他の投稿者の方のIS二次創作をチラチラ読んでいますが、お薦めの作品が有れば感想欄などから教えてください!
では、どうぞ(*´∀`)つ
「(私は、負けましたのね・・・)」
試合終了のブザーを聞きながらオルコットは呆然と、だがどこか晴れやかな気持ちだった。彼女の男嫌いの性格ならば、男に負けるなど決して許せない事だっただろう。だがしかし、彼女の心は晴れやかだった。
セシリア・オルコットは男が嫌いだが、何も世の女尊男卑の風潮が原因な訳ではない。
彼女の男嫌いの原因は幼少期の家庭環境、とりわけ父親の存在が大きい。
彼女の母親は複数の企業を経営し、成功を納める強い女性だった。だが父親はそんな妻にいつも遠慮し、自らの意見も主張しない弱い男だった。
入り婿であることもその一因で有ったのかも知れないが、何故強い女性である母が弱い男である父と結婚したのか、幼いセシリア・オルコットにとっては常の疑問だった。
やがてその疑問は変質し、男は認めないという気持ちに変わっていった。
その思いが、彼女自身を母と同じ様に強く在ろうとさせ、両親亡き後は事業を引き継ぎ、若くして社交界でも強かに立ち回り、ついには本国のIS代表候補生にまでなった。
そんな彼女が男を見下すのは当然だったのだろう。自分に強かった母を重ね、世の男たちに弱かった父を重ねて世界を見ていたのだから。
だが・・・と心に波紋が広がった。
本当にそうだったのか?
今自分を倒した相手は強い男だった。
だから・・・・・・父も、本当に弱い人間だったのか?という疑問が彼女の内から湧いてきた。
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「凄いな、護瑠・・・」
モニター越しに、護瑠がオルコットを助け起こす様子を見ながら一夏は呟く。
一夏が今居るのはアリーナの管制室だ。ここではアリーナの各種設備の制御やアナウンスが行える様になっている。この場では一夏、箒、千冬、摩耶の四人が護瑠とオルコットの戦いを見物していた。
「織斑、次の試合の準備をしろ。オルコットもISの損傷具合を見るに、すぐ出られるだろう」
「おう、行ってくるぜ千冬姉!箒も、行ってくる」
一夏は千冬に織斑先生だ、と呆れたように溜め息を吐かれながら、管制室を出ようとする。
「い、一夏!!」
と、出る寸前で箒に呼び止められた。
「ん?」
「そ、その・・・お、お前も勝ってこい!!」
箒は少し頬を赤らめて激を飛ばす。一夏は箒の胸中を知ってか知らずか(恐らく何も気付かず)おう!と一声かけるとピットへと駆け出した。
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一夏がピットに着くと、何やら三人の生徒がドアに張り付いて居るのが見えた。
「何してんだ?」
一夏に声を掛けられるまで気付いて居なかったのか、三人の内二人がバッと振り向くと、谷本癒子と鏡ナギがシーッというジェスチャーをしながら手招きをする。
「?」
一体何なのか。疑問符を浮かべながらもドアの隙間からピット内を覗くと、そこには・・・
「あ、この守り方はダメだな」
「うん、防御の範囲が少し広いね。改善点」
「それにやっぱり槍だけだと火力が足りないな、最後にあれだけ投げ付けてギリギリって所か?」
「防御特化だから仕方ないよ、今回は爆薬とか使わなかったんだし」
「そう思うとやっぱり簪の火力は羨ましいよな」
「私は装甲を削ってるから護瑠の防御力が羨ましいよ。だから、足りない所は補い合わなきゃね」
「だな」
記録映像を見ながらさっきの対戦の反省会をしているバカップルが居た。
「護瑠、何してんだ・・・」
一夏の呟きももっともだ。
何故、護瑠は簪を後ろから抱き締めているんだ。
護瑠の背は一夏と同じくらいだし、簪は小柄だから無理では無い。胡座をかいている護瑠に簪が納まっているのはとても微笑ましいのだが・・・
「二人とも、いつもながらラブラブだね~」
「ん?えっと・・・」
一夏は今まで話さなかった少女に目を向ける。
「あ、布仏本音だよ~。本音でものほほんでも好きに呼んでね~」
「えっと、それじゃのほほんさん。二人はいつもあんな感じなのか?なんか、イメージと違うんだけど・・・」
一夏の言葉に本音はそれもそうか、と内心思う。
「おりむ~は昔まもるんとかんちゃんに会ったことが有るんだっけ?」
「二年前に一回だけだけどな・・・。そのときの事は二人に聞いたのか?」
おりむ~は俺の事か?と思うが、一夏にとって重要なのはその後の言葉だ。護瑠と簪をあだ名で呼んでいる事から、本音は二人の関係者なのかとあたりをつける。
「そうだよ~。でもその時はお仕事モードだったんだろうし~元々あんな雰囲気は二人っきりの時しか見せないからね~」
そう言われて一夏はまた隙間から二人を見る。
「やっぱり正面から正々堂々ってのは難しいな、結局は勝てれば良いんだし」
「それはそうだけど、こういう場には好ましい戦い方があるから・・・。そういうのは好かれないよ?」
「わざわざ勝ちに拘る戦い方をする必要も無いか・・・。簪だったらどうやってオルコットと戦う?」
「開幕山嵐で制圧」
「・・・それって正々堂々なのか?」
「機体性能をフルに使ってるだけ。拡張領域にC4とかタレットを収納しようとする護瑠程じゃないよ」
「仕方ないだろ、出来るんだから」
「それはそうだけど・・・ん///ちょっと護瑠、お腹に手を回さないで///」
「太ってないんだし、別に良いだろ。バランス良いと思うぞ?それに昨日だって一緒にシャワーにーーー」
「そういう問題じゃーーー///」
ドスッドスッという壁を殴る音が一夏の後ろから聞こえる。癒子とナギだろうか、だが一夏も同じ気持ちだ。
一夏は友人から唐変木や朴念仁(神)と呼ばれる位女心には疎いが、彼も健全な男子高校生だ。彼女持ちの友人を見て、何故かむしょうに壁を殴りたくなる事もある。彼女持ちの友人は護瑠だけだが。
「の、のほほんさん」
「そろそろ止めた方が良いかな~。一線越えた事は無いはずだけど、これ以上はこっちが見てられないからね~」
そう言うと、本音は今まで隠れて見ていたのは何だったのかという気軽さでピットに入っていく。
「二人とも~そろそろ次の試合が始まるから移動して~」
「「!?」」
言うが早いか、二人はバッと立ち上がると本音に、つまり覗いていた四人に振り返る。
「あ・・・///えっと、ありがと本音、じゃあ行くね///」
「俺も行くよ、管制室が使えるんだったよな?」
見られていた事を悟ったのか、簪は顔を赤くしている。護瑠は普段と変わらない表情をしているが、不自然さが半端で無い。恥ずかしいのを必死に我慢しているのか。
「な、なあ護瑠!」
すたすたと四人の横を抜けてピットから出ていこうとする護瑠と簪。
そんな護瑠を呼び止めるのは一夏も気が引けたが、言わずには居られなかった。
「護瑠も俺と同じ男なんだって、初めて思えた気がする!」
今度こそ、護瑠も顔を赤くして先に行った簪を小走りで追いかけた。
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管制室に入った二人を迎えたのは、生暖かい視線だった。その雰囲気に嫌な予感を覚える護瑠だったが、嫌な予感というものは大抵当たるものだ。
「杜野」
楽しそうな千冬の声に護瑠は頬を引き吊らせる。
「実は、この管制室はピットの様子も見ることが「それ以上は許して下さい織斑先生!!」」
珍しい護瑠の必死な様子に、千冬も珍しく声に出して笑い声を上げる。
「お二人の関係は聞いていますが、学園では自重して下さいよ!まだ学生なんですから!///」
二人を注意する摩耶だが、その顔は真っ赤に染まっている。その隣では箒が顔を赤らめて何やら妄想に浸っている。一夏と自分に置き換えているのだろうか。
「お前はオルコットとの戦う理由と言いさっきと言い、更識妹が絡むと普段の冷静さが無くなるのか?まったく、ある意味更識妹も幸せか?」
「・・・嬉しく思う反面、心配することもあります。でも・・・それが護瑠ですから。危ないことをするなら私が止めます」
護瑠が簪の事になると暴走しがち、無茶をしがちなことは間違いないだろう。実際それで一度死にかけている。だが、護瑠にそれを正す気は全く無い。だからこそ簪は護瑠を守るための力を求めた。それが今の護瑠と簪を形作っているなら、今さら簪がそれを否定する事はあり得ない。
千冬は幸せ者だな、と護瑠に一声かけるとアリーナ全体に次の対戦開始予告のアナウンスをする。
摩耶も試合の管制に移っている。さっきまでの妄想の影響だろうか、箒は登場した一夏を少し熱っぽい視線で見つめている。
すぐに試合が始まるだろう。その前に、護瑠は簪を見つめる。なに?と首を傾げる簪だが、護瑠は何でもないとモニターに目を移す。
護瑠が簪の気持ちを聞くのは久しぶりの事だった。だがやはり、簪の気持ちを聞いても護瑠は無茶をするだろう。簪が護瑠を大切に思うように、護瑠も簪を大切に思っているのだから。
試合開始のブザーが鳴らされる。一夏の戦いもまた、始まった。
胡座をかいた男の子に、すぽっと女の子が納まっている。良いですよね、イラストでも結構見かけますし。
実際は身長差が無いと結構難しい気がしますが。
次回は一夏vsオルコットです。
では、次回をお待ちください!