東方喰種:MM~美食家が幻想入り~   作:ナライ

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お久しぶりです!ナライです!何とか十三話投稿できました!
この回で色々な設定が出ますがもし今までの話から矛盾しているところがあれば申し訳ありません!編集します!(自分が確認したら大丈夫だったので多分いける、かな...?)

水着イベのガチャでカイジ張りにお金をすっちまった...(ざわ...ざわ...)

その代償のお陰で水着鯖は全部手に入ったけどね!(白目)


第十三話 反転

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぅぅ…あぁ」

 

 

 

 

 

 

 

瞼が重い。

 

 

 

 

 

 身体が思うように動かない。

 

 

 

 

 

 少女は自身の体に限界が近づいているのを心の中で察した。

 

 

 

 あの凄まじい治癒力も今や殆ど機能していない。それは少女がその身にかつてにない程のダメージを受けたことも少なからずはあるが、一番の要因は精神へのダメージだろう。彼女の治癒力はその気持ちによって変わる。自身のモチベーションが上がればその治癒力も向上するが、逆にネガティブになれば衰退していく。 

 

 

 

 

 

今、彼女は自身の無価値を痛感していた。

 

 

 

 

 

 気が付けば自身はフランドール・スカーレットという少女として構成されていた。

 

 

 

 そして生まれ出でたその瞬間から脳裏に鳴り響くのだ声が…いや、命令が。

 

 

 

 

 

『スベテニ、シヲ アレノ、ネガイガオマエノ、イノチダ』

 

 

 

 

 

 その声の主が誰なのかは分からない。そして自分の事も分からない。だが、これだけは知っている。

 

 

 

 

 

 私は他人を殺さなければ死んでしまう。

 

 

 

 

 

 生きるためにコロス。存在するためにコロス。

 

 

 

 

 

 

 

 生まれ出でた私の存在する意味は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

殺すことでしか表現することできないのだから…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅぅ…ここは、?」

 

 

 

 少女は重い瞼を開け、目の前に見える空間が何なのかを考察する。床下には自身が所有している鎌が落ち、前方ははっきりとは見えないが瓦礫の山があることが確認できた。しかし瓦礫と一緒にそれとは明らかに材質が違うものがいくつか瓦礫の中などに点在していたのも少女は確認することができた。それは木でできた大きな箱のようなものだった。

 

 

 

『そうか…ここは地下にある図書室か…』

 

 

 

 その木製の箱は本棚だった。頭の中で整理するとそこには大量の本棚が並んでいたというのが想像できる。どうやら先程の閃光の後、少女は気を失い丁度あの大広間の真下にあるこの図書館へ落ちてしまったようだった。

 

 

 

 カツ…カツ…カツ…

 

 

 

この時、少女は仰向けの状態だった。ので見えるものもその状態から首を上げたことで確認できる前方の景色しか見えなかった。だから少女は気が付かなかった彼女の後方から近づいてくる者に…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わりだよ…」

 

 

 

 チャキン…!

 

 

 

「ッ!?」

 

 

 

 少女はゆっくりと背後を振り向く。そこには頭上に開いた穴から注ぐ月の光を右上部から浴び、神々しく、また丁度光の当たらない場所、『影』にいる自分とは違う存在なのだと思わせるように紫髪の騎士が剣を自身に向けていた。

 

 

 

「その身体では録に動けまい 君の回復も以前の見る影もないものになっている 今の君では僕は倒せない」

 

 

 

「グゥッ…!」

 

 

 

「それとも“君の赫子で僕を攻撃する”かい?」

 

 

 

「僕が気づいていないとも?その体や回復力、身体能力はまさしく僕と同じ喰種のもの 何故、君の眼には赫眼が発現しないのかは分からないがそれを差し引いても君が喰種だという予測はつく」

 

 

 

「…あんたが言ってる喰種てのはよく分かんないけど 確かに私はあんたとは“ほぼ同じ”よ 」

 

 

 

「ほぼ…?」

 

 

 

「そうよ 私はアンタに似て非なるモノ 私はアンタと同じ力を持ってるけど、アンタと同じスペックではない ようは生命上の問題よ」

 

 

 

「まず視力が極度に低い、臭いもそんなにかげないし、遠くからの声も大声でしか聞けない しかも時間が経つごとにどんどんその力は弱まってきているわ」

 

 

 

 そう言われて月山は先刻の戦いを思い返す。月山と熱戦を繰り広げていた彼女だが、戦いを有利に進めるために戦いを中断し、負傷した紅魔館の者たちを襲うということもできたはずだ。彼女たちを襲おうとしたのもレミィが僕に大声で声をかけてきた時のみ。それに突如この紅魔館に現れた紫に気が付けなかったというのもおかしい話だ。つまりそれができなかったということ。それは負傷した彼女たちの居場所が分からなかったという事だ。つまり離れた彼女たちを目視できず、彼女たちの血の臭いも嗅ぐことができなかったのだ。

 

 

 

“それに最初、出会ったときに喰らっていたレミィの左腕は比較的近くにあったし僕が能力に目覚める直前に扉の前まで吹き飛ばされた時も彼女との距離はレミィたちとの距離よりも短かった…おそらく彼女はそれ以上の距離を殆ど視認することができないのだろう”

 

 

 

「それに…寿命が短い」

 

 

 

「!」

 

 

 

 そう言われて月山は考察のため頭に向けていた意識を改めて彼女に向き返した。

 

 

 

「私は自分が何者かを知らない でも自分自身の体の事は理解してる 私の体は月が完全に空に昇ると同時に尽き果てる」

 

 

 

 まるで映画を見ているかのようだった。しかし彼女の目からは嘘偽りの類のものは一切感じられない。本当のことなのだろう。

 

 

 

「だから私はそれまでに自分が生きていたという証明を世界に刻みたかった 『殺人』という方法でね」

 

 

 

「…自暴自棄となりそういう結論に至った いや、何か別の理由があるんだね」

 

 

 

「…頭にずっと流れてるの 私という存在が生まれ出でた瞬間から『コロセ』っていう声が…」

 

 

 

「!?」

 

 

 

 それは抗いようのない生命の本能のようなモノなのかもしれない。そう月山は思った。ただ狂うだけでこんなことはできない。何か理性の箍を外す何かが無ければこんな行動はとらないだろうから。

 

 

 

「こんなことしても何にもならないってことは分かってはいたわ でも狂ってしまうことを止められなかった 狂ってしまえば心が軽くて何より誰かを傷つけることに快感を覚えていくの…そしてそんな事を思う自分が心底嫌になっていく…」

 

 

 

 それはまるで麻薬中毒者のようなもの。自分ではいけないと思っていても辞めることができない。そして後で自己嫌悪に落ちる。それは想像を絶する苦しみなのだろう。僕にとっては極度の空腹状態が近いのかもしれない。

 

 

 

「殺してくれる?月山習 私の命は残りわずかどうせ生きていても仕方がない このまま死んでしまうくらいなら私と同じ貴方の手で死にたい」

 

 

 

 無意味である自身の存在。じきに朽ち逝く体。こんな自分だ。最期は自分と似た彼の手でこの糞みたいな生涯の幕を下ろしたい。そう彼女は告げた。その彼女の表情は諦め気で不満げな感じだった。

 

その言葉と様子を見聞きした瞬間、月山の表情が変わった。

 

 

 

「呆れたよ」

 

 

 

 それは少女が予想していなかった一言だった。

 

 

 

「もっと君は骨のある者だと思っていたが気が変わったよ 僕は君を殺さない」

 

 

 

ようやく理解してくれる人物が現れてくれたと思った少女の気持ちを打ち砕くには十分な言葉だった。

 

 

 

「君はそのまま自分の死に怯えながら月が天に昇るのを待つが良い それが僕が君に与える最大の罰だ」

 

 

 

 何故こんなことを目の前にいる同胞は言ってくるのか少女の頭はそれだけでパンクしそうだった。それと同時に好き勝手言ってくるこの月山習と言う男に怒りの感情が芽生えてきた。

 

 その様子を観察しているはずの月山はお構いなしに話を続ける。

 

 

 

「だったら見せてみろ 君の本心を 抗いを それができないようじゃ到底君は欠陥品止まりだ」

 

 

 

 その言葉で少女は怒りの沸点に達した。

 

 

 

「…るせ…」

 

 

 

 その言葉を聞いて月山はダメ押しと言わんばかりに言葉を紡ぐ。

 

 

 

「?よく聞こえないなぁ?そんな小さな声では君の意思っていうのもその程度のモノだったというこ…」

 

 

 

「うるせぇ!!!!」

 

 

 

 スッ…!

 

 

 

「!?」

 

 

 

“何この手ごたえのない感じ―――!”

 

 

 

 月山の腹部と背部を何かが貫いた。それは禍禍しい赤黒い触手のようなもの。

 

 

 

『赫子』だった。

 

 

 

 貫いた赫子に合わせて月山の体が動くと同時に口から勢いよく血を吐き出す。その様子から月山の負っている状態の凄惨さが伝わってくる。

 

 

 

「誰がこのまま死にたいって思うかよ!生きたいに決まってるだろ!!」

 

 

 

 少女は叫んだ。涙ながらに。自身の本当の想いをその一撃と共に月山にぶつけたのだ。

 

 

 

 ポンッ

 

 

 

「それが君の本心さ」

 

 

 

 少女は驚く。自身の頭に伝わって来た優しい手の温もり、そして目の前に映っている男が笑顔でそう囁いたことに…。

 

 

 

「僕は初めから君を本気で敵視してはいなかった 君の中に僕に近いものを感じたのさ それは同じ能力を持っているってことじゃない 独りで何かを必死で追い求めようとしている純粋な意思を感じたからさ」

 

 

 

 そう言いながら月山は今の自分とかつての友人の後姿を重ねる。

 

 

 

 

 

嗚呼、そうか 彼の想いもまた欲だったのか。平和な日常。皆が笑い合い、人と喰種が共に微笑み合い、コーヒを飲むあの空間。それを彼は望んでいたのか…。

 

 

 

決して届かない泡沫の夢。彼はそのためだけに歩を進めたのか。

 

 

 

フフフ…何だ。彼もまた僕と一緒だったのか。

 

 

 

多少の差異はあるかもしれないが、カネキ君。君のあの時の気持ちは…

 

 

 

君と言う友を呼び止める…あの時の僕の欲と何ら変わりのないものだったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

「…ならば君は生きるべきだ この幻想郷には色々な能力を持った者たちが多く存在する 君の寿命を延ばすこともおそらくできるはず…さぁこれから一緒にエーリンの所へ……」

 

 

 

ドサッ…  ベチャッ…!

 

 

 

 突然だった。先程まで少女の頭に置かれていた右手が離れてゆく。月山は倒れてしまったのだ。

 

 

 

「え?どうしたの!?あっ、今の攻撃で!?」

 

 

 

「嗚呼…君の赫子のせいではないよ さっきの爆発の時に少しケガをしてしまってね...」

 

 

 

 少女はそう言う月山の患部を確認する。一時、目を見開き。一時、目を閉じ。一時、そのまま下を向く。

 

 

 

「どこが、少しよ…」

 

 

 

 

 

 

 

「体の左半分の殆ど、無くなってるじゃない…」

 

 

 

 

 

 

 

 その傷は酷いものだった。左腕は肩から千切れ、左腹部は中央のまでぽっかりと大きな穴が開いている。左足も所々骨が外に出、その怪我の凄惨さを物語っている。自分の視力が弱い事と明かりが右から当たっていたので今まで気付くことができなかったのだ。さっき赫子で月山を貫いた時、手ごたえが感じられなかったのもこの傷口を通過しただけ。あの時、大量の血を吐いたのも動くだけでやっとの状態だったから。下を見れば物凄い量の血だまりができていた。

 

 

 

 この時、彼女は気が付いた。目の前にいる男はこれほどの重傷を負っているのに自身は何故、軽傷で済んでいるのか。

 

 

 

「まさか、私を…庇って…?」

 

 

 

「……」

 

 

 

 男は何も答えないがそれ以外に考えられなかった。逆にその沈黙は肯定の意味なのだろうと彼女は察した。

 

 

 

「…どうして?」

 

 

 

「どうしてアンタはそうまでして…私のことを…!?私はアンタやアンタの仲間たちを殺そうとしたのよ!」

 

 

 

「君が女の子だからさ…」

 

 

 

 月山は即答した。その答えの速さも相まって少女はとてもその答えに驚愕した。

 

 

 

「たった…それだけの理由で…!?」

 

 

 

「僕にはそれが一番の動機さ ladyの悲しむ顔を見たくないと思うのは男として当然の事、君はずっと辛い顔をしていたからね 例え敵であろうと僕は君を助けるつもりで初めから剣を交えていた」

 

 

 

「……」

 

 

 

 少女は言葉が出なかった。目の前で虫の息で倒れる男は初めから自分と本気で殺し合うつもりなど無かったのだ。男の目的は「守る」こと。仲間たちやこの世界を守ると同時に男は敵であった少女の存在をも守ろうとしたのだ。

 

 

 

「以前の僕じゃあこんな行動を取ろうとは絶対に思わなかっただろう…他人の幸福よりも自身の欲求を 僕はそんなヤツだった…だが今の僕は他人のために尽くし、この力を揮いたい 彼と再び見えるため、に…」

 

 

 

「……」

 

 

 

 再びこの薄暗い空間は静寂に包まれた。それはこの場にいる二人の命の灯の終わりが来ることを暗示しているかのように…。

 

 

 

「…月が完全に昇るまでにはまだ時間はある でも、それもあと少し 私の命を助けることは到底無理な話 例え助かったとしても彼は絶対に助からない…」

 

 

 

 結論。この状況下で二人が助かる確率はどう考えても0%。ただ違いがあるとすれば少女の寿命が少し長く、月山の寿命がもうすぐ尽きるという違いくらいだった。

 

 

 

「……」

 

 

 

 少女は目の前で死にゆく月山を見つめ、沈黙していた。そして同時に男のことを思っていた。

 

 

 

 男が自分を助けたことが無意味になろうとしていること。そしてその事を男は理解していたはずだということ。

 

 

 

 彼は一人にさせたくなかったのかもしれない。何故かそう少女は感じた。どういう結果になろうと救えるのなら彼はそのためだけに行動する。そして破滅を対象が迎えるのなら自身も共にすると。

 

 

 

 何だか彼の事をかっこいいと思う反面、他とは違う違和感を感じた。

 

 

 

 今の彼を彼たらしめんとする本来存在してはならない異物を感じ取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、今はそんなことどうでもいい。最も大事で明確なことは彼が私を助けてくれたこと。私みたいな存在が必要ないことなんてないと言ってくれたこと。そしてそのために彼は今、死にかけているということだ。

 

 

 

「…私は生きたい でもそれは一人でじゃない 分かり合える仲間と共にこの世界を生きたい」

 

 

 

 生きるためならどんなことをしても構わないと思っていた。自分にとっての生涯とは命令に従うことだと思っていた。でも今はそうは思わない。生きるという事は共に笑い合える仲間と一緒に過ごすことあってこそのものだと思う。

 

 

 

「そう、私を認めてくれた彼と一緒に…」

 

 

 

 彼女の頭からはもう何も響いてこない。表情も穏やかになり、あんなに激しく荒々しかった殺気も消えていた。

 

 

 

 

 

ポロッ…

 

 

 

「私は生きたい」

 

 

 

少女は静かに側に落ちてあった鎌を持ち上げ、目の前に倒れる月山にその切っ先を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

ザシュッ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空は深い深い藍の色。そこに浮かぶ極彩の星々は瞬き、大きな望月は中天に座す。

 

 

 

月山習がこの幻想郷にやって来て三度目の夜を迎えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズズズズズズズ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「…n、ん?ここは…?」

 

 

 

 気が付くと僕は真っ暗な空間にいた。何度か来たことがあるような気もするが明確に思い出すことはできない。

 

 

 

「僕は何故ここに?ぐっ…気を失う前のことが思い出せない…」

 

 

 

 そう言って僕は頭を押さえる。

 

 

 

 

 

『きみは僕を“見るんだね”』

 

 

 

「!?」

 

 

 

 目の前を振り向くとそこには小奇麗な洋服に身を包んだ白髪の少年が立っていた。

 

 

 

 どこかで見たことがあるような気もしたがそれを思い出すことはできない。

 

 

 

 気が付けば辺りは明るくなり、名も知らぬ白い花が床一面を覆っていた。

 

 

 

 

 

『愛して欲しいんだよね』

 

 

 

「え…」

 

 

 

 唐突な質問に僕は何も答えることができない。否、質問なのかどうかも分からなかった。

 

 

 

『誰かのために尽くしたいんだよね』

 

 

 

「……」

 

 

 

 僕は沈黙した。その言葉を跳ね除けることも可能だったが不思議とその言葉を発することができなかった。寧ろその言葉を何処かで期待している自分がいる事に気が付いた。

 

 

 

『僕みたいになりたいんだよね』

 

 

 

 その言葉の意味が分からないはずなのに不思議と身体はその言葉の意味を理解しているようだった。だから勝手に僕の口はその言葉を紡ぎ出していた。

 

 

 

「嗚呼、そうだよ 僕は君のように何かのために“死にたいんだ”カネキ君」

 

 

 

 言葉を発して全てを理解した。彼が何者であり、僕が何を望んでいるのか。先程まで何があったのかを。今まで見た夢を。そして摩耗していた記憶を…。

 

 

 

「僕は何としても生きていかなければならないそう思った…だが今は違うんだ 誰かのためにこの幻想郷を救うために僕はこの命をすぐにでも投げ出す それが…」

 

 

 

「君を理解できなかった僕への罪の形だ」

 

 

 

 あの時。あの時に戻りたい。カネキ君を止められなかったあの時。父が僕にあのコーヒーを入れてくれたあの時。松前たちを止められなかったあの時。そして…

 

 

 

あの手を握ることができなかったあの時に―――。

 

 

 

「だから僕は誰かのためになるのなら虫ケラのように死ぬことも厭わない」

 

 

 

 皆から与えられたこのゴミ()…それが他の者のためになるのなら僕は…

 

 

 

 

 

 

 

                                        棄テル(命をかける)

 

 

 

 

 

 それが僕が決めた道。彼への贖罪。そして今度は僕が君になる。

 

 

 

 

 

「僕は、かっこよく死にたいんだ…」ポロッポロッ…

 

 

 

 そう言い放ち僕は彼に微笑みかける。同時に涙が止めどなく両目から流れ出してくる。それは彼に出会えたことからなのか、それとも記憶が蘇ったことからなのか、はたまた別の何かからなのか…涙の理由は分からなかった。

 

 

 

『…できる?』

 

 

 

「うん」

 

 

 

『……』

 

 

 

 一言ずつのやり取りだった。だがその会話だけで大きく彼の様子が変わった。悲しい、哀しい、カナシイ、、、表情をしていた。何故かは分からない。ただその様子は誰の目からも明らかなものだった。

 

 しかし、その表情もすぐに元の無表情に戻る。何事もなかったかのように…。

 

 

 

『それじゃ夢はもういいね――――。もうじき、誰かがここに来る。僕は眠るとするよ…』

 

 

 

“誰か?”

 

 

 

 そう言って彼は僕から立ち去り、離れていこうとする。以前の僕ならその様子を見て呼び止めようとしたが今の僕はそうはしない。ただ、ただこの言葉だけを彼に伝える。

 

 

 

「また、会えるかな?カネキ君」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕の問いに彼はその足を止める。しかしこちらには振り返らず、そのままの姿勢で僕にこう答えた。

 

 

 

「…あなたが“理由”を見つけた時に僕は今度こそ現れますよ月山さん」

 

 

 

 

 

 そう言った彼の後姿はかつて僕があのビルの屋上で見た彼のものと同じだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 開かれようとする真の双眸。精白しか映らない最後の視界はとても寂寞とし、鼻腔は熟れ過ぎた花の匂いを感じ、口の中は何か甘く、そして熱い鮮血の快味が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ポトッ…ポトッ…ポトッ…

 

 

 

 鼻腔に芳しい香りが広がってゆく。その香りは深く沈んでいた意識を冴えさせ、身体の感覚を呼び覚ましていく。

 

 

 

“これは、コーヒーの香り…”

 

 

 

「…n。」

 

 

 

 瞼を開ける。視界に入ったのは木の天井。自身は床に仰向けになった状態で眠っていたらしい。

 

 

 

「…シュウ――!?」

 

 

 

 コーヒーの香りが漂う方向から声が聞こえた。そう理解すると同時に天井しか映っていなかった視界に別のものが映し出される。それは白銀の髪と眩いばかりに煌めく碧眼。そしてかつて自身がその手を握ることが叶わなかった彼女の容姿だった。

 

 

 

「…n、おはよう、サクヤ。」

 

 

 

「グスッ―――おはよう、シュウ…」ポロッ…

 

 

 

 サクヤの目からは一筋の涙が流れていた。その雫は彼女から零れ落ち、僕の頬に伝う。その感触は心地よく、覚醒したばかりの体にはその涙の温もりは少しばかり熱く感じさせた。

 

 

 

「hahahahaha…心配をかけてしまったみたいだね でももう大丈夫、泣くのはおよし 僕はこうやって“生かされたんだから”」

 

 

 

「フフッ。そうね、あの惨状で生き残れたのは神様が生かしてくれたのかもしれないわ」

 

 

 

 そうやって二人は微笑み合った。あの出来事を一瞬ではあるが忘れられた瞬間であった。しかし、聞かなければならない。聞かなくてはならないのだ。あの後のことを。そして彼女の事を―――。

 

 

 

 

 

 

 

「あの後どうなったのか聞かせてくれないか?」

 

 

 

「…ええ、言われなくてもそれは貴方に伝えるつもりでいたわ」コポコポコポ……

 

 

 

 咲夜はそう言い、コーヒーの液が入った容器を洒落た陶器のカップに移し替える。その時に漏れ出すコーヒー独特の香ばしい薫りが部屋中に広がる。部屋の中にはコーヒーを作るためだろう色々な器具があるのが確認できる。

 

 

 

 “手動のミルに、細口のドリップポッド。それにあの型はネルドリップ用のサーバーか…”

 

 

 

 ミルというコーヒ豆を粉砕する機械によって粉砕されたコーヒー豆は水やお湯に接触させることにより中の成分を抽出することができる。その抽出した液体が今日、我々が口にしているコーヒーである。その抽出方法は様々で大きく『濾過(ろか)・煮沸後濾過・煮沸・浸漬』の四つに分かれている。今回サクヤがselectしてくれたのは濾過。その中でもまろやかでコクある味わいのコーヒーになるネルドリップという抽出法を使用した。「ネル」とは手触りが柔らかく起毛している織物「フランネル」のことで、この織物をフィルターとして使用する抽出方法をネルドリップと言う。コーヒー愛好家の中ではこの抽出方法が「最高の抽出方法」だと言う者もいる。

 

 

 

「持てる?」

 

 

 

「No problem.(心配ない)頂くよ。」

 

 

 

 そう言い、月山は咲夜から淹れたてのコーヒーが入ったカップを貰う。

 

 

 

“はっきりと覚醒しきっていない僕の体に合うよう舌触り滑らかなこの抽出法を使ってくれたのか…流石は紅魔館のメイド長。思いやりの精神がこの一杯だけで伝わってくるよ…”

 

 

 

 月山は口を付け、カップに収納された飴色の液体を喉へと注ぐ。淹れたばかりのものだったが熱いとは感じなかった。寧ろ丁度良い温かさであった。抽出のために使ったお湯より温度が下がるのもネルドリップの特徴である。そういったことからも月山に咲夜の思いやりを感じさせた。

 

 

 

 ゴクッ…!

 

 

 

 口の中にコーヒー独特の苦味が広がっていく。しかしそれは苦いと思わせる程強烈なものではなかった。逆にその中から今度は明るい酸味が心地よく味覚を刺激していく。舌触りもよく、味も普通のコーヒーが持つような薄っぺらなものとは違い厚みがあり、元の豆本来の味の複雑さを感じさせる。そして飲み込めばその味の余韻が深く、そして長く舌に伝わってくる。

 

 

 

「ハァー…」

 

 

 

 このコーヒーの味の心地よさに思わず息が漏れた。

 

 

 

 

 

“とても美味しい”

 

 

 

 

 

「…口に合わなかったかしら?普段紅茶ばかり淹れてたからもしかしたら―――。」

 

 

 

「ああ…!Soory...。そんなことは無いよ とても美味しいよ 声が出ないほどにね」ゴクッ…

 

 

 

 そう賛辞の言葉を咲夜に告げ、月山はもう一度そのコーヒーを飲む。恍惚な表情を浮かべながら。

 

 

 

「…いつもシュウが飲食をする時リアクションが一々大袈裟だったから本当にまずかったのかと思ったわ」

 

 

 

「fun…僕にだって静かに飲食を愉しみたいと思う時もあるよ 因みにこのコーヒー関連の道具は君が持ってきたのかい?ちょっと気になって先に聞きたくなったんだが答えてもらっても?」

 

 

 

「勿論よ 元々紅魔館に道具はあったのだけれどあの時の爆発でね…」

 

 

 

「あ…」

 

 

 

 罪悪感が月山に走る。それもそうだあの威力の爆発で無事なものなど逆に少ないだろう。

 

 

 

「申し訳ない…!」

 

 

 

「いえ、シュウは私たちのために戦ってくれたそのために館が壊れても誰も怒らないわよ お嬢様も「仕方ない」と言っていたしね しいて言うのなら美鈴が働きづめになっていることくらいかしら まぁ、あの娘も文句1つ言わず作業しているから気にしなくていいわよ」

 

 

 

 そう言われてしまうと逆に罪悪感が更に増してしまう月山であった。

 

 

 

「この道具たちはね私が選んで買って来たものなのよ いつもならお嬢様に選んでもらう所なのだけれどこの道具たちは自分の目と意思で購入したかったから」

 

 

 

「そうか、これは君が選んだものなのか…良いセンスだと思うよサクヤ デザインも機能も味も僕好みだ もしかすると僕と君は相性が良いのかもしれないね」

 

 

 

 そう笑顔で言うと彼女は呆気にとられたという感じの表情をし赤くなる、暫くすると慌てて顔を俯かせ言葉を紡ぐ。

 

 

 

「そ、そう///それなら良かったわ/// おっ、おほん!それじゃあコーヒー道具のことは話したことだし元の話に戻るわね」

 

 

 

 これから話されることは月山がいなかった空白の時間の話。彼が知らないあの月夜の話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 咲夜が絶叫してから一時間後―――。

 

 

 

 月山の無残な姿を見た咲夜はその事を紫に即座に伝え、結界を張ることを決断した。

 

 

 

 あの偽者が出て来れないよう強力な結界を張るために霊夢や紫の使役する式神もこの紅魔館跡地に集結した。その時間は紫の空間移動を使ったためにものの数分で行えた。あとはあの偽フランがあの穴から飛び出してきた瞬間を狙って結界を張る。計画は順調に行われていた。

 

 

 

 しかしあの偽物が穴から飛び出してくることは無かった。

 

 

 

 準備ができて半時間経ったところで本物のフランが正常な意識を取り戻したとレミリアたちから念話で咲夜たちに連絡が入った。だが迎えに行こうにも今は臨戦状態。紫も手が離せない状況だった。咲夜は念話でシュウが敗れたことを伝え、今あの偽フラン自体を封印する結界を張っていることを伝えた。レミリアは辛そうにしていたが今を悔やんでいても仕方ないと言った。

 

 

 

「シュウがアレと戦っていなければもっとひどいことになっていたかもしれない 私たちのことはいい、今やるべきことは彼の想いを無為にせず、あの化け物を完全に封印することに全力を尽くしなさい」

 

 

 

 そう。それが今咲夜たちがやるべき最優先事項だった。

 

 

 

 そして一時間が経とうとしたとき流石にこの様子はおかしいと咲夜たちは思い出した。

 

 

 

 しかし確認しようにもそれは自身の命を投げ出すような行為に等しかった。

 

 

 

 もしかすると結界が張られると知っていて出て来ないのかもしれない。更に言えば確認しようと近づいてきた者を人質とし、やり過ごそうとしているのかもしれない。

 

 

 

 様々な憶測が咲夜たちの脳裏に過り下手に確認することは出来なかった。

 

 

 

「私が確認してくるわ」

 

 

 

 そんな時だった。咲夜が確認してくると名乗り出たのは。この時の咲夜は結界を張る側にはいなかった。あくまで結界を張るのは霊夢や紫たち専門家。咲夜は見届けるのみの仕事であった。そんな事しかできない自分の姿がたまらなく嫌だったのだろう。それに咲夜には時止めの能力もある。もしものことがあればその能力を使い逃げ出すことも可能だった。

 

 咲夜は理解していたのだ。この時一番その役にぴったりの人物が自分だと言う事に…。

 

 

 

 だがそれ以上にまだどこかで信じていたのだ。

 

 

 

 あの男がこんなところで死ぬわけがないと、生きてまたあんな冗談めいた喋り方で自分たちの元に現れると信じていたのだ。

 

 

 

“奇跡”というものがあの男に相応しい言葉だったからだ。

 

 

 

 

 

 誰も止めることはしなかった。それはこの行為しか方法がないという意味からではない。咲夜の覚悟を決めたかのような眼を見たからであった。

 

 

 

 

 

 

 

 一歩、一歩。その歩を進めていく。

 

 

 

 

 

 やはり恐れはあった。あの化け物に襲われるという恐怖じゃない。自身の目ではっきりと月山の姿を確認することの虞。もしかすると彼の死を確実としてしまうその行為に咲夜は虞を抱いていた。

 

 

 

 だが、歩を進めることは止めない。それは生存という奇跡を望んでいたから…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、遂にその場に辿り着く。

 

 

 

 

 

 真下を視ることができない。視界は目の前の瓦礫に向けられている。

 

 

 

 

 

 丁度、真上には満月が輝き、今真下の状況を確認しようとすればはっきりとその様子を見ることができるだろう。

 

 

 

右手には強襲された時のための数本のナイフが握られ、左手には前述のためともう一つ、すぐにでも月山を運び出すための懐中時計が握られている。

 

 

 

 

 

「ゴクッ…」

 

 

 

 その緊張、恐怖、期待に思わず生唾を飲み込む。しかし、それは覚悟を決めたというスイッチでもあった。

 

 

 

 ゆっくり。ただ下を向くだけの単純なモーション。それがとても長い時間に感じる。実際はほんの刹那の時間。

 

 

 

 

 

 

 

 そして青白い月光が注がれるその奈落に続いていそうな穴に双眸が向かれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 男が血の海で倒れていた。男の体には毛布のように幼女用の洋服がかけられており、その洋服が上下に動いているのが確認できる。

 

 

 

 

 

 

 

 月山は生きていた。

 

 

 

 喜びや驚きが咲夜の心に溢れ渦巻いていく。しかし、それを表面にはまだ表すことは出来ない。

 

 まだあの偽物が潜んでいる可能性があったからだ。

 

 

 

 カチッ…

 

 

 

 咲夜は能力を開放した。発動時間は持って1分。今回の事件で蓄積された疲労のための限界であった。

 

 

 

 咲夜は静止した世界の中で迅速に行動をとる。穴の内部に入り、内部の状況を確認する。辺りは瓦礫が隙間なく壁となって覆っている。咲夜が降り立った場所は穴の直径よりも少し広いスペースで構成されていた。

 

 

 

 どこにも偽物はいなかった。

 

 

 

 この場所にいたのは咲夜自身の目で確認済みだった。だが、あの偽物は自身が着用していた衣類を捨て、忽然と姿を消してしまっていたのだ。上の穴以外から脱出することのできないこの場所で。

 

 

 

 それが確認できたと分かると咲夜は即座に能力を解く。

 

 

 

 側で眠っている月山の呼吸が再開される。それを咲夜は自身の目で確認すると「本当に生きていてくれた」ということを実感した。

 

 

 

 咲夜は念話でこのことを伝える。今すぐにでも月山をここから出し、治療を受けさせたかったからだ。

 

 

 

『シュウは生きてたわ!…ええ、あの偽物は姿が消えててどうなったかは分からない でも大丈夫よここにいないことは確認し……?』ファサ…

 

 

 

 そこで咲夜はおかしなことに気が付いた。まずそれは月山の側に置いてある棒状のものだった。それはあの偽物が所有してあった真っ赤な刀身を持った大鎌の柄だった。何故かその刀身が無くなり、柄だけになっているのが咲夜を不思議に思わせたが、更に彼女を驚愕させるに至ったのは月山の体にあったある異変であった。

 

 

 

 月山がどれほどのダメージを負っているのか咲夜が確認しようとかけてあった洋服を手に取った時だった。咲夜が月山の名を叫んだ時、咲夜の目には月山が赫い触手に貫かれているのが映ったがその他にも彼の体の損傷の激しさも確認していた。

 

 

 

“あの時、私が確認した時にはシュウの左腕は無かったはずなのに……”

 

 

 

 

 

 

 

“何で左腕があるの…!?”

 

 

 

 

 

 

 

 その目には月山の体にしっかりと繋がった左腕が映っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-------------------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで僕は君たちの手によって永遠亭に運ばれ、今に至るというわけだね」

 

 

 

「ええ、そうよ」

 

 

 

“そうか…彼女は消えてしまったのか…。”

 

 

 

 今しがた月山はあの事件の後の話を全て咲夜から聞き終わった。そしてあの偽物が姿を消したという事実を聞き、月山は心を傷めた。助けられなかった己の無力さを悔やんだ。

 

 

 

“いや…あるいは…”

 

 

 

「ねぇ、シュウ…?」

 

 

 

「…n?」

 

 

 

「…“何か”…あった?」

 

 

 

 咲夜の質問の意図がよく分からなかった。それが表情に出ていたのか咲夜は慌てて謝罪の言葉を言う。

 

 

 

「ああ、変な言い方して訳が分からないわよね!ごめんなさい!今のは忘れてっ!」

 

 

 

「いや、大丈夫さ ただ少しアバウト過ぎて、もっと詳しく聞かせてはくれまいか?」

 

 

 

 咲夜の質問の真意を知りたい月山は詳細に申してくれるよう咲夜に頼んだ。しかし咲夜はその事を上手く言葉にできないようでそれに見合う言葉を探しながら答えていく。

 

 

 

「詳しくって言われても、私もよく分からないけど…その…何だか少し変わったのかなって…」

 

 

 

「変わった?」

 

 

 

「…何だかいつもの感じと違うなとか…あっ、でもっでもっ!久しぶりに話したからそう感じるだけなのかもしれないし、それに……」

 

 

 

「fufufufff….ahhahahaハハハハハ!!!!」

 

 

 

 突然、月山は笑い出す。それに咲夜は『?』といった感じになっていた。

 

 

 

「いや、君は変わらないなってね そういう女の子らしいcharmingな所とか」

 

 

 

「な、なにそれ…!私の事馬鹿にしているのっ!」

 

 

 

 その言葉に咲夜は動揺を隠せない。そんな状態の彼女に追い打ちをかけるのか如く(言っている本人は無自覚)月山は真剣な眼差しで彼女に微笑みながらこう答えた。

 

 

 

「馬鹿にはしていないよ 僕は正直な感想を述べただけだから」

 

 

 

「っ…///!?」

 

 

 

 そう言われて咲夜はknockout。異性からこんな正直に賛辞の言葉をかけられたのは初めてだったのだろう。咲夜は言葉を発することができず、顔を真っ赤にし、それを隠そうと俯く。

 

 

 

 

 

 

 

「だが君が言っていることも強ち間違いと言うわけではないのかもしれないよ」

 

 

 

 と月山は咲夜の疑問を肯定するようなことを言い出した。

 

 

 

「…え?それってどういうこと?」

 

 

 

 まさか本当にそう答えるとは思っていなかった咲夜は俯かせた顔を少し月山に向け、その答えを問う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕…いや“僕ら”はあの時に生まれ変わったのかもしれないね」

 

 

 

 そう言って月山は自分の左腕を見つめる。その左腕は燃え盛る焔のように真っ赤に染まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その言葉の意味を咲夜が理解することになるのはまだ先の事である。

 

 




次辺りでこの東方喰種:MMのプロローグは終わりです。

話の構成は何とか頭の中にあるので新たに始まる第一章を楽しみにしていただけると幸いです。(いつになるかわからんが...殴))
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