IS-守るための力-   作:カタヤキソバ

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 お待たせしました、第十二話更新です!

 新年度も始まり、ここ最近の様な更新頻度を維持することが出来るか分かりませんが、最大限早い更新を目指して行きます!

では、どうぞ(*´∀`)つ


第十二話 騒動が終わり・・・

 IS学園医務室。

 深夜。

 

「簪ちゃん・・・」

「・・・お姉ちゃん・・・」

 

 月明かりが射し込む医務室。

 楯無の目に飛び込んできたのは、泣き腫らし、疲れ切った表情をしながらも、眠ったままの護瑠に寄り添う簪の姿だった。

 護瑠は、全身に包帯を巻いた痛ましい姿で眠っている。

 

「護瑠君、動くのもやっとな状態で敵の攻撃に飛び込んだそうね・・・」

「うん・・・。あの時箒を守れたのは・・・護瑠だけだったから・・・」

 

 最後の瞬間。

 一夏は確かにあの黒いISを切り裂いた。

 が、荷電粒子砲の発射には間に合わず、それは放送席に居た箒に向けて放たれた。

 箒を守ったのは、誰よりも先に動き出していた護瑠だった。

 護瑠は箒と敵の間に割り込み、その一撃から身を呈して箒を庇ったのだ。

 だが動くので精一杯のエネルギーしか持っていなかった金剛に、それ以上の行動は出来るはずも無く。

 結果。荷電粒子砲の直撃を受けた護瑠は、昏睡状態のまま眠り続ける事となっている。

ーーーほぼ生身で荷電粒子砲を喰らっておきながらどうして生きているのか、治療した医師は首を傾げていたが。

 

「私が・・・あの時もっと早く動けてたら・・・。すぐに護瑠を連れて逃げていれば。護瑠を一人で行かせなければ!そうすれば!!護瑠が傷付く事は無かったのに!!」

「簪ちゃん」

 

 溢れ出した、やり場の無い激情に声を荒げる簪を、刀奈はそっと抱き締めた。

 

「自分を責める事無いわ。あの時は、それが最善だったのよ」

「でも!!」

「簪ちゃんが動けても、護瑠君は簪ちゃんの楯になったわ」

「でも!」

「あの場に一夏君と鈴ちゃんだけを置いて逃げるのを、護瑠君は良しとしなかったと思うわ」

「でも」

「護瑠君は、簪ちゃんの活躍する姿が見たかったのよ。傷付き死の危険が有る戦いじゃなくて、安全な試合でのね」

「でもぉ」

「だから・・ね?簪ちゃんが自分を責めること無いのよ。だって護瑠君の願いの通り、簪ちゃんは怪我一つ無く、ここに居るんだから」

「でもぉ・・・」

 

 もっと自分に出来ることが何か有った筈だと、幼い子供が駄々を捏ねる様に。

 簪は刀奈に抱き締められながら、涙を流し続けた。

 

 

 

 

「少しは落ち着いた?」

「うん・・・。ごめんね、お姉ちゃん・・・」

 

 恥ずかしそうな、申し訳無さそうな表情をする簪に、刀奈は良いのよ、と笑った。

 

「今日は護瑠君の側を離れる気は無いんでしょ?それでも良いけど、せめて隣のベッドで休むのよ?織斑先生には私から許可を貰っておくから」

「ん・・・。ありがとう、お姉ちゃん・・・」

 

 流石に疲れが出たのだろう。簪は刀奈が整えたベッドに横になると、すぐに寝息を立て始めた。

 それでも護瑠の方を向いたままというのは、実に簪らしかったが。

 

 簪の良く手入れされた柔らかな水色の髪を一撫でし、護瑠の様子を確認して。

 刀奈は音を立てず、医務室を後にした。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「箒、いい加減あんたも元気出しなさいよ。誰もあんたを責めてないでしょうが」

「だが、私のせいで・・・」

 

 普段一夏と箒が一緒に寝起きする1025号室。今日は珍しく、鈴とセシリアも訪れていた。

 今一夏は此処に居ない。大方護瑠が心配で、医務室の周りをうろうろしている事だろう。

 鈴とセシリアが此処を訪れているのは、意気消沈してしまった箒を励ます為だ。

 

「私が余計な事をしなければ、護瑠が傷付くことも・・・」

「「・・・」」

 

 だが、こう言われては何も言えなくなってしまう。

 確かに、誰も箒を責めなかった。

 傷付く友人の為に何か出来ることは無いかと、精一杯考えた結果の行動だったのだ。それを責める者は誰も居なかった。

 だが、箒の行動のせいで護瑠が大ケガを負ったというのも、逃れられない事実だ。

 

「・・・じゃあ、護瑠が目を覚ましたらちゃんと謝んなさい。セシリア、護瑠は命に別状は無いんでしょ?」

「ええ、そう聞いています。手当ても問題なく、それに幸いにも護瑠さんは専用機を持っていますから、ISの生体維持機能が正常に作動していれば数日で目を覚ますでしょう」

「ね?だから落ち込むのもそれ位にして、元気出しなさい。・・・そうだ、明日の朝お見舞い行くわよ!何もしないより、気分も晴れるでしょ」

 

 気持ちとして納得は出来ないが、鈴の言い分にも一理ある。本当に辛いのは私などではなく護瑠と簪なのだと、落ち込む自分を叱咤した。

 

「さっきよりはマシな顔になったじゃない」

「二人のお陰だ。・・・すまないな」

「友人が落ち込んでいるのを黙って見ている訳には行きませんもの」

「そういう事。・・・あのバカもそろそろ帰ってくるでしょ。セシリア、私たちも帰りましょ」

 

「・・・ところで鈴」

 

 鈴が部屋に帰ろうとした矢先、箒が鈴を呼び止める。

 

「ん?なによ?」

「あの約束、結局どうするのだ?」

「・・・へ?ーーー///!?」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「摩耶、どうだった?」

「はい、やはりこの黒いISは無人機でした」

 

 IS学園の地下。

 表立って公開されていないその区画で、今回の襲撃について検証が行われていた。

 黒いISは一夏によって破壊されたが、無事な部分をかき集め、何か襲撃犯について手がかりが無いか細部に渡って調べている。

 

「しかし、それ以上の事は何も・・・。ただ、コアナンバーは刻まれていませんでした。織斑先生、これはつまり・・・」

「・・・今はその可能性が高いというだけだ。あまり先入観に囚われるべきではないだろう」

 

 コアナンバーは、開発者・篠ノ之束謹製の497個のコアに割り振られた番号だ。それが今回のコアには刻まれていない。それはつまり、何処かの組織がコアを作る技術を確立したという事か、もしくはーーー

 

「篠ノ之博士自身が今回の襲撃の主犯だった、という事ですね」

「・・・更識か。ここに立ち入る許可は与えていない筈だが?」

 

 千冬と摩耶しか居ない筈のこの部屋に何時の間に入ったのか・・・。

 現れたのは楯無だった。

 

「それは私には関係有りません。私は生徒会長として権限が与えられています。何より更識として、国防に大きく関わる今回の案件は徹底的に調べる必要があります」

 

 楯無は淡々と語る。

 

「まあそれよりも・・・。大切な妹と義弟を傷付けたのはどんな奴なのか気になった、どういうのが大部分ですが」

 

 刀奈は平静を装いながらも、その語気には怒りを滲ませている。

 そのことに、千冬は少しだけほっとした。

 

「悪いが、お前が今聞いた以上の事は何も分かっていない」

「そうですか、分かりました。・・・それと、今日は簪ちゃんの外泊を認めていただけますか?護瑠君の側を離れたく無いみたいなので」

「それくらいの融通は効かせるさ」

「ありがとうございます。では・・・」

 

 楯無はまた、音を立てず部屋から消えた。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 朝。

 春の柔らかな陽射しが水平線から伸びてくる。ツンツン

 寝ている間に少し体温の下がった体が、陽の暖かさによって温められる。ツンツン

 春眠暁を覚えずとは良く言ったもので、疲れた体は簡単には動き出してくれそうに無い。フニフニ

 

 ・・・・・・。フニフニ

 

「ンン・・・。さっきから、誰・・・」

「おはよう簪、良い朝だな」

「! ま、護瑠!?」

 

 人が寝ているのにその安眠を妨げるのは誰なのか。眠気眼に顔を上げた簪の目に写ったのは、護瑠の笑顔だった。

 眠気は一瞬で吹き飛んだ。

 

「も、もう体は大丈夫なの!?」

 

 簪は飛び起きると、ペタペタと護瑠の身体中を触る。

 

「体はもう大丈夫だよ。多分、金剛が頑張ってくれたんだろ」

「ア・・・ウア・・・」

「ごめんな、心配かけて」

「護瑠、護瑠ぅ・・・」

 

 

 

 

 

「バカァァァァーーーーーーー!!」

 

 見事な右ストレートだった。

 護瑠と一緒にトレーニングを積み、同年代以上には体を鍛えている簪の右ストレートは・・・強烈だった。

 護瑠の腹部に痛烈な一撃が叩き込まれた。

 

「護瑠、怪我しないって言ったのに、無事で帰ってくるって言ったのにぃ!」

 

 肩を捕まれ、ガックンガックンと揺すられる。

 

「あ、ちょ、まーーー」

「また、護瑠ばっかり怪我して!私が、みんながどれだけ心配したか!」

「ちょ、苦し、首がーーー」

「護瑠はそうやっていつもいつもーーー」

「ちょっ・・・と待てって!」

 

 護瑠は簪の腕を掴むと、ベッドに押し倒す。

 

「話はちゃんと聞くから、ちょっと落ち着いてくれ」

「だって、護瑠が悪いんだもん」

「だもんって・・・」

 

 安心したのか怒っているのか、涙を滲ませた眼で睨まれるというのも何とも・・・。いやそうじゃない。

 割りと真面目に、簪が駄々を捏ねるのは珍しい。

 ずっと一緒に居るけれど、これまで何度有っただろうか。

 それだけ、今回の件は我慢ならなかったという事だ。

 

「ホントにごめんな」

「・・・」

「今度からは、絶対簪も連れていくよ」

「・・・一人で行かない?」

「勿論だ。今回ので身に染みたからな。俺も、わざわざ怪我したり死にに行きたい訳じゃないし」

「・・・反省してるなら、それで良い」

 

 簪はギュウッと護瑠を抱き締める。

 護瑠は簪に体を預ける。

 

「(でも簪が傷付く時には、俺が代わりになるけどな)」

「(・・・たぶん、護瑠はそう思ってるんだろうな)」

 

 筒抜けだった。

 

「(けど、それでも良い。私が、もうそんな事させないから)」

 

 護瑠は自分の在り方を変えない。簪はそれを無理に変えようとは思わない。その代わり、そんな事をさせない様にするだけだ。

 それが、この二人の在り方なのかも知れない。

 

「護瑠・・・///」

「ん・・・///」

 

 簪の柔らかい唇が重なる。

 キスは好きだ。大切な人と、一つになっている様な気がするから。

 

 朝の陽射しに照らされて、二人の穏やかな時間はゆっくりと過ぎていった。




 お読み頂きありがとうございました!

 あの後、お見舞いに来た一夏や箒たちにイチャついてるのを見られて簪が赤面したり、何故か一夏が頬に紅葉を付けていたりすることも有ったり無かったり。

 批評や感想・質問有りましたら、気軽にどうぞ!
 では、次回をお待ちください。
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