艦隊これくしょんZERO 〜Flying death flag〜 作:Mobius-390
が、作者の脳内は
ラーズグリーズ < XFA-27(限定ドロップ)
となってるようです。
そんな作者の書く「第2話」、始まります
午後3時 宿毛湾泊地
「よし!工廠裏を抜けた!」
鎮守府の敷地内を全速力で駆け抜ける者がいた。
「あと200m…ここを突破すれば滑走路だ!」
口から飛び出す内容の限りでは、不法侵入の身らしい。
「見えた!格納庫だ!」
対Gスーツにフライトジャケットを着たその男は…
そう、PJであった。
え?鎮守府に着任予定のPJが、どうして鎮守府に忍び込むハメになったのかって?
話せば長い。
******
1時間前。喫茶店「ルーカン」店内
「鎮守府に新兵器?普通じゃないっすか?」
相変わらずアイスコーヒーを飲んでいたPJは、喫茶店の店主である「ウィザード1」ことジョシュア・ブリストーに聞き返していた。
「2日前、この店の前を大型トレーラーの連隊が通った。敗戦国の、しかもこんな地方都市に軍用の大型トレーラー。何か怪しくねぇか?」
「基地がある以上、何も怪しくないっすよ。」
ウィザード1からこの世界の情勢について一通りの説明を聞いていたPJ。
15年前に連合国軍を相手取った戦争に負け、連合国によって軍隊が解体されたこの国。
それから10年後、比較的平和だった世界を揺るがす大事件が起きた。
それが、深海棲艦と呼ばれる謎の勢力の出現だった。
その所属艦は、どれも人1人ほどのサイズしかないが、その攻撃性能は既存兵器が太刀打ちできるレベルではなかった。
とある教授が言うには、「深海棲艦の戦艦級1隻と互角に戦うのは超弩級戦艦でも不可能。「妖精」か「鬼」でも連れてくれば勝てるかもしれない。」とのこと。
当然ながら戦勝国も自国の防衛に手一杯。
太平洋を始めとする海という海はあっという間に深海棲艦の領海になった(って言っても領土は持ってないが)。
再建された日本政府も漸く動き出したが、相変わらず防衛能力は皆無に近かった。
その状況下で、この宿毛に配備された新兵器。
怪しいと思う要素は一切無かった。
「まったくお前は…ロマンが無いなぁ。」
「ロマンって…アンタは何がしたいんすか?」
「とにかく、あそこに何らかの新兵器が配備されたのは間違いないんだ!」
「で?俺にどうして欲しいんすか……まさか!?」
言った時にはもう遅かった。
ウィザード1は、何かを企んでいるような目でPJを見ていた。
******
そして現在。
PJは格納庫前、「関係者以外の立ち入りを禁ずる」と書かれた看板の前を駆け抜けていた。
「なんで提督として着任予定の筈の鎮守府に不法侵入しなきゃいけないんだよ!?」
結局あの後、PJはウィザード1に半ば脅される形で鎮守府への潜入を引き受けてしまったのだ。
幸いにも入り口からここまでは誰にも見つかっていなかった。
が、元々基地勤務の人間であるPJからしてみれば、それが逆に不自然だった。
「それにしても…人が少な過ぎる…」
普通に考えたら、軍の基地に侵入するのは容易ではない。
何も配備されていないにしても、基地には警備他の職務を受け持つ多くの人間が勤務している。
そして、仮にウィザード1が言う「新兵器」があるならば、警備は尚更厳しいはずなのだ。
「俺、また騙されたのかなぁ……」
ヴァレーにいた頃、PJは頻繁にひどい目に遭っていた。
落とし穴やトラップは日常茶飯事。
ある時にはYF-23のウェポンベイ内部のパイロンに縛り付けられ(犯人は片羽とクロウ1)たまま放置されたこともあった。
挙げ句の果てに何も知らないウィザード1(確信犯)が、その機体で哨戒任務に出撃した(PJは離陸する辺りで気を失っていた)。
今回もその流れなんじゃないのか?
そんな考えを頭の隅で転がしながらも、PJは目的地に向かってひたすら走った。
仮に冗談じゃなかったにしても、ここで見つかったらマズいのだ。
軍事施設への不法侵入は平時でも大問題。
そしてウィザード1が言うには、この鎮守府には新兵器が配備されている、
この状況で、もし見つかったら…
「じょ、冗談じゃ…しまった!」
前を人が通りかかった。
「まずい!どっかに隠れないと…!」
PJから見て右側には格納庫の出入口。左には工廠の壁があった。前には前述の通り、人が2人。周囲に身を隠せる物は無かった。
となれば、取る道は1つしかない。
PJは格納庫のドアを開けて中に飛び込み、すぐに物陰に隠れた。
が、そこまでにPJはかなりの数の物音を立てていた。
「今、何か物音が…」
外の声に対して腕が震えているPJだったが、幸運にもそれは杞憂に終わった。
「ん〜…ま、気のせいよねえ。」
パタパタ…
「ふぅ…危なかった。」
冷や汗を拭ったPJは、一息ついてから格納庫の中を見回した。
が、見回した格納庫の光景に対して、今度は唖然とする羽目になった。
「これは……どうなってるんだ!?」
格納庫の中には、垂直尾翼に「001」「002」「003」「004」と番号が振られた戦闘機が駐機されていた。
その4機の共通点は、胴体と垂直尾翼の形状。そして、単発のジェットエンジン。
PJが呆然としながらその戦闘機を見ていたその瞬間、格納庫に設置されたスピーカーから声が響き渡った。
《遠征中の第11駆逐隊より入電!南方30kmに敵航空部隊と敵艦隊を確認!出撃可能な艦、及び戦闘機は即座に出撃してください!》
「…救援要請か!?」
彼は無線の内容を聞き取った瞬間に、即座に現場の状況を推測した。
******
この基地の南方30kmの海上に敵艦隊。
戦闘機がいる=航空母艦がいる可能性が高い。
発見したのは駆逐艦隊=索敵距離や航空兵力の有無からして、既に敵航空部隊と交戦中と考えられる。
この状況で求められる支援=火力支援か航空支援。
ここまでの経路で目にした艦船の数は0=火力支援は不可能。
残された選択肢は航空支援
→目の前には戦闘機が4機。
→手前から攻撃機、多目的機、多目的機、制空戦闘機。
→1番使い慣れているのは…
******
PJは突然、格納庫の逆端へ向かって走り出した。
「だとしたら… 一番活躍できるのはこれだけだ!」
PJは近くに置かれていたコンテナを踏み台にして右端の機体の主翼に飛び乗り、キャノピーを開けてコックピットに飛び込んだ。
シートの上には1つのヘルメットが転がっていたが、PJは飛び込んだ瞬間にヘルメットを被り、酸素マスクを付けた。
ベルトを付けて機体の電源を入れる。
ディスプレイにレーダーや兵装搭載数が表示され、HUDに機体角度、速度や高度が表示された。
ディスプレイと計器の正常作動を確認したPJは簡単な機体チェックを行うべく右手で操縦捍、左手でスロットルレバーに握り、両足をペダルに乗せた。
そして操縦捍を勢いよく振り、ペダルを踏み込んだ。
PJの手元の操縦桿や足下のペダルの動きに合わせ、急激に動くヨーやフラップ、エアブレーキなどの可動部位。
「よし。操縦系統、エンジン、油圧、火器管制、どれも異常無しだな。」
一瞬で機体チェックを済ませたPJはエンジンのスロットルを5%ほど開き、機体を滑走路へ向かって進ませた。
格納庫を出て、真夏の太陽の下にその姿を見せる1機の戦闘機。
尖ったデザインをした灰色の機体。
垂直尾翼には「VL」「SK」「001」の文字。
主翼には国籍を表すラウンデル。
そして、機首には「矢を咥えたカラス」のエンブレムが描かれたその戦闘機の名は「F-16C ファイティング・ファルコン」。
ペダルを踏み込み、機体を滑走路への最短ルートに向ける。
「管制塔は無いが…離陸していいのか?」
そんなことを呟いているうちに、戦闘機は滑走路にたどり着いた。
PJは機体の向きを滑走路に合わせ、スロットルレバーを1番奥まで押し込んだ。
「まぁいいや。クロウ3、離陸を開始する!」
単発のエンジンが唸り声を上げ始め、同時に機体が少しずつ前に進み出した。
******
同じ頃。
格納庫裏を2人の少女が、滑走路の方角へ向かって走っていた。
「北上さん。これ、もしかして何かの演習ですか?」
「ううん、格納庫に置いてある戦闘機が動き出してるんだってさ〜。」
「…何で、こうも簡単に不法侵入されるのよ!」
「まぁまぁ大井っち。提督が居なくなってからみんな抜け殻になっちゃってんだもん、仕方ないよ〜。」
右は表裏が激しく、左はとことんマイペースな性格のようだ。
「まぁ、とにかく今は戦闘機を止めないと。新しい提督に着任早々怒られるなんて、あたしはやだよ〜。」
「大丈夫です。北上さんを傷つける人は海のも……」
大井っちと呼ばれた少女の言葉は、滑走路に待機していた戦闘機のエンジンの轟音で掻き消された。
「…すっごい音だねぇ〜。」
「あ!2人も見に来ましたかー!」
エプロンには、カメラを構える1人の少女がいた。
彼女は飛び立とうとしている戦闘機に別に慌てる訳でもなく、只々カメラを構えてシャッターを切っていた。
「明日の一面はこれで決まりですよ!」
シャッターを切りながら自慢気に話すカメラマンに対し、呆れた顔をする大井と北上。
「青葉。あんたは明日の一面よりも提督が来た時の言い訳を考えた方がいいんじゃない?」
「フフフッ、北上さん。それについては問題ありません!なぜなら!」
「なぜなら、何?勿体ぶってないで早く教えなさいよ!」
「おっと!大井さん、それは今日の夕刊をお楽しみに!それでは!」
青葉と呼ばれた少女は、そう言い残して足早に退散した。
「相変わらず速いねぇ〜。それじゃあ大井っち、あたしらも仕事するよ!」
「はい、北上さん!」
******
「こんな短い滑走路からの離陸、初めてだ…!!」
ここの滑走路は1000mほどしかなく、しかも海側から強い潮風が吹き付けていた。
PJの機体は離陸開始からアフターバーナーを吹かしていたが、なかなか離陸速度まで達しなかった。
「V1!やっとか…」
原因は離陸方向と離陸開始地点にあった。
実はPJ、救援へ向かうのを急ぐあまり、機体を風の吹き付けて来る海側へ向かって離陸させようとしていたのだ。
滑走路の両脇に時間別の離陸方向を示す標識があったにも関わらず、コックピットの多機能ディスプレイに風向きや風速が表示されていたにも関わらず、何をどう間違えたのか、彼は後先を考えずに風の吹きつける海側へ走り出してしまったのだ。
離陸開始地点にしても同じことだった。
急いだPJは滑走路へ向かって文字通り直進した。
そして、たどり着いたその地点から離陸を始めてしまったのだ。
ちなみにその地点は、中心から170mほどの海寄りの所。
つまり、海側の端までは370mしかないのだ。
対するF-16Cの離陸滑走距離は約250~260m。
本来ならば、この段階で離陸を中止して反対側へ再離陸するのが常識なのだ。
が、頭の中が「航空支援」と「緊急事態」の8文字で一杯のPJは、相変わらずスロットルレバーを押し込んでいた。
その時、無線から若い女性の声が響いた。
《あー、あー。離陸中の戦闘機、聞こえてる?》
この声のお陰で、PJは何とか冷静になった。
恐らく管制官なのだろう。そう思ったPJは、いつも通り答えた。
「こちらクロウ3、聞こえてる。どうした?」
《加速してるところ悪いんだけどさ〜。離陸、中止してくれない?》
PJは驚くを通り越して呆れた。
VR(離陸決心速度)に達しかけている戦闘機に向かって「離陸を中止しろ」だって?
「VRへ到達してる、もう無理だ!」
これが常識的な返答だろうとPJは思った(実際のところ常識的)。
《ぶいあーる?よく分からな……》
《今すぐ戻れって言ってんのよ!》
が、返ってきたのは「VRの意味が分からない(PJの意訳)」と言う緩い声と、音割れする音量で「さっさと戻ってこい!(PJの(ry )」と言う怒鳴り声だった。
が、機体速度は既に最低離陸速度の260㎞を軽く越えた300㎞に到達し、PJの目の前には真っ青な海とアスファルトの境界線が見えていた。
「もう無理だ、このまま行く!」
《ちょっと!?聞いてなかったの!?今すぐ戻れって言ってんのよ!》
《行かせてあげなよ 大井っち〜 無理なものは無理なんだから》
「クロウ3、離陸する!」
操縦桿を引き、機首を上げる。
ギアが地上を離れ、身体が浮遊感を感じる。
「ギア収納、V2!」
機首を上げたF-16は高度300m程度で水平飛行に移動し、無事離陸に成功した。
それと同時に、再び通信が入った。
《えっと…クロウ3 だっけ?》
「どうした?」
《問題なく離陸出来てたよ〜 ギリギリだったけど》
「報告に感謝する。ギア収納、目的地を1-4-6海域へ設定。これより当機は、第11駆逐隊の援護に向かう!」
《そうは言うけどさぁ〜、出来んの?アンタ、只の一般人でしょ?》
緩い声のこの発言に対し、PJは自信満々で答えた。
「やってやるさ…!これくらい出来ないと、サイファーに笑われるからな!」
PJの乗機を発表します。
ハイ・ローミックスの「ロー」の方「F-16C」
シリーズではいまいち存在感の薄い「F-16F」
現実と真逆に大活躍の実験機「F-16XL」
空対艦ミサイル4発搭載を可能とする対艦番長「F-2A」
以上の4機種です。
塗装は全てF-16Cのロービジ塗装(PJカラー)。
特殊兵装については基本的にインフィニティ仕様ですが、場合に応じてX2やZERO仕様になる可能性が大です。
作戦に応じて4機を使い分ける事になる予定ですが、知ってる人は知ってる筈です。
PJは、アレが苦手だと…
それではまた次回。
ご感想やご意見、待ってます。