残骸   作:kanpan

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FateGOのFate/Zeroコラボイベントの思い出。


フォレストの中でFateGOする言峰とバゼット

 暗く深い森の中。

 闇を照らすものは小さな焚き火の灯り、そして焚き火を囲む二人が操作するスマホの画面だけだった。

 

 先日始まったFate/Grand Orderのイベント「Fate/Accel Zero Order」。

 しかし、開始直後からサーバーエラーが頻発し、言峰もバゼットも戦場(イベント)になかなかたどり着けない。

 

 焚き火がパチパチと爆ぜる音だけが無人の森の中に響く。言峰もバゼットの間の空気は重かった。

 バゼットはその沈黙に耐えられず、つい自らのパーティー自慢を始めた。

 

「見てください綺礼。ランサーのクーフーリン、キャスターのクーフーリン、Prototypeのクーフーリン。全てレベル、宝具、スキル、フォウMAXです」

 

「アイルランド神話の英雄だったな。すまんが、そちらの話には疎くてね」

 

「加えて、第5章で新登場のバーサーカーのクーフーリンも召喚しました」

 

「ほう、そのサーヴァントはストーリー召喚限定で珍しいのではないかね」

 

「執行者の給料をつぎこんで入手しました。すでに宝具レベル5です」

 

「そうか。私は特に課金はしていない」

 

 熱心なバゼットのクーフーリン自慢に全く表情も口調も変えず淡々と答える言峰。バゼットはFateGOガチャの熱狂に動じない言峰を目の前にして自らに恥じ入る。

 

「私は凡人で、つい新登場サーヴァントや期間限定に惑わされてばかりだ」

 

 つい弱音を吐き出してしまった。

 バゼットはすぐに我に帰り後悔した。言峰にそのような弱みをみせてはならなかった。彼は私を軽蔑したかもしれない。怖くて言峰の顔を制止できず、手元のスマホの画面を見つめた。いまだに通信エラーが続いている。

 しばらく沈黙が続いた後、言峰が口を開いた。口調を変えることなく静かに言った。

 

「私にはどうしても見つけたいものがあるのだ」

 

 どうしてもと。

 バゼットは思った。この何者をも必要としない男がそれほどまでに求めるのはいったいなんなのだろうと。

 その時、バゼットの手元のスマホの画面に変化が現れた。

 

「綺礼!」

 

「どうした」

 

「FateGOにログインできました。メンテが開けたらしいです」

 

「そうか、我らも急がねば」

 

 バゼットが言峰の方をちらりとみると言峰はメンテ中にTwitterを見ていたようだ。今はイベント開始直後のツイートをみて情報を集めているらしい。

 

「むっ」

 

 不意に言峰が驚きの声をあげた。

 言峰の見ている画面には見たことのないサーヴァントの画像が写っていた。

 

「この黒いサーヴァントは本当にに実在するのか!?」

 

 そのサーヴァントの名は「アンリマユ」。

 目以外が真っ黒で、カードの色も黒く、レアリティを示す星もついていなかった。本当に実在するサーヴァントなのか怪しい。だれかが作って蒔いたコラ画像かもしれない。

 

「綺礼。お知らせが更新されています」

 

 バゼットは自分のスマホの画面を言峰に見せた。それはFateGOのお知らせ画面だった。そこにはさまざまな情報が乗っていたが、そのなかに言峰にとって重要な一文が含まれていた。

 

 ”フレンドガチャ更新”

 

「ついに私の求めるものが現れた……。この日を待っていたぞ。私は必ずアンリマユを召喚してみせる」

 

 だが言峰のフレンドポイントはちょうど尽きていたのだった。言峰は素早くバゼットのほうを振り向いた。

 

「バゼット。おまえのフレンドコードは?」

 

「えっ、フレンドになってくれるんですか綺礼!?」

 

 この男が私を必要としてくれるなんて。

 バゼットは嬉々として言峰にフレンドコードを教えた。

 

「フレンドポイントが増える旅礼装をサポートにつけるのも忘れずにな。この世の全ての悪(アンリマユ)を手に入れるぞ」

 

「はい!」

 

 言峰はサポートで借りたバゼットの「旅の始まり」礼装装備のクーフーリンを使い、冬木を周回し続ける。

 その最中でふと思いついた。

 

「この女のクーフーリン、なかなか強いな。手駒にいいかもしれん。機を見て奪い取ることにしよう」




アンリマユを引ける日を夢見て毎日フレガチャを回しています。
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