名付けのセンスが無い私にはこれが限界です・・・。一応終わりまで構想は有るのですが、キャラの名前で苦戦しております。良い名前を付けられる様に努力して行きます。
では、どうぞ(*´∀`)つ
ーーー時間は少し遡るーーー
簪を見送る事しか出来なかった護瑠は、自分の力の無さを悔いていた。
「(想いだけでは何も出来ない。必要なんだ、力が。)」
奥歯を噛み締め、護瑠は簪が飛び去った空を見上げる。そんな護瑠の視界に、残された一機のISが映り込む。
これさえ使う事が出来れば・・・
気が付くと護瑠はフラフラとした覚束無い足取りでISの元へと歩いていた。意識の外でヒカルノが何か言っているのが聞こえるが護瑠には届かない。護瑠自身、何故自分がISの元へ向かっているのか理解出来ていない。さっきの簪との話の通り早くシェルターへ向かい、増援を待つのが最善の手だ。ここに居るのはむしろ簪の邪魔になるかも知れない。
しかし、護瑠はISから目を離す事が出来なかった。何かに導かれる様にISの元へ辿り着いた護瑠は、そうするのが当然で有るかのように、そっとISに手を触れた。
ーーー瞬間、閃光が室内を覆い尽くすーーー
手を触れた瞬間から、膨大な情報が一気に護瑠へ流れ込んでくる。しかし、その中で護瑠が意識的に理解出来たのは一つだけ。
『あなたはISで何を成したいですか?』
その質問だけだった。
『杜野護瑠』にとって『更識簪』という少女は特別だ。護瑠に普通の生活と言うものを感じさせたのは簪。いつも自分を温かく迎えてくれて、彼女に支えられて・・・そんな、護瑠の心の拠り所。ならばその少女が一人で戦いに赴き、今も傷付いているこの状況で護瑠が願うことは只一つ。
『護りたい』
大切な少女を護りたい。
護瑠の初恋の少女。今にも消えてしまいそうな儚い女の子。護瑠の初めての・・・護りたいという想いの根源。ただただ純粋な護瑠の想い、願い。
だからこそーーー
『《彼女》と同じ想い。良いでしょう、私はあなたの想いに応えます。』
ー大切なものを護るための守護の力ー
光が収まったとき、そこに居たのは無力感に苛まれる弱者では無かった。そこに居たのは、護る力を自らの想いで掴んだ強者。
護瑠は大切な少女を護るため、澄んだ青空へと飛び出した。
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「簪、ISの状態は?」
戦うことを決めた二人だが、すぐに飛び出す様な安易な真似はしなかった。自分たちの状況を知る事は戦いの基本だ。
「・・・ISを維持するので精一杯。辛うじて低速で動くのがやっと・・・。」
簪は辛そうに現状を伝える。せっかく一緒に戦うと決めたのに、既に簪はまともに戦えない状態になっていた。
しかし、そんな状況なのに護瑠はいつもと変わらない声色で簪に話しかける。それで簪の不安を取り除けると知っているから。
「簪、俺が時間を稼ぐから、ISに自分の想いを伝えるんだ。」
「私の・・・想いを?」
護瑠の言葉に簪はキョトンとした表情を見せる。
「そう、簪の純粋な想いだ。そうすれば必ず、ISは簪に応えてくれる。」
「・・・分かった、やってみる!」
「てめぇらぁぁぁぁぜってぇぇぇぶっ殺してやるぅ!!」
護瑠と簪は暢気に話しているが、今も障壁の外ではオータムが猛攻を繰り出している。既に護瑠と簪の周囲の地面は削り取られており、障壁が護瑠と簪の周囲360度に展開されていなかったら、二人は当にオータムの猛攻に晒されていただろう。
「無駄だ。そんな攻撃じゃあ俺の『厭離穢土』は破れない。さあ、今度はこっちから攻めさせてもらう、行くぞ『金剛』!!」
オータムの攻撃が止んだ一瞬に障壁を解除し、オータムを蹴り飛ばしながら護瑠は空へと飛び立つ。
護瑠の想いに応えてコアが自己製作したIS『金剛』:その機体は淡い水色で、大型のスラスターを背部に備えた現行IS最硬の装甲を持つ機体だ。そして、金剛のワンオフ・アビリティ『厭離穢土』:エネルギーを高密度に圧縮しそれを障壁として護瑠の周囲に展開する、ISの絶対防御以上の防御性能を持った最強の盾。
最速で目的地に着き、対象を身を呈してでも護る。護瑠の意思が具現化したISだった。
「チッ、攻めきれねぇ。」
「簡単にはやらせないさ。・・・そこだ!」
そして護瑠が振るうのは一本の槍。金剛の装甲と同じ材質で作られた、最硬にして高い柔軟性を持ったものだ。その槍に特殊な力は無い。しかし、幼い頃より護瑠が続けてきた槍術の鍛練の成果が、オータムの攻撃を寄せ付けない。
「クソが!関節部分を執拗に狙いやがってぇ!!」
ISが如何に現行兵器を上回っていると言っても、可動部分を破壊されれば動くことは出来ない。護瑠はそれを狙ってオータムを攻撃している。
護瑠の攻撃に苛立ちを募らせて攻撃が単調になるオータムと、それを上手く受け流して反撃する護瑠だったが、護瑠には決定打が足りず、二人の戦いは膠着していた。
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「護瑠・・・。」
簪は激しい攻防を続ける護瑠を心配そうに見つめる。ISの操縦など全くしたことの無い護瑠が何故あれほどの動きが出来るのか簪には疑問だったが、しかし、そんなことはこの際どうでも良い事だ。
すぐに気持ちを切り替えると、護瑠に言われた通り自分の想いをISに伝えようとする。それが護瑠の助けになるのだと、直感的に感じながら。
「(私はもう、誰にも護瑠を傷付けさせない!護瑠に守られるだけの私はもう終わりだから!)」
簪の強い想いに共鳴するかの様に、剥き出しのコアの輝きが強くなる。
「護瑠は私が守る!」
ーーー簪の想いを認めるかのようにコアから強い光が溢れ出したーーー
『あなたの想いに応えましょう。』
溢れる光の中で装甲は新たな形に姿を変え、未完成だったプログラムも組上がる。光が収まったとき、そこには簪が理想とした機体が完成していた。
「・・・ありがとう、私の気持ちに応えてくれて。さあ、行こう『雷電』!今度は私たちが守るんだから!」
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「やあぁぁぁ!!」
「な!?」
膠着状態が続いていた護瑠とオータムの戦闘を、気合いの籠った声が状況を打開する。護瑠にのみ意識を集中していたオータムは簪の接近に気付かず、簪の持つ薙刀『夢現』の一撃をまともに受ける。
「クソッ!何で動ける!ッ!?」
驚愕に目を見開くオータムだったが即座に体制を立て直し、追撃を許さない。
「簪、成功したな。」
「うん、護瑠のお蔭。これからは一緒に戦えるから!」
「ああ、そうだな!」
一旦オータムから離れた護瑠は、簪と並び立つ。
「チッ!男がIS使いやがったり一回ぶっ壊した奴が直ったり、おかしな事ばかり起こりやがって!!・・・ここは引くか。」
先程まで二人に対して怒気を発していたオータムだったが、劣勢と見たのか途端に踵を返した。
「護瑠!」
「ああ!」
しかし、二人も簡単に見逃してやる気も無かった。折角亡国機業の構成員と遭遇したのだ、聞き出したい情報はたくさんある。
簪の呼び掛けの応えた護瑠は、即座にオータムの退路に回り込む。通常ISの瞬時加速《イグニッション・ブースト》にも劣らない速度を常時出す金剛にとって、オータムの機体に追い付く事は造作も無い事だ。
「なッ!?」
「行かせるか!喋って貰いたい事がたくさん有るんだからな。」
そうしている間にも、簪はオータム確保の為の準備を整える。
「(ミサイルが48発、だけどそれじゃ確実に落とせるか分からない・・・だったら!)ワンオフ・アビリティ発動!」
簪の専用機『雷電』:その機体は緑ベースに赤の装飾という機体で多くのスラスターを持つが、護瑠の金剛とは真逆の薄い装甲をしている。そして雷電のワンオフ・アビリティ『兵装充填』:ISのエネルギーを消費し、一時的に装備の後付け、補充を可能にする。
大切な人を傷付け様とする敵を、即座に倒すために簪が求めた大火力。それをコアが形にした簪の理想機。
「行って、山嵐!」
雷電の常設最大火力である誘導ミサイル『山嵐』が、その限界数6機×8門の48発が発射される。しかし、それで終わりではない。
「もう一度!」
雷電の『兵装充填』によってエネルギーを消費し、再度48発のミサイルが補充され、発射される。合計96発の誘導ミサイルがオータムに向けて放たれた。
「なッ!?」
オータムに既に逃げ場は無い。96発のミサイルから逃げるには目の前の護瑠を倒さなければいけないが、その実力は先程の戦闘で嫌と言うほど味わったし、ならばミサイルの巻き添えにしようとも、護瑠には『厭離穢土』が有るため無傷で済む。オータムにはどうしようも無かった・・・・・・オータム一人だったら。
「!?」
金剛からの警告に異常を感じた護瑠は簪の元へ飛んだ。同様に雷電からの警告を受けた簪は、オータムに向けて放ったミサイルの内10発を警告の元へと誘導した。雷電のマルチロックオンシステムにより、個々のミサイルに対してロックオン対象を設定出来るからだ。
「簪、側に!」
「うん!」
簪の元まで戻った護瑠は、即座に『厭離穢土』を展開する。
天から火の雨が降った。
そう表現するのが最も的確だと思える規模で、空から炎の礫が降り注いだ。
幸い地表に着く前に消えているが、その礫でミサイルは全てオータムに届く前に破壊され、その礫を降らせたと思われる謎の機体にもミサイルは届いていない。
オータムは護瑠が簪の元へ飛んだ時から既に逃走を始め、もう追い付くのは厳しい距離まで離れている。その上・・・
「おいおい、あれはマズイぞ!」
謎の機体は、先程とは比べ物にならない大きさの炎の塊を作り出している。今度は地表に落ち、間違いなく大惨事となると予想出来るサイズだ。
「護瑠、あれは私が破壊する!」
「!ああ、頼んだ。」
「うん!ワンオフ発動!」
簪が『兵装充填』で作り出したのは一つの巨大な荷電粒子砲だ。本来ISには量子化して搭載出来ない様なサイズだが、作り出すのだったら問題無い。
「くっ!」
しかし、炎塊を吹き飛ばすにはこのサイズが必要だとは言え、ISのサポートが有っても簪一人ではこの荷電粒子砲を支えるのは困難だった。
そんな簪を支えるのは、やはり護瑠だ。
「護瑠・・・。」
簪が持つ荷電粒子砲を護瑠が支える。
「俺もやるよ。あれは俺だけでも、簪だけでもキツそうだ・・・。だから、一緒にやろう。」
「・・・うん。」
二人の雰囲気は状況に似合わず穏やかだ。一歩間違えれば大惨事、けれど二人に失敗するビジョンは浮かばない。護瑠が、簪が一緒ならば大丈夫だと。
迫り来る炎塊に、荷電粒子砲が放たれた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あれから数日後の杜野家。
「いやー、それにしてもお姉さん驚いちゃうわよ。だって来たら終わってるし、護瑠君はIS使ってるんだもの!事後処理大変だったのよー!」
「・・・色々すいません。」
炎塊を破壊し、襲撃者の姿も消えており危機は去ったと二人で一息吐いている所に来たのは、ヒカルノが救援要請をしていた楯無と自衛隊のIS部隊だった。
自衛隊に護瑠の事を秘密にする訳にもいかず、その説明と対応を一手に引き受けたのは楯無だった。交渉事は任せなさいとは楯無の談だ。
「それは良いから、護瑠はどうなるの。」
「・・・簪ちゃんも言うようになったわねぇ・・・。・・・えっと、護瑠君の事だけど、折を見てIS学園に入学よ。まだ護瑠君の事はマスコミには漏れて無いし、無駄な騒ぎにしたくないから。」
「まあ、妥当でしょうね。」
簪の言葉に肩を落とす楯無だが、その質問にはしっかり答えている。
「それにしても、まさか護瑠君がISを動かすとは思わなかったわ。ヒカルノさんも興味津々だったわよ。」
「俺も思ってもみませんでしたよ。まあ、動かせたらと思ったことは有りましたけど。」
「けど、どうして動いたんだろう?。」
簪の疑問に、護瑠は自身の中指に嵌めている指輪の形をした待機状態のISを見る。因みに、簪も同じ形態だ。ただし、色は護瑠は薄い水色、簪は赤と緑のマーブルになっている。
「きっと・・・ISが認めてくれたんだと思う。触ったとき、そんな声をきいたからな。」
「声・・・。そう言えば私にも聞こえた。あなたの想いに応えるって。」
楯無は二人の話を興味深そうに聞いている。二人の聞いた声というのを、楯無は聞いたことが無い。
「まあ、考えてもよく分からない事だからな。これから先、入学までは少しはゆっくり出来ると良いんだが・・・。」
「ISは覚えることが多いから、その勉強しなきゃね。」
「簪が教えてくれるのか?」
「うん!」
楯無は二人から目を逸らし、淹れてもらった渋茶を飲んでいる。普段は紅茶が好きな楯無だが、二人と一緒に居るときはこの方が良いらしい。
「(コーヒーの方が良かったかしら・・・。)」ピーピー
「?楯無さん、端末鳴ってますよ。」
「ん?あ、ホントね、何かしら。」
二人の甘い空気から全力で意識を逸らしていた間に、楯無の仕事用の端末に連絡が入っていた。何事かと護瑠と簪が楯無を見ていると、突然楯無の表情が驚愕に彩られた。
「!お姉ちゃん、どうしたの?」
緊急事態でも起こったのかと心配する簪だったが楯無の様子からすると、どうやらそうでは無いらしい。落ち着いた楯無が、二人に向き直り何が有ったのかを告げる。
「二人目が見つかったわ。」
「二人目?・・・もしかして。」
「そう、二人目の男性IS操縦者よ。」
簪の質問に、楯無は頷きながら返す。
「・・・それで、その名前は?」
だが、護瑠の質問には何故かすぐには答えなかった。どうにも言い難そうに、言うのを躊躇っている様に感じる。
「お姉ちゃん?」
「あー、その・・・動かしたのはね・・・。」
「はい。」
「・・・織斑一夏君よ。」
少年たちの道は交わる、それぞれの想いを抱いて。
お読み頂きありがとうございます!
書き終わってから気付きましたが、簪のワンオフが完全にFATEのUBWだと思います。ですが安心してください、護瑠が自害する事は無いので。
では、次回をお待ちください。
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