仮面ライダー龍騎 ~EPISODE Kanon Trilogy~   作:龍騎鯖威武

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「異世界」

 

 

光の中で龍騎Sは城戸真司の姿に戻り、ある女性と対面していた。

「真司君…」

神崎優衣である。

かつて、ライダー同士の戦いを止めるために、戦えないが、自分なりに奔走していた女性。

だが、皮肉な事に彼女自身がライダー同士の戦いの引き金なのだ。

そして城戸真司さえも引き金だった…。

「優衣ちゃん…。じゃあ俺、今度こそ死んだのか…?」

「それは少し違うよ。真司君は世界から切り離されたの。崩壊しかけた世界で、オーディンとファイナルベントでぶつかった衝撃で、世界を飛び越えた」

神崎優衣が目をやった先を見ると、崩壊が始まった地球が見える。

おそらく、先程まで龍騎Sとオーディンが戦っていた場所だ。

「わたしはあの世界…『龍騎の世界』の要だから、魂は死ねないの。そして真司君はその中核に当たる存在…『仮面ライダー龍騎の主人公』。わたしと真司君は…「世界の真実」を知ったの」

「どういう意味…」

言いかけたとき、頭の中に膨大な情報が入ってきた。

その中には、様々な情景があった。

 

 

 

7人の仮面ライダーに取り囲まれる、ナイトS。

「蓮…お前にも、答えが分からなかったんだろう?」

「お前は答えを見つけるために戦っていたんだ…」

「俺も戦う。…お前の探していた答えを、見つけるために…!」

 

血まみれになりながら力なく座り、秋山蓮に手を握られている城戸真司。

「やっぱり…ミラーワールドなんて閉じたい…戦いを止めたい…。きっと…すげー辛い想いしたり、させたりすると思うけど…それでも止めたい」

「それが正しいかどうかじゃなくて…俺もライダーの一人として…叶えたい願いが…それなんだ」

 

ナイトSの亡骸の前で、空を見上げて叫ぶ龍騎S

「オーディン、見ているんだろう!早く戦え!俺の望みは…」

「俺の望みは…こいつを生き返らせることだ!」

 

他にも全く見覚えの無い人々や戦士が見えた。

「一条さん…俺、良かったと思ってます。だって…一条さんに逢えたから」

「じゃあ、見ていてください。俺の…変身」

 

「運命がお前の手の中にあるというなら、俺が…俺が奪い返す!」

「変身!」

 

 

 

気が付くと、この情景全てが、異世界であった出来事だという事が理解できた。

「これが「世界の総て」。そして、それを知った真司君は「オリジナルの仮面ライダー」になった」

神崎優衣の宣言にも見える言葉と共に、銀色のオーロラが現れ、そこから2人の青年がやってきた。

先程の情景に映っていた青年だ。

「君も…世界を守る運命を背負ってしまったんだね…」

優しい笑顔だったが、どこか悲しそうに言っていた。

一方のもう一人の青年は人懐っこい笑みを浮かべ、手を差し出した。

「俺はオリジナルライダーの津上翔一です。こっちは五代雄介さん。一番最初のオリジナルライダーです」

彼等の基へ歩いていく途中、ふと神崎優衣の居た場所を振り返ると…。

 

彼女は居なくなっていた。

 

声が聞こえる。

「真司君、これでお別れ。ごめんね…これから貴方は、ずっと戦わなければいけない…」

どんどん遠くなっていった…。

だが、過酷な未来が待っていたとしても、

 

「俺は…終わりの無い戦いを…決して恐れはしないよ」

 

城戸真司は「オリジナルの仮面ライダー」として、全ての世界を守りながら旅を続ける運命を背負った。

死以外に、この運命から逃れる事はできない…。

 

 

 

5年の月日が経った。

それからも様々な青年達が、オリジナルライダーになった。

 

人間が蘇生した怪人、「オルフェノク」が支配した世界からやってきた、乾巧。

友であり、「アンデッド」である青年の幸せを守るために自分を犠牲にした、剣崎一真。

2人の少年を、師として立派に育て上げ、役目を終えた、ヒビキこと日高仁志。

荒廃した世界を変え、家族の道を示した、天道総司

時間と記憶と想いを守り抜き、その絆を未来にさえ繋げた、野上良太郎とイマジン達。

五代雄介によると、人の中に流れる音楽を守っている青年が、まもなく仲間の一人になるらしい。

 

城戸真司は、あれからずっとオーディンの行方を捜していた。

2つの世界が融合を始めたという、不可思議な世界に干渉を続けている。

故に崩壊の危機を迎えている「雪の街」。

2つの世界の内『Kanonの世界』の舞台となる場所。

その世界を4年も探している。

 

辺りを探し回っていると、一人の少女がベンチに座っていた。

…あの日、病院に送った少女だ。

一目で分かった。彼女は、今ここに存在しているわけではない。

理由は分からないが、肉体と意識が分離し、意識が実体化している。

声を掛けた。

「…君は?」

「待ってるの。ボクの大切な友達を、ずっとずっと…」

城戸真司のほうを見て、儚げに笑う少女。

「そうか…。そういえば名前は…?」

「月宮あゆ。あなたは?」

名前を聞かれ、少し考えて、こう名乗った。

「旅人だよ」

「そうなんだ…」

あまり干渉が過ぎてはいけない。

それに、彼女の名前…。

月宮あゆは『Kanonの世界』の要だったはず。

オリジナルの仮面ライダーは、世界の崩壊を止めるためや、その世界の歴史や物語を改変するため以外は、その世界の人物への過ぎた干渉は許されない。

「じゃあな。君の待っている人、いつか会えるだろう、必ず」

それだけ言うと、すぐに離れていった。

 

キィィン…キィィン…

 

…モンスターが近付いている。

「…きたか!」

そう思った瞬間、オーロラが現れ、城戸真司をさらっていく。

 

「久しぶりだな。城戸真司、仮面ライダー龍騎」

呼び出し主はなんとなく予想していたが、やはりオーディンだった。

「オーディン…この世界で何をしているんだ…?」

「あのときと変わらん。あの『龍騎の異世界』と『Kanonの世界』が融合した世界を抑制し、管理する。見ろ」

そういうと同時に、オーディンは12枚のカードデッキが置いてある机を指差す。

「残念ながらリュウガは造れなかったが、それ以外は複製に成功した。さらにサバイブもな…」

その手には、疾風と烈火のサバイブがある。

「今回呼び出したのは、複製したが行方不明になった「最後のサバイブ」。在り処を教えてもらおうと思ってな」

「最後の…サバイブ…?」

「無限」ではないらしい。

まさか…。

「知らないのか?オリジナルライダーのオマエにならば、理解できると思っていたのだが…」

違う、ついさっき在り処を見つけた。おそらく、月宮あゆ。

彼女の存在も、それなら説明がつく。

しかし、知られるわけにはいかない。

「知らない。それよりも、そのデッキを悪用させない。仮面ライダーを破壊のために使わせる訳にはいかない。渡してもらう!」

「私もオマエから欲しいものがある。2枚のサバイブを渡してもらおう」

そう言うと、オーディンはゴルトセイバーを構え、城戸真司を睨む。

上手く話をはぐらかし、赤い龍騎のデッキを構える。

「変身!」

<<SURVIVE>>

その姿は龍騎Sとなる。

だが、彼は戦うつもりはない。真正面から一人で立ち向かっても、まともに立ち合える相手ではないことは、よく理解している。

デッキから1枚のカードを引く。

<<ACCEL VENT>>

本来、龍騎Sはこのカードは所有していないのだが、オリジナルの仮面ライダーになった事により、コンファインベント、フリーズベント、コピーベント等の特殊系アドベントカードは、タイムベントを除いて、全て所持している。

オルタナティブのカードさえ、思いのままに使えるのだ。

高速移動をして、オーディンとは別の場所に向かう。

「やはり、そちらにいくか…」

オーディンの推測どおり、その先は「デッキを置いていた机」だった。

デッキを奪い、この場から退散するつもりのようだ。

「ハアッ!」

しかし、そうはいかない。オーディンは、龍騎Sの動きを見切り、衝撃波を放つ。

ドガアアアアアアアアアアアアアアアァ!

「くっ…!」

アクセルベントの高速移動のため、直撃は免れたが、右腕にダメージを負う。

このままでは、負ける。

「すまない蓮…!またいつか、絶対に助ける!」

すぐにオーロラを呼び出し、オーディンの魔の手から逃れた。

「逃げたようだな…」

そう言って、机を見ると…。

デッキが数枚ない。

しかもサバイブの力を最も引き出しやすい、龍騎とナイト、そしてファム、ライア、ゾルダのデッキが消えている。

高速移動中、上手く手にしていたらしい。

「おのれ…まんまと、してやられたか…!?」

 

 

元の世界に戻るが、右腕の怪我は深刻だ。

「…手当てをするべきだな」

平然とした口調だが、耐えがたいほどの痛みが脳を支配している。

彼はこの世界の住民ではないから、病院などは使えない。

右腕を押さえ、何とかする術を探す。

スカイブルーのジャケットに、少しずつ血が滲んでいく。

「あの」

ふと声をかけられ、ふりかえると、三つ編みにした鮮やかな薄紫色の髪の毛の女性がいる。年は同い年くらいだろうか…。

「誰です…?」

「水瀬秋子。この近くの情報配信社「WATASHIジャーナル」の編集長です」

誰だか分かった。彼女は『Kanonの世界』の住民の1人。

あまり関わるわけにはいかない。

「それより、その右腕、大丈夫ですか…?」

「平気です。心配ありません」

すぐさま、立ち去ろうとしたが…。

「放っておくのは良くありませんよ。すぐに手当てしてください!さぁ、はやく病院へ」

「…俺は病院が使えないんです」

彼女が病院へ連れて行こうとしていた。

彼は保険証や身分証名称などの類がない。免許証はこの世界に対応していない。

身元の証明を請求され、自分が異世界の人間、しかも「オリジナルの仮面ライダー」だという事がバレたら、まずいことになる。

「なら、私が手当てします。一緒に来てください」

「いえ、俺は…!」

されるがままに左手を引かれ、彼女の家に向かってしまった。

 

水瀬家。

「はい、おしまいです」

「ありがとうございます。助かりました…」

彼女の手当ての技術は素晴らしい。そこらの医師にも負けていないと思えた。

「どういたしまして。城戸さんでしたよね。どうして怪我を?」

「転んだだけですよ」

口が裂けても、仮面ライダーとして戦っていたなどとは言えない。

あれから、観念して名前だけは明かした。

だが、これ以上は…。

 

キィィン…キィィン…

 

好都合だ。おそらく、オーディンの差し向けた追っ手だろう。

「嗅ぎ付けられたか…」「え…?」

「秋子さん、ありがとうございました」

それだけ言って、水瀬家を出て行く。

 

「クエエエエエエェ!」

家から出て少し走った先には、ガルドストームがいた。

「悪いが、デッキは渡せない!」

赤い龍騎のデッキを取り出そうとしたが…。

「城戸さん!」「秋子さん!?」

秋子が彼を追いかけてきた。これでは龍騎Sになることは出来ない。

だが…。

 

オリジナルのライダーだということがバレなければ、問題は無いはず。

 

つまり、この世界のライダーに変身する事は可能。

先ほどオーディンから奪った、5枚のデッキを広げ、その中から今まで使っていたモノと酷似している「黒い龍騎のデッキ」を手に取り、翳す。

「え…」

腰に銀色のベルトが装着された城戸真司。秋子は驚いた様子で見つめる。

「変身!」

Ⅴバックルにデッキを装填し、異形へと姿を変える。

「あなたは…一体!?」

 

「俺は…仮面ライダー龍騎」

 

「しゃあっ!」

気合を入れて、ガルドストームに向かって駆けていく。

「なんだ…あれ!?」

それを見ていた少年は、目を見開いていた。

 

通常形態の龍騎で戦うのは5年ぶりだ。「あのとき」以来、ずっと龍騎Sとして戦っていたのだから。

戦闘スタイルをある程度、変化させなければならない。

「クワアアアアアアアアアァ!」

ガルドストームの火焔弾を上手く避け、アドベントカードをベントインする。

<SWORD VENT>

手にはドラグセイバーが握られた。これを握るのも久しぶりだ。

「はあああああぁっ!」

ザァン!

一気に駆け寄り、ガルドストームの懐に入り込み、思い切り、切り裂く。

「グエエアアアアアァ!」

強力な一撃だったらしく、後退して蹲った。

だが、すぐに立ち上がり、近くで戦いを見ていた少年に狙いを定める。

「クアアアアアアァ!」「うわあぁ!?」

ガルドストームの火焔弾が、少年に向かっていく。

「危ない!」

<ADVENT>

「ガアアアアアアアアアアアアアアア!」

ゴアアアアアアァ!

咆哮と共に現れたドラグレッダー。ガルドストームの火焔弾をその長い身体で防ぎきった。

すぐに少年へと駆け寄る龍騎。

「大丈夫か!?」「は、はい…!」

その少年にも見覚えがある。

あの月宮あゆと一緒に病院に運んだ少年だ。

…とすると、彼が「Kanonの主人公」である「相沢祐一」なのだろうか?

「早く逃げろ!」

とにかく、彼の安全を確保する事が最優先だ。すぐに逃げるよう促す。

少年が視界から消えたことを確認して、アドベントカードをベントインする。

<FINAL VENT>

「ふんっ!はああああああああああああああああああぁっ…!」

懐かしい構えを取り、地面を蹴って高く飛ぶ。

「だああああああああああああああああああああああぁっ!」

ドラゴンライダーキック。

その力で、ガルドストームは成す術もなく吹き飛んだ。

炎が消え去ると変身を解除し城戸真司に戻る。

「城戸さん…」

まだ見届けていたらしい。

「見られましたね」

ある程度の事情は話さねばならないかもしれない。

「仮面ライダー…龍騎…。少しだけ真実に近づけた気がします」

秋子は優しく微笑む。

「きっと…貴方はその真実を話せないのでしょう?だから、わたしは自分の力で真実を探ります。もちろん、貴方を救う術も含めて」

軽く会釈をして歩き去っていく秋子。

「またいつか…会えたときは、きっと貴方が幸せで包まれますように」

そう言い残して…。

だが…。

「俺は…戦い続けなければいけません。命ある限り戦う…。それが「仮面ライダー」だから」

 

「あの…!」

 

次は、先ほどの少年が話しかけてきた。

「お前は…」「さっきのは…あの怪物を倒せる手段なんですか!?」

懇願するように聞く。

「あぁ、そうだ」「お願いします!その力を身につけさせてください!」

突然、少年は頭を下げる。

「父さんや母さんを殺した怪物に負けない力を…!」

「お前には出来ないよ…相沢祐一」

 

「え…祐一って…?僕は龍崎竜也ですよ?」

 

「…!?」

想定外のことが起きた。彼は相沢祐一ではない。では彼は、どちらの世界の住人…?

調べる必要がある。

「…わかった。来い」

 

これが、また一つのきっかけになった。

 

 

 

 

 

 




キャスト

城戸真司=仮面ライダー龍騎/仮面ライダー龍騎サバイブ

龍崎竜也
月宮あゆ

水瀬秋子

五代雄介¬=仮面ライダークウガアルティメットフォーム
津上翔一=仮面ライダーアギトシャイニングフォーム

神崎優衣

仮面ライダーオーディン


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