IS-守るための力-   作:カタヤキソバ

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 お待たせしました、第三話投稿です。

 リアルも一段落し、これからは投稿ペースも上げられると思います。

 では、どうぞ(*´∀`)つ


第三話 決闘 vsセシリア・オルコット

「本音!」

 

 アリーナの観客席に座ってた本音の元に簪が駆け寄る。簪がここへ来たのは、護瑠がオルコットと決闘をすると言ったときには既に本音が簪にその事を伝えていたからだ。

 

 今、アリーナでは一組の生徒たちと四組の生徒たちが専用機持ちたちの戦いを今か今かと待ち望んでいる。一組はまだしも4組も居るのは、簪が授業を抜ける為に教師にこの戦いの事を伝えたため、他の生徒も見学したいと言い出したためだ。

 もっとも、観戦のモチベーションはまったく違う。一組の生徒は千冬から護瑠の実力の一端を聞いていたのでどの様な戦いをするのか楽しみにしているが、四組の生徒の大半は表に出ていなかった男性IS操縦者を一目見ようと言う、野次馬根性だ。

 そしてその大半に入らない者は、男が無様に負ける姿を見たいという歪んだ気持ちから見学に来ている。そこまで思う者は少数だが、今の女尊男卑の風潮の世の中では男を軽視する女性も多少増えている。オルコットが良い例だろう。

 

 そう言った理由からアリーナには多くの生徒が居て少々騒がしいが、本音は簪の声にすぐに反応を見せた。本音も本来は簪の優秀な従者だ、主の声には敏感なのだろう。まあ、普段の様子からはそんなこと全く感じられないが。

 

「あ、かんちゃん。やっほ~」

 

「やっほ。隣、大丈夫?」

 

「大丈夫だよ~」

 

 ありがと、と言って簪は空いていた席に座った。本音が座っていたのは通路から一つ空けた席だ。空いていた席は元々簪の為に本音が開けていた訳だが、簪はそれを分かっていても一応確認した。本音は自分の従者だが、それよりも親友だという思いが強いし、主従関係よりも友人関係でありたいと思っているからだ。

 

「ねぇ本音、そっちの人は?」

 

 簪は席に座ると、こちらを興味深げに見ていた二人について尋ねた。

 

「あ!私は谷本癒子、よろしく!」

 

「私は鏡ナギ、よろしくね!更識簪さんだよね?代表候補生の!」

 

 本音が答えるよりも前に、癒子とナギは自分で自己紹介をした。簪としては、本音が答えても渾名で答えられただろうから、ちゃんと本名を聞けたのは良かっただろう。

 

「うん、そうだよ。日本の代表候補生をさせてもらってる」

 

「ねえねえ、杜野君と婚約してるって本当なの?」

 

 癒子が興味深々といった様子で尋ねてくる。

 

「うん、そうだよ。婚約・・・というか許嫁」

 

「一緒に暮らしてるし、昔からラブラブなんだよ~」

 

「ちょっと本音!///」

 

 何やら実生活の事まで話されそうな様子に、簪が本音を止めようとするが本音はのほほんとして動じない。

 

「まあまあ~、どうせ明日には学校中に広まってただろうし~、会長も居るからね~」

 

 実際に簪は護瑠と同じ部屋で、どうせ休み時間でも食事時でも一緒に居るだろうし悪戯好きの楯無も居る。簪と護瑠の関係性は早いとこ広めておいた方が変な言いがかりや邪推もされないだろうという事で、本音は癒子とナギに伝えたのだ。

 あのバカップルは人前でイチャつくのは控えようとか言うくせに控えてても周囲に砂糖を吐かせる、というのが長年の従者生活で本音が理解した事だ。

 

「そうかも知れないけど・・・」

 

「あ、ねぇ更識さん」

 

「簪で良いよ。なに?」

 

「じゃあ簪、私の事も癒子で良いよ。それで、杜野君の事とか聞きたいことは有るけど取り合えずはこの試合、どうなると思う?」

 

「私も簪って呼ぶね?私もナギで良いから。どうかな、簪は杜野君がISを使えたこと知ってたんだよね?」

 

 癒子とナギに立て続けに質問された簪だが丁度良かったと、二人の質問にまとめて答える事にした。

 

「まずはナギの質問だけど、勿論知ってたよ。初めて動かしたのは今から半年位前で、それからずっと私と一緒にISの戦闘訓練をしてたの。それで癒子の質問だけどこの試合はーーー」

 

 興味深々といった様子の二人とニコニコとアリーナを眺める本音の方に向かって話していた簪だが、ISがピットから出てくるブースターの音が聞こえると一旦話を止めた。

 簪の視線の先には『金剛』を纏った護瑠の姿があり、その表情はこころなしか先程までよりも緩んでいる様に癒子とナギには察せられた。

 

「護瑠の圧勝だよ」

 

 今度はハッキリと分かる確かな笑みを浮かべ、簪の言葉と同時に試合開始のブザーが鳴った。

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「護瑠、なんか俺のせいでこんな事になって・・・」

 

 アリーナのピットで、今度は護瑠が一夏から謝られていた。この場には一夏と一緒に来た千冬と、ピットの入り口で一夏を待っていたらしい篠ノ乃が居る。因みに、篠ノ乃の事は先程一夏から紹介された。箒は護瑠の事を一夏から多少聞いていた様だし屋上で一度顔を合わせていた為、思ったよりも友好的だった。

 

「お前がオルコットに切れなければ俺が切れていただけだ。それに俺が言うのも何だが、ここに来るまでに少しは頭が冷えた。あいつの考え、ここで俺が叩き壊してやるよ」

 

 それに、と護瑠は付け加える。

 

「このあとは流れで俺とお前が戦う事になるだろうから、俺はそれも楽しみにしてるぞ。でしょう、織斑先生?」

 

 護瑠の言葉にまあな、と言うと自分はさっさと管制室に行ってしまった。箒も頑張れよと言って千冬に着いていった辺り、気を効かせてくれたのかも知れない。

 

「お前にそう言われるのは嬉しいけど、オルコットも強敵だと思うぞ?」

 

「油断はしていないさ。男の強さ、見せてきてやるよ!」

 

 そうして突き出した拳に、一夏もおう!と言いながら拳をぶつける。

 

「行くぞ金剛!!」

 

 一夏から離れピット出口に立った護瑠の声に同調し、護瑠の体を光が覆っていく。現れたのは、限りなく白に近い水色の機体。

 決闘の場へと、護瑠は愛機と共に飛び出した。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「遅いですわよ。やはり男は礼儀を知らないようですわね」

 

 護瑠がピットから飛び出し、先にアリーナ上空で待っていたオルコットと同じ高度へ上がると、オルコットの不満そうな声が投げ掛けられる。

 

「言われもない暴言で他人を貶すのは礼儀正しいのか?」

 

「ふん。男に媚びて生きている女など、どうせ大したことありませんわ」

 

 ここに来るまでに頭の冷えた護瑠だが、オルコットの考えは変わらないようだ。ただヒートアップしただけではなく、もっと根本的なものなのかと言う疑問が護瑠に浮かぶ。

 だがそれよりも、

 

「言わせておけば・・・。良いだろう、俺が負けたら何でも言うことを聞いてやる。その代わり、お前が負けたら直接簪に謝罪して貰うからな」

 

「言いますわね、でしたら私の奴隷にして差し上げますわ!!」

 

 開始のブザーが鳴るかどうかというタイミングで、オルコットはメイン武装であるスターライトmkⅢを呼び出し、護瑠に対して打ち放った。

 護瑠はその射撃を避けるでもなくマトモに食らって後退する。だがオルコットの攻撃は緩まない。オルコットは狙いを定めると、護瑠の肌の露出が多い部分を狙い打つ。その方が装甲に当たるよりもシールドエネルギーが大きく削れるからだ。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 面白い様に撃たれる護瑠姿に、女尊男卑の思考が強い生徒は盛り上がり、一組の生徒は千冬の評価とは一致しない護瑠の様子に困惑していた。

 

 困惑していたのは癒子とナギも同じで、千冬の言葉とも簪の言葉とも違う現状に、簪にどういうことなのか聞こうとそちらを向くと、何故か簪も本音も、何の心配もしている様子もなく戦いを見ていた。

 自分を見る視線に気付いた簪は安心して見ている理由を説明する。

 

「護瑠はまだ一撃も貰ってないよ。よく見て、シールドエネルギーが全然減ってないでしょ?」

 

 癒子とナギが、戦っている二人のシールドエネルギーが表示されているスクリーンを見ると確かに護瑠のシールドエネルギーは殆ど減っていない。恐らく、ブースターに回して消費した分を考えると、本当に少しだけだろう。

 

 その事態に驚く二人だが、その驚きは対戦相手のオルコットの方が大きいだろう。当然早くから異変に気付いていたであろうオルコットだが、理由が分からず困惑しているのか、傍目にもオルコットの射撃がどんどん雑になっているのが分かった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「どうした、奴隷にするんじゃ無かったのか?」

 

 射撃を受けながらもオルコットを中心に飛び回っている護瑠は、挑発するように話し掛ける。

 

「五月蝿いですわ!!」

 

 そう言い返しても、護瑠にダメージは通らない。

 

「どうして攻撃が通らないのか、まだ分からないのか?簪ならもっと色んな攻撃で戦い方を見つけるぞ?」

 

「っぅ!?でしたら!!」

 

 護瑠の言葉は自分が貶めた相手よりも劣っているという事だ。そんなこと、オルコットに認められる事ではない。

 オルコットの専用機ブルーティアーズから小型の機械が4機飛び出す。ここからがブルーティアーズの本領発揮、BT兵器ブルーティアーズの登場である。

 

 BTが護瑠の周囲を取り囲むとBTによる一斉射撃が始まる。

 それにより、護瑠がダメージを受けなかった正体が現れた。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「簪、あれが攻撃が効かなかった正体なの?」

 

「そう。あれが護瑠のワンオフ・アビリティ『厭離穢土』だよ。バリアの内側と外側を完全に隔離する絶対防御って所かな」

 

 簪はナギに答えると、空中に佇みバリアを展開する護瑠を見つめる。

 

「じゃあもしかして、そのバリアをビームが当たる部分にピンポイントで展開してたってこと?」

 

「そうだよ。あのバリアは攻撃を一切通さないけどその代わり消費が激しいから、部分的に展開することでエネルギーの消費を抑えていたの」

 

「けど、それなら短期決戦で戦った方が確実だったんじゃない?」

 

 簪はそれもそうなんだけどね、と癒子に答えると上空の護瑠を見上げる。

 

「普段なら相手に何もさせない様に戦うんだけど、たぶん今回は全力のオルコットさんを倒す気でいるんじゃないかな?」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「それが攻撃の効かなかった理由ですのね・・・!!ですが!!」

 

 護瑠の周囲に張り巡らされたバリアに一瞬動揺したオルコットだったが、すぐに気持ちを立て直し、BTの全方位射撃を再開する。

 

「バリアもエネルギーを消費するから、切れるまで打ち続けるつもりか?それも良いがっ!!」

 

 護瑠は攻撃が一瞬途切れた合間を狙い、厭離穢土を解除してBTの包囲網から脱出する。そしてBTの側をすり抜ける瞬間に一機撃墜した。これでBTの残りは3機だ。

 

「いつまでも防御に徹している訳じゃない!今度は此方から攻める!!」

 

 護瑠がオルコットに迫るがBTはそれに追い付いていない。しかし、オルコットは勝利を確信した表情を浮かべる。

 

「かかりましたわね!」

 

 接近した護瑠に、ブルーティアーズに隠されていた残りのBT2機から追尾ミサイルが放たれる。

 

「甘い!!」

 

 だが護瑠は事前にオルコットの事は知っていた。もちろん機体の事もだ。だからこそ護瑠はオルコットが全力を尽くして攻めに来るのを待っていた。この戦いは全力で戦ってこそ意味があると思ったし、でないとオルコットの心に波を立たせることは出来ないと思ったからだ。

 

 護瑠は金剛の槍を呼び出すと一閃。二つのミサイルを叩き潰し、その爆風を背にオルコットに迫る。

 

「なっ!?」

 

「男もやるもんだろ?偏見を持たずに鍛練しろ、お前はもっと強くなれる」

 

 驚愕の表情を浮かべるオルコットに槍を突き刺し地面に叩き落とすと、同じ槍を複数取り出しオルコットに全力で投げ付ける。

 

 轟音と共に試合終了を告げるブザーが鳴り響き、アリーナには大歓声が起こった。

 

 

 

 




 お読み頂き有り難うございました!

 遅くなりましたが、お気に入り登録50名を突破しました事、大変嬉しいです。皆さんに読んで頂ける事がモチベーションに成っております。
 これからも、どうぞよろしくお願いしますm(__)m
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