東方喰種:MM~美食家が幻想入り~   作:ナライ

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みなさんずいぶんお久しぶりな気がしますナライです。
お待たせしました東京喰種:MM第八話ついに投稿ですwホントすいませんちょっと個人の所用とか違う小説に浮気してましたw許してください!
で、今回初のバトルを書かせてもらいました。読み直していたんですがやっぱり難しいですねどのようになっているのかを伝えるのはwまぁつまり今回も温かい目で見てほしいというわけですよwオナシャス!

因みに一番好きで欲しかった赤王が今回のガチャで当たって興奮していたことは小説の投稿が遅れてしまったこととは関係ないですからね!ホントですよ!


第八話 死姫

 バタン…!

 

 その四肢を失った小さき(からだ)は空しい音を奏で地面に転がり落ちる。

 その傷口からは夥しい量の紅い鮮血が流れ出し大きな血溜りを創り出している。

 

 

「アハハハハハハッハハハハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタケタ!!!!!!!!!!」

 

 響くは狂気と血飛沫を纏いし少女の笑い声…。

 

 全てが異常だった。

 

 

 

 「アラ?」

 

 そして少女は僕を見つけ、その口角を吊り上げる。

 

 金の髪に、宝玉の翼、そしてその矮躯には似合わない大鎌を片手に持つ…。

 

 ”まるで少女の形をした死神だ…。そして...この臭いは…。”

 

 

「サクヤ…レミィを頼むよ。彼女は僕に用があるようだ。僕が中に入って暫くしたら君は時止めの能力を使って中に入ってくれ。」

 

「え?」

 

 僕はそう言ってその死神に向って進んで行く。

 サクヤは僕を先頭に入って来たためまだ室内の確認が取れていないためこのような返答をした。だからサクヤには何が起こっているのか理解できていない。

 

 

「やぁ、littlegirl。君はここで何をしているんだい?」ポトッ...。

 

 柔らかい言葉だがそこには威圧を込めていた。中に入って周りをよく見てみると、メイリンとパチェが左方の壁際に倒れているのを確認することが出来た。

 

 すると彼女はさらに口角を吊り上げて、どこかに歩き出す。しかしその足取りは逃走を感じさせず、逆に何かを求めているかのように感じさせた。僕は黙ってその行動を見つめながらある方向へ進んでいく。

 

 そして彼女の足はある場所で止まる。

 

 そこには…

 

 

 

 

 

 ”切断されたレミィの左腕があった。”

 

 

 そして彼女は迷うことなくそれを口に運び…

 

 

 

 バキッガヂュチュベキゴキ…。

 

 

 喰らいつく。その姿は空腹の子供がご飯をかき込むが如き様だった。そしてその肉塊を何口かした後に僕の方を振り返る。

 その顔は狂気に染まりし満面の笑みだった。

 そして一言、彼女は僕に告げた。

 

 

 

同種喰らい(共食い)♪」

 

 

 

―――瞬間。閃光の如き速さで少女は僕の目の前で大鎌を振りかざそうとしていた。

 

「あなたの勾玉みたいなアタマおいしそう♪」

 

 そう言い、少女は僕の首元にその刃を近づける。

 

 

 ガキンッ!! 

 

 

「ん?」

 

 少女は疑問の言葉を呟く。僕の首元を狙った刃は途中で止まっていた。

 

「フン…。やはりそのscythe(大鎌)、クインケによく似ている…。」

 

 なぜならその大鎌は僕の剣によって防がれていたのだ。

 

「君…どこでそれを手に入れた…?」

 

 そう聞くが彼女の耳には入っていないようだった。彼女は恍惚の笑みを浮かべる。

 

「アハッ♪あなたおもしろいもの持っているのね!」

 

 さらに彼女は僕に斬りかかって来る。僕はすかさず赫子でその刃を払い彼女との距離を取る。

 そして自身の剣を見つめる。

 

 ”赫子は強度が弱体化しているがその分軽く感じる…。激しい打ち合いは極力避け、斬撃を流しながら戦うか。”

 

「よし殺そ♪」

 

 そう思った束の間、狂気の笑みを浮かべた少女は尚も僕に斬りかかって来る。それを僕は鎌の軌道を逸らし、カウンターの突きを仕掛ける。しかし僕の赫子は空を切る。目の前に少女の姿は無くなっていた。

 

「ハァッ!」

 

 僕はその突きの体勢を即座に崩し、横へ転がった。横に転がる途中に僕が上方を見た時、あの大鎌の切っ先が僕の顔面に掠りかける。まさに紙一重。その動作に少しの誤差でもあれば僕の体は今頃、真っ二つになっていた。

 僕は受け身を取り、すぐに戦闘の体勢に戻す。

 

 彼女はいつの間にか僕の背後に移動し、あの大鎌を横薙いでいた…。

 

 ”なんて速さだ。即座に上方か後方のどちらかから攻撃してくると予想していなければ確実に殺られていた。喰種のdynamic vision(動体視力)にも映らないほどのスピード…まるでtéléportation(瞬間移動)のようだ…。”

 

 そんな彼女のスピードに驚愕している僕とは対照的に彼女はとても嬉々としていた。

 

「へぇ~コレ躱せるんだ~♪殺す気でやったんだけどな。しかもさっきの攻撃もキレイに逸らしたし、あなた本当に面白いわ!」

 

「ハハッ…それはどうも。」

 

 そうは答えるが予測で対応しているので完全に躱せるという自信はない。

 

 ただ彼女は”殺す気だった。”と言った。おそらく今の速度が最大の速度なのだろう。これ以上のスピードで攻撃されたら僕も対応することはできない。

 

 だが彼女は目で追うことのできないスピードで移動できるが、攻撃の方は単調なモノばかりで隙だらけだ。このお陰で完全ではないが大体の行動を予測することができる。だったら僕が彼女を十分に引き付けてその隙を狙えばこの勝負は確実に制することが出来る。

 

 そう思って今度は僕から仕掛けようと構えをとる。だがその時…

 

「シュウ!」

 

 と僕を呼ぶ声が聞こえた。その声の方を振り向くとそこにはサクヤに抱きかかえられたレミィの姿があった。

 

 無くなっていた四肢は元に戻っており、折られた首もしっかりと真っ直ぐに治っている。

 

 ”どうやら上手くいったみたいだね。”

 

 僕はその策が上手くいったことにほくそ笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

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 咲夜には月山が言ったことが理解できなかった。だが彼の真剣な顔つきと何より自身の主の名前を出されたので彼女は即座に懐中時計を取り出していた。そして彼が中に入って暫くした後、時止めの能力を起動し、中に入った。

 

 「はッ…!」

 

 眼前に広がるのはまるで地獄絵図のようだった。大広間の壁や石像などあらゆるところに血や肉片が飛び散っていた。右方の壁際では月山と”見覚えのある少女”が刃を交え、左方の壁際には傷を負った美鈴とパチュリーの姿も確認できる。が、それよりも彼女を最も恐怖させたのは、血溜りに転がる我が主の姿だった。

 

「お嬢様!!」

 

 急いでその場に駆け寄る。近くで確認すると四肢は無くなり、首が真横に折れ曲がっていた。

 咲夜は自身の主を抱きかかえ、その制止した時を動かす。

 

「お嬢様!しっかりして下さい!お嬢様!」

 

 呼びかけるが返事はない。しかも時を動かしたせいでその傷口からは紅い鮮血が止めどなく溢れてくる。

 だが、微かだが息はあった。

 しかし、このままではどれだけ不死身と名高い吸血鬼であろうとレミリアは死んでしまうだろう。

 

 咲夜はそれだけは阻止しようとあるモノを取り出す。

 

 

 それはナイフだった。

 

 

 そして咲夜はそのナイフを右手で持ち、左手の手のひらに向けて突き刺した。

 

「…。」

 

 鋭い痛みが左手に走る。しかしそんな痛みは意に返さずすぐに手のひらからナイフを抜き取る。傷口からはレミリアの傷口と同じように赤い液体が溢れてくる。

 そしてその左手をレミリアの口元に近づけ、強く握った。

 すると拳の下部から大量の血液が排出され、さらにそれがレミリアの口に入ってゆく。

 

 そう、彼女は吸血鬼なのだ。いつもは人と同じものを食べてはいるが主食は紛れもなく血液なのだ。

 血液とは人体にあらゆる栄養と老廃物を循環させる液体だ。そしてその中には魔力や霊力などの神秘的な力も含まれている。吸血鬼はこの血液中の栄養と魔力を摂取することで即効性、持続性のある恩恵を自身にもたらすことができる。

 それは、筋肉の増強、魔力の補完、機動力の推進、それに…回復力の強化が含まれている。

 

 

 

 そう、それはまるで喰種の赫子のように…。

 

 

 

 咲夜はその事を知っていた。だから左手に傷口をつくり、流れ落ちる自らの血液をレミリアに与えている。

 

 静止した時間の中でどれだけの時間が経っただろうか。

 

 

 少しずつ手の感覚が無くなっていく…。視界が狭まっていく…。

 

 

 それ程の出血を咲夜はしていた。だが咲夜は今、そんな事には露も気づいていなかった。

 

 今、彼女が考えているのは主であるレミリアの復活だけだった。自身の心配を考えることなど彼女にはなかったのだ。紅魔館の従者として主のレミリアは何よりも変えがたい…自分の命よりも大切な存在…。

 

 ”起きてッ…!起きてくださいッお嬢様…!”

 

 そして咲夜は何度も心の中で願い続ける。

 

 

 すると、彼女の願いが通じたのかレミリアの体にある変化が起こる―――。

 

 

 ズズズズズズズズズズズズズ―――

 

 

 切断された四肢の傷口から新たな両腕と両脚が形成されていく…。

 

 

 ズズズズズズ…シュウウウウウウウウウゥゥ…。

 

 

 そして完全に元の通りに四肢は形作られた。

 

 

 パキキキキッガキッ!

 

 

 さらに真横に折れ曲がっていた首も真っ直ぐに治っていた。

 

 

「…お、嬢様…お嬢様!お嬢様!」

 

 その様子を見ていた咲夜は思わず大声でレミリアに声をかける。

 

「…うっ、ううう…ん?さ、咲夜?」

 

 その呼び声のお陰で気が付いたのかレミリアは目を覚ました。

 

「お嬢様!良かった…本当に良かった…。」

 

 主の意識が戻ったことに咲夜は深く安心した。

 

「あっ…。」

 

 瞬間、咲夜はそのまま後ろに倒れかけてしまう。何とか右手をついて倒れないように踏ん張る。

 この時、初めて咲夜は自身の身に何が起きているのか理解した。大量の出血で今、床についた右手の感覚は無く、意識も朦朧とし、さらに出血による魔力不足でこの静止した時間を維持させるのが困難な状態だった。

 

 だが、この能力はまだ解除はできない。咲夜は自身の精神力だけで意識を繋ぎ止め、そして時止めの能力を維持する。

 

「さ、咲夜!この両手…両脚…。それにその左手の傷…。咲夜…貴方…。」

 

 レミリアは咲夜が自身にしてくれたことを理解し、申し訳ない表情をする。

 

「いいのですお嬢様。お嬢様が無事ならそれで…。」

 

 咲夜がその旨を伝えるとレミリアは一言こう言った。

 

「ありがとう…。…二人は無事…?」

 

 恐る恐るといった感じにレミリアは咲夜に二人の安否を聞く。二人と言うのは美鈴とパチュリーのことだろう。傷は負っているが重症と言う程でもなかったので心配はない。

 

「はい。ケガをしてはいますがおそらく命に別状はないでしょう。」

 

「ッ……良かった…。」

 

 その言葉を聞くとレミリアは深く安堵した。

 だが、咲夜にはこれからレミリアに聞かなければならないことがあった。

 

「目覚めたすぐに申し訳ないのですが、お嬢様。私はいくつかお嬢様に聞かなければならないことがあります。」

 

「私たちが来るまでに何があったのか話してくれますか?」

 

 するとレミリアは少し沈黙するが、言わなければならないと決意し開口する。

 

 

 

 レミリアはこれまで起きたことを話し始めた。

 

 

 

 

 

 

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ドガァァァァァァン!!!!

 

 

 突如、館中に轟音が鳴り響いた。

 

「っ!?」

 

 自室に居たレミリアは突如、耳を襲った轟音に驚く。

 音は大図書館のある地下から聞こえてきた。

 レミリアは場所的に考えるとパチュリーが何かをしたのかとも思ったりしたが、普段から本ばかり読んでいる彼女がこんな音を出させるようなことをするとは到底思えなかった。

 

 何かがおかしい…。そうレミリアはこの時、直感していた。

 

 レミリアは急いで自室を出、廊下を走り、その先にある階段を駆け下りて行く。

 レミリアの部屋があるのは二階。そして目的地の大図書館は地下一階にある。

 階段を下りて行くと、地下へ行く途中にある一階のエントランスホール着く。それと同時に入り口の扉が開いた。

 

「お嬢様!」

 

 入り口を見るとそこには美鈴の姿があった。

 

「美鈴!」

 

 二人とも合流しようと、駆け出し、エントランスホールの中央で合流した。

 

「お嬢様、さっきの音は一体?」

 

「私も原因は分からないわ。でも大図書館の方から聞こえたのは分かってるわ。」

 

「でもパチュリー様が私たちに何も告げず、こんなことするとは思えませんね。」

 

「貴女もそう思うのね。私もよ。だから何かおかしいと思って今、大図書館に向っていたの。」

 

「逆にパチュリー様の安否が心配ですね。それに妹様も…。私もお供します。お嬢様。」

 

「ありがとう美鈴。そう言ってくれてうれしいわ。それでは早速行くわよ。ついてきな…」

 

 

 

「それには及ばないわ。お姉様♪」

 

 その声に二人の背筋は凍り付く。まるでその一言一言が氷柱の様に突き刺さる。

 だが、その声は聞き覚えのある声だった。

 なぜならその声の主は彼女たちと同じこの紅魔館の住人であり、何よりもここの主であるレミリア・スカーレットのたった一人の肉親だったからだ。

 

 恐る恐るレミリアと美鈴の二人はその声のする方向へ振り向く。

 

 

 

 眼前には真紅のドレスを身に纏い、背には八つの宝石を付けた翼があり、肌は透き通るような白の少女がいる。

 

 

 

 

 悪魔の妹…”フランドール・スカーレット”がそこにはいた。

 

 

 

 ただ、その両手には”見知らぬ大鎌”と”悪魔の友人”を携えていたのだが…。

 

 

 

 

 

 

 

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フランはちょうど地下に通じる階段の前に立っていた。右腕には禍禍しい深紅の刃の大鎌。そして左腕にはボロボロの状態で気を失っているパチュリーの姿。

 

「…やっぱり”その目”…。」

 

「その目?」

 

 不気味な気配を放ち続けるフランは何かを呟いた。その言葉は聞いていた二人の耳に届きはしたが何を意味した言葉なのかは分からなかった。

 

「それより!無事だったのねフラン!パチェもここまで連れて来てくれたのね。地下で何があったの?話を聞かせてちょうだ…」

 

 そう言ってレミリアがフランに近づこうとすると美鈴に肩を掴まれ、その歩みを邪魔されてしまう。

 

「ッ!?、何をするの美鈴!」

 

 レミリアは急に止められてしまったことに怒りを露わにする。

 

「お嬢様、妹様からは嫌な”気”を感じます。それにあのパチュリー様の服の破れ方、何かに切り裂かれたようです。爆発などではあんな破れ方はしません。」

 

 そう言われて見てみると、パチュリーの着用している服には切り裂かれたような跡しかなく、負っている傷の中に火傷のようなものは見当たらなかった。

 

「あと、何故妹様はあの強力なパチュリー様の結界を出てここにいるのでしょうか?」

 

 ”それもそうだ。なぜフランはここにいる?パチェが張った強力な結界だ。ただの爆発などで破れるはずがない。それにもかかわらずフランはここにいる。と言うことはあの音の正体って…”

 

 考えられることは一つしかなかった。

 

「そうよ♪私がヤったの。お姉様♪美鈴♪」

 

 その考えに至ろうとしたその前にフランの口から真実が語られた。

 

「さっきの音は結界を破壊してきたときの音。壊しちゃったらすぐにパチェに気づかれて新しいの張られちゃうからパチェが結界の点検に地下室の前に来るまで待ってたの。でも、結構呆気無かったね~♪不意打ちだったけどほとんど何もして来なかったし、ホントにコレって実力のある魔法使いなのかなぁ?」

 

 そうしてフランはパチュリーを持ち上げ、その顔を覗き込んでいる。

 

 確かにフランにはもしかすれば結界を破壊できるかもしれない能力(ちから)を持っていた。だがあの結界は何重にも組まれた多重の魔法結界―――。

 

”例え、隕石を破壊できる力を持っていたとしてもあの堅牢な結界を何度も破壊できるほどの魔力量はフランには無かったはずだ…。しかもパチェに不意打ちをしたと言った。ということはフランは一度の発動であの多重の結界を破壊したということになる…。”

 

 

「まっ、いいや!もう興味ないし。ポイッ」

 

 ゴッ!!

 

 そう言ってフランはゴミを捨てるかの如く、パチュリーの身体を投げ捨て、投げた先にあった壁に激突させた。

 

「パチェッ!!」

 

「パチュリー様ッ!!」

 

 それは一瞬のことで二人はその行為にまったく対応できず、傍観と号叫することしかできなかった。

 

「何したのか分かってるの!フランッ!」

 

 レミリアはフランに向けて激昂する。しかし、そんなレミリアの怒りを嘲笑うかのようにフランはさも当然の如く話し出す。

 

「ん?要らなくなったモノは捨てないといけないでしょ?エコよエコ!お姉様ァ。」

 

「.........。」

 

 ”もうこれは挑発だ。フランは私たちを怒らせるためにワザとこんなことをしている。そう感じさせるほどの悪意しかあの子からは感じられない...。”

 

 そしてレミリアは意を決した。

 

「美鈴、あの子を止めるわよ。手伝って。」

 

「はい。分かりましたお嬢様。」

 

「やったぁー!殺る気になってくれたのね!二人とも♪」

 

 フランを止めるべく真剣になった二人とは対照的にフランは嬉々として二人との戦闘を心待ちにしている。

 

 

「遠慮は要らないわ。”倒す気”で行くわよ。」

 

「はい!」

 

 レミリアが合図すると二人は同時にフランに向って飛び掛かった。

 

「フフッ♪」

 

 

 

 

「ハァッ!!!」

 

 まず仕掛けたのは美鈴。フランの正面に立ち、そのまま掌打を何度も繰り返す。それは荒々しく、迅き、暴風雨―――。一撃でも身体に喰らってしまえばタダでは済まないだろう。が、その掌打をフランは軽々と回避してゆく。

 

「遅いおそーい!こんなもんなの?メイリィーン。」

 

「ッ...!」

 

”は、迅い!以前の妹様では考えられないほどの速度!いつの間にこれほどのスピードを...。”

 

「じゃ、今度は私から行くわね。」

 

 とフランが言うと美鈴の目の前から消える。

 

「!?」

 

「これくらいで死なないでよ♪」

 

 否、フランは美鈴の上方にいた。そしてフランは右手に持っていた鎌を両手で持ち、大きく振りかぶる。美鈴はフランの速さに対応できていない。このままでは確実に直撃するはず......だった。

 

「フッ」

 

 瞬間。美鈴は口角を攣り上げる。すると美鈴は上方から向かってくるフランに背を向ける。そして...

 

「ハァッ!!!!!」ドガッ!!!

 

 そのまま跳躍、フランに体当たりした。

 

「ウグッ...!」

 

 そしてその体当たりはフランの身体に完全に入る。

 

鉄山靠(てつざんこう)』。背中の体当たりで相手に反撃する八極拳のカウンター技だ。だが、こんな感じの技ではない。八極拳は腕が届く所までが最大範囲だ。跳躍して距離を稼いだ時点でそれはもう八極拳ではないし、八極拳にはその拳の力を最大限に引き出す”震脚”と言う特別な踏み込みがある。が、それも美鈴は使っていない。所謂、オリジナル技だ。

 

 美鈴の能力は「気を使う程度の能力」。要は体内に存在するエネルギーを目に見えるようにし、操る能力のことだ。美鈴は跳躍時、このエネルギーをロケットのジェット噴射のように放出(震脚の代用【ていうか上位互換になってる】)し、フランに体当たりした。八極拳は超至近距離の戦いを想定した一撃必殺の拳法。言い換えれば”0距離射撃(大砲)”。それにエネルギーのジェット噴射が加わるのだ威力は想像できないほど絶大だろう。美鈴は八極拳のデメリットである距離を補いながら、利点である拳の威力を更に向上させた。

 

 そのままフランの身体は吹き飛んでいき、天井にめり込んだ。

 

 ボガァァァァァァァン!!!!!!!!

 

「カハッ!!」

 

 その強大な衝撃によりフランは吐血する。

 

 

 

 さっき完全に美鈴はフランの速さに反応することが出来ていなかった。だが、美鈴は武術を極めた者だ。自分が反応することが出来ない速さで来られようと相手がどこに現れるかが分かればいいのだ。そう、彼女は闇雲に掌打を打っていたのではない。フランの逃げ場を絞るように狙っていたのだ。

 

 だが、あの強力な技を受けたフランには思ったほどダメージは入っていなかった。しかし、それを読んでいたかのように美鈴は冷静だった。

 

「今です!お嬢様ッ!」

 

 美鈴は技を繰り出した後、ある場所を振り返り合図する。

 

「お疲れ美鈴。準備できたわ。」

 

 バチバチバチバチバチバチバチバチチチチチチチチチチッ......!

 

 合図した先には右手に紅雷を轟かせながら天に構えるレミリアの姿があった。

 

「暫く眠ってもらうわよフラン...痛いだろうけど我慢してね。」

 

 そう言うと紅雷はさらに激しさを増し、まるで小鳥が群れて囀っているように轟音が鳴り出す。

 

「.........ッ!?」

 

 天井の壁に深くめり込んでいたフランは今、自分が置かれている状況を瞬時に理解した。

 

「ハハッ!それなら出される前に逃げるだけよ!」

 

 そしてフランは天井にめり込んだ身体を出そうとするが......

 

「んっ!んっ!えっ、何でっ?...ゴポポッ!!!」

 

 何故か起き上がることが出来なかった。よく見るとフランの周りは何かに覆われ、身動きがとれなくなっていた。

 

 ”こ、これは水で出来た結界!こんなことが出来るのは...。”

 

 そう思いフランはある方向を向く。そこには傷だらけになったパチュリーが手をこちらに掲げ、ほくそ笑んでいる姿があった。

 

 ”私がパチェを持っていた時、パチェは気が付いていたのか。そしてその時に私の体の何処かに魔法陣を仕込んだのね...!”

 

 

「水符『ジェリーフィッシュプリンセス』...。まっ、今回のは水泡じゃなくて水塊だけどね。...後は頼むわよレミィ...。」

 

 ガクッ

 

 パチュリーはそう言って役目を終えたかのようにそのまま気を失う。そしてその意思を汲み取るように紅雷はその煌めきを増してゆく...。

 

「ありがとう...パチェ。これで決められる!」

 

 そしてレミリアは投擲のモーションに入る。地面を強く蹴り上げ体が少し宙に浮く。その勢いを利用し、上半身を力いっぱい振る。

 

「神槍『スピア・ザ・グングニル』!!!!」

 

 そして紅雷はレミリアの手を離れ、高速で空を穿つ。するとだんだん形状が変わってゆき、それはまさしく”槍”と呼べるものになっていた。

 

 

 神槍「スピア・ザ・グングニル」...レミリアが右手に魔力を凝縮した棒状の弾幕を超高速で放つことで槍の如き形状になる技だ。破壊力は絶大で距離をとればとるほど、魔力を溜めれば溜めるほどその威力は向上する。しかし弱点もあり、ある程度距離をとっていないと発動できないことと、発動最低限の魔力を溜めるまでに少々時間がかかることが必要。だからレミリアは美鈴に先陣を切って貰い、その間魔力を溜め続けていた。そして美鈴にフランと自分のある程度の距離をとってもらうことでこの二つの問題点を解決した。だが、それでも避けられる可能性もあった。が、それは今さっきパチュリーが解決してくれた。レミリアはパチュリーがこの問題を解決してくれるとは予想していなかった。だが、この作戦が失敗するとも思っていなかった。否、成功すると確信していた。レミリアの能力は「運命を操る程度の能力」。”程度の能力”とはその者の生き方、その者自身が形になったもの。いくら彼女が力を封印していると言ってもその能力が無意識に発動してしまうのは必然のことだった。

 

赤き槍は真っ直ぐにフランの方へ向かって行く。そして―――

 

 ボガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!!!!!!!!!!

 

 槍はフランに直撃し、爆発を起こす。爆発は天井全てを覆い、大広間は紅蓮の炎で包まれた。

 

 

「ハァ、ハァ...。や、やったかしら...?」

 

 レミリアはそう呟く。あれ程の破壊力を持った弾幕を放ったのだ、どれほど今のフランが強力な存在になっていてもこれを喰らえば一溜りもないだろう。暫くすると少しずつ炎は消えていき、紅蓮に染まっていた視界がくっきりと開けてゆく。するとそこには...

 

「ふわぁ~危ない危ない...。」

 

「「!?」」

 

 赤いドレスに大量の煤が付いたフランが空中で立っていた。

 

「当たる直前で”私の能力”を使ってなかったらマジで今のはヤバかった~。美鈴には骨何本か折られるし、パチェにはビショビショにされるしホント最悪。」

 

「う、そでしょ...。あの弾幕を無傷で...。」

 

 思わずレミリアは目の前の状況に驚愕し、そう呟く。

 

「だから、まずは美鈴。あなたからよ。」

 

「!?」サッ

 

 フランは美鈴を名指しする。美鈴を見下ろすその顔は憎悪に塗れ、先程放っていた狂気とはまた異なった大きな狂気を美鈴に向けていた。それに美鈴は感づき本能的に構えをとるが、

 

「おっそい。」

 

「え?」

 

 ドガッ!!!

 

 美鈴は腹部にフランからの強烈な蹴りを喰らう。

 

「カッハッ!!!」

 

 ガッガガガガガガガガガガガガガズザァーーーーーーーーーーーーー...

 

 そのまま美鈴はパチュリーがいる壁際の方まで吹き飛んだ。

 

「...め、美鈴!!!」

 

 とてつもない速度で行われたことにレミリアは反応できなかった。

 

 ”え?今、何が起こったの!?完全に捉えられなかったあの子のスピードを…!”

 

「フゥーー...パチェは気絶してるし...だから次はアンタだァ。おねぇさぁ~。」

 

「まっ!!」

 

 そう言ってフランは後方にいたレミリアに赤黒い狂気を放ち、疾風の如く向かってくる。

 

「ッ!?」

 

 気が付けばもう目の前には大鎌を振りかぶっているフランの姿があった。すかさずレミリアは右手に魔力を籠める。

 

「必殺『ハートブレイク』!」

 

 その右手には赤槍が握られていた。この技は先程の神槍「スピア・ザ・グングニル」のような威力よりも回転率を優先した言わば下位互換のスペル。本来なら何発も投擲し続ける技なのだが、この近距離と感知できないほどのスピードの前にはこの技を繰り出すのがレミリアにはやっとだったのだ。

 

 ガギィィィィンン!!!

 

 大鎌と赤槍はぶつかり合う。咄嗟にレミリアは赤槍を両手で持ち盾のようにして大鎌の攻撃を防いだが、その大鎌の切れ味とフランの怪力に完全に押し負けている。赤槍が壊れてしまうのは時間の問題だった。

 

「グゥゥゥッ!!!」

 

「何それ?さっきから”目”だらけの弾幕ばかり使って、戦う気あんの?」

 

 バキンッ!!

 

 そして案の定、赤槍は両断されてしまう。

 

 ザシュッ!!!ボトン...。

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!」ブシュシュユュシュブブッ...

 

 そのまま大鎌はレミリアの右腕を捉え、赤槍のように両断した。傷口からは鮮血が止めどなく溢れ出る。突然の痛みにレミリアは傷口を押さえ絶叫した。

 

「チッ...こんなもんで叫ぶんじゃねぇよ屑が。」

 

 フランは舌打ちし、そう言うと右の掌をレミリアの左腕に向け、広げる。

 

 そして一気に握る。

 

 バッチュンッ!!!

 

「アガガガガガガガアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!」ビチャシャサシャチャチャビビ...

 

 盛大にレミリアの左腕は吹き飛んでゆく。右の傷口のように大量の鮮血が溢れる。

 

「私が経験した”孤独”はアンタが感じてる痛みよりも苦しかった!!!」

 

 そして今度は右足に照準を合わせる。

 

 

 

 握る。

 

 バルンッ!!!!

 

「アビャァァァァァァァァアアアアアアアアアアアッ!!!!!!」ブシュシュッスシュスッ...

 

 右足も何処かへと飛んでいく。支える足が片方無くなったせいでうずくまっていたレミリアは床に突っ伏す。

 

「『ウランデタ』ッ!『ニクンデタ』ッ!『ケンオシテタ』ッ!」

 

 そして最後に残った一肢も...

 

 

 

 

 握る。

 

 

 バギャッ!!!!!

 

「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」ビシャビビビビシィシャシャ...

 

 レミリアはもう声を出すことが出来なかった。

 

「それに...」

 

 そのままフランは四肢の無くなったレミリアの首元を掴み、高く持ち上げる。レミリアは持ち上げられたせいでフランと目線が合う。

 

「『その目』で見てくる。」

 

「.........。」

 

 ”その目...か。”

 

 レミリアは苦しみの声を上げなかった。それは声を出せないということではなく今、聞いたことでフランをこのようにしてしまった所為は自分にある事を理解したからだ。

 

「や、やく...」

 

「ん?」

 

 レミリアは自身の死期を悟り、力を振り絞った擦れた声でフランに告げる。

 

「や、約束して...。ほ、他の皆は...殺さ、ない、で...。」

 

「誰が聞くかよマヌケ。紅魔館いる全員同罪に決まってんだろ。いいから...」

 

「シネ。」

 

 

 ゴギンッ...

 

 

 レミリアの意識はシャットダウンする。そう、目の前にあるディスプレイが漆黒に染まるように...。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、本格的に月山さんとフランちゃんの戦いが始まります。まだ、フランちゃんは月山さんに肉弾戦でしか挑んでいませんから本気じゃありません。弾幕戦から本気です。
果たして月山さんは本気モードになったフランちゃんを打ち破ることが出来るのか?そして作者の力でその戦いを伝えることが出来るのか?ご期待くださいw(あんまされても困るけど)

あと前書きで言った別作品との同時進行なのでいつもより少し投稿が遅れてしまうと思います。でもこっちの方を優先するつもりでいるので多分大丈夫かなぁ?

分からん所や変な文章があったら感想に書いてくださいね。答えるし編集しますよ。
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