仮面ライダー龍騎 ~EPISODE Kanon Trilogy~ 作:龍騎鯖威武
家で、学校での課題…いわゆる冬休みの宿題というものに取り組む久瀬。
最近の戦いの激化で放置していたのだ。
一人だけのつもりだったのだが…。
「…ん?何か違うような…」
「あはは~、それ違いますよ~。ここは、このページを参照にしてくださいね」
何故か、佐祐理が居る。
どうして、こうなったのかと言うと…。
その日の帰り道。
「そういえば、課題を放置したままだ…!」
何気なく思い出したこと。このままでは、提出物の評価が下がってしまう。いままで、何とか必死に勉強してきたのに、3年のこの時期に失敗することは痛手だ。
「おう、生徒会長!」「あ、久瀬先輩だ~」「久瀬さんだね」
そう言って現れたのは、潤と名雪とサトル。
「やぁ。どうしたんだ、珍しいチームだな」
「まぁ確かにおれと虎水は、全員が集まったとき以外に顔を合わせること少ないけど…」
そういえば、と久瀬は思い出した。
何故か潤とミツルが鉢合わせになり、よく喧嘩していることはあるが、サトルと潤が一緒にいるところはあまり見ない。
だが、どうでもいいことなので、置いておくことにした。
「で、久瀬さんは何をあせっていたの?」
「あぁ、課題だよ。ここ最近、放置したままでね」
「へぇ~…学生って大変だね」
サトルは中卒なので、その様な経験が無い。ちなみに竜也、ミツルも同様である。
「…聞いた」
と、背後から物静かな少女の声。
久瀬が振り向くと、舞がいた。
「生徒会長さん、佐祐理と勉強すると良い」
舞が何かを察したような発言をし、それに久瀬は少し戸惑う。
「い、いや、倉田さんは忙しいんじゃないでしょうか?」
「勉強すると良い」
…ゴリ押しである。
それで、なんだかんだ言いつつも…。
「はぇ~、佐祐理は頭悪いですよ?ね、舞」
「佐祐理は頭が良い…」
舞は佐祐理を呼んで、久瀬のことを話した。なぜか、今回の舞はかなりアクティブだ。
結局、久瀬は佐祐理と勉強することにした。
佐祐理は、3学年でも首席に到達しても、なんら不思議ではないほどの成績優秀者だ。
一方の久瀬も成績はかなり優秀。佐祐理と並ぶほどといっても良い。
そんな彼が一緒に勉強する人といえば、自然に佐祐理になるであろう。
「あはは~、なら行きましょう!」
そう言って、佐祐理は楽しそうに歩いていった。
舞は、その様子をじっと見つめて、久瀬に囁く。
「あとは…頑張って」
それだけ言うと、すぐにその場から立ち去った。
「佐祐理を悲しませたら…許さない」
なぜか、脅し文句のような一言を残した。
「本当にいいのだろうか、僕なんかと…」
「いいんじゃない?」
その言葉に振り向くと、弁護士バッジつきのスーツを着た30代ほどの男性と、少し無愛想にしている男性の2人組みが居た。
話しかけたのは、スーツの男性らしい。
「人ってのはさ、自分の欲に忠実にならないと面白くないのよ。さっきからお宅、全然自分の欲を出してない。そんな人生つまらないと思わない?」
久瀬は佐祐理のことが最近気になりつつある。だが、それは誰にも言っていない。舞は、なんとなく気付いているようだが、この初対面の男がなぜ、こんなにすらすらと自分のことを言っているのだろう…。
「は、はぁ…。というより、貴方は一体誰ですか?」
「ま、黒を白にするスーパー弁護士ってとこ?」
やはり弁護士のようだ。さらにかなりの自信家である事が、今の発言から伺える。
「俺にもさ、狙ってる人はいるよ。「令子さん」って言うんだけど、なかなか振り向いてくれなくてね。でも、しょっちゅう食事に誘ってるよ。お宅もさ、がんばんなよ。自分の欲を出さないと、時として人を悲しませることもあるのよ。ここ、重要ね」
それだけ言うと、手を振って後ろを向いて去っていった。
「ゴロちゃん、今日の夕食は、あっさりした懐石料理がいいな」
「分かりました。じゃあ、それに合う美味いもの買って帰りましょう」
「令子さん誘ってみようかな?薔薇の花を百万本。やっぱ男は薔薇でしょ。それに俺の角度「右斜め45度」が加われば、令子さんも落ちるかもね」
そんな会話を残して…。
「久瀬さ~ん!早く~!」
「あ、はい!」
遠くから呼ぶ佐祐理の声に返事をして、元の場所を向くと…。
弁護士の男とゴロちゃんと呼ばれた男は居なくなっていた。
一方、相変わらず探し物をしている竜也とあゆ。
「商店街以外の場所でなくしたのかも…」
「うぐぅ…思い出せないよぉ~」
彼女の記憶も頼りにならないので、手がかりはかなり少ない。
「竜也、あゆ」
舞が現れ、話しかけてきた。
「あ、舞さんこんにちは。どうしたの?」
あゆの質問に、先ほどのことを話す形で返答した。
「久瀬さんと佐祐理さんが…しらなかったなぁ…」
「わたしは、佐祐理に幸せになって欲しい。わたしに思いつくその手助けは、生徒会長さんと一緒に居るようにさせることだと思う」
「…そうだね、おれも舞さんに賛成。何が最善の方法かなんて分からないけど、なにか行動を起こすことが大切だと思うな」
そして、元の時間まで戻る。
順調に課題を終わらせているが、突然、佐祐理が久瀬に聞く。
「久瀬さん。最近、佐祐理の顔を、ちゃんと見てくれなくなってませんか?」
「ぼ、僕がですか…?」
「はい。門矢さんたちが来るちょっと前から、面と向かって話してるとき、すぐにそっぽを向いてますよね?」
心当たりはあった。
「何か悪いことしましたか…?佐祐理はバカですから、わからなくて…」
佐祐理は悲しそうにうつむいている。その様子から、泣いているようにも見えた。
「あ、いや、違うんです…。それは…」
久瀬にとって自分の行動は、彼女のことが気になりつつある故の反応であって、拒絶ではない。
あの弁護士の言葉を思い出した。
自分の欲を出さないと、時として人を悲しませることもあるのよ。ここ、重要ね。
まさに、今がその状況だった。
彼女を悲しませたくはない。
だから久瀬は、自分の思いを自分なりに言葉にした。
「その…。正直に言います。あなたのことが気になってました。だから、どうやって接したらいいのか分からなくなって…」
「…そう…だったんですか…」
佐祐理はその言葉を聞いて、安心と心が温かくなる感覚を覚えた。
今、目の前にいる人が自分にとって、どういう存在なのかも…。
「じゃあ、佐祐理は…」
「待ってください」
佐祐理の言葉を途中でとめる久瀬。
「この続きは、ちゃんとしたときに言いたいんです。だから、待っててくれませんか。きっと、僕はあなたに相応しい人間になります」
「はい…待ってます!」
これから降りかかる戦いの間の小さな安らぎのときである…。
彼らは、この安らぎを果てるまで続けられるようになるため、戦い続けるのだ…。
仮面ライダーとして…
そして人間として…。
キャスト
久瀬シュウイチ=仮面ライダーゾルダ
倉田佐祐理
川澄舞=仮面ライダーファム
北川潤=仮面ライダーライア
水瀬名雪
虎水サトル=仮面ライダータイガ
スーパー弁護士を名乗る男
ゴロちゃんと呼ばれた男
月宮あゆ
龍崎竜也=仮面ライダー龍騎