仮面ライダー龍騎 ~EPISODE Kanon Trilogy~   作:龍騎鯖威武

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「果てなき希望」

 

 

竜也と行動を共にして1年になろうとしている。

その世界の異常現象の調査や解決を目的として行動する、政府組織「NoMen」とかかわりを持ち、世界崩壊の原因を探ったり、モンスターの討伐を主に活動している。

時折、あの『龍騎の異世界』と『Kanonの世界』が融合した世界から離れ、オリジナルライダー達に状況を報告していた。

今回の相手は、剣崎一真と紅渡だ。

「世界の融合のきっかけはハッキリしていないが、おそらくオーディンだ」

「そうですか…。しかし気になるのは、彼が世界を飛び越えられる力を、どうやって手にしたか…ですね」

「大方、鳴滝辺りだろう。彼は世界を巡る力を持つディケイドを、異常なほど憎んでいるからな。上手く転がせば、彼がディケイドを破壊するかもしれん。もしそうならなかったら…俺が消す」

城戸真司は快活な雰囲気から、随分と陰のある雰囲気に変貌した。

理由は一つ。

 

秋山蓮を救うことを諦めたからだ。

 

どんなに足掻いても、秋山蓮を救ったとして、そこにあるのは消滅。

人間らしい死を与える事は不可能なのだ。

だから、最後にせめて…自分の手でトドメを刺すつもりだ。

 

刺し違えてでも。

 

 

 

そして、2009年8月。

世界を守る使命を背負った城戸真司達に、最も大きな事件が起きた。

ディケイドの影響による全世界崩壊。

これに伴い、極力の干渉を避けていた紅渡と剣崎一真が動き出した。

「今から僕の仲間が、貴方の旅を終わらせます」

「ディケイド…お前を倒す」

「「変身」」

<TURN UP>

ほぼ、全員のオリジナルライダーが動き出した。

オリジナルライダーの大半が、同時に1つの世界へ干渉する事は、非常に稀な事である。

今回のような事態か、彼等自身の世界に近い世界での問題の解決を要する場合のみ、あり得ることなのだ。

 

ただ五代雄介だけは、最後まで今回の戦いに参加しなかった。

 

城戸真司も本当は気が進まなかった。

ディケイドとは言え、1人のライダーに対して、オリジナルライダーが8人という信じられないほどの絶望的な状況を作り出してまで、世界の崩壊を止めようとした。

心の中で、仮面ライダー龍騎という仮面を被った城戸真司は呟き続けた。

 

「すまないディケイド…。でも世界の崩壊を止めるには、もうこれしか…」

 

「結局こうなる運命か…変身!」

<KAMEN RIDE DECADE>

「来るなら来い!…全てを破壊してやる!」

 

結果的にディケイドは暴走し、無意識から自分の意思で世界を崩壊させようと動き出した。

 

「巧、天道。見ろ、結局ディケイドは世界を破壊させるように動き出した。しかも自分の意思で」

城戸真司は、ディケイド抹殺に賛成した2人に詰め寄る。

「うるせぇな…。心配するなよ、手は打ってある」

「城戸、俺達はディケイドの破壊を目的としていない。…破壊の後にある創造を目的としている。俺達のコピーも放った。現在、スカイライダー、スーパー1、J、龍騎、ブレイド、カブトが残っているが、これらをディケイドに倒させた上で、誰かに彼を消せば、世界の消滅は免れる。最有力候補は…光夏海だ」

2人の言葉に嘘はないことを、城戸真司はよく知っている。事実、ディケイドの破壊の先にある目的も…。

「俺が伝えろというわけか…」

 

荒地で3枚のカードを握る仮面ライダーディケイド。

カードの中には「アギト」「響鬼」「電王」が描かれている。先ほど戦っていたライダーをカードに封じ込めたものだ。

それを見つめる彼の前に、城戸真司は現れた。

「アンタは…剣崎一真の仲間…龍騎だな」

敵意を剥き出しにして睨むディケイド。しかし、彼は仮面ライダーとして戦わなければ、基本的に攻撃してくる事はない。

だから戦うつもりは無い。ただ真実を伝え、彼の動向を聞くだけだ

それが分かったのか、ディケイドも変身を解き、門矢士の姿に戻る。

「ディケイド…いや、門矢士。お前は捻くれただけか?」

「なんだと…?」

今の自分の言葉が、間違いなく士の神経を逆撫でしたことは理解できる。現に士は解除したばかりの変身を再び行なおうと、カードとディケイドライバーを取り出している。

「分かっている。仲間だと信じていた異世界のクウガ「小野寺ユウスケ」の暴走と「究極の闇」への半覚醒や、ディエンドである「海東大樹」が裏切ったことが、お前の心をズタズタにしたんだろう」

その言葉は意を捉えたか、士は俯く。

「…俺はどんなに足掻こうとも全ての世界から拒絶される。だから、ぶち当たる壁は正面からブッ飛ばす!」

「その通りだ門矢士。お前は世界の壁を破壊できる。あれは全て、俺達が図ったことだ」

このままでは、彼は破壊の限りを尽くしてしまう。真実を伝えなければ。

「全ての世界は、最初からお前を拒絶していない。ディケイドは異世界に介入し、その世界の中核を倒すことで、「壁」を破壊して繋ぐ。そしてディケイドが消滅する事で新しく再構築する力がある。それで消滅の危機を迎えた世界を救うことが出来るんだ」

その言葉で、士はカードを少し下げた。敵意をなくしたことを理解した城戸真司は、淡々と続ける。

「それを利用して、俺達「オリジナルの仮面ライダー」が、世界を再構築するために、繋がり始めた世界「ライダー大戦の世界」でお前を抹殺しようとした。ディエンドはそれを知り、俺達からお前を逃がそうとしただけだ。結果的に誤解が生じたお前は「世界の『壁』の破壊者」として覚醒した」

ある程度、要点をまとめて説明をした。次は、自分の考えを述べる。

「だが、分かってくれ。俺はお前を消す事に最後まで反対した。剣崎や渡も、それが本音ではない。この世界を救うために…どうしても必要だった」

これで彼の考えは変わるだろうか…。下手をすれば、言い訳に聞こえてしまっても不思議ではない。

「これからオマエはどうする…?」

そして、聞く。だが士は…。

「俺は全ての破壊者だ。俺に触れるものは全て破壊する…全てな」

そう言い捨てて、歩き去ってしまった。

 

「…破壊するのは触れているもの…。つまり仲間との壁、世界との壁…そして物語を閉ざす壁か」

 

その後、世界の破壊現象は治まった。

どうやらディケイドは、彼自身の物語を手にしたらしい。

だが…。

まだ世界の融合が進んでいる場所がある。

竜也のいる世界だ。

 

ディケイドの件が治まって、やっと戻ってきた。

家にしている場所には、竜也がいる。

「真司さん、おかえりなさい。あの…どうでした?」

「心配するな。全て上手くいった」

彼には、仮面ライダーとして最大の大役があるとだけ言って、留守にした。

安堵の表情を見せる竜也は謎の存在だ。

仮面ライダーになりたいと願うのは、竜也の感情論なのだろうが…。

『Kanonの世界』の住民に深く関わりつつも、『龍騎の異世界』に近い存在なのに、『龍騎の異世界』の住民ではない。

だが、世界の融合に深く関わっている事は間違いない。

 

まさか…。

 

考えたくはないが、オーディンではなく竜也が、世界の融合の元凶…。

 

まだ未熟な考えを持っているが、こんなにも優しく勇敢な少年が…?

 

すでに世界の40%が融合している。

このままでは1年ほどで世界は完全に融合し、消滅するだろう。

最悪の場合…。

 

竜也を消さねばならない可能性もある。

 

「俺にできるか…?」

彼のような優しい少年を、手にかけられるか分からない。

「真司さん…?」

はっとすると、目の前に竜也が不思議そうな顔で立っていた。

「悪い、考え事をしていた。今日は餃子にするか?」

「本当ですか!?やった!」

まるで無垢だ。こんな少年を手にかけるなど出来ない。急いで、世界を救う術を見つけなければ…。

 

数日後。

あのベンチの前に来た。

「久しぶりだな」

「あ…旅人さん」

月宮あゆは、未だにそこで竜也を待ち続けている。

「君は…ずっと待っているのか?」

「うん。約束したから」

この世界の人間は優しすぎる。時として残酷に思えるほど…。

「君が待っている男の子は…もう来ないかもしれない」

「え…?」

「その男の子は、君の事を忘れている。今は大きな困難に立ち向かっている」

これ以上、彼女が待ち続けていても、悲しいだけだ。

遠回しにだが、真実を伝える。

「じゃあ、それが終わるまで待つよ」

「…!?」

「約束だからね」

約束を守るためだけに、肉体のない状態で7年近くも待っているのに、それが破られそうになっても待つのか…。

「君は…強いな。分かったよ。教えよう、俺の名は「城戸真司」。月宮あゆ、君も信じて待ってくれ。俺も、君とその男の子を信じる」

「うん。じゃあ、指きり!」

あゆは小指を差し出す。城戸真司は戸惑いながらもその指に自分の小指を絡める。

 

「指きった!」

 

「じゃあ、いつかまた会おう」

そう言って、城戸真司は少女の頭に手を翳した。

「うぐ…?」

すると彼女は突然、眠った。

「すまない…」

城戸真司は、彼女から記憶を抜き取った。

今まで、自分と接してきた事。

そして…彼女が肉体のない存在だという事を。

 

数日が経った。

竜也の件以外で、恐れていた事態が起こった。

「渡してもらいましょうか、5枚のカードデッキを」

シザース、アビス、ベルデが現れた。おそらく、オーディンの手先だろう。

遂に本格的なデッキの奪還に動き出したようだ。

「竜也、下がってろ」

「でも…ライダー3人相手なんて…!僕がナイトやライアになれば少しは…!」

確かに通常形態の龍騎では、いくら戦闘慣れしているとはいえ、圧倒的に不利だ。

だが竜也を戦わせたくはない。彼は約束を守らなければいけない。

「変身!」

Vバックルにデッキを装填し、龍騎へと変身する。

「フン、身の程知らずが…!すぐに捻り潰してやる!」

ベルデが彼を嘲笑い、突進する。

「ふっ…!」

やはり変身して間もないらしく、単調な攻撃だった。すぐに避ける。

だが彼等はオーディンの手先であるが故に、カードの扱いは熟知しているだろう。

油断は出来ない。

<STRIKE VENT><STRIKE VENT>

ザザザザザザ!

「セェアアァ!」「ヌアアァ!」

シザースがシザースピンチを構え、アビスマッシュの水流に乗って龍騎に向かう。

速すぎて避けられそうもない。

<GUARD VENT>

ドガアアアアアアアアァ!

「ぐぅあぁ…!」「真司さん!」

ドラグシールドを呼び出し、防御に徹するが、やはり威力が強すぎた。ダメージ自体はないが…。

<CLEAR VENT>

ベルデは姿を消し、奇襲を仕掛ける作戦を取る。

「くそ…!」

<SWORD VENT>

ドラグセイバーを呼び出し、気配を必死に探る。

ズガアァ!

「セアァ!」「ぐっ…!?」

背後から、衝撃を受ける。痛みには慣れていたつもりだが、どうやら、そうもいかないようだ。

<SWORD VENT>

よろけた瞬間、アビスセイバーとシザースピンチを持ったアビスとシザースが攻撃を仕掛ける。

ガギィイ!ズガァ!

「がはっ…!」「真司さん、大丈夫ですか!?」

地面を転がった後に、竜也に抱き起こされた。

「くっ…まずい…!」

オリジナルライダーと言えど、3対1の劣勢に加え、明確な存在ではない竜也の前では本来の龍騎Sになれない。「Kanon」の存在だった場合は、世界の崩壊を助長させてしまう。

このままでは、竜也も殺されるかもしれない。

「私達の勝ちですね。おとなしく、5枚のカードデッキを渡してください」

「オマエは生存競争に負けた。強者に従え!」

「それとも、この場で処刑して差し上げましょうか?」

近付いてくる3人の仮面ライダー。勝てる方法は見つからない。

だが、手立てがないわけではない。

<ADVENT>

「ガアアアアアアアァ!」

現れたドラグレッダーはドラグブレスを吐き出して、ベルデ達を覆いつくす。

時間稼ぎだ。

「竜也、ドラグレッダーが戦っている間に、これをもって逃げろ!」

そう言って、ナイト、ファム、ライア、ゾルダのデッキを渡した。

今は彼に託したほうが良い筈。オリジナルライダーとして戦うには、龍騎Sを見てはいけない竜也がここを離れるしか方法はない。

「じゃあ、真司さんはどうするんですか!?」

当然、竜也は拒絶した。傍から見れば、自己犠牲にしているようなものだ。

だが、彼なら自分の考えを理解してくれるはずだ。

「あいつらは、俺がデッキを持っていると思い込んでいる。ここで奪われるよりマシだ!」

「でも、そんなことをしたら真司さんが!」

「ここで、正しい心を持った仮面ライダーを潰えさせては駄目だ。お前なら正しい心を持って戦えると信じている。仮面ライダー龍騎になって戦え!そして、お前が本当に信頼できる仲間に他のデッキを託して、共に人々を救え!」

彼なら龍騎を継げる。この世界の「仮面ライダー」になってくれるはず。

こんなに純粋で優しいならば、絶対にできる。

そして、あの約束も…。

「真司さん…」

「早く行け!」

変身を解いて、無理やり龍騎を含めた5枚のデッキを押し付けた。

「また、会えますか…?」

「お前が人々を守り続けていれば、いつかまた会える」

嘘だった。おそらく、彼とはこれで最後になるだろう…。

だが、嘘でも約束した。そうすれば、竜也は強くいられるかもしれないと思った。

「…ぜったいに死なないでください。真司さん!」

「…お前もな!」

 

「「しゃあっ!」」

 

竜也の姿が見えなくなった位に、都合よくドラグブレスは消えた。

「ドラグレッダー。竜也を頼む」

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアァ!」

このドラグレッダーに命じるのは最後になるだろう。竜也に向かって空を飛んでいく。

「完全に出し抜きましたね…」「貴様…!」「あの少年だけでも、逃がしたわけですか…」

目の前に、再び3人のライダーが立ちはだかる。

竜也がいない今、『龍騎の異世界』の住人である彼等には、龍騎Sを晒す事は問題ない。

「止むを得ない。これを使う」

そう言って取り出したのは…。

 

赤い龍騎のカードデッキ。

 

「変身!」

<<SURVIVE>>

城戸真司は赤い虚像に包み込まれ、龍騎Sへと変わった。敵を見据える。

しかし、シザース達には睨みつけたように見え、一気に焦りの表情に変わる。

「まさか…サバイブですか!?」「やはり使ってきましたか…!」「チィッ…!」

ゆっくりと歩く。出来れば、この威圧だけで退散してくれる事が一番、良かったが…。

「おい、怯えるな!コイツのサバイブを奪う事が、最重要任務だろうが!?」

ベルデの喝で、怖気づき始めたアビスとシザースは奮い立ち、再び龍騎Sと対峙する。

「死ねェ!」「ウオオオオオオオオオオォ!」

襲いかかってきた。不本意だが、戦う。

<<SWORD VENT>>

ドラグバイザーツバイからドラグブレードを展開し、握る力を込める。

「はあっ!」

ズガアアアアアアァ!

「ガアアアアアアアアアアアァ!?」「グオアアアアアアアアアアァ!」

やはり、力の差がありすぎた。異世界のライダーが3人がかりとて、オリジナルライダーを超える事など不可能なのだ。

「チッ…ノロマめ!」

<FINAL VENT>

ベルデは足に、呼び出したバイオグリーザの舌を絡め、突進してくる。「デスバニッシュ」を発動するつもりだ。

だが、そんな攻撃は通用しない。

<<GUARD VENT>>

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアァ!」

ドラグランザーを呼び出し、炎の防御壁「ファイヤーウォール」を作る。

真正面に向かってきたベルデは、炎の餌食になった。

「グワアアアアアアアァ!」

竜也を必要以上に苦しませたくはない。

だから…。

「ここで…お前達を倒す!」

この場で、この3人のライダーを消す。ドラグブレードを構えて、ゆっくり近付く…。

「ヒッ…く、来るな!」「待て!私の負けだ!」「もう貴方には干渉しません!」

無視して、どんどん近付く。

「…っ!」

ドラグブレードを振り上げる…。

そのとき…。

 

「お前は…唯一の友と…呼べるかもしれない」

 

秋山蓮の言葉がリフレインした。

そう…彼が友と認めた城戸真司は、どこまでも人の命を奪う事を拒絶し、どこまでも真っ直ぐで、どこまでも優しい城戸真司。

「蓮…」

ドラグブレードを振り下ろす事ができなくなっていた。

「今です!逃げましょう!」

その隙にアビスが波を作り出し、姿を消した。

「くそ…」

やはり甘い。自分は仮面ライダーとして甘すぎる。

そう思い、悔しさから空を見上げると…。

「あれは…?」

 

空に亀裂が走っている。

 

世界の融合が進みすぎたようだ。

これ以上は干渉できない。

「ここまでか。竜也、後は頼んだぞ」

そう言ってオーロラを使い、城戸真司はこの世界を離れた。

 

野上良太郎にこれからの動向を説明している。

「俺はこれから『ドラゴンナイトの異世界』に向かう」

「もしかして『ドラゴンナイトの異世界』って…」

「そう。ドラゴンナイトのほかにも、『バカとテストと召喚獣の世界』や『けいおんの世界』が融合しているのに、全く崩壊の危機を持たない、特殊な世界だ。その世界に『Kanonの世界』と『龍騎の異世界』の崩壊を阻止する、ヒントがあるかもしれない」

答えとはいかずとも、ヒント…もしくはそれに近しい力があるかもしれない。それを探す。

「真司さん…竜也君のことを守りたいんですね」

「あいつもそうだが、あいつの約束もだ。いつかまた会えるときは…彼が幸せで包まれますように…」

以前、秋子から贈られた言葉。それを竜也にも贈った。

 

そして…

「ここに…あるだろうか…?」

『ドラゴンナイトの異世界』に入り込み、術を探す。

竜也が…救われ、約束を果たせるように…。

 

 

 

そして…

 

 

 

「城戸さん」

ふと、津上翔一に呼ばれる。

「名残惜しいですか?」

たった今、『龍騎とKanonの世界』での最終決戦を終え、竜也達と別れを告げた直後だ。

「いや…また会うつもりです」

「あの世界には干渉できないんだぞ?」

城戸真司の言葉を、ヒビキがきっぱりと切り捨てる。

「そうでしょうか?また来る事になるかもしれませんよ」

そう言って、2人を残して歩き去った。

 

とある砂浜に来た。ここは『クウガの世界』と『アギトの世界』の狭間。

そこでは、五代雄介がジャグリングをしている。彼の特技の一つだ。

「五代さん、ありがとうございます。あの世界は救われました」

「君達の力だよ、真司。竜也君やあゆちゃんを最後まで信じ続けて、そして救った。君の信じた人達と君の力が「奇跡」を起こした」

ジャグリングをしながら答える五代雄介。

「俺…オリジナルライダーから抜けたいんです。方法はありますか?」

「無いけど、抜けても良いよ」

耳を疑った。拒否されると思ったが、あっさりと五代雄介は受け入れた。自分たちがこの役割を担わなければ、消滅する世界が増えるはずなのに。

「大丈夫だよ。今回の件で分かった。世界には強く優しい人がいる。俺達が世界に干渉する事が間違いだよ。俺達も自分たちの世界に戻ろうと思うんだ。オリジナルライダーの運命からは逃げられないから、時々は召集が掛かるけどね」

振り向いて、ニッコリ笑う五代雄介。

「翔一も、巧も、一真も、仁さんも、総司も、良太郎も、渡も、居場所がある。もちろん、俺にも。久々に、一条さんや桜子さんに会いたいな」

そう言って、身体を強く伸ばす。

「真司には、あの世界に居場所がある。行きなよ。大切な人たちが待ってる」

「…ありがとうございます」

そう言って2人は別れた。

だが近いうちに再会するだろう。仮面ライダーとして。

でも、それまでは…彼等にも安息が与えられた。

 

 

 

 

 

 

「叶えたい願いは…」

 

 

 

 

 

 

~Fin~

 

 

 





キャスト

城戸真司=仮面ライダー龍騎サバイブ

龍崎竜也
月宮あゆ

門矢士=仮面ライダーディケイド

須藤マサキ=仮面ライダーシザース
高見沢イツキ=仮面ライダーベルデ
鎌田マサト=仮面ライダーアビス

紅渡=仮面ライダーキバ エンペラーフォーム
剣崎一真=仮面ライダーブレイド キングフォーム

津上翔一=仮面ライダーアギト シャイニングフォーム
乾巧=仮面ライダーファイズ ブラスターフォーム
ヒビキ(日高仁志)=仮面ライダーアームド響鬼
天道総司=仮面ライダーカブト ハイパーフォーム
野上良太郎=仮面ライダー電王 ライナーフォーム

五代雄介=仮面ライダークウガ アルティメットフォーム

秋山蓮=仮面ライダーナイトサバイブ

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