泡盛サイコ―!
突然現れた私に狼狽える眼下の一同を他所に私は瞬間移動で花子を抱えているトカゲの真正面に移動すると花子に突き付けられた右手を握りつぶす。
痛みにひるんだスキに花子を奪い取るとトカゲの左胸に右腕を突き刺す。
トカゲの背中まで貫通した私の右腕がトカゲの心臓を鷲掴みにしている。
私は右腕を引き抜くと左胸に空いた穴から噴水の様に血を吹き出しながら私を血の色に染めつつトカゲが倒れる。
レナや手品師、残りのトカゲ達の居る背後に振り向いた私は、引き抜いた右手にある心臓を手品師の足元に放り投げる。
そこで初めて奴と目が合う。
「っ!」
手品師の体がビクリと跳ねる。
白い仮面の目は愉快に笑っている様に上に弧を描いているが、その奥底にある瞳に宿る恐怖は手に取る様にわかった。
「うふふ、あなた、私が怖いのね。」
「なっ、く、体が。なんだ。なんで体が動かない。」
私の魔眼にあてられた手品師が突然動かなくなった自身の体をなんとか動かそうとするが、無駄な努力だな。
私に恐怖を抱いている時点で魔眼に打ち勝つ事は出来ないよ。
私は花子をおろして。
「下がっていなさい。」
「えっ、あ、うん。」
花子が私の背後にある体育館の出入口に駆け込む。
「あなた吸血鬼の魔眼も知らないの?」
「吸血鬼だと、吸血鬼などこの世界の迷信のはずでは、下魔あの餓鬼を殺せ。」
トカゲがこちらに向かってくる。
纏めて片付けてもいいんだけれど、ちょっとお使いをさせないといけないから。
「ミゼラブルフェイト」
私の足元に現れた魔方陣から6条の先に楔の様な物が付いた鎖が現れトカゲに向かっていく。
慌てたトカゲは避けようとするが、鎖がその手足に巻き付き空中に拘束する。
「さあ、あなたの見窄らしい部下はもう当てにできないわよ。」
「くそ、な、なぜ化け物が人間の見方をする。」
私は手品師に近づきながら、
「お前みたいの多いのよね。有利な時は余裕見せて弱いのを甚振って悦に浸ってるくせに、不利になったら途端に動揺して口調すら「かかったな!」」
手品師の両手から大量のトランプが溢れ出る。
トランプが空中に張り付き、私を半球状に囲う。
「ははは、油断したな。死ねぇ!」
手品師が言うとトランプが急速にその包囲の輪を狭めて行く。
「身動きが出来ないからと油断したからだ。餓鬼が!」
勝利を確信した手品師が愉悦に浸るが、
「不夜城レッド」
『ドゴオォォォォン!』
炸裂音と共に十字架の様な形をした閃光が迸る。
その閃光の中、私は空中で十字架に貼り付けにされるかの様に両腕を地面に水平に上げ、両足を揃える。
赤い閃光が収まると体育館の天井が吹き飛び、かろうじて残った屋根も外側に捲り上がり。床はすり鉢状にへこみ、窓ガラスは砕け散り外に向けて飛散していた。
あっ・・・・手加減、間違えちゃった。
手品師はトランプ諸共消し飛び、ミゼラブルフェイトで両手足を拘束していたトカゲは肢体が千切れてバラバラになっていた。
壊れたお人形さんにしてからメッセンジャーにしようかと思っていたのに。
花子を探すと体育館の出入口から入ってくるところだった。
「もー、レミリアさん手加減してよね。体育館が目茶目茶だよ。」
「これでもちゃんと手加減してるんだけどね。加減を間違えちゃったわ。怪我は無いわね。」
花子も妖怪なんだから人間よりは頑丈だけど、心配になる。
「うん、大丈夫。これでも妖怪の端くれだから。それよりレナちゃんは?」
「そこでのびてるわよ。」
私が指差す先でレナが気を失っている。
と、そこへ遠くからサイレンが複数聞こえてくる。
「あー、サイレンの音が聞こえるわよ。ここに居ると面倒な事になるわね。うん、花子、私の別荘に来なさい。」
「え、いいけど、私は空飛べないよ。」
「それは、こうすれば大丈夫さ。」
私は花子とレナを小脇に抱えて、飛び立つ。
「うわぁひゃあ!」
学校の屋上より高く上昇すると、花子が急上昇に変な悲鳴を上げて私にしがみ付いて来る。
「あら?今夜は随分と積極的じゃない花子。」
「ちょっと、そんなんじゃないってば。私、高いところ苦手なの。」
「宙返りとかやってみる?」
「ダメ!絶対にダメ!やったら絶交だからね!」
やってもいないのに干渉涙目になって言われた。
そんなに高いところが苦手だなんて。妖怪としてどうなのよ、花子。