ダンジョンに召喚された者が潜るのは間違っているだろうか?   作:猫の手

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更新します。

今回はベル君が可愛そうなことになります。
主人公は善意でやっているのですが……


第八話:トレーニングにまつわるサットル

 

アリエル達と別れ、コジローは血塗れのベルを担いでバベルのシャワールームへ向かった。後でロビーで待ち合わせる予定だ

血塗れになったベルを見て周囲の人間がぎょっとしているが、相手にせずシャワールームへ連れて行くと適当に床に落とす。

その衝撃がちょうどよかったのだろうか。寝ぼけた表情であちこちを見ていた。

そんなベルに対して、コジローは指示を出す

 

「師匠、血塗れだからシャワーを浴びた方が良いぞ。」

「あ……うん」

 

目が覚めたばかりで頭が付いて来ていないのだろう。いわれるがまま服を脱ぎシャワールームへと向かっていった。

それを見送ったコジローは鎧についた血を布で拭い、適当なズタ袋の中へ入れていく。

シャワーを浴びて、目が覚めたのだろうか。突如ベルが大声を上げる。

 

「エエエエ……」

「え?」

 

ベルの声に更衣室で待っていたコジローが首を傾げる

突如大声をあげて走り出したベルにコジローはラリアットを食らわせて止める。全裸で外に出るのは不味い。

ストリートキングとして神々のネタになるだろう。流石に止めなければ見事なおっぱいの神様に悪いだろう。

 

「ぐぅ……コジロー、何をするんですか」

「喧しい。師匠服を着てから出ろ。マッパで出たら、一か月はバベルに現れたストリート白兎として神々の新聞の一面に載るぞ」

「ぐぅ!?」

 

ストリート白兎なんかワイルドで強うそうな名前だとコジローは思った。

肉食系の兎、色んな女の子を落としそうだ。コジローの説得(?)を受けたベルは大急ぎで服を着る。

急がなければならないことでもあるのだろうか?コジローは首を傾げつつ、ズタ袋にしまった鎧を手渡す。

 

「じゃぁ、ロビーに行こうか。師匠も清算が必要だろ」

「あ、うん……それよりも、エイナさんにアイズ・ヴァレンシュタインさんについて聞かないと」

 

ファンだったのだろうか?コジローは首を傾げつつ、ベルを連れ立って仲間の松ロビーへと移動した。

ちなみにコジローは自分がアイズの所属するロキ・ファミリアと縁があることは言わないで置いた言ったらロクなことにならなさそうだったので……

 

 

 

 

ダンジョンに召還された者が潜るのは間違っているだろうか?

 第八話:トレーニングにまつわるサットル

 

 

 

 

 時刻は昼を少し回ったぐらい、流石に今の時間帯は冒険者たちもまばらでギルドの受付嬢たちも暇をしていた。

雑談に興じているものも多々いたが誰も咎めることはない。ベルが探しているエイナもミィシャと話し込んでいた。

そのエイナに向かってベルは走って行った。脱兎のごとくと例えればよいのだろうか?

その様子を見送ったコジローはロビーを見回し、既にテーブルを確保し座っていたアリエル達を見つけ声をかける

 

「悪りぃ遅くなった。」

「いえ、大丈夫です。コジロー様」

「まぁ、仕方あるまい。血塗れで来るわけにいかんしの」

「せや、ちょうど、アーデ嬢の防具について色々話しとったところやし、全然問題ないで」

 

アリエルも【YES】と書かれたネックストラップを見せて頷く

武器についてはフレイル(というよりも馬鹿でかい鉄球付きの分銅鎖といった方がただしいが)で十分という意見でまとまり防具を考えているようだ。

基本的にコジローそれでよいと考えているため、反対するつもりは無い。ただ、バックアップとしてサブウェポンを用意した方が良いとは思うが……

それを指摘する

 

「とはいえ、バックアップのサブウェポンは準備していた方が良いよ」

「ふむ、とはいえ重量がないとそやつはダメだろうしの……重いサブウェポンというのはサブウェポンの定義に喧嘩を売っている存在じゃな」

「なら、グリープや靴を強化してついでに重くして見たらどうだ?」

「……ふむ、遠心力は望めぬがアリじゃの」

 

アトラがメモ帳を取り出しメモをし始める。サブウェポンは蹴りが主体となるが通常時も近寄られた時に使えるので都合が良いだろう。

アイデアを纏め、現行の具足を流用して作れないかとアトラは考える。――…多少手間だが時間がかからずやる方法があると判断する。

風変り武器の作り思いっきり実験をしていい冒険者はレアでアトラはほくそ笑んでいた。楽しい実験や開発の日々が待っているのである

こういうゲテモノを作らなくて何が武器屋か。これからしばらく続くであろう新しい武器の開発が楽しみでしょうがなさそうだ。

 

「武器もええけど、アーデ嬢ちゃんの防具は更新がいるで」

【防具がないと危険です】

「はい、リリは冒険者として動いたことがないので立ち回りに自信がありません。」

「動きやすさと丈夫さが必要だな。リリルカさんのスキルである程度重量は無視できるけど……」

「ふむ、そうなるとそうじゃな。ハードアーマードで作るのが一番良さそうじゃな。上層ならば過剰な防御力。中層でも通じる鎧じゃ」

 

ハードアーマードならば、在庫も大量にあるし、材料も手に入りやすいからメンテナンスもしやすいぞとあと安いしとアトラは続ける。

安いその言葉に目を光らせたリリルカが賛同する。アリエルもアトラの側に回った。

ゴブ吉は特に要望がるわけではなく、コジローも特に反対意見があるわけではない。

 

「ハードアーマードの鎧でお願いします。色々と出費が多いので……」

【まだ、上層の探索がメインなのでそれがいいと思います。】

「うむ。ならば在庫の鎧を調整で済むからすぐに用意が可能じゃ。明日わしの工房に来るといい、その場で用意してやろう」

 

コジローとしてはフルプレート仲間が欲しかったのだが阻止されてしまった。装備沼に落ちる仲間はまだ現れないようだ。

冒険者で最近流行の兜の形状や外套などについても会話をする。

有名な冒険者が使っている形状の武器防具はの有用性や実用性について情報のやり取りをする。

アイズ・ヴァレンタインの鎧はあれは背中の防御力が低すぎて素人にはお勧めできないとか、

逆に隻腕の赤獅子のような全身鎧は重すぎてダンジョンでは不人気だとかオラリオのトップクラスの冒険者の鎧について色々と話す。

まぁ、高根の花で今の自分たちには関係がない話なのだが……

次第に鎧も決まり、次の話題に移る。武器をあまり使ったことがないリリルカの修練についてだ。

 

「で、武器の習熟はどうするつもりじゃ?」

「えっと?リリは振り回せましたし、ゴブリンも倒せましたよ?」

「ゴブリンならな。それより上のモンスターを潰すなら、自在に扱えるようにならなきゃならん」

 

アトラの起案に対し、リリルカは疑問を浮かべ、コジローが説明をする。

自在といわれてピンと来ていないようだ。実戦で訓練を積むのもよいが、まぁこういう時必要なのは素振りだろう

故にコジローはリリルカに提案をする。

 

「まぁ、素振りをしてなれるのが一番だろう。オレも毎朝一万回素振りをしているから一緒にやろうか。リリルカさん」

「いっ、一万回ですか!?」

「コジロー、それはやり過ぎじゃろ」

 

アリエルすら平坦な表情で【NO】と書かれたネックストラップを見せる。

アトラも百回の素振りなら聞くがその百倍をやる変態的な行為をしている人間が目の前にいるなど想定外であった。

リリルカとアトラの大声にエイナとベルは目を丸くし、ミィシャは「変態の所業ね」と呟いた。

周囲の正気を疑う声にショックを受けるコジロー、自分は間違ったことをしていないと信じるゆえにショックである。

ミィシャが呆れた表情を浮かべコジローに声をかけた。

 

「だから、コーちゃんの歩く姿はキモイんだね」

「コーちゃん言うんじゃねぇ。なんだよキモいって!!」

「いやー、キモいのはキモいよ」

 

実際、一般人が見ると達人の動きはキモい動きに見えることがあるそうな。

動きの予備動作、前兆、無駄を消すまでに至るのに鍛錬が必要だ……それが極まると相手が気が付かぬうちに斬ることができるようになる。

武芸を知らない人間は変な動き見えてしまう……ある種代償ではあるのだが、ミィシャの表現はあまりに無情だった。

ミィシャの発言にコジローは必至の反論を行う

 

「武芸の基礎は素振りだろ!!これができてねぇとまともに振れんぞ!!」

「いや、お主のはやりすぎじゃ、やりすぎて変態の所業にしか見えぬ」

 

アトラの無情な言葉にコフッとコジローはテーブルに突っ伏す。味方と思っていた人間の後ろからのフレンドリーファイア、これはつらい。

アリエルすらかばってくれない世の中の非情さをコジローは嘆いた。でも、リリルカにはそれをやらそうと心に誓う。

ベルが冒険者としての一般見解を述べる

 

「素振りをするよりもダンジョンで戦った方が強くなれませんか?」

「師匠、素振りとダンジョンは別腹って奴だよ」

「まぁ、素振りはやらぬよりやった方が良いぞ。武器の振り方やタイミングをつかむのに有用じゃからの」

 

ベルの問いにコジローがMr.のような回答をして、アトラが補足する。

エイナはアトラの言い分に理解を示すが、コジローに対しては変態を見る目で見始めた。

仲間がまた一人減ったことを自覚し、コジローは嘆く。おおよそ自業自得ではあるのだが。

 

「リリルカさん、今日は暇だろ。簡単なトレーニングしようぜ。ちょうどバベルだし、トレーニングルーム借りてやろう」

「わ、分かりました。コジロー様」

 

リリルカが悲痛な表情を浮かべ頷く。変態的なトレーニングマニアは恩人ではある。彼がやる以上ためになるのは間違いない。

だが、そのトレーニングは地獄の一丁目だろう。絶対にやばいということだけをリリルカは自覚した。

アリエルとゴブ吉に助けを求めるが、申し訳なさ無そうに謝られた。

アトラとベル、そしてエイナが心配そうな表情を浮かべる。

 

「わしも手伝おう。度を過ぎれば止めるから安心せい」

「僕も参加します。」

「トレーニングルームは私が予約します。リリルカさん安心してください付き添いますから」

 

3人がリリルカを守るために立ち上がった。

コジローは納得いかない表情を浮かべアリエルを見ると【仕方ないと思います】と書かれたボードを持っていた。

どうやら、ここに味方はいないらしい。

エイナの案内の元一行はトレーニングルームへと向かっていった。

 

 

 

 

トレーニングルームについたコジローはタオルをくるくると巻き、棒状にする。それを二本作ると軽く振り回し、感触を確かめた。

目の前にはサンドバックに縛り付けられたベルとリリルカその二人の様子を見ながら、これから行うトレーニングを説明する

 

「これから行うトレーニングは危険が迫っても咄嗟に目をつぶらないようにするためのトレーニングだ。危険が迫ったからといって目を閉じるようではダンジョンで探索する以前の問題だからな。トレーニングの内容はこれで顔を叩くだけだから大怪我はしない安心してほしい」

「コジロー様、安心する要素がありません。」

「トレーニングですよね!?」

 

拷問の間違いじゃないですよねと叫ぶベルと素直に感想を口にするリリルカ。

説明を聞いたアトラは興味深げな表情を浮かべ、エイナは理論と効果を考え有用性を認めざるを得ないと苦虫を潰した表情を浮かべる

アリエルは不安そうにコジローを見るが、大丈夫という彼の言葉を信じるしかないと考えていた。

ブンブンといい音を鳴らすたびに、ベルとリリルカの表情が青くなる

 

「ああ、試験をして合格すればこのトレーニングは免除だ。目を閉じないように頑張れ」

「「鬼~~」」

 

その言葉を聞いたコジローはいい笑顔で二人を顔を布上の棒で殴り始めた――結果は両者不合格。

 

その日は目を閉じなくなるまで布を固めた棒で殴られ続けたそうだ。

ベルは今日一日だけで済んだことに安堵を覚え、リリルカはこのクラスの鍛錬が続くことに恐怖を覚えた。

強くはなれるかもしれない。ついていくしかない。でも自分は無事に生き残れるだろうか……

 

「ふむ、新人どもへの教練として組み込むのも悪くないの。」

 

ぽつりと呟いたアトラ。ヘファイストスへ奏上し、証人が取れたため、Lv1の新入り達はこの試練を受けることになった。

発案者であるコジローの名前が知れ渡り、ヘファイストスファミリアの怨嗟の対象になるのは別の話である。




ミィシャの性格が悪くなったような気がする。
これもすべてキルケという駄女神のせいなのです。

リリルカのスキル『縁下力持』はパワーアシストアーマーみたいなものだと解釈しています。
不通にやばいスキルだとは思うのですよね
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