仮面ライダー龍騎 ~EPISODE Kanon Trilogy~ 作:龍騎鯖威武
「おまえらに相談したことが間違いだった」
そう言って、百花屋から出て行った祐一。
「あ…祐一、居なくなっちゃった…」
目をこすりながら目覚めた名雪がポツリと呟く。
先ほど、舞とのデートについて知恵を貸してくれと頼んできた祐一。
結局力になってくれない3人をおいて出て行ってしまった。
「まぁ、あいつのことだ。何とかやってるだろ。それよりも香里さぁ~ん、たのみますよ~」
今回の主役である潤は、香里に両手を合わせて拝むように頼み込んでいる。
「だから、出直してきなさいって言ってるでしょ!」
「んなこといっても~」
「あ~もう!やめなさい!」
香里はシッシッといった感じで、手を払いながら潤を追い払う。
と、そこへ…
「あれ、おねえちゃんに水瀬さん、それに北川さんも!」
現れたのは栞。ふと百花屋に立ち寄ったようだ。
「こんにちわ~栞ちゃん」
「よ、栞ちゃん!いや、おれの将来の妹よ!」
「いい加減にしなさい!」
ドゴッ!
「ごほっ!?」
潤の言葉に痺れを切らして、肘打ちを決める香里。相変わらず鋭く、強力な一撃だ。
その攻撃を受けた潤は、テーブルの下へ撃沈。
言っておくが、彼は立派な仮面ライダーライアである。
「あ~ぁ。北川さん、大丈夫ですか?」
よいしょ、よいしょと言いながら、潤を起こす栞。
「やさしいなぁ、栞ちゃん。お姉ちゃんに見習わせてやれよ」
「何言ってるんですか。おねえちゃん、すごく優しいですよ?」
「あっ!?栞、やめて!」
栞の言葉に、香里はあたふたと慌てながら、彼女の口をふさごうとする。
が、物凄く早口で喋りだす栞。
「だっておねえちゃん、北川さんが怪我したとき、心配ばかりしてるんですよ。「北川君に何かあったら、わたしは~!」って」
「いやああああぁ!やめてえええええ!」
耳をふさいで、店内に響き渡るかのような絶叫で叫ぶ香里。
「えへへ~。本当のことですよ、北川さん!」
そう言った後は、あらかじめ頼んだアイスを美味しそうに食べていた。
「香里、おまえ…」
「えぇ、そうよ!あなたが怪我ばかりするから、心配なの!文句ある!?」
開き直ったのか、先程まで隠そうとしていた内容を、大声で叫ぶ。
しかし、潤は…
「そうだったのかよ…」
いつもなら、悪ノリして香里に色々言うのだが、今回は黙って俯いた。
「なによ、そんなにバカバカしい?」
香里の質問に首を左右に振って、こう答えた
「…すまないな。そんなに気に掛けてるなんて思わなかった」
「え…?」
「おれは、おまえを守りたかったのに…。心配なんてさせてるんじゃ、ライダー失格だな」
潤は、本気で落ち込んでしまったようだ。
栞もこんな事態になるとは予測していなかった。
「えぅ~…こんなつもりじゃ無かったのに…」
居辛さを強く感じ、アイス代をその場に置いて、栞はその場から去った。
残った二人に、新しく友達が現れる。
「なんだ、ずいぶん静かなピンクだな」「あ…!」
ミツルと真琴である。
「…よう、斉藤」
明らかに、テンションが低い。
「美坂、何があった?」
ミツルに香里が一通り説明する。
「ほう、ようやく自覚したのか。だが、自覚できたってことは、それを改める気持ちがあるんだろう?」
その言葉にも、まったく反応を示さない。
それを見ていた香里は…
「北川君、行きましょ!」
「お、おい香里!?」
潤を連れて、百花屋を出て行ってしまった。
「よくわからん…」「あぅ…」
首をかしげているミツルに、真琴が袖を引っ張ってあるものを指差す。
それは…
「ちっ…仕方ない、サービスしてやる。おい水瀬、帰ってから寝ろ!そうじゃなければ、ここの支払い、3人分払わせるぞ!?」
「うにゅ~…」
「おい、何処まで連れて行くつもりだよ!?」
「今からデートよ!」
「は?」
香里の言葉で目が点になる潤。
「デートしたかったんでしょ?」
「お、おぉ…」
「あなたを元気付けるためと、いつも頑張ってるご褒美よ。感謝しなさい」
それだけ言うと、顔を背けてしまう。それは、恥ずかしさゆえに顔が赤くなっていることを気付かれないためだ。
「…よっしゃああああ!まじかよ香里!なら、とっとと行こうぜ!」
「きゃっ!」
今までの暗さは何処へやら、急に元気ハツラツになって、香里の手を引いていく潤。
祐一と別れたばかりの竜也とあゆに、新たな来客。
「竜也さ~ん!」
「へ…?」
ドンッ!
「おわぁっ!?」
背後から栞に抱きつかれ、バランスを崩して倒れてしまった。
「し、栞ちゃん!?」
隣でその様子を見ていたあゆは、黙っていない。
すぐに引き剥がそうとする。
「竜也くんから離れてよ~!」
「はっ…すみません」
すぐに離れる栞。
「どうしたの?」
「それが…」
栞は、竜也とあゆに一部始終を説明する。
「…と、言うわけなんです」
竜也が難しそうに首をかしげている
「う~ん…」
「安心しろ。お前の判断は間違っていない」
不意に声を掛けられる。
その方向を見ると、少し離れた場所に、オレンジの上着を着た若い占い師が居た。
占い師だと分かったのは、それを思わせるような机に商売道具等を並べて座っているからだ。
机の上にある紙の上で、糸に通したコインを揺らす。
「お前、姉の恋を実らせたいんだろ?」
「え、えぇ…」
「そのために取った行動が、悪影響を及ぼしてるんじゃないのかと考えているんだな?」
見事に当てる占い師。
先程の話を聞いていたのかとも考えたが、よく考えたら、それは距離的にありえない。
3人の話し声が聞こえるには、どんなに耳が良くても、今の距離の半分くらいは無いといけないはずだ。
「今、2人はデートに行っている。お前の姉が起こした行動だ。相手を気遣ってな。お前の行動が、きっかけを起こした」
「本当ですか!?」
栞の喜びと驚きに満ちた言葉に軽く笑い、こう言った。
「俺の占いは…当たる」
「わたし、見てきます!」
そう言って走り去った栞。
「あぁ…行っちゃった」
栞の姿が消えた後、竜也とあゆが占い師の居た方を向くと…。
占い師は最初からその場にいなかったように、消えていた。
「あ、見つけた!」
栞はデートに行きそうな場所を手当たり次第に探していると、遂に2人を見つけた。
「…それにしても遊園地なんて急すぎるし、子供っぽくないかしら?」
「んなわけあるかよ!香里といれば、何処だって楽しいぜ!」
2人は、街から少しはなれた遊園地に辿り着いた。
「もう…」
口では呆れたようだが、心は違う。自分をここまで想ってくれる潤に何よりも嬉しい気持ちになった。
「なぁ、香里。さっさと…」
潤が振り向いたとき…。
香里の唇が、潤の頬に触れた。
「早く行くわよ?」
そう言って、足早に歩いていく香里。
「…!?か、かかか香里ぃ!?」
さすがの潤も真っ赤。
しかし、彼の性なのか…。
「アンコール!もう一回お願いします、香里さぁぁん!」
彼女を追いかけていった。
2人をほほえましく見つめる栞を含めて、それを見ていた者がいた。
先ほどの占い師だ。
誰に言うことも無く、潤の未来を占っていた。
「北川潤…。これから凄まじい困難と苦しみを味わうことになるだろう」
先ほどと同じ言葉だが、次は悲しそうに言った。
「俺の占いは当たる…」
しかし、次は期待を持った様子でこう言う。
「だが、運命は変えられる。それが出来るかどうかは…お前次第だ」
これから降りかかる戦いの間の小さな安らぎのときである…。
彼らは、この安らぎを果てるまで続けられるようになるため、戦い続けるのだ…。
仮面ライダーとして…
そして人間として…。
キャスト
北川潤=仮面ライダーライア
美坂香里
美坂栞
水瀬名雪
沢渡真琴
相沢祐一=仮面ライダーナイト
斉藤ミツル=仮面ライダーインペラー
若い占い師
月宮あゆ
龍崎竜也=仮面ライダー龍騎