どうか楽しんで頂ければ幸いです。
では、どうぞ(*´∀`)つ
「ただいま」
「おかえり簪、鈴から話は聞けたか?」
「うん、どうして怒ったのか、その理由はね」
今の時間は夜、就寝時間間際だ。一夏を医務室に送った後、簪には鈴の所へ行って、どうしてあんな事をしたのか理由を聞いて来てもらった。ISを使って人を殴るなんて一歩間違えれば相手が死ぬような暴挙だが、それにも理由があるはずだ。あのときの鈴の様子を見ていれば余計にそう思う。
「鈴が言うにはーーー」
『一夏とは、中国に行く前に二人だけで話す機会が有ったんだ・・・。その時したのがあの、酢豚を~って話。・・・本当は、料理が上手くなったら私が毎日酢豚を作ってあげるって言ったんだけど・・・・・・一夏、忘れちゃってたんだぁ・・・』
「聞けたのはそこまで、後は泣いちゃって・・・」
「それでこんな時間になったのか。まあ、それは良いとして、それって毎日味噌汁を~って奴だよな?」
「ハッキリとは言わなかったけど、多分そうだよ」
「だよな・・・ってことは悪いのは」
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「一夏(さん)、ギルティ(ですわ)」
「何でだよ!」
翌日。朝の教室で、一夏は事の内訳を聞いた少女たちに断罪されていた。因みに、昨日の事で一夏の体に異常は見られなかった。寧ろ、医務室に運んだ段階ですでにピンピンしていた位だ。
「一夏、今回は女の子の話を覚えていなかったお前が悪い。鈴の所に行って、一言謝るべきだと思うぞ」
護瑠の言葉に、一夏は渋々といった態度で頷いた。
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廊下
「!!」
「あ、おい鈴!」
食堂
「・・・」
「鈴の奴、今日は食堂来てないのか?」
アリーナ
「放課後の自主トレにも出ないつもりなのか・・・」
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「で、一週間まともに会ってないと」
「ああ。鈴の奴俺の顔を見ると逃げ出したり、部屋に行っても居留守使って出てこないんだよ」
鈴の居留守は、同室のティナという子に聞いたらしい。なんでも、一夏が来たら鈴は居ないと言って追い返す様言われているとの事だ。
一夏の話に、護瑠は溜め息と共に頭を抱える。
せっかく来週には行事も控えているのに、この調子では・・・。
「ったく・・・鈴の奴何なんだよ、理由も言わずに・・・」
「・・・」
一夏の機嫌も悪い。一夏にしてみれば大事な話を勘違いされていると言われ、それを謝ろうとしているのに相手がまともに取り合おうとしないのだ。
体のどこも異常が無かったとは言え、ISで殴っておきながらそれは無いだろうと思うのも至極当然だろう。
「仕方無い。俺が鈴を引っ張り出して来て場を作るから、その時理由も聞けば良いだろ?」
「そうか?悪いな、助かる」
鈴が怒っている理由を考えれば無理に一夏の前に引っ張り出すのは出来ればしたくなかったが、鈴が何時までもちゃんと一夏と話そうとしないなら多少強引にでも話をさせなきゃいけない。
護瑠はそう決心して、放課後を待った。
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放課後。
「ちょっと!離しなさいよ!!」
バタバタと暴れる鈴を小脇に抱えて、護瑠はアリーナで訓練している一夏の所に向かっていた。
「離したら逃げるだろうが」
「もうここまで来たら逃げないわよ!大体、どうして部屋に入れたのよ!!」
「あのティナって子が、『鈴が追い返せって言ったのは織斑君だけだし』って言ってたぞ」
「ティ~ナ~っ」
鈴はルームメイトの思わぬ裏切りにわなわなと震えている。
「あ、護瑠。もうちょっと待ってて、一夏とセシリアの模擬戦がもうすぐ終わるから」
アリーナのピットに着くと一夏、セシリア、箒の訓練を見ていた簪が迎えてくれた。
専用機を持っている一夏とセシリアは放課後になると毎日アリーナでISの操縦訓練をしていて、箒も訓練機の借りられた時には参加している。
どうやら今は一夏とセシリアが模擬戦をしているようだが・・・
「今回はセシリアの勝ちみたいだな」
「だね。セシリアは一夏の戦い方に慣れてきたみたいだし、接近戦しか出来ない一夏が勝つにはまだ経験が必要だね」
「まあ一夏も半年でこれだけ扱えるんだ、十分過ぎるだろ」
護瑠の言葉に、鈴は、はあっと溜め息を吐く。
「どの口が言うのよ、どの口が。あんただって似たようなもんでしょ」
「確かに、IS戦闘の経験はその通りだな」
護瑠の言葉に鈴は頭を傾げる。
そんなことを話している内に一夏が、そしてその後ろに続いてセシリア、箒がピットに入って来た。
「護瑠、来てたのか。それに鈴、久し振りだな」
「・・・ええ、久し振りね」
一夏は普段通りだが、鈴は多少気まずそうにしている。
「ところで鈴」
「なによ」
「どうして護瑠に抱き抱えられてるんだ?」
一夏の一言に、鈴は今の自分の体勢を思い出したのか、顔を真っ赤にして暴れだした。
確かにこんな体勢、想い人に見られるのは嫌だろう。
護瑠が離してやると、鈴は荒い息を即座に整え、何事も無かったかの様に話し始める。
「そ、それより!一夏、あんた私に話が有るんでしょ?」
「ん?ああ、この間の事でな。それで、謝る前に聞きたいんだけど、あの酢豚をって一体どういう意味なんだ?」
「え、あ、いいい意味ぃ!?」
鈴にとってはあの話はプロポーズと同じ意味だ。それをここで言えと言われて、眼は泳ぎ、赤くなり、挙動不審になっている。
「みんなには謝れって言われたけど、俺は理由も分からずに謝るなんてしたくない。だから、あれがどんな意味で、どうして鈴が怒ったのか、教えてくれないか?」
鈴はパクパクと口を動かし、真っ赤になっている。
「い、意味なんて良いじゃない!あんたが謝ればこの間の事は許してあげるから、さっさと謝んなさい!!」
「意味もなく頭を下げるなんてしたくない。良いだろ、理由を教えてくれるくらい」
「別に意味なんて何でも良いじゃない!」
「どうして怒ったのか分からなかったら、ちゃんと謝れないだろ!」
「そんなの良いのよ!」
「いや、良くない!」
そうして、二人は睨み合いを始めてしまう。
「とりあえず、二人とも落ち着け」
と、そこで護瑠が一夏と鈴の間に割って入る。
「喧嘩したって仕方無いだろ。丁度良い事に、来週には『クラス対抗戦』がある。一夏も鈴もクラス代表としてそれに出るんだから、そこで勝った方が言うことを聞くってのはどうだ?」
『クラス対抗戦』とは、文字通り四クラスのクラス代表が代表として戦い、優勝を争うといったものである。毎年、新一年生にIS戦闘を間近で見て、ISへの理解を深めてもらうという理由で開催されている。
「・・・まあ、俺はそれで構わないぜ」
一夏が承諾する。
「私もそれで良いわ」
鈴も、一夏にどうするんだと目で問われ、強気に返す。
「じゃあ、この場はこれで終わりだ。一夏と鈴は対抗戦まで模擬戦禁止、良いな?じゃあ解散!」
そう言って、護瑠はピットの外へ、一夏は訓練を再開し、鈴は別のアリーナへと向かって行った。
簪は当然の様に護瑠に付いて行ったが、今回は珍しく箒とセシリアも護瑠の後を追ってきた。
「護瑠、どうして二人を止めたのだ!」
「そうですわ!鈴さんを連れてきたのは、一夏さんと仲直りさせるためではなくて?」
どうやら二人とも、護瑠が二人の問題に首を突っ込んだ事を問いただしたかった様だ。
そう聞かれて、護瑠は困った様に二人から目を背ける。
「あの二人、話が終わったらすぐに特訓に行くほどヒートアップしてただろ?一夏の奴、余計な事を言って話を拗らせそうだと思わないか?セシリアの時も真っ先に噛みついたし」
そう言われて、二人はアッと声をあげる。
「まあ、確かに」
「考えられますわね」
「俺が言うのも何だが、二人ともあそこまで頑固だとは思わなかったな・・・」
容易に想像出来る光景に、三人は頭を抱える。その三人を前に、けど、と簪が口を開く。
「理由はどうであれ、折角二人とも張り切ってるんだから、応援しなきゃね」
確かに、と三人は苦笑いを浮かべた。
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「俺と簪が鈴の訓練を見て、一夏は箒とセシリアが。それは良いとして・・・」
その日の夜。箒とセシリアには一夏に付いてもらい、鈴には護瑠と簪が付いてクラス対抗戦に向けた特訓をすることになった。この事は既に鈴には伝えてある。
「簪も四組のクラス代表だろ?雷電のスペックを鈴に見せるのは、どうなんだ?」
自室で護瑠が頭を悩ませているのは、未だ詳細な機体スペックを公開していない簪の雷電の性能を、鈴に見せて良いのかどうかだ。
別に面倒な問題が起こるとか、そう言った理由では無いのだが
「出来れば優勝は、簪にしてもらいたいからな~。ライバルになる鈴に、機体性能を把握させて良いものか・・・」
簪の雷電は軽装甲高機動型。『兵装充填』で火力も申し分無いのだが、カタログスペックだけ見ると、鈴の『甲龍《シェンロン》』とは少々相性が悪そうなのだ。
鈴の専用機『甲龍』は高い燃費性能を目指した、持久戦に有利な機体となっている。それに拍車を掛けるのが、中国が開発中の第三世代型兵器『龍咆』だ。
第三世代型兵器とは現在開発が進められている第三世代ISに搭載された、単一使用能力《ワンオフ・アビリティ》を擬似的に再現した兵器である。
これにはセシリアの『ブルー・ティアーズ』のBT兵器『ブルー・ティアーズ』も当てはまる。
『龍咆』は空間に圧力を掛け、それにより強い衝撃を相手にぶつけるという、誤解を恐れず簡単に言えば、超凄い空気砲の様なものである。
「護瑠、心配しなくても大丈夫だよ」
護瑠がそうやって頭を悩ませていると、シャワーを浴びていた簪が戻ってきた。
簪の水に濡れた髪というのも、普段とは違う良さがあると俺は思う。何と言うか、可愛いと言うよりも色っぽいと言う感じがする。
「なんだ、聞こえてたのか?」
「体を拭いてるところだったから。それで、もう一度言うけど心配しないで?私は誰にも負けないよ、お姉ちゃんにだって負ける気は無い」
そうして、簪は少し言葉を切る。
「もう護瑠が傷付かない様に、誰にも護瑠を傷付けさせない為に」
「・・・でも、俺はきっと自分から危険に飛び込んでいくぞ?」
「それでも良いよ、それが護瑠らしさだと思うから」
そうやってニコリと笑う簪から、護瑠はふいっと顔を背ける。
護瑠のその態度に、簪からふふっと笑みがこぼれる。
護瑠はぽりぽりと頬を掻く。
「取り合えず、鈴の特訓は二人でやろ?」
「・・・そうだな。どっちが勝つにしろ、頑張る友達は応援しなきゃな」
うん、と頷く簪だったが、不意に護瑠に抱き付いた。
「?どうしたんだ?」
「・・・私も抱っこ、してほしいな?」
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ここは何処かの研究室か、薄暗く物が散乱している部屋の中に、一心不乱に、だが軽やかにモニターで何かを打ち込み続けている人影が有る。
「さあさあいっくん、レベルアップの時間だよ~。・・・ついでに、あの邪魔な奴は消しておこうか!」
研究者とおぼしき人物の視線の先に有るのは黒々とした鉄の固まり。今の世ではISと呼ばれるものだ。
「さあさあ、調整もラストスパートぉ!あ~喜んでくれるかな~!」
丹精込めて作ったプレゼントの反応を心待ちにして、人影は愉しげに笑い続けた。
お読み頂きありがとうございました!
簪から目を反らした護瑠「やばい、家の嫁可愛すぎ、マジ天使」
抱っこして?(鈴だけずるい)
その後、テンション上がった護瑠が簪をお姫様抱っこして廊下を駆け回り、千冬には叱られ、他の生徒からは印象が良くも悪くも変わったと言われた護瑠が居たとか居ないとか。
では、次回をお待ちください!