IS-守るための力-   作:カタヤキソバ

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 第七話投稿です!

 今回文章の書き方を変えてみました。このままで良い、前の方が良いなど有りましたら、感想欄からお願いします。

 では、どうぞ(*´∀`)つ



第七話 白式

 『白式』 

 一夏の専用機の名前だ。

 どういう理由で男である一夏が動かしているのか・・・一夏本人もよく分かっていないが、原理は分からなくても動かせるならそれで良い。名前の通りの白い機体は、間違いなく目指す目標に飛び立つ翼になっている。

 

 だが今、その翼は・・・

 

「ほら一夏。早く逃げないともう追い付くぞ?」

「うおぉぉ!?もう無理!もう無理だって千冬姉!」

「織斑先生だ。あと五分追加だ」

「」

 

 所謂鬼ごっこに使われていた。

 と言っても、別に遊びで使ってる訳ではない。これも授業の一貫だ。

 

 ISは世界を変え、世界はISを中心として回るようになったけれど、それでも多くの人にとって実際にISを間近で見る機会は滅多になく、IS学園に入学するまで一般生徒はISに触れる機会も数える程しか無かった。

 こういった理由で、学園に入学してすぐの生徒の多くはISに対して幻想を抱いている事が多い。その多くが、ISのスポーツ利用という文言を真に受けてしまっているケースだ。

 確かにISにはモンド・グロッソという世界大会があるし、それは新しいスポーツ競技として世界に普及していった。

 だがその実ISは兵器利用が検討されており、モンド・グロッソ自体、新兵器の運用試験と他国のIS(兵器)との比較の為に開かれており、国威発楊の意味合いも持っている。

 その証拠に、どの国であっても研究利用されているもの以外のISは国軍が所持しており、国家代表や代表候補生も軍属という扱いであることが多い。

 そういった背景があるのだが、やはりまだ若干15、6歳の少女たちの多くにとってISやIS操縦者は、輝かしい舞台で煌めく新世代の『アイドル』だ。

 だが、実際に扱う立場になったからにはそういった考えは怪我の元だ。ISは子供が遊ぶ玩具等ではなく、シールド・バリアや絶対防御が無ければ人一人簡単に死なせてしまえる『兵器』なのだから。

 

 そういう訳で、IS学園に入学してすぐは生徒の認識の改善と『兵器』としてのISを実感させるというのが、IS学園のカリキュラムとなっている。

 そしてこの『鬼ごっこ』はカリキュラムの一貫で、時に人の認識の限界をも越えるスピードを間近で見て、そしてハイパー・センサー等の理解を深めるという意味がある。

 もっとも、本来は教師が二人で行うのだが、今回一組には専用機持ちが多い事から護瑠と一夏がやってみせる事になり、本気にさせるために負けた方には千冬から罰が与えられる事になっている。

 

 

「逃げ切れ無かった織斑はアリーナの整備だ。次の授業までにやっておけ」

「はい・・・」

「昨日壊したのは俺なんですから、俺もやっていきますよ」

 結果負けた一夏はガックリと肩を落としており、護瑠は隣で苦笑いをしている。

 このアリーナは昨日の模擬戦で使われたアリーナで、確かにセシリア戦の最後に護瑠が投げつけた槍で地面がめちゃくちゃになっていた。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「悪いな。負けたのは俺なのに手伝ってもらって」

「壊したのは俺なんだから良いんだよ」

 

 整備も終わり、二人は更衣室に移動していた。

 

「それにしても護瑠の金剛・・・だっけか?速いよなー」

「金剛は速さと堅さに特化してるからな、イタリアのテンペスト以外に負ける気は無いさ」

「白式は逆に攻撃に特化しすぎてて・・・!?護瑠、その傷・・・」

「ん?ああ・・・悪い、嫌なもの見せたな・・・」

「いや、良いけどさ・・・どうしたんだ、それ?」

 

 着替えていた一夏の目に止まったのは護瑠の背部の銃創だ。

 

「昔、簪を庇って撃たれた事があったんだよ」

「・・・怖くなかったのか?」

 

 何でも無さそうに答える護瑠に、一夏は無意識に聞き返していた。

 

「思い返せば怖かったさ、俺も死にかけたんだしな。けど、この傷は俺が簪を守った事の証でも有るからな、名誉の負傷って奴なんじゃないか?」

「確かにそうだけどさ・・・」

「けど、簪がこの傷を見て落ち込んでる時があるんだよ・・・それが申し訳なくてな・・・」

「それは辛いな・・・って何時何処で見る機会があるんだよ」

 

 普通素肌を見る機会なんてそう無いだろうと言う一夏だが、護瑠はその言葉に心底不思議そうな顔をする。

 

「?一緒に風呂に入った時だが?」

「なんで一緒に入ってるんだよ!!」

「いや・・・普通一緒に入るだろ?」

「普通は風呂に一緒に入ったりしねぇよ!!」

「そんな興奮するなよ。なんだ一夏、お前は好きな娘と一緒に風呂に入りたく無いのか?」

「入りたく無いなんて言ってねぇよ!」

「だろう?だから好きな娘と一緒に風呂に入るのは普通なんだよ」

「・・・そう・・・なのか・・・?」

「ああ、そうなんだよ」

 

 護瑠の感覚が一般とズレていたとしても一夏にはそれを確認する術も経験も無く。

 結果、一夏は納得するしか無くなった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 昼休み

 

 午前の授業も終わりやっとで一息吐けるこの時間。一夏たちは食堂に集まっていた。

 

「あれ、護瑠はどうしたんだ?」

「護瑠は用事が有るから、今日は来れないよ」

 

 だが、一夏や箒、鈴、セシリアに簪も居るのに、護瑠は食堂に来ていなかった。

 

「へー、護瑠と簪が一緒に居ないことって有るんだな」

「それ、昨日他の人にも言われたけど一緒に居ないことだって有るよ。第一、クラスが別だし」

「ハハ、それもそうか」

「それに、護瑠はお弁当持って行ったから・・・」

「簪が作ったのか?」

「うん。簡単なものだけど、お昼はちゃんと食べてほしかったから」

「へー。弁当を作って貰えるなんて、護瑠が羨ましいぜ!」

「「「!!」」」

 

 一夏と一緒に食事をしていた三人(箒、鈴、セシリア)に緊張が走る。

 誰も声に出していないが、恐らく同じことを考えているであろう事は皆想像出来た。

 『これはチャンス』だと。

 

「な、ならば!私が明日弁当を作ってきてやる!」

「「!!」」

「え、ホントか箒!」

「あ、ああ!楽しみにしておけ!」

「おう、楽しみにしてるぞ」

 

 一夏にそう言われ嬉しそうに笑う箒と対象に、鈴とセシリアは先を越された悔しさにぐぬぬぬぬっと表情を歪めていた。

 

「(一夏、気付いて無いんだろうなー。・・・ん、美味しい・・・)」

 

 そして、そんな四人を尻目に食後のお茶を楽しむ簪であった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「一夏!なんだその体たらくは!篠ノ乃流剣術はどうした!!」

 

 放課後、剣道場に箒の声が響いていた。

 箒が怒っているのは、一夏が弱くなっていると感じたからだ。実際、一夏は箒にほとんど一方的に負けた。

 一夏にも良いところは有ったのだが、そこは全国トップクラスの腕の箒だ、巧く返されていた。

 

「これでも半年前よりはマシになったんだぞ?」

「ではそれまでは何をしていた!」

「帰宅部だ!」

「堂々と答えるな!明日からは私がみっちり鍛えてやるからな!」

「おう、よろしく頼むぜ」

 

 一夏は望むところだと、力強い眼差しで答える。

 

「ッ・・・///・・・わ、私は甘くしたりしないからな!///」

 

 

「青春だな」

「青春だね」

「何達観してんのよ、あんたたち・・・」

 

 そのやり取りを遠巻きに眺める護瑠、簪、鈴。

 セシリアはその側で、唯一の近接武器である『インター・セプター』に見立てた小太刀を振っている。剣道場にはそれしか無かったのだから仕方がない。

 

 そんな二人に護瑠と簪が二人に近付く。

 

「終わったなら一夏は交代な。次は箒と簪がやるか?」

「うん。よろしく、箒」

「ああ、よろしく頼む。・・・簪はそれを使うのか?」

 

 箒が訊ねたのは簪の持っている武器だ。

 

「うん、薙刀が一番慣れてるから」

 

 簪が持っているのは身の丈以上の長さをもった薙刀だ。簪が小柄なせいで、より大きくも見える。勿論刃は潰してある。

 

「じゃあ二人とも位置についてくれ。合図は俺がする」

 

 護瑠の言葉に二人は離れ、構えを取る。

 箒が竹刀を剣道の中段の構えを取るのに対して、簪は薙刀を腰を落とした低い位置で構えている。

 二人とも鋭い視線を相手に向けているのが、防具の下からでもヒシヒシと伝わってくる。

 

「では・・・」

 

 場内をピンと空気が張り詰める。この時ばかりは、負けた一夏を弄っていた鈴も、それに項垂れていた一夏も、見よう見真似で小太刀を振っていたセシリアも二人の一挙手一投足を見逃すまいと集中していた。

 

「始め!!」

「「ッッ!!」」

 

 二人の試合は一手、それだけだった。

 

「ッ・・・私の、負けだ」

 

 箒の竹刀は簪の横を素通りし、箒の喉元には薙刀が突き付けられている。

 スッと喉元から薙刀が離れると、箒は無意識に止めていた息を吐き、一度深く呼吸をした。

 

「・・・強いな、簪」

 

 それは、同じく武術を修めるからこその純粋な称賛だ。

 

「・・・ありがと」

 

 同じく息を吐き、緊張から解放された心を落ち着けると、簪もそれに答える。

 

「二人とも、お疲れ様。どうだった、普段と違う相手との手合わせは?」

 

 護瑠が駆け寄り、二人にタオルを渡した。

 

「すごく良かった。次やったら今度は負けるかも」

「私も良い勉強になった。簪、また手合わせしてくれ」

「うん、こちらこそ」

 

 二人は、どうやら試合を通じて仲良くなったようだ。純粋にお互いを高め合うライバルを見つけた・・・という所だろうか。

 この学園にはISを抜いても優秀な人材が多く居るから、もしかしたらもっと多くのライバルや目標が出来るかも知れない。

 護瑠は二人を見て、そんなことを考えていた。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「ああそうだ。簪、今日の弁当も美味しかったよ」

「ん、良かった。何が一番美味しかった?」

「どれも良かったけど、回鍋肉だな。簪が中華なんて珍しいと思ったけど、美味しかったぞ?」

「たまには良いかなって、ちょうど昨日鈴にも会ってたし」

「あ、そうだそう言えば!」

 

 剣道場からの帰り道。

 寮へと皆で歩いていると、一夏が前を歩いていた護瑠と簪の会話に何か思い出したらしく、突然声を上げた。

 

「どうしたんですの、一夏さん?」

 

 一夏の隣を歩いていたセシリアが訊ねる。

 

「いや、回鍋肉で思い出してさ・・・。なあ鈴・・・お前昔、酢豚がどうのこうの言ってたよな?」

 

 一夏は後ろを振り向き、鈴に訊ねる。

 

「え!・・・い、一夏、覚えててくれたんだぁ~」

 

 その突然の問い掛けに、鈴は一瞬驚くと一夏から顔を逸らして何やらニヤつき出した。

 

「おう、もちろん覚えてるぞ。確か、鈴が転校する直前の放課後だっけ。あのときもこんな感じの夕焼けだったよな~」

「うん、うん!で、私が料理上手くなったらーー」

「鈴が料理上手くなったら、毎日酢豚を奢ってくれるって話だよな!」

「・・・へ?」

 

 ニヤケ顔から、一転。

 鈴はワナワナと震え出し、キッと一夏を睨んだ。

 

「ち・・・違うわよ!!一夏の・・・一夏のバカーーーー!!!!」

「ブベラッ!?」

 

 鈴は部分展開したISの右腕で一夏を殴り飛ばすと、そのまま寮へと走り去って行った。

 

 後には殴り飛ばされた一夏を心配する箒とセシリア、そしてまた厄介事が起きたと溜め息を吐きながら、一夏を医務室に運ぶ護瑠と簪が残された。

 

 

 

 

 

 




 お読み頂きありがとうございました!

 今回セシリアの出番が少なかったのが残念です。でも、一緒には居たんですよ?

 では次回をお待ち下さい。
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