉤爪のような形だった。

 

「それではこれがclimaxだよ!」トンッ…

 

 月山は軽く地面を蹴る。たったそれだけなのに一瞬で焔の剣を携えた少女の目の前まで飛ぶ勢いだった。

 

「クゥッソォオオオオオ!!!トケヤガレェエエエエエエエ!!!!」

 

 少女は下半身を拘束された状態で無理やり腕の力のみで紅蓮の剣を振りかぶる。

 

 ジュウゥゥゥゥゥゥ…!

 

 しかし、少女の願い虚しくその凍てついた月山の剣は決して溶けることは無かった。いや、実際は溶けた。その赫子に纏っていた氷は。しかし、月山がしたかったことは別にあった。密度を大きくすることができるという事は普段よりもRc細胞を赫子に含ませることができるという事だ。つまり氷が溶けたとしても凝縮してあったRc細胞が消え去るわけではない。しかし、その普段より赫子に含まれたRc細胞の定着は他の赫子ならすぐに崩れ去ってしまうだろう。だが月山の赫子は甲赫。少しの間だけなら限定的にその形状と密度を維持することができる。

 

 全てが月山の計算通りだった…。

 

 

 例え相手が焔の大剣だったとしても、この剣は決して砕けることなく、その豪炎を貫く…!

 

 月下の雪原を駆けし、餓狼の如く獲物にその爪を抉りこませるッ―――!!!

 

 …名付けて―――

 

 

「ウルフレジェンドォ!!!!」

 

 ガギィィィィィイイイイイイイン!!!!!!!!

 

 紅蓮の剣と深紫の剣が交わる。接触した瞬間この戦い中一番の轟音が館中に鳴り響いた。

 幾度目だろうか。交わる一点から徐々に閃光が広がり、雌雄を決する二人を包んでゆく。

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!」

 

「ぐぅ…ア゛アアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

“ッ!?”

 

 関係のない話だが、この瞬間、閃光に包まれている中、フランを名乗る少女は月山に対しての怒りの感情を抱く前にある事を思った。それは月山が放った鉤爪剣の事だった。ただ、その技に感銘を受けたとか、驚愕したとかそういったことではなかった。彼がその技に名付けた名前の事についてだった。

 ただ一言。彼女はただ一言その事に対して心の中で呟いた。

 

 

 

 

 

 

「センスねぇ!!」

 

 

と。

 

 

 

 

 

 

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紫と月山以外の紅魔館一行は本物のフランがいると言う地下室に向っていた。まず、地下室に行くにはパチュリーが管理している図書館を経由しなければならないのだが、図書館は先程の爆発により損壊が激しく、地下室に繋がる階段まで進むことができなかった。いや、それ以前に紅魔館の者たちは傷ついているためまともに動くことができない。図書館に行くのですら難しい状態なのだ。

そこで紫のスキマ妖怪としての能力の出番だ。その能力とは『境界を操る程度の能力』と言い、その中でも移動手段に長けた『スキマ』と呼ばれるものがこの状況下で役に立つのだ。どういうものなのかと言うと空間に裂け目を作り、離れた場所同士を繋ぐことができるというものだ。この能力によって彼女はこの紅魔館に突然現れることができたのだ。

しかし、この力は彼女の能力のほんの一部に過ぎない。彼女の本来の力と言うのは云わば“神にも匹敵するほどのモノ”なのだから。

 

 ギニョン…!トンッ、トンッ、トンッ、トンッ……

 

「…ここでいいのかしら?」

 

「ええ、この扉よ」

 

 目の前には金属製の頑丈そうな扉があった。その扉や周りの壁には凄惨な状況を物語るように惨殺された妖精たちの血で真っ赤に塗られていた。

 

「開けるわよ…」

 

 ギギギギギギギギギギギギ……

 

「ハ…!フラン!!」

 

 扉を開けて眼前に目撃したのは月山の言っていたように上の大広間で猛威を振るったあの少女にそっくりの少女がベッドに腰かけていた。

 誰よりもその少女に声を上げたレミリアはすぐにでも近づきたがっていたが、なんせ先程の戦闘によるダメージを回復したばかりなので思うように体を動かすことができなかった。ので、その急ぎたい衝動を心の内に秘めた状態でゆっくりと目的地にまで近づいて行く。

 

「…?」

 

 しかし近づいて行くごとにある異変に気が付く。

 

 

静かすぎる…。

 

 

そう、可笑しなくらい地下室は静寂に包まれていたのだ。そして一番の異常は目の前にいる少女が人形のような無機物に見えるのだ。更に近づくごとに次第に少女の顔がよく見えてくる。その目はハイライトを失い、口は何かを延々と呟きながら動き続けている。

 

「…ネ…」

 

「…フラン?貴女何言って?」

 

 漸く少女の傍まで近寄ったレミリアは少女の肩に手をかけ、問いかける。しかし、レミリア自身も彼女が質問に答えるような状態ではないと思ったので耳を澄ませてその言葉を聞いてみると…

 

「シネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネ………」

 

「!?」

 

 場にいた紅魔館の皆は驚愕した。少女はまるで狂ったように音を出し続ける壊れた楽器玩具のように延々とその言葉を発し続ける。

 

「ちょ、フラン!しっかりして!フラン!!!」

 

 心配したレミリアは少女の両肩を自身の両手で掴み、揺すってみるが何の変化もなく少女は明後日の方向を見ながら「シネ」の言葉を言い続ける。完全に反応していない。いや、寧ろ関心を示していないと言うのか。気が付いていないという感じがした。

 

「強い暗示に掛かっているわね…おそらくそれをしたのはさっきの偽物 シュウが言っていたように今、フランの心象はあの偽物が抱いていたものと同じ状態にある フランを元の状態に戻すことができれば上で行われている戦いも終わらせることができるのだけれど…」

 

 紫の分析を聞いて、レミリアは上ずった声で慌てて紫に問いかける。

 

「それじゃあどうすればいいの!?」

 

「そんなの分かんないわよ こんな事例なんて初めてだし」

 

 そう、相手は未知の存在。どのような方法で暗示をかけたのかも、どういう風に解除すればいいのかも分かるはずがないのだ。

 

「ま、強いて言うのなら上の偽物にこの暗示を解かせるか、彼の予測の通りなら目の前にいるフランの疑心を取り除くことをすれば解決するんじゃないのかしら?でもこんな話を聞かない状態で何を言い聞かせても無駄だと思うけど…」

 

 紫はそう言うがこれはあくまで予測。本当にこの方法で解けるという保証は何処にもない。しかし、やらなければ進展がないのも確かではあった。実際、フランの実の姉であるレミリアは藁にも縋りたい思いだった。

 

“通用してもしなくても…どっちでもいい それでまたあの娘の無邪気な笑顔が見られるのなら私は…!”

 

レミリアの目がある種の覚悟を孕んだ眼差しに変化する。

 

「…聞いてくれてないかもしれないけど フラン 私は貴女に言いたいことがあるの」

 

 先程まで揺さぶっていた両腕の動きを止め、しっかりとフランの虚ろな目をその両目で捉えたまま静かに語り掛ける。

 

「…かつて私たちが外界にいる時に私が貴女を閉じ込め続けたこと あの時の私は妹である貴女を守るためにあんなことを行ったのだけれど そのことが貴女の心を圧迫し、傷つける結果になってしまった…本当にごめんなさい」

 

 それは謝罪だった。レミリアは長年、フランに対して行ったことにとても心を痛めていた。だからレミリアは誤った自身の過去の選択を悔い、謝った。長年感じていたフランへの悔恨を全て曝け出して…。

 

「それで貴女は狂い、何も信じられず、暴れ、それで余計に苦しい思いもさせてしまった…貴女をここまでにしてしまった責任は私にある…だから私はどんな罰でも受けるつもりよ でもこれだけは知っていて!私は…いや、私たちは貴女の事を何よりも大事に…愛してるって 貴女は誰も信じられないと言った でもそれは違う!この世界は素敵な人達で溢れ、皆助け合いながら生きている 本当は貴女も分かっているんでしょ!みんな優しい人ばかりだって!」

 

 だからレミリアはフランへの愛情も全て曝け出す。何故なら先程の悔恨も今の愛情の念も全て嘘偽りのないレミリアの本心だからだ。レミリアはフランに伝えたかったのだ。『人々の優しさを』。『世界の素晴らしさを』。そして、何よりも『貴女を愛していると』。

 

「貴女は誰よりも優しい娘…私は誰よりもそれをよく知っている 本当は貴女だってこんなことしたくないって理解しているはずよ!」

 

 そしてレミリアは誰よりも信じていた。フランドール・スカーレットを。だから分かっていた。以前、暴れたことも。狂ったような性格になってしまっていたことも。そしてこの事件も。全てフランの本当の意思ではないことが。

 

「貴女が殺すためだけに生きているなんて思ってるのなら私は大声で否定してあげるっ!フランドール・スカーレット!貴女は人を愛するために生まれてきた!」

 

 ポロポロ…

 

 だから高らかに少し上ずった声で部屋全体に響く声でレミリアは叫ぶのだ。フランの本当の姿を。

 

「だからフラン私をちゃんと見て!貴女のその愛おしい両目で貴女の姉の顔をしっかりと見て!」

 

 そう言ってレミリアはフランの両頬に両手を添えて懇願にも似た表情で言った。

 

 

すると…

 

 

 

 

 ポロポロポロポロポロポロポロ……

 

「!」

 フランの虚ろな目から大粒の涙が零れ落ちてきたのだ。更にその涙は止めどなく流れ続け彼女の頬を伝う。レミリアの想いがフランに伝わったのだ。

 

「………」

 

 だが、フランは何も答えない。涙を流しただけでその他には何も変化は見られなかった。その時、パチュリーがレミリアの肩に手を置き、こう言った。

 

「レミィの想いはフランに伝わったみたいよ 表情の反応が無いのはあの偽物の暗示が強いためね でも大丈夫よ ここまで貴女の想いが伝わっているんだもの きっと元のフランに戻るはずよ」

 

 その言葉を聞いてレミリアは少し笑いながら小さな声で「ええ、そうね」と答える。だがこの暗示は強力なモノで解き方も一切分からない。レミリアの想いが伝わったところで自然に解ける確証は何処にもない。

 

「この暗示を確実に解くためにはあの偽物を倒さなければいけない…あとは月山さんを信じて私たちはその時まで待つしかな………」

 

 そう、美鈴が言った時だった。

 

 

 

 ドガァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!

 

「「「!?」」」

 

 突然、遠方から轟音が鳴り響く。どうやら音の来た場所は上の階。つまり、月山とフランを名乗った偽物が対峙していた大広間からだった。今の音でこの場にいた全ての者が察する。

 

『今のは全てを懸けた一撃を放った音』だと。

 

「どうやら勝敗が決したようね 私はもしもの時のためにもう一度大広間に行ってくるわ 貴女たちはそこでその娘の様子や何かしらのアクションをとっていてちょうだい シュウが上手くやっていればその娘は元に戻るはずでしょうし」

 

ギニョン…

 

 そう言って上の状況を察した紫はまた空間に裂け目を作り、移動する準備に入ろうとするが、

 

 

「待って!」

 

 紫に静止を願ったのは咲夜だった。

 

「私も戻るわ 紅魔館のメイド長として私には戦いを見届ける義務がある」

 

 咲夜はしっかりとした眼差しを紫に向け言い放つ。しかし、危険を承知でまた大広間に戻ろうとする咲夜を茶化すように心の中で紫はこう呟く。

 

“紅魔館に仕えている身だとしたら主とともに主の妹を元に戻すことに尽力するのが普通の事だと思うんだけど…まぁこんなことを言うのは野暮よね♪”

 

 そう、八雲紫という妖怪はどのような状況下にあっても『こういったこと』をしないor考えないという事は無いのだ。

 

「ええ、分かったわ それじゃあついてきてもらおうかしらメイド長さん♪」

 

 そう言って紫は咲夜の同行を了承し、二人は裂け目の中に広がる闇の中に侵入した。

 

この裂け目の中には違った空間が広がっていて辺りには暗闇なのに無数の目が広がっているのを確認することができる。まずこの空間に入ると前後感覚が失われる。本当に進んでいるのかいないのかが感覚として伝わってこないのだ。ただただ同じところで足踏みしているような感覚をそこに入ったものは獲得する。しかしその不思議な感覚も数歩歩くと瞬く間に消え去る。いきなり目の前に光り輝く裂け目が現れるのだ。そしてそこを通り抜ければ目的地に到着する。その間僅か10秒代。まるで某アニメの猫型ロボットが出す秘密道具の一つのような効能だ。

何度かこの不思議な体験をしてきた咲夜はまだ慣れることができない。いや、術者である紫以外の者たちの殆どは慣れてはいないだろう。因みに咲夜はあの目が嫌だという。ずっと監視されている感じがして今すぐにでも手持ちのナイフをあの黒目めがけて投げたくなってしまうらしい。

話は出口を出た所に戻る。咲夜と紫は無事目的地に到着した。場所は1階大広間にある図書館に繋がる地下階段の前。出てみてまず二人が目撃したのは崩壊した大広間の姿だった。天井は無くなり、頭上には少し藍色がかった茜色の空が広がっている。大広間を囲う壁も消え去り、中庭に繋がる入り口はもう意味を成してはいなかった。そして何より驚愕したのは大広間の中心から広がっている巨大なクレーターだった。おそらく強大な力と力がぶつかった結果、まるで隕石でも落ちたかのようにこの大広間の中心を爆心地としクレータが出来たようだった。

 

「一体、どんな戦闘を行えばこんな状態に…」

 

 咲夜はそう言いながら紫と共に歩を進めていく。とにかく状況の確認が必要だったので周り360度見渡すことができる中心部に二人は向かうことにした。

 

「きっと二人とも最大最高出力のスペルを発動したようね そうでなければ館がこんな状態にはならないわ そう…」

 

 

「半壊するまでにはね」

 

 

 大広間の入り口から見て前方にある方向には何も無かった。見えるのはその後方に広がる山々とこの館のある島を囲んでいる湖だけだった。そう。この大広間を爆心地とし館の東館、西館を除くいわば中央に位置する館と中庭の半分ほどが消滅していた。そこだけ巨大なショベルカーにごっそりと掘られたかのように…。

 

「この異様な静けさ…シュウは一体何処に…?まさかこの爆発に巻き込まれて…!」

 

「…!咲夜、あそこを見て 何かがあるわ」

 

 紫が指差す場所は向っていたクレーターの中心。クレーターの中心は下の階の図書館に繫がっていた。要は下の階までクレーターの凹みが届いてしまい中心にだけ穴が開いてしまったのだ。そして紫に言われたとおりにその穴を見ると真下に何やら人影のようなものが見えた。

 

「あれは…シュウと、妹様の偽物…何故あんな体勢をとって…」

 

 咲夜は穴の側まで来て、その人影のようなものを確認するとそこには月山と先程まで猛威を振るっていたフランに化けた少女が互いに寄りかかるように状態でいた。何故そのような状態になっているのだろうと考察しながら更に確認できるように近寄ろうとすると、ある音が耳に入って来た。

 

 ポタポタポタタタタ……

 

 それは水が滴る音だった。だが辺りに水が出ている所は無かった。しかもその音は眼下に見える二人から聞こえてくるのだ。

 

「一体、この音は……っ!?」

 

 その謎は即座に解き明かされた。二人をよく見ると月山の背から何やら得体の知れない触手のようなものが突き出ていたのだ。そう。その音というのは月山の背から突き出た触手から滴り落ちる月山の血だったのだ。二人は寄りかかっていたのではない。フランに化けていた少女が月山を刺すために近寄ったからそういう体勢になったようだった。

 

「ごふっ……ぁッ…」

 

 月山の口から赤い赤い鮮血が吐き出され、飛び散る。その様子を見て咲夜は絶叫する。

 

「シューーーーーーーーーウッ!!!!!」

 

 

 

空はすっかり茜の色を失い、何かの終わりを告げるかのように夜を迎えようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 すいません!技名センス無いとか言って!個人的にはとても好きな技なんですが、やはりあの年の人が大声であの技を言うとちょっとアレな感じがするのでそう言わせました(ホントすいません!)
 
 次回ようやくこの戦いに終止符が打たれる予定です(おそらく)

 次回の投稿は今回みたいなことにならないようにしたいと思っているのですが、夏場は所用が増えてどうなるか...ま、努力はしてみるのでこれからも応援よろしくお願いします!
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