「「何これ?」」
IS学園が夏休みになって三日たったある日。俺と風は束ねぇのラボに戻っていたのだが俺の部屋のドアを開けると真っ黒な穴を見つけた。
「なぁ、お前俺の部屋に何しやがった?...何時もならそう言うんだけど...お前じゃないよな?」
「うん...束ねぇでもないだろうし...クロねぇがするなんてあり得ないもんね...でも、一応束ねぇに確認して見るね」
そう言うと風はISを使って束ねぇに連絡を始めた。
「束ねぇも知らないって」
「そうか...入ってみるか簡単には戻れないかもしれないから束ねぇに帰って来れる道具を作ってくれるように言って後、戦闘とか移動とかに使えるだろうからISのシールドエネルギーを風力とかで回復する道具もお願いして」
「わかった」
準備が終わったのは束ねぇに連絡してから30分後の事だった。
「それじゃあ気をつけてね?帰ってくるときの道具はISを呼び出す要領で此方に転送する道具だからね?完全に此方が雷くん達の位置をつかまないと使えないんだから慎重に動いてね?使えるようになったら連絡するから」
「怪我をしないようにするんですよ?」
心配そうな顔で束ねぇとクロねぇが見送りをしてくれている。ただ俺は、そんな二人には悪いけど心配な事があった。
「分かったよ。束ねぇ達も俺達がいない間にハンバーガーばっかり食べたりしないでよ?」
「それを実際にやりそうで恐い」
この二人は、料理が壊滅的に駄目なのだ束ねぇは、新しい物を作ろうとして色々入れて色や味がヤバい物しか作らないしクロねぇは、何時も眼をつぶっているからもっての他。と言うか眼をつぶっているのに何で日常生活に支障無いんだろうか?。不思議だ。
「そ、そ、それはだ、だ、大丈夫だよ」
「束様、本当にハンバーガーばかりにしようとしたのですか?」
「しょうがないじゃん‼雷くんと風ちゃんのご飯食べていると自分の料理とか食べれたもんじゃないんだもん‼」
自信満々に言われても...大体束ねぇが色々入れるのを辞めたらいいのに。
「は~仕方ないですね...。まぁ、食事はどうにかしますから行ってきてください」
そんな束ねぇを見て盛大にため息を吐きながらクロねぇが俺達に手を振ってくれて束ねぇも誤魔化すように手を振る。
「それじゃあ行ってくるよ」
「元気でね?」
俺と風は、手を振り替えしながら穴を潜った。
穴自体は10秒ほどで抜けた。
「へ~いい眺めだな」
「ホントだね~」
穴からでるとそこは山の真っ只中だった。そして穴は俺達は、出るとすぐに閉まってしまった。どうやらこの山は標高が高いのか木どころか草の一本も生えていない。ただただ雄大な風景が広がっている。ただ、その雄大な風景をぶっ壊している物がある。
「なぁ、後ろにあるでかい奴は何だと思う?」
そう灰色のデカイロボが後ろにあるんだ。
「さぁ、知らない。気のせいか近くに人が倒れているみたいだし行って見ようよ」
俺達は、風が拾った生体反応を頼りに灰色のロボに向かって歩き出した。
「ほんとに倒れていたよ...」
近づいてみると確かに一人の黒髪で短髪の男が倒れていた。
「そんなことより猫だよ‼猫‼」
ただ、風は男に興味が無いようで近くにいる黒猫の方に向いていた。その猫は此方への警戒心を、露にして唸っている。
「あんた達、誰?近くに人なんか居なかったはずなのに...」
急に女の人の声が聞こえてきた。慌てて回りを見渡すが近くに人影はない。
「風‼近くにこの男を除いた生体反応他のはあるか!?」
「無い‼、居るのはせいぜいそこにいる猫ぐらい」
風と背中を合わせてさらに周囲を警戒するがやはり人の姿はない。
「動きが素人じゃない‼あんた達はまさか貴族達の差し向けた刺客!?」
また、声が聞こえてきたがやはり周囲に人影はない。となると...
「まさか...」
「まさか...この猫!?」
風が驚くのも無理はない。男が気を失って倒れていて聞こえてくるのは女の声。回りに人影どころか生体反応すらない。となると喋っているのはこの猫以外に居ないことになる。
「まさか猫が喋るとはな...」
「もしかして、異世界にでも来ちゃたのかな?」
「う~ん...ハッ!、ここは...」
考え事をしていると気絶していた男も目覚めたようだ。
「お前達は誰だ?何故俺はこんなところで倒れている?」
目覚めた男はすぐに起き上がって徒手格闘の構えをとり俺達を睨んでくる。
「お前こそ誰だ?」
「トールズ士官学院Ⅶ組 リィン・シュバルツァー」
俺が問いかけると学校名とクラスを答えてくるところを見るとどうやらこいつも学生らしい...。
「俺は雨宮 雷こいつは妹の風。ただの通りすがりの傭兵だ」
「ちょ‼」
何か余計なことを言おうとした風にプライベートチャンネルで黙っていることを伝えて俺はリィンを見つめる。
「お前、俺達を雇うつもりは無いか?報酬は衣食住があれば良い」
「雇うにしてもお前達の力量も知らないし今は俺自体ここがどこかわかってないから断る」
「それならどうせ俺達も遭難していたんだ。山を降りて人里に行くまで俺達の力量を見たら良い。それで気に入ったら契約それでどうだ?」
俺がそう言うと、
「それなら構わない。それとお前達と話している間に思い出した...。セリーヌ、ヴァリマール良くも勝手な事をしてくれたな...」
「ひどい言いぐさね...あんたの命を助けてあげたのに...」
「誰も頼んでいない‼」
リィンはセリーヌと呼んだ猫と少しだけ言い合った後すぐそばに膝を付いている灰色のロボに駆け寄り足を思いっきり殴った。
「おい‼起きろ‼俺をトリスタに帰してくれ‼」
灰色のロボはなにも反応しない。風の音だけが虚しく周囲を包む。
「無駄よ。
セリーヌが説明が耳に入ってないのかリィンは、今度は崖に向かって歩き出した。
「ノルティア州の北方。アイゼンガルド連峰の一角みたいだな」
「へ~良く分かったわね...さすが山育ち...」
セリーヌが感心したようは声をあげるがリィンは、無視して俺達の方に歩いてきた。
「行こう。ここにいても死ぬだけだ。俺も行きたい場所が出来た」
そう言うとリィンは、ゆっくりと近くに落ちていた太刀を手に取り山を降り始めた。俺達も慌てて付いていく。
「ちょっと待ちなさいよ‼」
猫のセリーヌも慌てて付いてくる。
こうして、三人としゃべる猫一匹と言う不思議な組み合わせで俺達は、下山を始めた。