東方トライアングル   作:幻想郷のトラウティスト

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第4話(改訂)

血を流し、着替えを終えた私が咲夜と応接室の中に入ると部屋の中央にあるソファに2人は並んで座っていた。

花子が立ち上がるとレナもつられる様に立ち上がる。

私は2人の前でカーテシーの後に。

 

「私の名はレミリア・スカーレット。これでも500年以上の年月を得た吸血鬼よ。人間共からは紅い悪魔、永久に幼き紅い月などと呼ばれていた事もあるわ。

私の後ろに居るメイドは十六夜咲夜、私専属のメイドであり私の治める紅魔館のメイド長を任せているわ。」

 

「十六夜咲夜と申します。以後お見知りおきを。」

 

咲夜が一礼する。

 

「私は紫藤レナ、19歳です。聖マリアンヌ女学院に通っている高校2年生をしながら魔法騎士をしています。」

 

咲夜の様に優雅に、とは言えないが丁寧さは十分に伝わる礼を返してくる。

 

花子が妖怪だと知って付き合っているから慣れているのか。それとも私の紅い瞳と背中の羽からある程度予想していたのか。

私が吸血鬼だと言っても大して驚かず自己紹介をする。

 

「座って頂戴。」

 

2人の目の前に座り、咲夜が私の右斜め後方に控える。

 

「魔法騎士ねぇ、500年以上生きているけどそんなのがいるなんて初めて知ったわ。そもそも、貴方、人間なの?あの、エスクなんたらとかトカゲ擬きは何者なのかしら?ああ、先に言っておくけれど私に嘘や誤魔化しは通用しないから、そのつもりで答えなさい。」

 

右腕で頬杖をつき、足を組みながら威圧感を放ち聞くと。

レナがしっかり私を見ながら説明を始める。

あら、意外と度胸あるじゃない。

 

「魔法騎士とは、・・

・・・・・・少女説明中・・・・・・

・・と、いう事なんです。」

 

成程ねぇ。要約すると、レナは地球出身の人間では無く異世界エーテルフィアにあるグローリアス女王国の王宮騎士団所属の魔法騎士とやらで、壊滅した反女王国組織ゴルドが日本の間宮市にアジトを作った事が判明したので捜査の為に派遣されたと。

 

「なるほど、で、連中はこの街で何をしているのかしら?当然調べはついているんでしょ。」

 

「それは、捜査上の秘密事項にあたるので。」

 

「あっ、レナt「少し怖い思いをしないとわからない様ね。」

 

『パチン』

 

花子の声を遮って私がそう言って指を鳴らすと。

レナは危険を察知してか。ソファを後ろに倒す様にばく転して立ち上がり剣の柄に手をかけたが抜刀出来ず。

金縛りにあったかのように微動だにせず、目の焦点が合っていない顔を青白くさせ、滝の様に汗を流し始める。

さて、どれぐらい持つかしら?

・・

・・・・

・・・・・・

普通の人間なら持って1分なのに、3分程待つがまだ根を上げない。

 

「おや、意外と頑張るわね。」

 

「ちょっと、レミリアさん。レナちゃんにはあまり酷い事はしないで。」

 

「はいはい。」

 

『パチン』

 

もう一度指を鳴らすと。

レナの目の焦点が合い、膝をつきそうになったが何とか踏みとどまる。

 

『パチパチパチ』

 

ソファの背もたれに体を預けレナの健闘に拍手を送る私を彼女は鋭く睨みつけると今度こそ抜刀しようとするが花子が慌てて止める。

 

「レナちゃんじゃレミリアさんには絶対勝てないよ。だから、それだけはダメだよ。」

 

柄を握った手に自分の手を添える花子を見ずに相変わらず警戒を続けるレナに私は右腕で頬杖をつきながら。

 

「安心しなさい。脅かしはするけど危害は加えないわ。」

 

「あれは脅かすなんてレベルではないわ。」

 

「あら、貴方の故郷ではそうなのね。フフフ・・よく考えなさいなレナ、貴方は私の友達である花子の友達で、命の恩人でもあるのよ。そんな貴方を手にかけると思う?」

 

「レナちゃん、私はレミリアさんとレナちゃんが戦うのなんて見たくないよ。」

 

花子の一言が決め手になったのかレナが剣の柄から手を放す。と、気配を察知したのか慌てて後ろを振り返ると、そこには目の前にいたはずの咲夜がいた。

能力を使ってレナの後ろを取った咲夜が突然の事に唖然としているレナにすれ違いざまに呟く『命拾いしたわね』と、一瞬だけど瞳も赤かったわね。

何事もなかったかの様にレナが倒したソファを元に戻した咲夜。

花子は昨夜の呟きに気付いていないのかお礼を言っている。

 

「?どうしたのレナちゃん。」

 

花子が相変わらず後ろを向いているレナに話しかけると。

 

「えっ、あ、えっと、なに?」

 

「なにって、それ私の台詞だよ。早く座ってよレナちゃん。」

 

「あ、うん。」

 

レナが定位置(レミリアの右斜め後ろ)に居る咲夜を警戒しながらソファに座る、やれやれ、ちょっと脅かしすぎちゃったわね。

 

「さてと、捜査で知りえた情報は職務上安易に公開出来ない。とういう事だったかしら?」

 

「はい、その通りです。」

 

「では、取引をしましょう。」

 

「取引ですか?」

 

困惑気味のレナに私は笑みを浮かべると。

 

「ええ、貴方は先程学校で私に助けられたでしょう。」

 

「はい。そうです。」

 

すこし悔しげな表情のレナに私は続ける。

 

「つまり、貴方は私に借りがあるって事になるわよね。」

 

「えっ、そ、それってもしかして。借りがあるんだから情報を開示しろってことですか。」

 

「察しが良いいわね。その通りよ。」

 

レナが私の言葉に悩み始める。私の提案を即座に拒否しなかったのはさっきの事が影響しているのかしら。

 

「レナちゃん、レミリアさんは500年以上生きた吸血鬼で紅い悪魔なんて呼ばれる程だから、借りを返せるなら返しちゃった方がいいよ。

本人の前でこんな事言いたくないけど、借りなんてあったら後で何を要求されるかわかったもんじゃないし。」

 

「ええ、本人の前でいう事ではないでしょうけど花子の言う通りね。今のところ私が興味を持っているのは情報だけど、この先貴方の何に私が興味を持つかなんて私にもわからないしね。」

 

花子に続いて私はそういった後、少しばかり目を細め、かすかに牙を見せながら舌先で唇をなめるとレナはビクリと身を震わせた後、少し考えて。

 

「わ、わかりました。私が得た情報でしたらお話します。」

 

「取引成立ね。じゃあ最初の質問だけど。ゴルドの目的は何なのかしら。」

 

「ゴルドの目的は、組織の復活です。先程お話したとおりゴルドは壊滅しましたが、我々騎士団の動きを察知して異世界へ移動する転移術を使い組織の本拠地をこの間宮市に移設中だったのです。ゴルドの本拠地を強襲して得た資料からその事を知ったのは一部の幹部と、かなりの量の資材、設備が移転した後でした。」

 

「組織の復活が目的として。彼等は具体的にどんな事をしているのかしら。」

 

レナの答えを受けて続けて質問する。

 

「具体的な行動については、現在の調査結果では2つ判明しています。1つは設備を稼働させるエネルギー源の確保です。

エーテルフィアにあった本拠地と同様、地中を流れるエネルギーが集中して、抽出しやすい場所を選んでいると思われるのですが。

正確な場所はまだ不明です。もう1つは、戦力の増強です。ゴルドの戦力は大きく分けて2種類です。1つは下魔と呼ばれている二足歩行するトカゲの様な魔物です。

もう1つは下魔より高い身体能力や知能をもった魔物で現在十数種類確認されています。これらはエクリプスと呼ばれています。先程レミリアさんが倒されたエスクローグもエクリプスです。」

 

「地中を流れるエネルギーが集中して、抽出しやすい場所ねぇ。霊脈みたいなものかしら。それにしても、エクリプスだなんて名前負けもいいところね。」

 

思わず嘲笑が浮かぶ。

 

「連中が戦力を増強するのはわかったけど、どんな方法で増強しているのかしら。」

 

「エーテルフィアでは下魔やエクリプスを増やす為に人間や妖精の女性を攫っていました。ここから先は言わずともお分かりになるはずです。」

 

「えっ、ちょっとまってレナちゃん。じゃ、ここ最近の女性失踪や私がさっき攫われそうになったのって、もしかして。」

 

「ええ、そう。最近頻発している深夜の女性の失踪は下魔やエクリプスを増やす為。花子ちゃんが攫われそうになったのは、妖怪が妖精の代用と成りえるかの実験の為だと思う。」

 

「えぇ、なにそれ!」

 

花子が自分の体を抱きしめてブルブルと震える。

 

「大丈夫、花子ちゃんは私が絶対に守って見せるから。」

 

レナが震える花子を抱きしめているけどねぇ。

 

「さっき花子を人質に取られて窮地に立っていたのは誰だったかしら?」

 

「うっ・・」

 

言葉に詰まるレナ。

 

「まあ、貴方の失態はどうでもいいわ。」

 

頬杖をついていた右腕を解いて、右手と左手を軽く組み、目を瞑る。

 

「気に入らない。」

 

開いた目は瞳孔が爬虫類の様に縦に裂けているのだろう。

 

「古来、人々は夜の闇を恐れ。その恐怖が妖怪を生んだわ。それも昔の話、今や夜の闇は人口の光に掃われ妖怪達は人々から忘れ去られていき。花子の様にひっそりと存在するか。私の様に幻想郷に流れ着くかしかない。」

 

私の魔力にあてられたか花子とレナは何も言わずに続きを待っている。

 

「そんな主を失った夜を我が物顔で余所者が我が物顔で闊歩し、あまつさえ妖怪にすら手を出すなんて、お前はどう思う紫。」

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