六時間ほど歩いて日が暮れる頃にやっと俺達はリィンの故郷のユミルに着いた。着いたのがもう日が暮れかけていたためざっと見た俺達はこれからユミルにいる間にお世話になる宿、凰翼館へと入っていった。
「ここがユミル...少し見て回ったけどゆっくりできそうな良いところだな」
「だね~」
「気に入っていただけたようで嬉しいです」
俺達がそう言うと前を歩いているリィンの妹のエリゼが後ろに振り返りながらそう言ってきた。一緒にいたトヴァルと言う警棒を持っていた男とリィンがアルフィン殿下と呼んでいた女の子は先にリィンを実家の屋敷に寝かすために連れていったのだがこのエリゼは俺達に聞きたい事でもあるのか俺と風がリィンの父親に泊めてもらっている凰翼館の俺達の部屋にまで着いてきていた。
そして部屋に入るとエリゼはベッドに座っている俺達の前に椅子を持ってきて話を切り出した。
「で、雨宮ご兄妹様は...どうしてあんな場所にいられたのでしょうか?」
「別に様とかご兄妹とか言わなくていい。名前で読んでくれ。俺は雷で」
「私は風でよろしく」
俺がそう言うとエリゼ少し考えたが直ぐに納得しエリゼ自身を俺達もエリゼと呼び捨てにする事を条件で納得した。
「で、何であそこに居たのかはな...」
俺はそういた理由を言おうとするのをわざと遅くして風にプライベートチャンネルを送った。
(おいどうする?)
(私が言うのに合わせて)
(了解)
風との短い会話をした後俺は風が言うのを少しだけ待った。その間エリゼは自分が悪いことを聞いたかと少し心配そうな表情をしていた。
「実は私達自分達が何であそこにいたかわからないの...」
「えっ?どういう事ですか?」
エリゼが風に顔を近づけて聞き返す。
「実はね...」
風はそう前置きすると適当な作り話を語りだした。内容は俺達はあの山を登っている途中に崖から落ちたらしい事落ちた衝撃で記憶をなくし残っている記憶は戦い方と自分の職業それと機械鎧(IS)の事だけだとかそれでも機械鎧の事の記憶は虫食い状態で聞かれても説明できないと言い俺はそこに説得力が増すように頷いたり適当な作り話風の言葉に合わせて語った。
「そうだったのですか...」
エリゼは俺達の作り話を神妙そうに聞いていた。聞き終ると立ち上がりベットに座る俺達に頭を下げた。
「そんなに大変な状態なのにお兄様を助けていただきありがとうございます‼」
「気にしないでくれ。言い方は悪いが俺達も生きるためにリィンを利用したような物だからな。記憶がない俺達にとっては仕事をして衣食住が確保できるなら嬉しいことだからな」
「だよね~」
俺がエリゼにそう言って頭を上げるように言っている間でも風はIS学園で俺と二人きりとかでは無い限りいつも使っているキャラクターを使っていてエリゼの人間性を確認するためにわざとバカみたいな態度を取っておどけている。風がそうおどけているとエリゼは頭を上げて立ち上がった。
「今日は戦ったりして疲れているでしょうにお邪魔してすみませんでした...。ゆっくり休んでくださいね?」
「ありがとうな」
「ありがとね~」
俺達がそう言うとエリゼはまた頭を下げてから部屋から出ていった。
「どう思う?」
俺はISのハイパーセンサーでエリゼが俺達がいる部屋から十分離れたのを確認してから風に話しかける。
「そうだね...。今のところお兄様大好き子であんまり裏表が無さそうな子だね」
風の言葉に確かになと相づちをうち俺達は少し雑談をして寝ることにした。風が部屋の明かりを消して俺達はベッドに潜り込んだ。
「わかっているよね...簡単には信用しちゃダメだよ...」
「わかっている」
こうしてユミルの初めての夜は明けていった。
最後の文で雷と風の人間性を感じて頂ければ幸いです