前編、後編に分けてこの話を書きます。
もし好評でしたら、さらに続きを書きます。
後編からはパルスィがカッコよくなります。
それでは、オタク文化の発展のあらんことを。
「・・・・・・こうして、紅い霧が消え、巫女と吸血鬼は仲良くなり、幻想郷の人々に笑顔が戻りました。めでたし!」
指に巻いた、人形を操る糸への集中を終わると同時に大きな拍手が起こる。
笑顔で手を叩いてくれている子供たちの顔を見ると、私もつられて顔が緩む。
「おねーちゃん、ありがとー!」
「すっごく楽しかった!」
「ハァ、ハァ、アリス可愛いよ、アリス・・・」
「わー、お人形さんかわいいー!」
・・・・・・一部、大きなお友達も混ざってるけど。
「ありがとう、みんな!次もお楽しみに!」
子供たちに手を振りながら、寺子屋を後にする。
とても名残惜しいけどね。
「こんどは、何の劇にしよっかなー♪」
我ながら、今回の劇は大成功だったと思う。
実際にあった出来事を題材にしたからか、男の子、女の子問わず、大好評だった。特にメイドと巫女が戦う所が1番盛り上がったなぁ。
次から弾幕ごっこを人形で表現してみようっと。
「アリスさん!」
鼻歌を歌いながら人里を歩くと、行きつけの布屋の店員に声をかけられた。
「外の世界から珍しい布が手に入ったんだ。良かったら見て行かない?」
「え、ほんと!?」
外の世界の布は貴重品だ。滅多に幻想郷に流れて来ないし、見た事のない技術で作られているから生産も出来ない。故に、手に入りにくい。
その希少価値からか、外の世界の物を集めるコレクターもいるほどだ。
「凄い!どうやって仕入れたの!?」
「アリスさんの人形劇を見てたコレクターの人が、ぜひこの布を使って欲しいってさ。『ふぇると』って言うらしいよ」
「へぇぇ・・・・・・!」
店員の手にある、それを見る。
色合い、種類、品質。どれをとっても素晴らしい出来だ!
外の世界って凄い!
「色も十種類あるんだ・・・・・・はい、アリスさん」
「え、いいの?」
「うん、僕もアリスさんの人形劇、見たいから」
十種類の布、それが自分の物になるとわかって、私は感動と喜びが入り混じって、今自分がどんな顔をしているのか分からなくなった。
「ありがとう・・・・・・ありがとう!今日は人生最高の日だわ!この布で最高の人形を作るから、あなたも絶対に見に来て!ね!ね!」
「あ、アリスさん・・・・・・そ、そ、その、近い、よ?」
興奮のあまり、彼の手をとって顔を近づけていた。
慌てて、彼から離れる。
人形のことになると周りが見えなくなるのは、私の悪い癖だなぁ・・・・・・お母さんにも言われたけど。
「ごめんなさい」
「いやいやいやいや、全然!・・・・・・むしろ良かったというか・・・・・・」
「ん?」
「な、何でもない!」
彼は顔が真っ赤になっていた。風邪気味かな?冬で肌寒いし。
彼を心配する言葉をかけようとしたその時、人里の通りが何やら騒がしくなっていることに気づいた。
「どうしたんだろう」
彼は、人だかりの方へ向かって行った。私もそれについていくことにした。
人だかりの中心には、人が倒れていた。
黒いロープに身を包んだ人が、仰向けで。
ぴくりとも動いていなかった。
「なんだ?行き倒れか?」
「何処から来たんだ?」
「人喰い妖怪じゃ、ねぇよな・・・・・・」
人里のみんなは、警戒しているのか、近づこうとしない。
そんな中、私は近づいた。
好奇心だったのかもしれない。良いことが起きたばかりで浮かれていたからかもしれない。
みんなが私を見守る中、黒いロープの人の顔を覗いた。
私と同じ金色の髪、整った顔立ち、絹のように白い肌。
(まるで、人形みたい・・・・・・)
それがあまりにも、あまりにも綺麗だったから、まじまじと見てしまった。そのせいと云うべきかおかげと云うべきか、『それ』に気がついた。
「・・・・・・・・・・・・!」
マズイ。『それ』は・・・・・・今、人里の人に見られると誤解されてしまう!
「・・・・・・魔力が少なくなってる!この人は私の家の魔法薬で治療します!」鞄の中から人形を取り出す。
「シャンハイ、ホウライ!この人を運んで!それと誰か担架を!」
こうして。
私は人生最高の日に3つ、得た。
人形劇が大成功したことによる喜び。
外の世界の珍しい布、十種類。
金色の髪、整った顔立ち、絹のように白い肌の。
耳の長い、女の子。
ーーーーーーーーーーー視点変更ーーーーーーーーーーー
「う、うん・・・・・・・・・・・・?」
目を開けると、何処かの中だった。
天井があるから建物だということはわかるが、今まで見た事のない造りをしていた。
それよりも驚いたのは、陽の光が差していることだ。
地底には陽の光は届かない・・・・・・じゃあ、ここは地上?
「め、目が覚めたー!」
「ぱるっ!?」
私が寝ているベッドの隣で、布と針を持った金髪の女が、突然大声をあげる!
「な、何!?あなた誰!?ここはどこ!?どうして私はこんなところに!?・・・・・・も、もしかしてその手に持っている物で私に何かするつもり!?」
想像外の何かを!?
「お、落ち着いて、えっと・・・・・・ここはわたしの家で」
「落ち着くぅ?騙されないわよ!そうやってさりげなーい優しさで油断させて、夜に襲うつもりでしょう!そんな手口は地底でかなり見てきたわ!」
「地底!?いや、その・・・・・・」
「はっ!もしかして事後!?ありえるわ!ベッドの上で何故か私、疲れてるし!」
「・・・・・・あの」
「やだー!あんなリア充共と一緒になっちゃったぁぁ!もう妬みにいけないぃぃぃぃ・・・・・・!」
「・・・・・・うう」
「パルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパル」
その後、自分の誤解だということが分かるまで、1時間かかった。
ーーーーーーーーーーー視点変更ーーーーーーーーーーー
「・・・・・・失礼、取り乱したわ。」
黒いロープを脱いで、変わった模様の服を着ている金色の髪の女の子は言った。
「地上に出るのは久しぶりでね・・・・・・まさか熱中症とは」
「空腹もね」
「しかも危うく人間に危険な妖怪だと思われかけたらしいじゃない。」
「あれは、危なかった。凄く。」
そう、私はあの時、ロープの下に隠されていた『耳』に気がついた。
明らかに人間のものではないそれは、妖怪ということの証明になる。
妖怪が人里にやって来たのだ、もしかしたら人を食べに来たのかもしれない。
じゃあ元気になる前に仕留めよう・・・・・・みたいなことになりかねなかった。
「私はパルスィ。水橋パルスィよ。本当に助かったわ」
緑色の目をまっすぐこちらに向けて、金色の髪の女の子は言った。
「私の名前は、アリスです。アリス・マーガトロイドって言います。・・・・・・えっと、パルスィさん」
「パルスィ、でお願い。さん付けされるほど私は偉くないわ、アリスさん」
「わ、私のこともアリスでいいです!」
私だって偉くないよ!
「命の恩人を呼び捨てにするのはちょっと・・・・・・」
「いいんですいいんです!」
なんか恥ずかしいし!
「・・・・・・わかったわ。じゃあ、アリス。ひとつ聞きたいのだけれど」
「なんですか?」
「そ、それは?」
パルスィはおそるおそる、わたしの人形、シャンハイを指差す。
「あぁ、わたし人形遣いで。この子はシャンハイっていいます」
「へ、へぇ・・・・・・作ったのは・・・・・・?」
「私です」
「!!!!!!!!」
パルスィがガタガタ震える。
「ど、どうしたんですか?そんな人喰い妖怪に睨まれた人間のような顔して」
「・・・・・・地底にね」
「へ?」
「白黒の服を着た人間が来てね、ちょっかいだしたら・・・・・・8体の人形にめっちゃ弾幕張られてね・・・・・・」
「・・・・・・あ」
霊夢と魔理沙が異変解決行った時だ。
「・・・・・・それ以来、たまに夢に出てくるわ・・・・・・」
「・・・・・・うちの子が、すいません・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・く、空気が重い・・・・・・!
「パ、パルスィはどうして地上に来たの?」
空気を変えなきゃ!
「地上の調査よ」
「調査?」
「そう。『地上と地底を気軽に行き来しよう』ていう計画があってね。事前調査ということよ」
「へぇ・・・・・・」
「私、空腹だったでしょう?」
急に話の方向が変わって戸惑う「う、うん」
「実は、お金は持ってるのよ。でも、これをみて」
パルスィは私に袋を渡す。中にはお金が入っている。
けどこれって・・・・・・
「・・・・・・かなり古いよね」
「そのとおり。地底はまだこのお金を使ってるの。地底では結構な大金だけど、地上だど古すぎて使えなかったわ」
「あっちゃー・・・・・・」
それで食べ物が買えなかったのかー
「こういうことが起きないように、調べるのが私の仕事よ」
パルスィはうなだれる。
「だけど、 どうしようかしら」
「何が?」
「さすがに無一文で調査は厳しいわ・・・・・・1度地底に戻るしかないわね・・・・・・」
落ち込んでるようだ。まぁでも気持ちは分かるかもしれない。
意気揚々と調査に出掛けてすぐに帰ったら、地底の人たちに白い目で見られるだろう。お前は何をしに行ったんだ、みたいな感じで。
「もし、よかったら」
私の頭には、ある考えが浮かんでいた。
「しばらくここに住みませんか?」
「え?」
あっけに取られた顔をするパルスィ。
「いや、えっと、ここに住めば人里に近いし、魔法の森にはそんなに強い日差しが来ないからいいかなーって」
「いや、待って。話が良すぎて信じられないわよ!あなたに得はあるの?」
「得?得・・・・・・・・・・・・・・・?」
別に得なんてなくてもいいのになぁ。
「あっ、じゃあ地底の話を聞かせて!人形劇に使いたいの!」
「・・・・・・それだけ?」
「それだけ!」
「・・・・・・・・・ふふっ、あはははは!あなた、面白いわ!」
突然笑い出すパルスィ。変なこと言った?
「じゃあ、お言葉に甘えていいかしら、アリス?」
「もちろんです!」
「・・・・・・ありがとう」
パルスィが手を差し出す。私も手を出して握手をする。
よろしくの仕方は地底も同じなんだなと、ふと思った。
こうして。
私、アリスとパルスィは一緒に暮らすことになった。
「どんな地底の話がいいかしら?別れたリア充の話?
本当に爆発したリア充の話?」
「・・・・・・明るい話でお願いします」