IS-守るための力-   作:カタヤキソバ

10 / 29
 投稿期間が空いてしまい申し訳ありませんでした。

 リアルが忙しく、なかなか投稿出来ない時も有るかも知れませんが、完結まではやりきりますので応援お願いします。

では、第二話ですどうぞ(*´∀`)つ


第二話 決闘

 護瑠は教室に戻って来ると、同じクラスになった本音と言葉を交わした。本音が簪と同じクラスでは無くこのクラスに居るのは、重要人物である一夏と篠ノ乃の監視役を楯無から言い付けられている為である。もっとも、監視と言っても仲良くして気を配る程度の事ではあるが。

 

 どうやら篠ノ乃は一夏を置いて先に戻って来たようで、一夏だけが次の授業に遅れて来た。

 

「織斑、遅いぞ」

 

「ごめん、千冬ねエ"!?」

 

「織斑先生だ、さっきも言っただろう」

 

 普段通りに呼ぼうとした一夏に、千冬の持つ出席簿が降り下ろされる。出席簿は音速でも越えているのか、一夏の頭に叩き付けられた音は凄まじい音を出している。

 さっき呼ばれる前にしていたのはこの音か、と一人納得する護瑠だった。

 

 

 痛みに悶えている一夏を席に座らせて、千冬は副担任の山田先生に授業を任せる。

 

「皆さん、先程も自己紹介しましたが山田摩耶と言います。分からない所があったら、遠慮無く聞いてくださいね」

 

 そうニコニコと話す摩耶の姿を見ているとどうしても教師には見えない。制服を着れば高校生にしか見えないな、というのが護瑠が摩耶を見た感想だった。

 

 そんな外見の摩耶だが、授業はとても分かりやすいもので、世界中から優秀な人材が集まっているIS学園で千冬の補佐をしていというのは伊達では無いということが分かる。先程も一夏からの質問をより分かりやすく解説していたし、教師としての資質も問題無いらしい。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 授業は何事もなく終わり、護瑠は一夏の元へ向かった。護瑠の席は後方のドアの側だったが、まだ二人に話し掛けようとする生徒は居ない。遠巻きに何やら牽制し合う声が聞こえる為、そういう事なのだろうと護瑠は納得する。

 

「授業は問題無いみたいだな」

 

「まあな。一応半年は時間あったし、騒がれてた頃は政府に軟禁されて、ISの勉強位しかすること無かったからな。護瑠の方こそ大丈夫なのか?」

 

「ああ、俺は簪に教えて貰ったからな。問題無い」

 

「はは、相変わらず仲良いみたいだな」

 

 そう言って話す二人に近付く影があった。

 

「あ、そうだ。箒を紹介するよ、おー「ちょっとよろしくて?」」

 

 一夏の言葉に被せる様に声が掛かる。護瑠に敵意を向けていた人物、セシリア・オルコットだ。

 

「ん?」「なんだ」

 

「まあ、何ですのそのお返事!私に話し掛けられたのですから、それ相応の態度というものが有るのでは無くて!?」

 

 オルコットの言葉に一夏は困った顔を見せ、護瑠は面倒な事になったと内心溜め息を吐く。

 

「そう言われても、俺は君の事知らないし・・・」

 

「まあ!このイギリスの代表候補生であるセシリア・オルコットを知らない!?あなたはどうなんです!」

 

 オルコットは無言でいた護瑠に水を向ける。

 

「俺は知っていたが、興味が無ければ知らない事だって有るだろう。オリンピックに出場する選手を全員知らないのと一緒だ」

 

 答える護瑠の態度は、一夏と話していた時と一転して不愉快そうだ。とはいえ敵意を向けられ、話に強引に割り込まれて愉快な人間も居ないだろうが。

 

「ふん、それでも知っていて当然ですわよ。だいたい貴方たちーーー」

 

 しかし、予鈴が遮る。オルコットはまた来ますわ、と言い残すと自席へ戻って行く。その自分勝手な態度に一夏は苦笑いを、護瑠は溜め息を吐いて席に戻った。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「授業の前に、クラス代表を決めようと思う」

 

 次の授業は千冬が担当する様だが、どうやら少し違うことをするらしい。

 

「先生、クラス代表って何ですか?」

 

 クラスメイトの一人である鷹月静寂が質問した。

 

「クラス代表は、今度開催されるクラス対抗戦に出場する選手のことだ。クラス対抗戦の他にも教員の手伝いなどをしてもらう事になるから、クラス委員長の様なものと捉えてもらえば良い。自薦・他薦構わない、誰か居ないか?」

 

「はい!織斑君を推薦します!」

 

「あ、じゃあ私はも!織斑君を推薦します!」

 

「私も!」

 

  千冬が言葉を切ると、次々に一夏を推薦する声が上がる。元世界最強で現在も絶大なカリスマを誇る織斑千冬の弟で、しかも(一般的に)世界初の男性IS操縦者となれば期待もひとしおだろう。

 

「・・・え、俺!?いや、千冬姉俺はーー」

 

 自分が選ばれるとは露程も思っておらず、ボーっとしていた一夏だったが、少ししてやっとで織斑というのがが自分の事だと気付いた。

 

「織斑先生だ。それに、自薦・他薦構わないと言ったはずだ、推薦されたのに自分から降りることは許さん。他に居ないのなら無投票当選だぞ」

 

 抗議する一夏だが、千冬は取り合わない。

 

「なら俺は護瑠を「納得出来ませんわ!!」」

 

 降りることは出来ないと理解し、今度は自分が護瑠を推薦しようとする一夏だったが、またしても言葉を遮られる。

 

 机を叩いて立ち上がり一夏の言葉を遮ったのは、またしてもセシリア・オルコットだった。

 

「こんな選出認められませんわ!!男がクラス代表なんて恥さらしも良いところです!!だいたい、こんな文化として後進的な極東の島国に居るというだけでも耐えがたい苦痛でーー」

 

「イギリスだって大したお国自慢無いだろ。世界一マズイ料理で何年覇者だよ」

 

 初めは自分に助け船を出してくれるのかと淡い期待を抱いた一夏だったが、先程の会話を思い出せばそんなことも有り得ず、オルコットの差別的な言葉につい声を荒げる。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 二人のやり取りを静観する護瑠だったが、内心は頭を抱えていた。

 

「(一夏がああいう性格なのは分かっているつもりだったが、まさかオルコットがここまで噛み付くとは予想外だな・・・本人も代表候補生が国を背負っているのは理解しているだろうに、何か理由があるのか?)」

 

 代表候補生は候補とは言え、ほぼ確定的に時期代表の座が決まっている様なものだ。そんな人物が大勢の前で差別的発言を、それも現在の世界の中心であるISが発明された日本を侮辱するというのは、国の評価も本人の評価も大きく下げる可能性が高い。

 実際、このクラスは今のところオルコット以外は全員日本人だから、オルコットの言葉に気分を悪くした生徒も見受けられる。それはオルコットも理解しているはずだ。

 で、あるのにも関わらず公然と一夏に、ひいては日本に喧嘩を売っているのは何故なのか、護瑠には分からなかった。

 

 その実態が、ただ単に自身の男嫌いとプライドの高さのせいで頭に血が上り、感情のままに振る舞っているのだと言う事を護瑠が知るのはまだ先だ。

 

「(織斑先生も止めれば良いものを・・・あれは、止める気配は無いな)」

 

 見れば、千冬は一夏とオルコットのやり取りを見てうっすらと笑みを浮かべている。護瑠にその笑みの理由は分からなかったが、二人の事を止める気が無いことは確かだった。

 

 

「決闘ですわ!」

 

「ああ良いぜ、やってやるよ!」

 

 護瑠が考え事をしている間に二人は決闘をすると言い出した。決闘とはまた大袈裟だと思う反面、互いの誇りを賭けたものならばそれも仕方無いか、などと他人事の様に考えていた護瑠だったが、蚊帳の外で居られるのはここまでだった。

 

「で、あなたはどうするんですの?」

 

「ん?」

 

 オルコットは、何故か今度は護瑠に話しかけ始めた。

 

「私は代表候補生。それが素人と戦うんですもの、ハンデを付けるのは当然でしょう?いくら男でも、二対一なら勝機も有るかも知れませんわよ?」

 

「な!?」

 

 オルコットの言葉に一夏は言葉を失う。確かに実力は違うかも知れないが、それでも一夏にもプライドは有る。決闘をすると大口を叩いたのに、その相手からハンデを付けるのを勧められるのは自分が納得出来ない。それに・・・

 

「護瑠は関係無いだろ!これは俺とお前の戦いだ!」

 

 一夏は自分のせいで護瑠にまで飛び火したのを理解していた。自分のせいで護瑠に迷惑をかけるのを、一夏は容認出来なかった。

 

「・・・その通りだ。俺はお前たちの事に関与する気は無い」

 

 護瑠としてもオルコットの言葉に思うところはあるが、ただでさえ一夏の護衛やIS学園の警備など、護瑠の役割は大きい。出来るだけ厄介事に巻き込まれたく無いのだ。

 

「あら、逃げるのですか?これでは、日本の代表候補生と言うのも大したこと無さそうですわね」

 

「なに?」

 

 巻き込まれたく無いと消極的な態度だった護瑠だが、オルコットの言葉に反応する。

 

「あなたが日本の代表候補生、更識簪と婚約しているのは巷では有名ですわよ?どんな男かと思ってみれば、とんだ腰抜けですわね。これでは更識簪の程度も知れると言うものですわ」

 

「・・・」

 

「お前!?簪は関係無いだろ!」

 

 オルコットが護瑠に敵意を向けていたのはそれが理由かとか、何でそんな情報が広まっているのかとか、考える事はたくさん出来たが、護瑠が考えているのはもっと別の事だ。

 護瑠の斜め前では本音がマズイマズイと焦っていて、近くの子が何事かと首を傾げているが、そんな様子も今の護瑠の目には映っていない。

 

「やはり姉が優秀なだけで、妹の方は大したこと無いようですわね」

 

「・・・織斑先生」

 

「・・・なんだ」

 

 オルコットの言葉を黙って聞いていた護瑠は、オルコットの事など見ずに千冬に話しかける。

 

「この後使えるアリーナは?」

 

「一ヶ所使える。やる気になったのか?」

 

「ええ。・・・オルコット」

 

「あなたも一緒に戦う気になりましたか?」

 

 オルコットの言葉に護瑠は首を横に振る。

 

「一緒じゃない。俺とお前の一騎討ちだ」

 

「・・・本気ですの、あなた?」

 

 外野からのヤジは無い。護瑠の本気の目に息を飲んでいる。あたふたしていた本音は、やはりこうなったかと肩を落とし、何処かへメッセージを送信している。

 

「勿論本気だ、さっさとアリーナへ行くぞ」

 

 護瑠はそれだけ言うと、さっさと教室を出ていき、オルコットもそれに続いた。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 千冬はため息を吐くと、急展開に呆然と取り残された生徒に対し、移動を促す。

 

「さあ、お前たちも移動しろ。代表候補生クラスの戦いは、あまり見る機会は無いぞ」

 

 千冬の言葉に、生徒の一人が質問をする。

 

「でも、織斑先生。杜野君は初心者なんじゃ・・・」

 

 もっともな質問だが、千冬はその言葉を否定する。

 

「いや、あいつのIS適正が判明したのは織斑と同時期だ。自己紹介の時も、最近IS適正が判明したからとは言っていなかっただろう?」

 

 千冬の言葉に、生徒たちはそう言えばと顔を見合わせる。

 

「ってことは・・・」

 

「あいつは初心者では無い。それに実力は折り紙付きだ。なんせ、世界でも数の少ない適正Sランクだからな。」

 

 今度こそ、クラス中から驚きに声が上がる。

 

「適正Sランク!?国家代表クラスじゃない!?」

 

「そうだ。それにオルコットも実力者だ、見物の価値は十分に有るだろう?さあ、全員移動しろ!」

 

 そんな人物の戦いを入学早々に見られるとあって、みんな我先にと移動を開始する。

 

「織斑、お前も準備しておけよ」

 

 二人に置いて行かれ所在無さげにしていた一夏も、やっとで動き始めた。

 

「えっと、準備?」

 

「お前が決闘をすると言ったのだろう?あの二人の戦いが終わったら次はお前の番だ。ISは使えるな?」

 

 そう言われて、一夏はISの待機状態である右腕のガントレットに目を向ける。

 

「・・・ああ、大丈夫だよ千冬姉」

 

「織斑先生だ。行くぞ」

 

 そうして、話している間に一夏と千冬しか居なくなった教室を出てアリーナへと向かった。

 

 

 

 

 二人を後ろから見た者が居れば気付けただろうか。無意識だろうか、並んで歩く二人の間にはもう一人、誰かが入れる空間が空いていた事に。

 

 

 

 

 




 お読み頂きありがとうございました。

 複数の人物を動かすのは苦手です・・・。それと、セシリアは最初は大体あんな感じですよね、きっと高校デビューで張り切っていて空回りしたんでしょう。

では、次回をお待ちください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。