東方喰種:MM~美食家が幻想入り~   作:ナライ

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お待たせしました!第七話です。ある用事があったせいで投稿が遅れてしまいました。
急いで書いたので後で結構修正するかも?
まぁ、いつも通り温かい目で見てくださいね。


P.S fate/goでオリオン当たったよ!(福袋ガチャだけど…。)ちなみにGFは三枚目のSSRが来てもうわけが分からなくなってる。


第七話 赤血

「スペルカード?」

 

 僕とサクヤは人間の里へと向かっていた。今、彼女に話して貰っているのは先程の不思議な現象を引き起こしたカードについてのことだ。

 

「そう。このカードは”弾幕ごっこ”と呼ばれる遊戯で使われるもので、殺し合いを遊びに変えてくれるの。まぁ、車の減速機(ブレーキ)みたいなものね。私たちが使っている能力の力を抑えてくれるの。さっきの技も実は私自身が出したものであって、このカードは私が出した技を相手を殺さない程度の力にまで抑えてくれたの。」

 

 なるほど。だから彼女は、メイリンが無事だと言ったのか。因みにあの後メイリンはすぐに起き上がり、門番の仕事に戻っていた。血を流しながらだったが…。

 そう言われて僕はあるモノを思い出した。

 

「そうか、ということはこれはそういうものだったのか!」

 

 と言って僕は手持ちのバックの中からあるモノを取り出した。それは昨日、ユカリから貰った手帳型のカードホルダーだ。この中に入っている無数の真っ白なカードは彼女の言っているスペルカードというものなのだろう。

 

「ん?シュウ。それは?」

 

「昨日、博麗神社に行った時に貰った手帳型のカードケースだよ。僕の力になるモノだと言っていたからおそらく君の言っていたスペルカードというものが中に入っているよ。」

 

「ふーん。ちょっと見せてもらってもいい?」

 

「ああ。構わないよ。」

 

 そう言って僕はサクヤにそのカードケースを手渡す。

 手渡した後、サクヤは中に入っていた真っ白なカードを見て首をかしげた。

 

「…?何よこれ?ただの何も書いてない紙切れじゃない。」

 

「なんだって!?」

 

 おそらく彼女が言っていたものだと高を括っていたのだが、僕の予想はどうやら外れていたらしい。

 

「どうせあのスキマ妖怪に貰ったものでしょ。あれは真実を言っているのか虚言を言っているのか分からないからね。おそらくこのカードは後者の方。あの妖怪に騙されたみたいね。」

 

 とサクヤはお気の毒様といった感じの表情でそのカードケースを僕の手に戻す。脳裏にユカリの笑顔が浮かぶ…。今もどこかで僕を騙したことを嘲笑っているのだろうか…。

 

 ”やはり、あの女は好きになれそうにない…!”

 

 そんな怒りを心の中に静かに燃やし、僕はサクヤからカードケースを貰い、バックの中に戻し入れた。

 

 

 

 

「あの…聞きたいことがあるのだけれど…。」

 

 とサクヤは突然僕に言ってきた。

 

「ん?何だい?」

 

 と僕は自分の中に芽生えた思いを抑えて、笑顔で聞いてみる。

 

「あの時…永遠亭に居た時よ。貴方、私のことを見て誰かの名前を言ってたわよね。確か…”カナエ”って。他にもお嬢様やパチュリー様を見た時も同じ顔ようなをしていたわよ。」

 

 確か、あの時にサクヤを見た時、僕は思わずカナエの名を言ってしまった。無理もない彼女は紛れもなく”この喰種が居ない世界のカナエ”なのだから。

 

「それは、見覚えのある人にそっくりだったから思わずびっくりしてしまってね。君のcase(場合)は僕の身近にいた人物に似ていたから本当に驚いてしまったけどね。」

 

 と僕は軽く笑って、彼女の問いに答える。

 そんな僕を見てサクヤは沈黙し、僕を見つめている。

 その静寂は僕の感覚ではとても長い時間に思えたが、実際はほんの少しの時間で破られた。

 サクヤの言葉で。

 

「…どんな、人だったの…?」

 

 彼女がなぜそれに気になったのかは分からなかったが、別に言わなくてもいいというわけでもない。僕は”彼”ことを彼女に話した。

 

「そうだね…彼は、とても献身的で、愛深き人だ。そういう所も君に似ていてね。」

 

 と僕は微笑む。

 

「あら、そんなに私を過大評価してくれるなんて恐縮だわ。あと、その私に似ているっていうのは男だったのね。」

 

「……ああ、そうだよ。」

 

 そうだ、”彼女”は”彼”なんだ。誇りと誓いを旨に彼は生きてきた。そんな覚悟を知っていたから僕はサクヤにそう告げた。

 

 

 

ただそんなことを思うと少し心が痛む…。

 

 

 

 

「ただ…性別は違っていてもその凛々しい佇まいは本当によく似ているよ。」

 

「…シュウにとってその人はとても大切な人なのね。話を聞いていてよく分かるわ。」

 

 そう言われてさらに痛みが増す。

 

 ”もう…居ないんだね…。”

 

 事実はいつだって残酷だ…。ユカリがどれだけfraudeur(詐欺師)だったとしても、あの絶望は真実なのだということは分かる。

 

「……」

 

 そんな僕の思いを感じ取ったのか、サクヤはずっと黙っていてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

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 その沈黙を保ったまま、僕らは目的地の人間の里にある寺子屋に着いていた。現在、時刻AM 11:23。

 この時間に来たのは下見を兼てのためだ。どのような授業をし、どこまでの理解力があるのかを確かめる。

 

 僕とサクヤは寺子屋の中へと入らず、授業をやっているという教室の窓に来た。そして垣間見るように僕はその窓から授業の様子を観察した。

 

「なぁっ…!!」

 

 それは驚くべき光景だった。ほとんどの生徒はしっかりとノートにその授業の内容を取っているように見えるが、その実、ノートに取っているだけで内容の理解はあまりできていないように見えた。だって目が死んでいる。

 ケイネは自身の中では正しい授業をしているのだと思っているのだろうが、難解なことを言っているだけで面白みに欠ける。これではお経を聞いているようなものだ。それでは子供たちの目も死んでしまう。

 そして僕はある人物たちに目を向ける。そこには明らかに人間とは違う種族の子たちが5人いた。1人は他の子と同じように真面目にノートに取りながら、分かった部分を聞いてくる2人に教えている。問題は残りの2人だ。片方は机に突っ伏し、もう片方は「そーなのかー、そーなのかー。」と譫言の様に何度も呟き、天井を見つめている。傍にある二冊のノートを見てみると、落書きやら意味の分からない文字が書き込まれており、彼女たちの学習能力の低さに気づかされる。

完全に考えることを止めてしまっている。確かにケイネが言うようにあの2人は特にヤバそうだが、それ以前の問題もあった。

 

「どうだった?まぁ、見たらわかると思うけど。」

 

 とサクヤは観察している僕の後ろでそう言ってきた。どうやら彼女はこのようになっていることは知っていたようだった。

 

「以前、妹様の家庭教師に慧音を推薦しようとしたのだけれどやはりあの教え方では無理だと思って止めたわ。」

 

 ”なるほど、だから知っていたのか。”

 

 ということはそれは彼女の目から見てもひどいものだったらしい。

 

 ”これは色々とやらなければいけない仕事があるようだね…。”

 

「まぁ、大体の状況は掴めたよ。一時までまだ時間もあるし…どうだいサクヤ。これから僕とlunchtimeなんてどうだい?」

 

「そんなこともあろうかとお弁当は用意してきているわ。」

 

「Moderate!(ちょうどいい!)それではどこかで頂くとしようか。」

 

 そう言って僕らは寺子屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

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「dolce!(たまらないね!)」

 

 僕はサクヤの作ってきた料理を頬張り、そう彼女に呟く。

 今、僕らは川岸にある木の木陰に設置されたベンチに座っている。

 

「本当にシュウって美食家なのって思うくらいになんでもかんでも美味しいって言うわよね。まぁ、人肉しか食したことがないのなら仕方のないことなのだろうけれど。」

 

「Non!君の料理は群を抜いてgreat(素晴らしいもの)だよ。これ以上のものは誰も作り出すことが出来ないと思えるくらいにね。口に入れなくても僕には他の店から香って来る食べ物の匂いでそれがどういった味なのかは大体は想像できるんだ。でも君の料理以上の味のvisionを見せてくれたのには未だ出会ったことがない。」

 

 そう言うと彼女はびっくりした顔をする。しかし少しするとその表情は崩れ、いつも見せているあの凛々しい顔は破顔し、フフフッと声を上げて笑っている。

 しかし、自分が笑っていることに気づいたのかその口を片手で抑え、僕の方から目を離す。

 サクヤからすればいつもの瀟洒な調子を崩したみたいで気恥ずかしいのだろう。顔が明らかに赤くなっていた。

 

 

 

 

「…初めてだった…。」

 

 すると彼女は聞き取れないくらいか細い声で何かを言ったように僕には聞こえた。

 

「ん?何か言ったかい…?」

 

 僕はそれが空耳だったのかどうかサクヤに確認をとってみる。

 

「べ、別に何も言ってないわ!貴方の気のせいよ!」

 

 とサクヤは僕にそう言い、弁当の中に入っていたヒレ肉の燻製を僕の口に突っ込む。口の中に黒コショウの風味と燻製によって凝縮された旨みが広がっていく。

 

 ”dolce…!”

 

 やはりサクヤの料理はNo.1だ…。ここまで彼女が言っているんだ何か言っていたのは確かだとは思うが空耳と言うことにしておこう。ほら、こんなにも顔がcrimson(真っ赤)になっている。

 

でも、不思議なものだ。あれだけ食(人)に対しての執着が強かった自分が今は人の作った食の虜となっている。 今でも僕の食欲をそそるような人物には出会うことがあるが、何故か僕の食指は動こうとはしない。

 それはこの身体になってしまったのかが原因なのか、”彼”に未だ執着しているのか…

 もしかするとこれから”彼”のような人物が僕の前に現れる前兆なのかもしれない。

 

 ”フッ、いや…考えすぎか…。”

 

 ふと、そんな事を考え、それを己の中で否定する。

 

 

 モグモグ…ゴクン…。

 

 先程、口の中に強引に押し込まれたヒレ肉を僕は平らげる。

 

「フッ…危ないじゃぁないかサクヤ。そんな強引に押し込んだら僕のbeautiful mouthがケガするかもしれないじゃないか。」

 

「何言ってるのよ。貴方、ケガしてもすぐ治るんでしょ。これくらい平気なのは分かっているわ。」

 

「フフフ…手厳しい…。」

 

「で、何か考えてることはあるの?」

 

 突然、サクヤは僕に質問を投げかけてきた。おそらく寺子屋のことだろう。

 

「ふん、of coaseだとも。要はみんなが授業の内容をunderstand(理解)すればいい。だったら楽しい授業をすればいいだけのことだよ。」

 

 寺子屋の生徒の大半は今の授業の理解が出来ていない。原因は教え方だ。ならばその教え方を変えれば済む話だ。

 

「私が言いたいのはそこじゃなくて、あのバカたちのことよ。あれはどうやっても教えることなんてできない気がするけど。」

 

 サクヤが言っているのはあの五人組のことだろう。その中でも授業に参加していなかった二人のことを言っている。だが僕には秘策がある。

 

「それもNo problem。彼女たちは少々手荒くなるかもしれないが、大丈夫だよ。」

 

「あら、そう。なら貴方のその授業、間近で見せてもらうわ。あんまり期待はしていないけど。」

 

 彼女がこんなことを言うくらいにあの2人は問題児なのだろう。だが僕には確固たる自信がある。

 

「フッ、本当に手厳しい。だが僕は必ず成功させるよ。これは確定事項だからね。だったら早く食事を済まそうか。予定の時間に間に合うようにしなければいけないからね。」

 

 そう言って月山は箸を進め、戦前の食事を済ませるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「それでは、午後の授業を始めようと思うが…ここで紹介したい人がいる。入って来てくれ。」

 

 僕はケイネに呼び出され、先刻、外から眺めていた教室の中に入る。それと同時に僕はその学び舎の空気を一気に吸い込む。

 

「スゥーーーーーーーーーッ。部屋の材質は違えどもこの独特なmaestoso(荘厳)なatmosphere(雰囲気)を醸し出す香りはこの学び舎でしか感じ取ることが出来ないものだぁ…。」

 

 吸い込んだ空気の影響で学生時代のことを思い出し、ふとその中に自身を埋没させてしまう。

 

 暫くそのままでいると教室が少しざわめきだした。僕を呼び出したケイネも見学しているサクヤも何とも言えない顔をしてこちらを見てきている。

 

 ”おっと!いけない、いけない。自分の世界に入り込んでしまっていた…。”

 

「Oh。sorry、sorry…。自己紹介が遅れたね。今日だけ君たちのprovisional teacher(臨時教師)となった月山習です。今日は君たちと一緒にenjoy lessonをするつもりだから楽な気持で授業をやっていこう。それじゃよろしく。」

 

 と自己紹介したものの急なことなので大多数の生徒はまだざわめいている。そう、大多数は。

 

⑨「なによ!あの男!あたいより目立ってるじゃない!」

 

十「アレ、なんかすっごくおいしそうな匂いがするぞー。グーッ」

 

 と少女二人が僕を凝視してくる。一人はライバル視のような目つきで、もう一人は獲物を見定めるかのような目つきで…。

 しかし、その目線はすぐに終わりを迎える。

 

大「ダメだよ!チルノちゃん!新しい先生のことそんな目で見ちゃ!」

 

蟲「やめろルーミア!あの人は食料じゃない!」

 

十「そーなのかー?だったらお腹空かせた責任としてみすちー食べていい?」

 

鳥「何で私!?しかもさっきお昼食べたでしょ!」

 

 と賑やかに例の五人が騒ぎだす。

 

「ハァー…。」

 

 そののちにケイネの深いため息が聞こえた。そして彼女は僕に小声で耳打ちする。

 

「あれが問題の2人がいるグループだ。いつもあの五人で行動を共にしている。さっきシュウのことをがん見していた2人が件の奴らだ。水色の方が”チルノ”。金髪リボンが”ルーミア”だ。どちらも学習能力は最悪で覚えさせたとしても次に聞いた時にはすべて忘れてしまっているくらいの脳内構造の持ち主だ。今、ルーミアを止めている2人もチルノとルーミア程ではないがこのクラスの中で成績は良い方ではない。触角が生えているのは”リグル”で美味しそうなのが”ミスティア”だ。まぁ、このクラス全体の学力も良いものでもないのだがな。」

 

 と僕の耳からその口を離し、彼女はまた大きくため息を吐く。僕はそんな彼女を安心させるように小さく声をかける。

 

「Don’t worry!君はこれから僕が行うことをただ括目していればいい。何なら隅でチェスでもしていてくれたまえ。」

 

「なぜにチェス…。」

 

「さあ!みんな早速lessonを始めようか!」

 

 僕の言葉に生徒たちは反応し、騒ぎは沈静し、僕を見つめてくる。

 

「で、無視なのね。」

 

 

 

 そうして僕の戦いは始まりを告げた。

 

 

 

 

 

 

 

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「…と言うことになるんだが…ここまでみんなは理解できたかな?」

 

 今、ケイネに習っている部分を教えてもらって、そこを自分なりに生徒たちに教えていた。

 

 

 

「なんだよあの先生…!」

 

「すっげぇ分かりやすい!」

 

「月山先生、すっごーい!」

 

「まだ始まって少ししか経ってないのにすげぇ進んでる!慧音先生の三倍以上のスピードで進んでるんじゃないのか!?(紅い流星感)」

 

「慧音先生より確実に有能。」

 

「教え方もうまいしさらにイケメン!」

 

「ホント、かっこいいなぁ…。」

 

「でもイケメンってのは認めるけどちょっと変なところがあるよな…。」

 

「いやいや、そこにギャップ(?)を感じるでしょ!」

 

「というかそんなのどうでもいいわよ!月山先生がかっこいいのは変わらないんだから!」

 

 

 

 

 ケイネから言われていたところを教え終わった後の休み時間。僕の周りにはこの教室のほとんどの生徒たちが集まり僕のことを囃し立ててくる。

 

「先生って何者なんですか?」

 

「普段何してるの?」

 

「先生の好きなモノって何?」

 

「せ、先生の好きなタイプって…?」

 

「先生、臨時って言わずにまた来てくれよ!今度は一緒に体育の授業をやろうぜ!」

 

「こらこら。君たちまだ授業は終わったわけじゃないんだよ。放課後になったら何でも答えてあげるから。それに…」

 

 とても恨めしそうに教室の端から見てくるケイネの目線とぶつかる。余りこんなところを見せてしまうと彼女がjealousy(嫉妬)してしまうので控えておかなくては…。

 

 ”そして僕には真の目的がある…。”

 

 そう思い僕は目線をある方に向ける。

 

 

⑨「なによアイツみんなに分かりやすいって言われて調子こいてるんじゃないの。因みに私はまったく分かってないけどね!フン!」

 

大「チルノちゃん…そこ威張る所じゃないよ。」

 

十「ん、なんだー。もう夕食の時間なのかー?ジー」

 

蟲「んなわけないだろ!しっかりしろルーミア!」

 

鳥「ルーミア、そんな目で私を見ないで…。」

 

 あの例の2人には僕のエンジョイレッスンは通用しなかったようだ。だがここまでは予想の範疇だ。

 

 ”ならば教育方針を変える必要がありそうだね…。”

 

「ごめんよ君たち。少しあそこにいるgirlsたちと話したいことがあるんだ。ちょっとどいてくれるかな?」

 

 そう言って僕は周りにいた子供たちに離れてもらい、例の2人がいるグループに近づいていく。

 

「チ、チルノちゃん!あんな目で見ちゃうから先生がこっちに来るよぉ!絶対怒ってるよぉ!」

 

 と前触れもなく僕が近づいていることで、チルノをいなしていた子が慌てている。

 

 ”確か名前は…”ArchFairy(大妖精)”と言ったっけ…。でもそれは種族名で本当の名じゃないのではないか?”

 

 そんなことを思いながら僕は彼女たちのグループの所に到着した。

 

 

 大妖精にいなされていたチルノだが尚も彼女は僕に向けている鋭い目つきを止めようとはしない。

 

「なっ、何よ!アンタちょっと受けが良かったって調子乗ってるけど、このクラスでのサイキョーはあたいよ!」

 

「チルノちゃん、最強の意味が全然違ってるよ。」

 

 そんなチルノの言葉に大妖精はすかさず突っ込みを入れる。そんな様子が彼女たちが本当に仲が良いのだと僕に感じさせた。

 

「君は確か、チルノだったね。そしてそこのslaver(涎)を垂らしている子はルーミアだね。僕は君たちに聞きたいことがあるんだ。」

 

「「?」」

 

 そんな僕の問いに二人は首を傾げる。そんな様子を見ながら僕はさらに問う。

 

「君たち算数のどこまでの計算が出来るのか僕に教えてはくれまいか?」

 

 その問い対して二人は一瞬、顔を見合わせるが、即座に僕の方に振り向きこう言い放った。

 

「「一桁の足し算、引き算。」」

 

 となぜか威張った感じで二人は言う。するとさっきルーミアと話していたリグルとミスティアが僕に話しかけてきた。

 

蟲「これでも頑張った方なんです先生。この二人この前まで計算できなかったけど慧音先生の助力で何とかここまでできるようになったんですよ。」

 

鳥「それまでに途方もない時間が経ちましたけどね。」

 

 そう言われてケイネの方をチラッと見てみる。ケイネはその発言で何かを思い出したのか片手で目元を押さえながら何かぶつぶつ言っている。

 その様子で彼女がそこまでいくのにとても苦労していたことが伝わってくる。

 

「じゃあ、二桁以上の計算は?」

 

「はぁ?そんなのできないに決まってるでしょ。あんたバカぁ?」

 

「そーなのだー。」

 

「チルノちゃんもルーミアちゃんも先生にそんな言い方しちゃだめだよ…。(まずそんなこと言えるような頭じゃないよ…。)」

 

 すかさず大妖精が突っ込みに入る。だが僕にはなんだかその突っ込みに黒いものを感じたのだが気のせいだろう。

 

「昨日、慧音先生と二桁の計算をやり始めたんですがやはり理解できずにいるようで、しかも習っていると折角覚えていた一桁の計算を忘れてしまいそうになるので結局、進まずまた一桁の計算の復習をしてしまうという負のスパイラルに陥ってしまっているんですよ。」

 

 そう、隣にいたリグルが答えてくれる。

 ”だから昨日あんなにうなだれていたのか。”

 だが一桁の計算ができるのだ、二桁の計算も”正しく”教えたらすぐに理解できるはずだ。

 

「そうか…なら今から君たちがすぐに理解できるように僕が指南してあげよォう!」

 

「「はぁ!?」」

 

 とそう宣言した僕をビックリした瞳で見つめてくる。

 

「だからこれから君たちに二桁以上の計算をlectureしてあげようと言っているんだ。個別授業でね。その間まで他の皆には僕が作って来た問題をやってもらうよ。分からなかったら分かりやすく説明しているプリントも用意しているから安心してくれたまえ。それではケイネ違う教室を用意してくれないか?」

 

「ちょっ!何、勝手に決めてんのよあんた!」

 

「そーなのだー!」

 

 とチルノとルーミアが荒々しく僕に言ってくる。

 

「だったら君たちはこのままでいたいと思っているかい?」

 

 僕ははっきりと二人に言う。その真剣さが通用したのか彼女たちは何も言ってこない。

 

「みんなの背中を見ながらどんどん先に行かれるのは君たちも快くは思っていないはずだ。」

 

 そう言い僕はあの日の彼の背中を思い出す。

 

 ”僕も置いていかれるも者の気持ちはよく分かっているから…。”

 

 とその時、頭に鋭い痛みが走る…。

 

「ウッ…!」

 

 ”これは昨日と同じ痛み…。” 思わず頭を押さえる。

 

 そして昨日と同じようにあるvisionが僕の脳裏に浮かぶ。それは昨日見た4つ映像の中の2つ目の映像だった。しかし、今回は昨日よりは鮮明にそのvisionを見ることが出来る。

 そこにいた二人は紛れもなく松前とマイロの姿だった…。松前は僕に何か言っているようだったが、その映像はsilent film(サイレント映画)の様に無音で、聞き取ることはできずそのまま進んでいく―――。

 

 昨日と同じように二人の背が僕から離れてゆく―――。

 

 そして、映像は終わり僕の頭の痛みは嘘のように消えていた。

 

「ん?大丈夫あんた?」

 

「大丈夫なのかー?」

 

 そんな僕の様子を傍で見ていた二人は僕に声をかけ大丈夫かどうか確認を取ってくる。

 

「ああ…大丈夫だよ…。それで、君たちはどう思っているんだい?このまま君たちは弱者のままでいるのか?それとも彼らに追いつき強者になることを選択するかい?その答えを僕に聞かせてくれ。」

 

「「…。」」

 

 その僕の問いに黙る2人。だがその沈黙はすぐに破られる。

 

「そこまで言うならやってみなさいよ!できるならね!フン!」

 

「後で美味しいものくれるならやってもいいよー♪」

 

 と二人はやるという意思を見せてくれた。ならばやることはもう決まった。

 

「ならば行こうか!君たちと僕だけの秘密のレッスンタァイム!だが今度ばかりは楽しくはしない。本気で覚えさせるためにも僕は心をdemon(悪魔)にして君たちを厳しく指導するよ。いわばこれは僕のpassion(情熱)が詰まった指導……”ン熱血指導ッ”だぁ!!!」

 

 と僕の情熱の叫びは教室内に響き渡った…。

 

 

 

 

 

 

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 三人が別の教室に移動してから3時間くらい経過していた。あの二人以外の生徒たちは月山が用意していたプリントの問題を指示されていた通りこなしていた。内容は先程習ったところを応用した問題や次に習う所の問題が書いてあって中々難解ではあったが、別紙に書いてある説明のおかげでここにいる生徒はその内容を理解することが出来ていた。生徒の殆どは心の中で月山の凄さを再確認するとともに敬意を払った。だが彼らは月山がとても凄い先生だと思ってはいるが、あの2人にその教育が通用するとは思えなかった。

 

 その間に休み時間が二回あったのだが、三人は別室からは出てこなかった。別室の扉には”立ち入り禁止”という張り紙があり、誰も入ることを許されなかった。その髪が張られている扉に近づくとその中から三人の声は聞こえてきた。

 

 

『ナラバクラエッ!!800ノダメージヲー!!』

 

『グワァーーーーッ!!』

 

『もうやめてください!私が何でもします!だからチルノは許してください!』

 

『美しい友情ごっこか、だったら貴様もン熱血指導ダァ!』

 

『ア”ァァーーーーーーッ!!』

 

『マダマダ!ン熱血指導はこれからだ!フゥッハハハハハハハハ!!!』

 

 

 とにかくとても厳しい指導をしていることを聞いた者たちは理解することが出来た。

 

 

 

 

 そして、三人は教室に戻って来た。

 

 月山は真顔で、チルノとルーミアはバトル漫画の修行を終えた主人公の如き雰囲気を纏って教室に入って来た。

 そして月山は迷わず黒板の前に立ち、何やらチョークで書きだした。するとそこには、

 

 

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 そこには三桁と四桁の複合したひっ算が書かれていた。教室にいた生徒には彼が何でこの問題を書いているのかが分からなかった。だが月山が言い放った言葉でチルノとルーミア以外の生徒は理解した。

 

「それじゃあ、ルーミアは足し算の方、チルノは引き算の方をやってもらえるかな。」

 

 ”何だと…!”それが総意だった。彼はあの2人に二桁の計算を教えると言っていた。だがここに書かれているのはそれ以上の桁の計算だった。二桁の計算ですら無理だと思うのに、こんな計算をやらせるなんて無理にもほどがある。

 

 ”できるわけがない…。”

 

 そう思った時だ、問題を提示された二人は真剣な表情で黒板に向かい淡々とチョークで白い文字を書いてゆく。それは落書きなどではなくちゃんとした数字だった。暫くするとその手の動きは止まり、二人は口を揃えて答える。

 

「2140!」

 

「5363!」

 

 その光景を見ていた者たちは信じられない気分になった。殆どの生徒が何回か計算をしてみるが何回やっても答えは合っていた。

 

 ”まさか、本当に!?”

 

 でもそれを打ち崩す疑惑が一つあった。だがそれも否定されてしまう。

 

「もし僕が事前に二人に教えていた問題だと疑惑を持っている生徒がいるのなら、試しに彼女たちに問題を出してみるといい。それでも彼女たちは答えることが出来るよ。」

 

 と得意げな顔で月山は生徒たちに言った。

 

 

 

 

 

 

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大「チルノちゃん!本当にすごいよ!」

 

蟲「これって夢じゃないよな。」

 

鳥「二人とも頑張ったね!今日は私が美味しい鰻料理作ってあげるよ!」

 

⑨「えへへへ、やっぱりあたいたちってばサイキョーね!」

 

十「サイキョーなのだー!」

 

A「ホントマジかよ…あの2人が出来ちまうなんて…。」

 

B「月山先生…本当に何者?」

 

 

 あれからチルノとルーミアは他の生徒たちに何問か計算式を解かされたが全て答えることが出来た。その影響で今2人の周りにはこの教室の生徒たちが取り囲んで賞賛の言葉を投げかけている。

 それを僕は笑顔で見つめている。すると驚愕の表情をしたケイネが僕に近づいて来た。

 

「シュウ…。お前は一体、あの2人に何をしたんだ?」

 

「何って、僕はただ少し始めとは違う授業をしたまでだよ。それに彼女たちの理解力のおかげかな。」

 

 と僕は右目で彼女にウインクしながらそう答えた。まぁ、それでも納得していないようだったが。

 

「さぁ!みんな静粛に!もう帰りのmeetingの時間だ。話はそれが終わった後にしようか。」

 

「はーい!」

 

 と僕は号令をかけみんなを席に座らせた。

 

「じゃあ、始めようか。」

 

 

 

 

 

 

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 帰りの会が終わり、僕は暫く生徒たちの質問に答えていた。

 

「先生!またここに来てくれよ!」

 

「of course!(いとま)があればまたここに来るよ。それでは僕はもう行くが、復習をちゃんとやっておくんだよ。君たち。」

 

「「「はーーーい!!」」」

 

「See you again.(またね)」

 

 そう言って僕は手を振り教室から出ていこうとすると、ある声に引き留められた。

 

「ちょ、ちょっと待って!」「待って!」

 

 振り返るとそこにはチルノとルーミアがいた。すると彼女たちは顔を見合わせながら僕にこう言った。

 

「「ありがとう!」」

 

 それは感謝の言葉だった。僕はそんな言葉が素直に嬉しかった。

 

「こちらこそ。君たちが学ぶことに対してpositive(前向き)なってくれたことが本当に良かったよ。」

 

「あ、あのあんたに渡したいものがあるんだけど…。」

 

 そう言ったチルノは僕の目の前に両手を突き出してきた。するとその両の手のひらに冷気が集まり一つの物体を形成する。それは…

 

「僕ッ!?」

 

 それは僕の姿を模した氷像だった。

 

「これッ!あたいからのお礼よ!涼しい所に置いて置いたら飾っても大丈夫だし、氷だから勿論食べるのも大丈夫よ。」

 

「Excellent!!すごいよ!チルノ!大事にするよ!」

 

「えぇ~ずるい~私何も用意してないのに~」

 

 と横で見ていたルーミアが言う。

 

「大丈夫だよルーミア。今度、ここに来た時にもらうよ。ケイネには僕がまとめていた指導書を渡しておいたから今度来た時には今日習った部分より進んだ所まで覚えているんだよ。」

 

「任せなさい!」「もちろんなのだー!」

 

 と二人は自信満々に僕に答えてくれた。そんな二人と残りの生徒たちに見送られながら僕は今度こそ教室を出るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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 僕はその後、サクヤと合流し紅魔館に帰っていた。

 

「ところでサクヤ。途中で君いなくなってたけど一体何をしていたんだい?」

 

 そう、サクヤは僕が別室に移動してから姿を確認していなかった。元の教室に戻った時もそこに姿はなく、彼女は寺子屋の門の前に居たのだ。のでその空白の時間、彼女が何をしていたのかは自然と気になることだった。

 

「ええ、少し買い出しにね。それに結果が知りたかっただけだしね。で、貴方は宣言したとおりに結果を出した。帰ったらお嬢様に妹様の家庭教師の件を話させてもらうわね。」

 

「ああ、いいよ。紅魔館のみんなにはお世話になっているからね断る理由はないよ。」

 

 そうやって話しをしているともう僕らは霧の湖に着いていた。

 

「もう着いたか…楽しみだね!今日のディナーも!!」

 

「ええ、楽しみにしているといいわ。今日貴方の舌を唸らせ…」

 

 ドガァァァァァァンッ!!!

 

 サクヤがそう言おうとしたとき、その言葉を遮るように轟音が鳴り響いた。

 そしてその音の方向には紅魔館があった。

 何が起きているのかは分からなかったが、ただならないことだということは直観した。

 

「サクヤッ!!」

 

 僕は大声で彼女の名を呼び、彼女の方を見る。すると、彼女はすかさず僕の手を握り、例の懐中時計を取り出し、その懐中時計のスイッチを押す。

 

 瞬間。辺りは静寂に包まれた。

 

 そして僕らは静寂の中を走り抜ける。異変が起こった方向へ…。

 

 

 

 

 

 

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 急いで僕らは紅魔館の傍までやって来た。そのときサクヤの”時止め”の能力は解除していた。サクヤの時止めにはある弱点がある。それは自身が触れたものの時を動かしてしまうことだ。これは制御することはできない。ので時が止まっている中で不用意に動き回ってもし敵が配置していた罠が起動してしまったりすれば紅魔館の内部に行く前に天国に行ってしまうことになる。だが時が動いている状態なら小石などを地面に投げていればその危険も回避することが出来る。時止めを解除してから内部からは爆発音が何度も聞こえてきた。内部で何者かと戦っていることは明白だった。僕らは急ぎながらも慎重に紅魔館の内部に向かっていた。

 入り口の前にはメイリンが居なかった。門の前には戦った形跡はなかったのでおそらく紅魔館内部にいるのだろう。

 

 ”だが、本当に門を通らずに侵入できるものなのか?それに…”

 

 僕はサクヤの顔を見る。彼女は何かを知っている風な表情をしていた。

 

 ”サクヤは何かを知っているのか?”

 

 そして僕らは罠に出会うこともなく庭を通り抜け、紅魔館の扉の前にようやくたどり着いた。

 

 するとさっきから鳴っていた爆音は鳴り止み、突然の静寂が僕らを包んだ。

 

 僕は心の内でこの状況のまずさを感じながら扉のノブに手をかけ、扉を開けた。もう何回も開けてきた扉だがこの時ばかりはとても重く、開けるときの音がとても鈍く聞こえた…。

 

「なぁッ…!」

 

 扉を開くと血なまぐさい臭いが僕の鼻腔を突く。目の前の大広間には二人の少女がいた。一人はレミィで、もう一人は知らない子だった。だがその空間は狂気に満ちていた。

 

 大広間のあらゆるものには……

 

 血、血、血、肉片、血、血、肉片、血、血、血、腕、腕、足、足。

 

 まるでそれは懐かしき元の世界によく見た光景だった。

 

 そしてその飛び散った赤の持ち主だったのはレミィだった。

 

 今、レミィは謎の少女に首を掴まれている。でもそこに僕は驚愕したのではない。

 僕が驚愕したのは”レミィの四肢が切断されていた”ことだ。

 

 切り口からは紅い鮮血が零れ落ち、痛々しさを僕とサクヤに伝えさせる。

 

「アハハハハハッハハッハハハハハッハハハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッハハ!!!!」

 

 と謎の少女は声を高らかに上げながらレミィをそのまま持ち上げる。

 

 するとたった一言、はっきりこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シネ。」

 

 

 

 ゴキンッ!

 

 

 

 

 その鈍い音は静寂に包まれた大広間に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、ついにバトル回です。取り敢えず月山さんが活躍すると思うよ。うん、おそらく。

あと東京喰種PINTO見ました。宮野さん今回もキレッキレで笑わせてもらいましたw
個人的には感謝土下座の所がツボでしたw
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