ダンジョンに召喚された者が潜るのは間違っているだろうか?   作:猫の手

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序章
第一話:駄女神様と少年の日常のサットル


見知らぬ街並み、異形の通行人。

獣の耳を持つ者、長い耳を持つ者、みな其々武装し行き来していた。

コスプレかと疑ったが、武装の草臥れ方、堂に入った姿を見るとそれはありえないと理性が否定する。

寧ろ、自分の姿格好のほうが悪目立ちをしているようだ。

学生服に、鞄、竹刀袋。明らかに周囲から浮いている。

好奇心から送られる視線であれば良いが、明らかに良からぬことを考えている視線もあった。

視線から逃げるように人通りの少ない場所へ進む。

人通りの多い道少ない道を織り交ぜながら歩き続け、ようやく視線がなくなったことにほっと息をつく。

そこは小さな空き地だった。

そこの真ん中に木箱が置いてあり、箱には何やら文字が書かれていた。

箱の中には美しい妙齢の女性が座っており、売られていく子羊のような表情を浮かべていた。

少年には読めないのだがその箱には『キルケです拾ってください』と書かれていた。

コレが少年と主神キルケの出会い。

他の冒険者や神に話せるような自慢のできる出会いではなかった。

むしろ、ありえないといっていいだろう。

だが、頼れるもののいない異邦人の少年。この出会いは幸運であり運命といってもいいだろう。

 

喩え、主神がニートな駄女神であったとしてもだ。

 

 

 

 

ダンジョンに召還された者が潜るのは間違っているだろうか?

 第一話:駄女神様と少年の日常のサットル

 

 

 

 

ダンジョン7階層

上層と呼ばれる比較的浅い階層

キラーアントを初めとした強力なモンスターが出現し、冒険者たちを籤にかける階層。

一般的な冒険者達はパーティを組んで攻略し、ごく一部のイかれた冒険者が一人で攻略をする。

そんな階層に一人の少年が挑んでいた。年の頃は15であろうか。黒い瞳、黒い髪―東方の出身者にみられる外見

少年は4体のモンスター――"キラーアント=初心者殺し"――に囲まれていた。

 

 少年は小刻みに位置を変えながら一足一刀の間合いの外に身を置いていた。フェロモンで仲間を呼ばれる前に始末をしなければ相手に数の利を与えることになる。

そうなれば死ぬのは少年だ。滑るように静かに、だが一瞬で間合いを詰める/縮地と呼ばれる技法/数打ちの駄剣がキラーアントの装甲の隙間をすり抜け切り裂く。

認識、理解すらできない一撃/足並みを乱すキラーアント/咄嗟に距離を取ろうとする二匹目が左肩口から両断される。迎え撃とうとする三匹目が返す刃で首を跳ね飛ばされる。仲間が一瞬でやられたことに動揺し固まってしまった四匹目は唐竹に頭部に両断/鈍い快音、剣が折れ曲がる/頭部以外を両断できなかったのはこれが原因か。

モンスターを全滅させたことを確認し少年は残心を解く。騙し騙し使っていたがそろそろ限界が近づいていたのだろう。剣はきれいに根元から折れ曲がっていた。四匹目が頭しか両断できなかった原因。少年は数度剣をダンジョンの壁に叩きつけ応急処理をする。剣は真っすぐに戻るが強度は大分落ちているであろう。少年は嘆息する。継続戦闘は不可能と判断、地上へ戻ることを決断する。

次にダンジョンに潜るまでに新たな剣を用意する必要性/想定外の出費。

ドロップアイテムと魔石を拾い上げる。鞘ごと剣を取り外す。鈍器のように扱えば地上までの武器にはなる。

 

「駄女神様が悪さしてなけりゃ良いんだが……」

 

ろくでもない己の主神/かの女神が大事件を起こしていないことを祈りつつ足早にダンジョンの外へ向かっていった。

 

 

 

 

 夕刻、ダンジョン帰りの冒険者たちが酒場へと繰り出す時間。歓楽街への2回戦の準備時間。冒険者たちの喧騒がオラリオに響き渡る。少年も主神=駄女神と共に歓楽街から適度に近い料理屋、冬の石榴亭へに訪れていた。

冬の石榴亭はデメテル・ファミリアの眷属が営業する店である。新鮮な野菜や肉=市場に出さない規格外品で作られた安価な料理で知られている店だ。料理人の腕と看板娘の評判も悪くない。

駄女神を伴った少年は店のドアに手をかけゆっくりと開く。ウェイトレス=看板娘が出迎える。

 

「いらっしゃいませ。コジローにキルケ様」

「こんばんわ。チェルシー、席は空いてる?」

「チェルシー……なんで私、神様なのにオマケ扱いなの?」

 

駄女神=キルケは先にコジローが呼ばれたことが気に入らないのだろう。口をとがらせてチェルシーへクレーム。

キルケの言葉にチェルシーはニコリと笑顔を浮かべ/言葉の刃で一刀両断した。

 

「日頃の行いの差です。デメテル様のお情けとコジローの主神だからキルケ様はお客様として扱っているんですよ?」

 

過去に駄女神がやらかした乱行。一人で食事をしたときにやらかした乱痴気騒ぎ。

冬の石榴亭はデメテル・ファミリアの傘下にある。キルケの乱行は当然の如くデメテルに伝わり仕置きを受けた。同じタイミングで連絡を受けたコジローは見事な土下座で謝罪をつづけた。キルケへの小遣いの減額と冬の石榴亭に来るときは、コジローも同行することこの2点を条件に許して貰うことができたのだ。

 テーブルに案内され、当時のことを思い出したキルケはばつ悪そうに黙りこむ。コジローは頭痛を抑えるかのように頭に手を当てる。

 

「チェルシー……色々ごめん。」

「コジローは気にしないで……でも、もし、キルケ様を見限るときはデメテル・ファミリアに来てね。」

 

流れるような改宗への誘いそのしたたかさにコジローは苦笑いを浮かべる。むくれる駄女神。不安げな眼差しをコジローへと向ける。

 

「安心してくれ。改宗つもりは無いからな。……駄女神様の悪行も今更だしな。んで、何を食べたいんだ?」

「本当に改宗しない?」

 

嘆息するコジロー。まだ返せていない恩義/負債というべきか

 

「――……本当だ。安心しろ。主神様」

 

眷属の力強い断言に喜ぶ駄女神。コジローをぎゅっと抱きしめ、改宗をそそのかした小娘に対しドヤ顔を浮かべる。チェルシーのコメカミに青筋が浮かぶ。メニューを荒々しく叩きつけ、テーブルに置くとそのまま厨房へと戻っていく。てめぇ何をしやがるという目でコジローが見ても駄女神はどこ吹く風、メニューを見ながら、次々と夕餉を選んでいく。

 

「今日は鯉がお勧めみたいだね~。おや、コジローが提案したあらいもあるじゃない。これにしようかな~」

 

正確に言うとコジローは故郷の料理を紹介しただけなのだが、駄女神は他にはトマトソースのパスタ、餡かけつき鯉のから揚げ、白ワインなどを注文。追加で甘いデザートを注文しているようだが、コジローはそれを見ないことにした。

一通り注文を終えると駄女神さまが話しを振る

 

「コジロー、今日の稼ぎはどうだったの?」

「25,000ヴァリスといったところだ。……ただ、剣が駄目になったから新調しないといけないな」

 

主神様はどうも今日の儲けが気になるらしい。25,000ヴァリスという言葉を聞いた瞬間目を輝かせる。そんな駄女神にコジローは釘をさすことを忘れない。

 

「小遣いは増えねぇぞ」

「けちー、けちー、一日100ヴァリスじゃぁ遊べないんだぞ~」

「そりゃぁ、デルメル様に迷惑をかけすぎた主神様が悪い。それが無けりゃぁ1000ヴァリス貰えてたのに」

 

コジローの言葉に駄女神は黙る。悔しげに「でるめるのばーか」とつぶやく声、デルメル神の温情を理解できない主神に対しコジローは嘆息する。

 

「家主であるデルメル様にゃぁ逆らえんよ。ちなみに言うが主神様よりデルメル様のほうが上のヒエラルキーにいるぞ」

「なんでー、私、主神なのにぃ~~」

 

眷属との心温まる会話。小遣いが上がらない/デルメルよりヒエラルキーがしたということを理解した駄女神は項垂れる。駄女神の祖母であるヘカテとデルメルは神友でヘカテにお願いされてデルメルは駄女神の面倒を見ているらしい。ちなみにヘカテは仕事をするために天界に残っているそうだ。ちなみにキルケ・ファミリアのホームはデルメル・ファミリアの本拠地の一角を間借りしていたりする。

うなだれている駄女神に対し本日の悪行を吐かせるために言葉を投げる

 

「で、今日の主神様はどんな悪行をやらかしたんだ?」

「神様に対しての信頼が足りないぞ。コジロー、今日はヘスティアの屋台いって牛乳をもぎ取ろうとしたぐらいだよ。」

「……」

 

まな板の駄女神はヘスティア神の見事な胸に嫉妬していたらしい。とはいえ、そのぐらいならばまだマシな部類だろう後でヘスティア様に詫びに行く必要はあるがとコジローは考えた。次の言葉にそれは甘い考えだったと思い知らされる。

 

「こー、あの牛乳をもぎ取ろうとと胸をつかんだらさ。タケが出てきてたたき出された。」

 

コジローはその言葉を聞いて力尽きた。天下の往来でセクハラをしてタケミカヅチ神に叩きだされたらしい。どうやらコジローはセクハラ女神の眷属になってしまったようだ。ヘスティア神に詫びなければならない。あまりにもの事態にコジローの目の前は真っ暗になった。

 

「駄女神様、罰だ。明日の小遣いは50ヴァリス。文句は聞かん。」

「なんでだよ~。横暴だ!!」

「喧しい!!」

 

駄女神へ沙汰を下すと同じタイミングで料理が運ばれてきた。チェルシーは慣れた手つきでそれを一通り並べる。コジローの皿は大盛で駄女神より多かった。依怙贔屓だなどという駄女神に対し、チェルシーは澄ました表情。

 

「まじめに働く人とそうじゃない人の差です。」

「なにぉぅ、神様はね~恩恵を与える代わりに眷属から搾取する権利を得るのだ!!だから良いんだよ」

「――…言い切ったよ。この駄女神。」

 

事実とは言え公言するものがいない。ニート魂をくすぐる台詞。周囲の神々がその言葉を聞いていいセリフだと頷いている当たり救いがない。コジローは駄女神の持つニート魂に驚愕した。宗旨替えすら検討に入るそんなレベルの迷いなさ。駄女神はダンジョンのどのモンスターよりも強力で凶悪なモンスターに見えた。どうすればこのようなモンスターを育てられるのだろうか。

 だが、ここはオラリオあまたの神が過ごす街、モンスターに対抗できる力を持つ神も存在する。駄女神の天敵たる彼女は自分のテーブルからすっと立ち上がり、静かに駄女神へ近寄る。長く美しいその指先で駄女神の頬を摘まむと抓み上げる。

 

「久しぶりね。キルケ」

「でっでめてりゅ!?」

 

 キルケの頬をつねる阿修羅を背負った女神デメテル、大らかで優しいと評される女神がここまで起こることは珍しい。自分の娘が誘拐されなければ怒らないはずなのに。冷徹に見つめる瞳に駄女神は震えあがっている。デメテルは駄女神の祖母と神友なのだ……しかもかなり仲が良い。救いの女神の登場にコジローは心から喝采を上げる。頬を抓りながらデメテルはコジローに声をかける。

 

「こんばんわ、コジロー君。いつもキルケの面倒を見てくれてありがとうね。私はちょっとこの子とお話をしてくるわ。ご飯を楽しんでいってね。――…メアリ申し訳ないけど、しばらくお願いね。」

 

そばに控えていた男装の麗人/デメテルを護衛している眷属に声をかけて嵐のように駄女神を連れ去っていった。連れ去られながらも『私の晩御飯ちゃんが~~』などと叫んでおり、デメテル様の怒りに油を注いでいる光景が見えた。

 

「大変だったね。コジロー。一緒に食事させてもらって良いかい?」

「ぁぁ、構わんよ。寧ろ、デルメル様に迷惑をかけた気分だよ。」

 

男装の女性――メアリは、チェルシーに対し、同じものをお願いというとコジローの隣の席に腰を掛ける。わかりましたと元気のよい声と共にチェルシーが厨房へと向かった。コジローはメアリにグラスを渡すと白ワインを注ぐ。メアリはありがとと礼を言い、ワインでのどを潤す。

 

「最近は調子はどうだい?羽振りが良いみたいだけど……」

「ああ、7階層でキラーアントを狩っているよ。魔石の売値も上がって良い感じなんだが……剣が駄目になってな。買い直しをしなけりゃならん」

 

コジローがぽんと剣を叩く。その剣を見てメアリは呆れてしまった。安い駄剣と言うことで有名なギルド支給品を使用していたからだ。

7階層で使用して壊れなかったと言うことが奇跡と言える。冒険者としては問題だろう。メアリは先輩として忠告をしてやることにした。

 

「ギルド支給品だからね。良く持ったものだと思うよ。その剣が使えるのは、基本的に1~4階層までだよ。……あまりケチると命を落とすことになる。」

「耳が痛いよ。ただ、ホームも無い現状でな。少しでも出費は抑えたかったんだ。」

「……間借りしていることなら気にしなくて良いよ。こちらも色々と恩恵受けているから。コジローが教えてくれた鍬凄く便利で皆の農作業がはかどっているしね。カリーナさんも誉めてたよ。」

「俺は、故郷で使っている農具を説明しただけなんだけどな……」

 

コジローは以前備中鍬と呼ばれる鍬について簡単に説明をしたことがあった。興味を持った一部デルメル・ファミリアの人間が試しに作ってみて使ってみた結果、非常に便利と言うことが分かり、量産計画を練っているそうだ。コジロー自身は茶飲み話程度のつもりだったのだけど……

 

「だから、そこらへんは後回しにしてちゃんとした装備を整えよう。キルケ様だって君にしなれたら困るんだし」

「違いないな。」

 

苦笑と共に、食事を続ける。専用のため池で養殖された鯉は臭みが無く。非常に美味であった。熱々の唐揚を頬張り、パスタを喰らう。冒険で疲れた体には染み入る滋養である。駄女神さまの起こした悪行を忘れ、話が弾む。

メアリはコジローを心配そうに見ていた。デルメル・ファミリアより放逐されたキルケと言う産業廃棄物を引き取ってくれた恩人であり、今も色々と苦労をさせてしまっている子なのだ。デルメル様からも気をかけてやってほしいと言われているので、色々と相談事に乗っているのだけど……

 そうこうしていると、ボロボロになったキルケと憤然としたデルメルが戻ってきた。よほど締め上げられたのだろうキルケはボロボロになっており、半泣きになっていた。コジローはきっとこの場だけの反省をしたんだろうなと考えた。

 

「うぅぅ、コジロー、どうして助けてくれなかったの?」

「神々の話に人間がでしゃばっていいわけがねぇだろ」

 

ほらねと内心つぶやくコジロー。やはり反省と言う言葉はこの女神の辞書には無いのだ。キルケが恨めしそうに見るが、デルメルの視線に気がついて、慌てて食事を再開させる。しかし……長時間お説教を聴いた結果、食事は冷え切ってしまっていた。

 

「くぅ、私のパスタちゃんが冷えてるぅ!?」

 

冷えたパスタを見てこの世の終わりのような声を上げる駄女神様。神の威厳などどこにも無かった。チェルシーとメアリの気遣う視線がコジローの心に染みる。コジローは駄女神の食事をするパスタのように冷え切った心で皮肉を言ってやる。

 

「ただ飯は美味いだろう?駄女神様」

「くぅ……眷属がセメント過ぎる!?」

「当たり前よ……」

 

それを見ていたデルメルは頭を抱える。どうしてここまでニートを拗らせたのだろうか……面倒を見ていた自分のせいであろうか。ごめんなさい、ヘカテなどと言う言葉がぐるぐるとデルメルの脳裏を駆け巡る。そんなデルメルを見かねたのか。チェルシーが度数の強いリキュールを持ってきた。

 

「デルメル様……こちらをどうぞ」

「で、でも……」

 

眷属とはいえ、流石にただで酒を貰うのは気が引ける。だが、続くチェルシーの言葉を聴いてデルメルの良心も脆くも崩れ去ってしまった。

 

「キルケ様の蛮行は始まったばかり、飲まないほうがデルメル様のお心に障ります。」

「その酒代は、こちらにツケて置いてくれ。」

 

遠慮せずに飲んでくれと申し訳なさそうに見るコジローを見て、いつかこの子を自分のところの眷属にしようと固く誓った。苦労をかけさせてごめんなさいと度数の強いリキュールを一気に煽る。心が少し楽になったかもしれない。

メアリは早いところホームへ連れ帰るべきだろうと考え、とりあえず最低限の用事を済ませることにした。

 

「コジロー、明日はどうするんだい?」

「ヘスティア様とタケミカヅチ様に詫びに行った後、武器を買い換える予定だ。」

 

武器をだめにしたしなと続ける。その言葉にメアリはほっと息を吐く。これ以上無理をするつもりなら叱らなければならなかったからだ。そして、デルメル・ファミリア産産業廃棄物駄女神を押し付けた詫びの一環として鍛冶屋を紹介しようと考えた。

 

「当てが無いなら、バベルに行かないかい?ボクの知り合いでよければ紹介するよ。」

「ぉ、そいつはありがたいが、良いのか?」

「大丈夫。7階層まで行っているなら、ギリギリ合格だしね。」

 

度数の高いリキュールを飲んでいたデルメルは、ストレスのせいでちょっと螺子が緩んでいたのだろう。普段なら絶対言わないような爆弾発言を投げ込んだ。

 

「あら、いいわね。デート、頑張ってらっしゃい。」

 

メアリとコジローが顔を真っ赤にする。メアリは『そ、そうじゃないんですデルメル様』『いや、俺は鍛冶屋を紹介してもらうだけだから』などとあたふたとしている。酔っ払っているデルメルはそんな二人の様子を好ましく見ていた。甘酸っぱいこの空気は娘が嫁に行く前に味わったきりだろうか……娘は最高の旦那さんに捕まったので文句は無いのだけど。

そんな和やかな空気は駄女神一言で脆くも崩れ去ってしまう。

「コジロー、ゴムは買いなさいね~。エチケットよ。」

その言葉を聴いたコジローはワインを噴いた。メアリは顔を真っ赤にする。そんな中、デルメルの目が据わっていた。チェルシーも周りの客もその迫力に何も言うことができない。デルメルはたおやかな手ではありえないほどの握力で駄女神の頭を鷲掴みにする。

「ねぇ……キルケ。私の前でゼウスの真似をするんだ。躾が足りなかったみたいね……コジロー君はハーデス程じゃないけど良い子だから別に悪い気はしないわ。でもね。許せないのよ。そういう非道をそそのかすことは」

デルメルは笑顔を浮かべる。笑顔とは……

駄女神は悲鳴を上げるが、デルメル様に連行されてゆく。そんな自分の主神の情けない姿を見ながらコジロー。疲れきった表情でぼそりと呟いた。

「俺さ。何でアレを主神に選んでしまったんだろう?」

「そのうち良いことあるよ。」

コジローの悲痛な言葉にメアリは慰める言葉を発する。産業廃棄物を押し付けてしまったデメテル・ファミリアの面々にとってはその悲惨なコジローの現状に罪悪感を覚えていた。

 

 




酒場で豊穣の女主人を出さなかったのはキルケがミア母さんを怒らせて出入り禁止を喰らっているせいです。
キルケは私がイメージするオラリオ在住神様の平均値的なキャラです。
原作の主人公周りは恵まれていると信じております。
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