ダンジョンに召喚された者が潜るのは間違っているだろうか?   作:猫の手

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お姫つぶしにどうぞ


1章:人魚姫の涙
三話:サポーターとゴブリンのサットル


日が傾き西の空へと沈みゆく、女神たちのお茶会も終わるころ、探索を終えたコジローは今回の成果を換金するためにギルドへやってきた。

担当アドバイザーであるミィシャ・フロットは探索の成果を鑑定を始めていた。

その中のドロップアイテムを見て驚いたのかこちらをまじまじと見つめ確認してきた。

 

「アレ?いつの間に11階層とか潜るようになったの?」

「今日からだ。武器の更新したんで潜れる限りを試してみただけだよ。オークとか相手でも問題なかったから次からはそっちが主戦場になるかな。」

 

アトラ禁制の槍の威力は素晴らしく、まるでバターのようにキラーアントの硬殻を切り裂いた。

その威力たるやギルド支給の剣とは比較にならなかった。どこまで使えるか実験しているうちに気が付けば11階層に到着してしまったのだ。

オークやハードアーマードすらあっさりと切り裂いたため、今度の主戦場は11階にしようと考えていた。

 

「そ~なんだ。でも、コーちゃん、冒険者になって、まだ3ヶ月もたってないよね?」

「ああ、そーだけど?後、コーちゃん言うな。」

 

え~かわいいのにと不満を漏らすミィシャに突っ込みを入れる。このアドバイザーは気楽に話せる点がメリットなのだが、放っておくと際限なく調子に乗るので、時々〆る必要がある。まるでダメなアドバイザーの道を走り始めている女である。略してマダミとでもいうべきか

 

「もしかすると、新記録になるかも、このペースは"剣姫"より早いぐらいだしね」

「まぁ、オレは下駄を履いているようなもんだからな。まともに武術を知っている分、有利なんだよ。」

 

信じられないんだけどね~と呟くマダミ。未だ技に対して懐疑的である。そろそろ納得してほしいとコジローは思っているのだが

 

 

 

 

ダンジョンに召還された者が潜るのは間違っているだろうか?

 三話:サポーターとゴブリンのサットル

 

 

 

 

マダミが武術について懐疑的なのにも理由がある。オラリオの冒険者は体系的な武術を学んでいない。

一流の冒険者であれば何かしらの形で学ぶのだが、それ以下になると激減するようだ。

何故そうなったかと言うと――

 

 1つ目にオラリオで武術を学べる環境がほぼ無いと言うこと

 2つ目に学んだとしても実践で使えるようになるまでに非常に時間がかかること。

 3つ目……これが最大の要因なんだけど、ステイタスの恩恵が強力過ぎるということ。

 

他にもこまごまとした要因は存在するが、この3つが最大の原因と考えている。特に3番目が酷い。

コジローには信じがたい話なのだが、Lv1の素人が腕の力のみでナイフを振るってゴブリンが殺せるのだ。――いや、そいつは鈍器もって殴り殺した方が良かったんじゃないかと突っ込んでしまったが――ステータスと恩恵の理不尽さである。故にオラリオの一般的な冒険者は武術を学ぶくらいであればダンジョンに向かいモンスターを殺す。金と経験値が手に入るのだ。効率が段違いであると言うのが彼らの主張である。

まぁ、実際のところ武術を学ばないとある段階から足踏みをしてしまうようだが……

 

「オレに言わせて見ればステイタスだけで、戦闘をする連中が異常なんだよ。」

「そーなのかなぁ、私には技っておまじないみたいなものにしか見えないんだけどね。」

 

ミィシャの返答にコジローは苦笑する。実際のところ実感は難しいだろう。

コジローの知り合いでもそれを理解しているのはデメテルファミリアの上級冒険者ぐらいでそれも割と最近の話である。

会話中に鑑定を終えたミィシャが袋に詰めたヴァリスを出す。ずっしりとした重量感。以前よりも稼ぎは増えていることが予想できた。だが、恐らく自分ひとりではこの金額が上限になるだろう。限界を超える重量を持てば満足に戦うことができなくなる。精密な動作を必要とするコジローは特にだ。

コジローの考えを見透かしたのか。ミィシャが提案をしてきた。

 

「―――そういえば、コーちゃんはお友達居ないの?」

 

訂正。鋭角に攻め込んできた。誰がボッチだ。そう言い返そうとしたコジローの言葉をさえぎるようにミィシャは話を続ける。

 

「仲間居ないし、いつもソロだし―――そうなのかなぁって」

「友人は………少なくとも知人は居ますよ!!仲間は現在募集中!!信頼できるって条件を満たすやつを探しているんだよ!!」

 

失礼極まりまいマダミ(まるでダメなミィシャ)に全力で反論する。その内容を聞いたのだろうか周囲の冒険者はアドバイザーが憐みの目をコジローに向ける。

コジローは危機感を覚えた。そう、このままではボッチという噂が立ってしまう。

それを駄女神様に知られた日には――それはまだよい。デメテル様に聞かれた日には、自責の念で泣きかねない。あの人は駄女神という産業廃棄物のせいでオレが苦労していると思っている。いや、それは事実なのだけど、デメテル様にはあまり迷惑をかけたくない。ミィシャの失礼な口を閉じさせようと

 

「うん、お姉さん判っているから。大丈夫だよ。」

「何が大丈夫なんじゃぁ!!だったら仲間を紹介してくれよ。アドバイザーだろう!!」

 

悲鳴のような声を上げる。それすら、ミィシャの能天気さを突き崩すには至らない。

ミィシャはのほほんとした表情のまま少し考える。数分経過後、重々しく口を開いた。

 

「ごめん。いないや」

「アンタ、鬼か!!」

 

手を合わせて謝るようにいう。ミィシャに対してヒートアップ。このアドバイザー最悪だろう。と内心叫ぶ。

だが、彼女ののほほんフェイスは変わらない。そして止めの一言を放ってきた。

 

「あはは、ファミリアと友達は自分で探すものよ?」

「本当に酷いなアンタ!!」

 

周りにはいつの間にか生えてきた神々がコジローとミィシャとのやり取りに関して寸評を始めた。「あの突込みは世界を狙えるな」「うむ、突込みが少なくてオラリオ突っ込み冬の時代に希望の星だな。」他の連中の突っ込みなんて、オレは嫌だよ。ミィシャと駄女神で許容量オーバーだよ。とコジローは内心悲鳴を上げる

ここをどう切り抜けるか。コジローはダンジョンの探索よりも真剣に言葉を選んでいると背後から声がかかる。

 

「なぁ、あんちゃん、仲間探しとんのか?」

 

コジローの動きは過去にないぐらいの速度で後ろを振り返り声をかけた人物をがしっと掴む。ミィシャやダメな神々などに構っている暇はない。

 

「絶賛募集中だ」

「さ、さよか」

 

がっしり掴んだ相手はスカルキャップを被ったゴブリンだった。短パンと簡素な皮鎧に身を包んだ姿はどこと無くユーモラスだ。その姿を見てコジローは少し考える。果たしてゴブリンは冒険者にカウントしてよいものかどうか。

結論。

ミィシャや駄女神よりはマシだろう。

 

「ゴブリンか。まぁ、人語が喋れて、ミィシャ以上の常識がありそうだし構わんよ。」

「あんさん、大丈夫か?ワイはテイムされたモンスターや仲間に居はいりたいのはこっちのお嬢。」

 

そういうと、ゴブリンはこっちこっちとテイマーの冒険者を指し示す。ゴブリンの主は儚げな印象の女の子だった。

少し草臥れた―だが、手入れはしっかりとしている―皮鎧に身を包んだその姿は女冒険者と言う出で立ちであり、それなりの場数を踏んでいることを伺わせた。

少女は木の板を取り出すと文字を書き始める。

 

【私はアリエル。こちらはゴブリンのゴブ吉さんです。サポーター雇いませんか?】

 

第一印象は全うに可愛い美少女だった。残念な女やアクの強い美女が多い中、普通に可愛く儚げな少女の容姿に動揺してしまう。

だが、下心満載でOKをだせば嫌われるだろう。コジローはクールになれと自分に言い聞かせ。目を閉じミィシャに振り回され煮えた脳味噌を落ち着かせる。

 

「ま、まず、確認だ。言葉を喋れないのか?」

【はい、私は喋れません。ですが、ゴブ吉さんがいるのでそれがデメリットになることは少ないです。』

 

その回答に少し考え、頷く。ペットが主の代わりができるならば確かに問題は無いだろう。分けた行動ができないのが問題と言えば問題だが、そこまで気にするようなデメリットではない。

 

「2番目、そのゴブリンは何で共通語で会話できる?」

【私のスキルです。詳細はいえません。】

 

面白い便利なスキルだと思った。スキルを持っていない自分にしてみれば羨ましい限りである。

 

「3番目、長期的な仲間を求めている。相性もあるから1日のお試し期間は設けるけど、それについては大丈夫かな?」

【そちらのほうが嬉しいです。頑張りますのでお願いしますね。】

 

アリエル側も長期的な契約を求めていたようだ。コジローと条件が合致している。コジローとしては頻繁にメンバーを変えるのは手間からいっても避けたいと考えていた。その方が割り切れるという冒険者もいるようだが、コジローとしては長期の方がありがたい。

 

「最後だ。探索の成果は山分けにしようと考えているが良いか?」

 

最後の条件を聞いたアリエルとゴブ吉が目を丸くする。何か変なことを言ったのだろうかとコジローは首を傾げる。

アリエルは大急ぎで木の板にチョークで文字を書き連ねる。

 

【本当に半分も戴いて良いんですか?】

「えらい、気前がええな。」

「んなもんじゃねぇのか?」

 

パーティを組む以上不満をためないように平等に分けるのは基本だろう。武器防具の磨耗や道具代に響く。

山分けと言ってもそこらへんも考慮した金額にするつもりだが……それが当たり前ではないのかと聞き返すコジローにゴブリンは少し悩むように腕を組み。

アリエルはじっとこちらを見る。――…下心とか条件面に反映させておりませんのではい、アリエルの瞳にコジローはなぜか罪悪感を覚えた。

そんなオレの言葉を聴いてにやにやと笑みを浮かべるミィシャ、かっこつけちゃってこのとでもいいたいのだろうか?

 

「オレの方からはこれ位だ。そっちはどーだ?」

【異存ありません。】

「その条件なら文句つけようがないで。」

 

アリエルとゴブ吉は条件に問題がないらしく了承した。

話がまとまり待ち合わせ場所を決めると、明日の準備があるからと二人はギルドを駆け足で出て行った。

見送っているとミィシャが声をかけてきた。コジローにとって非常に憎たらしい駄女神のような声で

 

「アリエルちゃんが可愛いからって、かっこつけすぎじゃないかな?」

「喧しい、条件いついては誰が来ても変えねぇよ。」

 

ミィシャの言葉にピシャリと言い返す。「サポータは待遇はもっと悪いわ。2割もらえは最高水準よ?」相場をミィシャが言う。

 

「あのなぁ、相手だって装備はいるし、アイテムだって必要だ。そんなはした金で雇って死なれたらどうするんだよ。」

「たいていの冒険者はラッキーって言うわよ。分け前が増えるわけだし」

 

そのミィシャの言葉を聴いて嘆息。人の足元を見るのは好きではないし、そんな扱いをすれば信頼関係など築けないだろう場合によっては背後から自分が刺されて死ぬだろう。

 

「ミィシャさん、オレは小銭のために背中から刺されるのは嫌だよ。」

「コーちゃんらしいね。でもね。サポーターはそういう劣悪な環境で生き延びてきたしたたかな子が多いから気をつけないとだめだよ。」

「了解。後、コーちゃん言うな」

 

そう言うと話は終わりとばかりにギルドの外へと歩き出す。

明日探索をするのであればアイテムの補給が必要だ。早めに済ませておくに超したことはないだろう。

明日の準備のために外へ向かう俺に対し、ミィシャが余計な一言を放つ。

 

「デートの報告楽しみにしているわよ~~」

「喧しいわ!!」

 

反射的に怒鳴り返しその場を足早に立ち去った。

 




私にとってミィシャさんはこんな感じです。
サポーターを仲間にしました。
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