東方喰種:MM~美食家が幻想入り~   作:ナライ

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GF(♪)って当たりやすいなーSSR二枚来たもんなー。Fate/goの方は全然当たらんけどね。
こんな御託はどうでもいいですねすいません!
ええー…報告文の方でも時間かかると言っていたのですが、何回も書き直しながら、何回も『リライトしてー』ってスピーカで流して聞いていたんですが、これ以上やっても改善できなさそうだったのでもうこれで五話完成ってことにしました。
僕が読んだところ一応意味が分かったのかな?って感じなんで、もしかすると…いや、おそらく意味不明な文章に感じると思います。
それでもいいとおっしゃる方は先へ進んでください。
分からないってところがあれば感想に書いていただけると頑張って答えるつもりなんでご安心下さい。(ただし伝わるとは言っていない。)

因みに僕が持ってる☆5はアルトリアとタマモです。



第五話 真実

 

「君は…?」

 

 僕は目の前に現れた謎の女性に問いかける。

 

「私はこの博麗大結界を管理している妖怪の八雲紫よ。気安くユカリって呼んでね♡習君。」

 

 と妙に張り切った自己紹介をしてくるユカリと名乗った女性。彼女が僕が会いたいと思っていた結界の管理者らしい。

 すると隣にいたレイムが彼女に向けて言った。

 

「その自己紹介気持ちが悪すぎて迷惑になってるわよ。習がドン引きしてるじゃない。」

 

 呆気に取られていた僕を見てレイムはそう思ったのだろう。僕は慌てて訂正しようとする。

 

「Oh!sorry!そんなことはないよ。いきなりで少し驚いていただけさ。」

 

「習!別に本当のこと言ってもいいのよ。というかはっきりそう言ってやって!」

 

 と彼女は気性を荒くしながら僕の肩を揺すってくる。どれだけレイムは彼女のことを嫌悪しているんだ。

 

「これだとどちらが迷惑をかけているのか分からないわね。フフッ…」

 

 そう言ってユカリは僕とレイムのやり取りを楽しそうに見物している。見ていないで止めてほしいのだが…。

 

 するとユカリは急に真面目な顔つきになってレイムに向けて言った。

 

「霊夢。少し席を外してくれないかしら。これから習君と大切なお話があるから。」

 

 その言葉に事の重大さを感じ取ったのかさっきまでユカリに向けていた嫌悪の念は今のレイムからは感じられなかった。そして彼女は揺すっていた手を僕の肩から外しユカリに言った。

 

「…分かったわよ…。部外者はおとなしく家でゴロゴロしているわ。」

 

 と言って彼女は立ち上がり神社の方向へ歩き出した。

 

「ありがとう!れ・い・むー!」

 と大きな声でユカリは去っていくレイムに向けて言った。するとレイムはそれに合わせて手を振った。

 

 そしてユカリは僕の方に向き返り、今度は僕に言った。

 

「ここじゃ何だしもっと落ち着いた場所で話しましょうか。」

 

 そう言って私についてきてと手招きしてくる。僕は彼女の案内について言った。

 

 

 

 

 

-------------------

 

 

 

 

 

 謎の女性”八雲紫”は僕だけと話をするためにレイムに席を外してもらい、僕とユカリは今、博麗神社の裏にある林檎の木の側にいた。そこはユカリが言っていたように落ち着きのある場所だった。目の前には池があり、とても風流を思わせる景色だ。

 

「ユカリ…。君は僕の知りたいことを知っているんだね。」

 

 確認のために僕はユカリに問いかけた。

 

「ええ、貴方が知りたいのは『なぜここに来てしまったのか?』でしょう。それなら答えられるわ。だけど満足できるかどうかは保証できないけど。」

 

「それでもいい。僕は早く帰らなければならないんだ。みんなが待っているあの世界に。だから早く教えてはくれまいか?」

 

 僕は彼女に早く答えてもらいたく催促する。

 

「…分かったわ。別に勿体ぶるつもりもないし。貴方がこの幻想郷にやってきた理由は2つあるの。いや、もう1つ言わなければいけないことがあるわ。それはやってきた理由ではないけれど…。まぁ、ここにやってきた理由の1つは貴方があの吸血鬼に聞いているわ。」

 

 そうして僕は昨夜のレミィの言葉を思い出す。

 

「ああ、僕には過酷なfate(運命)が課せられていて、それを解決しなければここから出られないと聞いたよ。」

 

「そう。その1つはこれからこの幻想郷に起きる異変を解決するために貴方はやって来たこと。でも別にやらなくても帰ることが出来ると思うわよ。アレ、どうせ多分とか言ってたでしょ。まぁ、大体何の前触れもなくここにやってくることなんて普通じゃ考えられないから取り敢えず原因の一つとして提示しておくわ。あと、それに……」

 

 すると彼女は言葉を溜めて僕に笑顔で告げた。

 

「何かRPGの勇者みたいな展開で面白いじゃない♪」

 

 この目の前の女性はは今の僕の状況を見て愉快な気持ちになっていた。だったらこのユカリと言う人物は相当タチの悪い部類に該当する。

 自分は必死で元の世界に帰る方法を探しているというのに彼女はそんな僕を見て笑っているのだ。いい気はしない。

 

 ”本当、何もかもがあの『メス豚』にダブる…!”

 

 そんな彼女を僕は険しい顔で見ていたのだが彼女はそんな僕に臆することもなく彼女は笑顔を絶やさず僕に言う。

 

「まあまあそんな怖い顔しないでよ。これから言う2つ目の理由が一番大切だから。でもその前に言っておきたいことがあるわ。私たちは貴方が体験した現象を”幻想入り”と呼んでいるわ。で、この幻想入りを発生させるにはある条件が必要なの。」

 

「…conditions?(条件?)」

 

「ええ、方法は色々あるのだけれど、おそらくあなたの場合は…『世界から存在を否定されたこと』。まぁ、詳しく言うと貴方自身が世界から己の存在を否定されたがっていた。『自分はこの世界にはいらない存在だ』とか『こんなつらい思いをするくらいなら消えてしまいたい』とか思ったりしてね。この理由でここに来てしまった者は結界の外に出たとしてもすぐにこちらの方に戻ってきてしまうから根本的な解決にはならないわ。で、貴方にはそんなことを思ってしまった原因に心当たりがあるかしら?」

 

 そう言われて僕の脳裏に彼の横顔浮かび上がる。心当たりは大いにあった。

 

「…ああ、あるよ。僕の大切な唯一無二の友人を失ってしまったことだ。その時に僕は消えてしまいたいと確かに思った。しかもその後から元の世界の記憶が無くなっているからね。」

 

 そう言って僕はあの時のことを思い出す。彼はもう僕が帰ったとしても二度と会うことが出来ない…。彼を失ってしまったことであの時は本当に消えてしまいたいと思っていた。でも僕には帰らなければいけない理由がある。

僕の帰りを待ち続けている”家族”がいるんだ。だから僕は一刻も早くここを立ち去らなければいけない。

 

 

「―――それはおかしいわ。」

 

 

 瞬間、僕の考えを断ち切るように意味の分からない彼女の言葉が僕の耳に入った。

 

「…それはどういうことなんだい?」

 

「だっておかしいじゃない。消えてしまいたいと思っていた人が急に戻りたいなんて思うの。」

 

 そう彼女は言ったがそう思ってしまうのだから仕方のないことだろう。

 

「あと、何で貴方『自分がここに来てしまった理由を知っているの』?」

 

 その言葉の意味が僕には分からなかった。分からなかったから僕は彼女に問いかける。

 

「…ユカリ。君は一体何が言いたいのかな?」

 

 すると彼女はとんでもないことを言った。

 

「だって理由が分かれば貴方はここから帰れるはずだもの。」

 

「…whats!?(なんだって!?)」

 

 そんな彼女の言葉を聞いてさらに僕は意味が分からなくなってしまった。

 

 

 

 

 「この方法で幻想入りしてしまった者には必ず”記憶の欠損”が起こるのよ。その失くしてしまった記憶は絶対に先程言った”ここに来てしまった理由”の記憶なの。そのおかげで自分がなぜここへ来てしまったのかがまず分からないのが普通なのよ。で、その記憶を取り戻して、それでももう一度元の世界に戻りたいと思えば勝手に帰ることが出来るわ。でも貴方はその理由が分かっていてさらに帰りたいという意思を見せているのにも関わらず帰ることが出来ていない。仮定として考えると一つ当てはまるものがあるわ…。」

 

 僕はそんな彼女の言葉に生唾を飲む。そして彼女の導き出した結論が告げられる。

 

「あなた、最後の記憶の時の自分と今の自分に何か違ったように思ったところはなかった?例えばいつの間にか『髪が伸びていた』とか?」

 

 そう言われて僕は頬にかかっている左の横髪に触れる。ここに来てから気になっていた…なぜか僕の横髪が伸びていたことを…。他にもある。ここに来てからいつものように体に力が入らないし少し痩せてしまってもいた。

 

「その様子じゃありそうね。ということは貴方は自分が最後に見たと思っている記憶よりも後の時間からここへ来たことになる。つまり貴方がここに来てしまった理由は”貴方が思っているのとは違うこと”。貴方は自分が消えてしまいたいと思った記憶を実際は忘れてしまっていて、無意識に以前、同じように消えてしまいたいと思った記憶を利用し、その記憶が原因でここに来てしまったと勘違いしているの。」

 

 

 僕には彼女の言っている意味が分からなかった。否、分かりたくなかった。なぜならその忘却した記憶というのは”彼を失ってしまったこと以上のモノ”ということに他ならなかったからだ。

 

 

 

 

―――瞬間、僕の頭に鋭い痛みが走った…。

 

 

 

 

 

<vision1> ―――車の運転席…。

 

 

 

 謎の映像が僕の脳裏に浮かぶ。

 

 

 

 

 

 彼女は尚もそんな僕に絶望を突き付けてくる。

 

 

「もし貴方が本当の記憶を喪失しているなら、その欠損した記憶を取り戻すために一番手っ取り早い方法があるの。」

 

 

 

 

 

 ”やめろ” 

 

 

 また痛みが走る…。 

 

 

 

 

<vision2> ―――去っていく二人の背…。

 

 

 

 

「まず自分が元の世界に戻りたいと思わせている動力源…希望としているモノ…」

 

 尚も彼女は僕の気持ちとは裏腹に話を続ける。

 

 

 

 

 ”やめてくれ、それ以上は…。”   

 

 

 

 やって来る痛みに僕は頭を抱える…。

 

 

 

 

<vision3> ―――剣を突き立てる名無し…。

 

 

 

 

 

 

 そして彼女は僕が恐れていることを…

 

 

 

「貴方がここに来てしまった理由はそれがもうあなたの世界ではなくな……」

 

「Ta-gueuuuuuule!!(黙れぇぇぇぇ!!)」

 

 

 僕は彼女の言葉を遮るように大きく怒鳴った…。

 

 

 ”だってそんなことを認められるわけないじゃないか…!僕が求めている希望が本当は僕の作り出した幻想だなんて…。そしてそれはもう―――”

 

 

<vision4> ―――落ちてゆく一本の薔薇…。

 

 

 ”さっきから僕の頭に流れてくる曖昧な映像は失った記憶の断片なのか?あの夢で黒髪の彼が言っていたことが分かった気がする。もしユカリが言っていたことが本当なら、僕は自分が避けていた現実を見たくないばかりに無意識だが、こうなってしまったのはカネキくんのせいだと自分勝手に決めつけていたのだから…。”

 

 先程、僕の頭によぎった四つの映像が全てを物語っていた…。まだ思い出せたわけではないがあの四つの映像は僕の記憶に間違いない――。彼女の言っていることは真実なのだと思う…。

 

 

 「その様子じゃ全部は思い出せなかったけど、心当たりのあるモノは見れたようね。」

 

 そう言った彼女の顔が僕には歪んで見えた。

 

 

「習…。貴方…目から…。」

 

 そう言われて目元を触ってみると何か暖かいものに触れた。それは愁いを纏い、まるで今の僕の心を映し出しているように感じた…。

 

 

 

―――それは、涙だった…。

 

 

 僕は涙を流していた。

 

 

 ”それは本当の記憶を思い出せないことからなのか?”

 

 ”もう帰っても何も残っていないことの恐怖からか?”

 

 ”本当は他の可能性もあると言ってくれたことに僕は安堵したのか?”

 

 

―――ボクニハワカラナイ…。

 

 

 ”これではまるで運命と言う名の糸に絡まったmarionnette(操り人形)だ…。”

 

 

 

 

 僕は彼女の目を憚らず、偽物ではあるが最後の記憶である”あの日”の様に大粒の涙を流した…。

 

 

 

 

 

 

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「私が貴方の知りたいことはすべて言ったわ。それでも貴方は元の世界に帰りたいと思う?帰ったとしても貴方は苦しむだけよ…。」

 

 僕は彼女から全てを聞いた。彼女から聞いた言葉が真実なら…否、真実だ…。

 

 僕は帰れば絶対に苦しむはずだ…。今の気持ちが帰りたいと願っていても、本当の記憶を取り戻せば僕はここに残りたいと思ってしまうだろう…。

 

 

 僕は全てを失ったのだ…。

 

 

 そう思ったとき僕の脳裏に今、覚えている家族との記憶の映像が再生される…。

 

 

 

 

『僕がパパのためにピアノを弾いている』

 

 

―――確か、題名は「パパのメガネ」だったっけ…。パパンは「上手だよ!習君!」と言ってとても喜んでくれた…。

 

 

『僕はお化けを見て、恐ろしくなって松前を呼んでいる』

 

 

―――あの後、松前はすぐに駆け付けてくれて僕を抱きしめてくれた…。とても暖かかった…。

 

 

『マイロに稽古つけてもらっている』

 

 

―――彼の指導は厳しかったが、僕のことを思ってそうしているのはよくわかった…。

 

 

『ユウマが僕の不手際を庇って怒られている』

 

 

―――彼はとても優しく、僕はいつも助けられていた…。

 

 

『アリザが笑顔でコーヒーを持ってくる』

 

 

―――彼女は臆病だが、僕たちを和ませるような笑顔を持っていた。

 

 

『僕とカナエとのセッション』

 

 

―――いつもは自分に厳しくしていた”彼”も、この時ばかりは”彼女”でいられた。

 

 

 

 

―――そして…。

 

 

 

 

『愛している』

 

 

―――それは家族全員からの想い…。

 

 

 

 

 …そうだ僕は何を迷っている…。みんなが待っていなくても、みんながもういないとしても…

 

 

 

 僕は生きている…!

 

 

 僕が死んだり、この世界に残るなんてことをすればそれは家族に対しての侮辱だ。

 

 

 そうだ…僕は生かされたんだ…!みんなに…!僕を愛してくれた月山家(かぞく)に…!

 

 そうでなければみんないなくなってしまったのに…僕だけ残ってしまったことに説明がつかない。

 

 みんなが僕を愛してくれてたから…今、こうして生きているんだ!

 

 そして僕が家族のそんな思いに反して『消えてしまいたい』だなんて思うはずがない!

 

 

 思ったとしてもそれは衝動的なモノ…

 

 

 

 なぜなら僕は家族(みんな)を愛しているから!

 

 

 

 記憶を忘れてしまっているのも何か別の理由があるはず…。

 

 

 だったら僕がここにやってきた理由は明白…レミィが言った運命を解決するためだ…!

 

 

 そう、これは”悲劇”なんかじゃない!僕が元の世界で一人、闘えるかを試す、”活劇”だ…!

 

 

 

 

       だったらなってやろう…

 

 

 

 

 

 

 

        僕は”勇者(ヒーロー)”に…!

 

 

 

 

 

 

 

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 紫は彼、月山習に残酷だが伝えるべき真実を伝えた。そして今でも帰りたいのかと彼の真意問うた。

 

 ”まあ、この反応が普通よね。残酷なことだけど本当のことを伝えなければ彼は一生悩み続ける…。これは必ず向き合わないといけないことだから教えてしまったのは仕方のないことよね…。”

 

 そう思い、紫は彼を見ていた。彼は顔を俯かせ虚ろな目をしている…。

 

 ”立ち直るには時間がかかりそうね…。”

 

 そう紫が思ったとき、異変が起きた。

 

 

「フフフフフ…アハハハハハハハハハハ!!!」

 

 さっきまで落ち込んで俯いていた彼が顔を上に向け、手で抑えながら口を大きく開け、笑っていたのである。

 

 ”大変!精神が壊れておかしくなってしまったわ!こうなるんだったらいきなり言うんじゃなかった!”

 

 そう彼女が思ったとき彼は笑いを止め、目線を紫に合わせた時、紫はあることに気づいた。

 

 

 彼の虚ろだった目が生き生きとしたものになっていた。

 

 そう、それはまるで”焔の点いた眼”であった。

 

 

 

 

「ユカリ。それでも僕は元の世界に帰るよ…。その先にどんな困難が待っていたとしても僕はその歩みを止める気持ちはない。」

 

 彼は覚悟が決まったがごとくはっきりと自身の決意を紫に告げた。

 

 

 ”理由は…聞くまでも無いわね…。彼はもう覚悟を決めている…。”

 

 紫はそんな彼を見てフッ…と笑う。

 

「その様子じゃ、貴方の覚悟は決まったようね。でもどうするの?私が教えた方法でも貴方の記憶は呼び覚ませなかった…。何か考えでもあるのかしら?」

 

 そんな紫の疑問に月山はいつもの態度で答えた。

 

「まず僕はレミィが言っていたことを解決するよ。そして自分の失ってしまった記憶は何とかして取り戻して見せる。もしかするとレミィの言っていたことを解決しただけで勝手に元の世界に帰ることが出来るかもしれないからね。」

 

「確かに…そうなのかもしれない…。貴方は楽観的な性格なのね。」

 

「フフッ…よく言われるよ。」

 

 

 

 

 そう言った彼に紫は一本の糸を垂らした…。

 

 

 

「習、さっき私は伝えることが3つあると言ったわよね。」

 

 彼は彼女が話の初めに今まで話した2つともう1つ言わなければいけないことがあると言っていたのを思い出した。

 

「もしかすると貴方の記憶が失われている理由はコレが原因になっているかもしれないわ。」

 

「Pardon me?(なんだって?)」

 

 彼は我が耳を疑うような表情をしている。

 

 そして紫は静かにそれを告げた。

 

 

「ええ、それは……」

 

 

 

 

 

-------------------

 

 

 

 

 

 

「そんなことが…。」

 

 僕は突き付けられた事実に驚きを隠せなかった。

 

「ええ、でもこれは本当の話よ。もし貴方がさっき言った影響で記憶を失っているとしたら全ての辻褄が合ってしまうわ。」

 

「…僕は帰ることはできるのかい?」

 

 それだけが問題だった。だって…”まるで元の世界には帰れないって言われてるみたい”じゃないか…。 

 

「この現象は別に珍しいことじゃないわ。だから貴方が何かしらの解決法を見つければ元の世界に帰ることが出来ると思うわ。だから心配しないで。」

 

 ユカリはそう言ってくれた。心の読みにくい彼女でも今、言ったその言葉に虚言の色は微塵も感じられなかった。

 

「分かった。君のその言葉、僕は信じるよ。」

 

 僕は迷いなく彼女にそう答えた。

 

「よかったわ。その返事が聞けて…だったら最後に習に渡すものがあるわ。」

 

 そう言って彼女は自身の背後から穴を出現させ、そこに手を突っ込み、何やら手記のようなものを僕にてわたしてきた。

 

「fun…?…ペラペラペラ…ユカリこれは?」

 

 見てみると表紙には何も書かれていない黒い手記だった。ページをめくって中を確認してみるとそれは手記ではなく、カードケースだった。1ページに1枚入るようにできていた。というかもう既に真っ白なカードが全てのページに入っていた。

 

「これは、貴方に力を授けてくれるものよ。本当に貴方が困難に立ち向かおうとしたときにその本は貴方の心を写し、きっと力となってくれるわ。」

 

 そう言って彼女は微笑んでいる。

 

「ありがとう…ユカリ。僕のためにここまでしてくれて。辛い役回りをさせてしまって本当にすまないと思ってい

る。」

 

 僕はそう言って深々と頭を下げる。

 彼女は僕のために色々とやってくれた。だが、やはり顔、態度はアレを思わせるからまだ慣れないが…感謝はしている…。そして本当に辛い役回りをさせてしまったと思う。その思いも込めて僕は礼をした。

 

「いいの、いいの。そんなに頭を下げなくても。あと、私こういう役割は慣れてるし、案外好きよ。その人それぞれ違いのある反応を見られるからね。まあ、貴方みたいなイレギュラーな人は初めてだけれど。」

 

 ―――I take it back.(前言撤回。)レイムがあれほどユカリを嫌っていた意味がよく分かった。

 

 そんな僕を見て、尚も彼女はその無邪気な笑顔を続ける…。

 

 

 ”Be Cool…平常心…平常心…。”

 

 僕はその怒りを抑えるように心の中でそう唱えた…。

 

 

 

 

 

 

-------------------

 

 

 

 

 

 僕はユカリと別れ、神社の表に戻ろうとしていた。

 

 ”しかし…ユカリのあの背後に開けた穴もレミィが言っていた特別な力なのか…。そしてこの本…僕に力を与えてくれると言っていたが果たして…。”

 

 そんなことを考えていると戻ろうとしていた方から何か声が聞こえてきた…。

 

 

「あんたねぇ!一体何しにここにやって来たのよ!」

 

「だからって独り占めしようとするのは感心しないぜ!」

 

「そんなもん持ってここにやって来るんだものどうせ私への贈り物なんでしょ!いいからさっさと渡しなさい!」

 

「やだぜ!と言うか別に霊夢のために持って来たわけじゃないし!」

 

 

 どうやら二人いるようだ。一方はレイムでもう一方は知らない女性の声だ。何やら口論になっているらしい。

 

 急いでそこに行ってみるとレイムと黒のドレスのような服を着た少女がいた。(すごい体勢になって。【ギャグマンガ日和の皇帝の前で太子と妹子が回ってるヤツ】)

 

「どうしたんだい?レイム?あとそちらの可愛い少女は?」

 

 そう言ってレイムに聞いてみる。

 

「え?コイツ?コイツは神社に貢物を持ってきた信奉者よッ!」

 

「ハッ!よく言うぜ、万年お賽銭0の神社がッ!信奉者なんかいるわけないだろ!かくいう私も全然この神社、信仰してないんだぜ!」

 

「はぁ~ァ!ふざけたことぬかしてんじゃないわよ!だったら何!?その袋は!誰のために持って来たって言うのよ!!」

 

「そこにいる長身で紫髪のHENTAIに持って行けってパチュリーに頼まれたんだぜ!」

 

 ”変態?…僕のことか?fun…侵害だな…。僕のどういった所を見てパチェはそう感じたのか…理解に苦しむね。”

 そう思ったとき、さっきの体勢を二人は止めていて、僕の目の前に袋を持った黒ドレスの少女が立っていた。

 

「ほい。あんたシュウって言うんだろ?私は霧雨魔理沙!これ、パチュリーから頼まれてたものだ!」

 

 そう言って彼女は僕に紙袋を渡す。中身を見てみるとその中には見覚えのあるモノが入っていた。

 

「これは!?”美味礼賛”じゃないか!?それに”魯山人の美食手帖”etc…。これほどの美食に関する本を一体!?」

 

「ああ、それがな。今日もパチュリーの図書館に遊びに行ったんだぜ。」

 

「ハァーッ…またか…。盗みに行ったの間違いでしょ。」っと溜息混じりのレイムの声が聞こえた。

 

「今回は流石のパチュリーも痺れを切らしてたのか、全力の魔法を何重にも張っててスタンバってたんだぜ。」

 

「そして捕まったのね…。」

 

「そうじゃないぜ!その魔法ごと吹き飛ばそうとこっちもお得意の魔法を撃とうとしたんだぜ!」

 

「「なんでそうなる!」」

 

 思わずレイムと声がダブる。

 

「でもそん時に小悪魔が止めに入って…。」

 

「あっ…。(察し)」とレイムが呟く。

 

「アイツらしい最期だったぜ…。だが、そんなことはどうでもいいんだぜ!」

 

 ”いいのか!?聞き間違いなければ誰かが死んだように聞こえるのだが…。”

 

「大丈夫よ習…。気にしなくてもいいわ。比喩よ。比喩。」

 

 そんな僕の心を見透かしたようにレイムは落ち着いた口調で答えた。それでも大変なことには変わりなさそうだが…。

 そうしてマリサは話を続ける。

 

「それでそん時にパチュリーに頼まれたんだ。

『博麗神社に月山習っていう長身で紫髪のHENTAIがいるからコレ持って行ってくれないかしら?どうせこの後レイムに会いに行くんでしょ。』って。」

 

「なんでパチェは僕にコレを?」

 

「確か…美食家って名乗るくらいならこれでも読んでろって。後、古本屋で興味持って買わないようにしたかったらしいぜ。紅魔館に図書館があるのはおそらくシュウは知らないと思うからって。」

 

 ”成程、そういうことか…。彼女との距離は離れていると思っていたが案外近くなっているのかもしれない。帰ったらお礼をするのと一緒に本の話をするのもいいかもしれない…。”

 

 そう思うと僕は少し笑った。

 

「チッ…本かよ…。ハイハイ、どうせ博麗神社は万年お賽銭0ですよー。↓↓↓」

 

 とレイムは女性の声帯からここまで出せるのかと言うくらいの低音voiceで今の憤りを吐き出した。

 

「fun…。」

 

 そんなレイムを見て僕は彼女に尋ねた。

 

「レイム。一体どれくらい必要なんだい?」

 

「…そうねー。一度だけでもいいから信仰心を持ってくれてる人から数十円~数百円くらいは欲しいわね。」

 

「プフッ!アハハハハ!霊夢!今まで、自主的に十円も入れてくれないって…どんだけ悲惨なんだよー!」

 

「うっさいわね!アンタ!顔面に夢想封印ぶちかますわよ!!」

 

 そんな彼女たちの会話を後目に僕は賽銭箱に向かって行く。

 そして着いたとき僕は懐からあるモノを取り出す…。それにいがみ合ってた二人は気付く。

 

「習…それって…!?」

 

「嘘だろっ…!?」

 

 

「「諭吉さん!」だぜ!」二人は声を揃えて驚いている。

 

 そう、僕が懐から出したのは”一万円札”だ。カードからある程度お金を引き出していた。これはその中の一枚だ。

 確かに、普通に考えてお賽銭箱に入れるのは小銭だ。かくいう僕も当然小銭を入れている。

 N?具体的な例だって?僕はいつも気持ちを込めて500円玉を何枚か入れているが…それがどうかしたのかい?

 まぁ、話を戻すが確かに紙幣を入れるのはおかしいことだ。だが僕にはこれを入れる理由が二つあるんだ。

 

 1つは幻想郷での幸運の祈願。苛酷な運命が僕を待っているんだ。誰だって神に頼りたくなる。そんな思いを込めての最大額の紙幣だ。

 

 そして2つ目は…こんなに近くで悲しい思いをしている少女がいれば誰でも彼女を喜ばせてあげたいと思うんじゃないのかい?(宮野voice)

 

 

そして僕はその紙切れを躊躇いもなく厳かな雰囲気を醸し出している木箱に入れ、レイムにこう言った。

 

「良かったらその信奉者第一号に僕がなってもいいかな?レイム?(宮野voice)」

 

「ハイ!ヨロコンデ!!(震え声)」

 

 レイムは僕を崇めるかのように地面に額を擦り付け、感嘆の声を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 月山習。博麗神社の信奉者となる。

 博麗霊夢。月山習の信奉者となる。

 霧雨魔理沙。特に無し。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-------------------

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、レイムが「シュウサマー、シュウサマー」と抱き着いてきて大変だったが、何とか彼女を落ち着かせ、二人に「もう紅魔館に帰る」旨を伝えた。レイムやマリサが紅魔館まで送ってくれると言ったが、女性にそんなことをさせるのは紳士にとって恥ずべきことなのでやはり一人で帰ることにした。

 それから、三時間たって現在の時間はpm.4:41。また僕は人間の里にやって来ていた。 やって来た理由は煎餅屋の店主にお礼を言いに行こうと思ったからだ。彼に会いに行くと、またその豪快な笑みを見せながら「あんときの兄ちゃんか!」と言ってくれた。

 僕は今朝のお礼と手土産した人物に好評だったことを告げ、手早くその店から立ち去った。だが、色々な煎餅が店の中に並んでいたので少し欲が出て 否、お礼のために三種類の煎餅を2枚づつ買って帰ることにした。

 

 紅魔館に持ち帰ってから食べるのもアレなので、帰りながら食べることにする。

 

「nn!このゴマという食べ物…さらに煎餅の香ばしさを引き出している…。そしてこっちのsalt(塩)!シンプルな味だがこちらも煎餅の良いところをよく引き出させている…。Ah…rocks…。(最高…。)」

 

 そんなことを言いながら食べていると、前方から懐かしい匂いがした。

 

 ”n?この不思議な香り…どこかで…。”

 

 と視線を煎餅から前方に向けるとそこには壁に突っ伏している謎の女性がいた。否、突っ伏してなどいない。頭をたたき続けながら何かブツブツ言っている。

 

「ナンデアイツラハワカラナインダ。ナンデアイツラハワカラナインダ。ナンデアイツラハワカラナインダ。ナンデアイ…」

 

「あの~そこのlady。どうしたんだい?壁に頭なんか叩き付けて?」

 

 いきなり止めようと体に触れて何か言われると困るので丁寧に恐る恐る彼女に何をしているのか尋ねた。

 

「ナンデアイツラハワカラナインダ。ナン…ふぇ!」

 

 僕が尋ねると彼女はびっくりしてこっちに振り向きこう言った。

 

「あのー何でしょうか…。」

 

「いや、頭を叩き付けていたから何かただならぬことがあったのかと思って。」

 

 彼女は奇怪なものを見る目で僕を見てくるが、僕が心配していることを理解し答えた。

 

「い、いえ…大丈夫です。何もありませんから…。」

 

 そんなことを言ったいるが先程の行動を見る限りそうは思えない。

 

 そう思って僕はさっきとは逆に積極的な態度で彼女の両手を握りこう言った。

 

「大丈夫だよ。redy。君が悩んでることは分からないけど良かったら僕にその悩みを打ち明けてはくれまいか?解決できなかったとしても君の心の重しは幾分かは軽くなると思うよ。」

 

 こんな行動をとってしまったのは紳士としての性分もあったがそれ以上に悩める人を見過ごせなかったのだ。自分自身、解決できるかどうか分からない悩みを持っている。だからこそ自分と同じような悩める人をほっておけなかった。

 

 すると彼女に僕の思いが通じたのか。その口から自身の悩みを僕に打ち明けた。

 

 

 

 

「…私の生徒が馬鹿すぎるんだ!!」

 

 

 その辛辣な言葉は僕の耳を貫いていった。 

 

 

 

 

 

 

 




次回辺りの予定

図書館のMM氏
月山プロの ン熱血指導ゥ!! 講座
でお送りします。

尚、↑の話が終わればお待たせしてあるバトル回をするつもりなのでもうしばらくお待ちください…。(ただしみんながみんな楽しみにしているとは言っていない)

本文でも書いているように月山さんにスペルカードを使用させます。やっぱり力関係を均等にしたかったので採用しました。勝手に決めてしまったことですがそれでも良いという人はこれからもごひいきにお願いします。
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