THE PHANTOM PAIN Another ep:X 作:delutaplus
いつか必ず終わってしまう日常
1970年 9月1日 日本 東京都
ここは東京にある、東都高校。
夏休みも終わり、3年の二学期が始まろうという頃に俺は転校してきた。
「おーい皆静かにしろー。HR始めるぞー。まずは転校生の紹介だ。入ってこい」
「失礼します」
入ってきたのは、茶髪に整った顔立ち、野性的な目つきの外国人だった。
「自己紹介しろ」
「アメリカからきた、ジャックだ。得意なことは食べることだ。これからよろしく」
意外なことに、流ちょうな日本語を話したそのジャックは、いわゆるイケメンで、男子と女子の反応に多大な落差があったのは言うまでもない。
言われた席に着くと、さっそく隣の男子生徒が声をかけてきた。
「よう、ジャック」
「・・・すまない、まだ顔も名前も覚えていないんだが」
「そりゃそうだろう、話すのは初めてだからな。あんた、面白いな。俺は光輝。よろしくな」
「よろしく頼む。で、何の用だ」
「一つ聞きたいことがあってな。ジャック、あんたコレはいるのか?」
光輝は手を握り、小指だけ立てて見せてきた。
「コレ?なんだ、それは」
「あ、そっか。えーと、つまり、あれだ、ガールフレンド」
「?いないが、どうしてそんなことを聞くんだ?」
(いないのか・・・絶対いると思ったんだけどな・・・)
「いや、何でもない。さんきゅな!」
そう言い残して、光輝は去っていった。
(なんなんだ、一体・・・)
気になった彼は、反対の隣の女子生徒に声をかけた。
「すまない、一つ聞きたいんだが」
「どうしたの?ジャック君」
「さっき、光輝から恋人はいないかと聞かれたんだが、どういうことだ?まだ転校してきて10分位しか経ってないのにできるわけがないだろう」
「・・・」
(天然というか、朴念仁なのね、ジャック君)
「おい」
「あ、ごめんごめん。たぶん気になるんじゃないかな」
「何が?」
「ジャック君、イケメンじゃない。モテてるか気になるんでしょ」
(イケメン?モテる?)
「なんだそれは?ウマいのか?」
「えっ・・・とイケメンていうのは・・・」
(イケメンって何!?えっと・・・)
「きれいな人って意味よ、たぶん」
「ほう、じゃあ君はイケメンだな」
「なっ・・・!」
「何か違ったか?」
「イケメンっていうのは男の人に使う言葉で、その・・・」
「そういえば、君の名前を聞いてなかったな」
「え?私は、悠。よろしくね」
そんなやり取りの後ろでは、クラスメイト達が悠を羨ましがったり、ジャックの天然ぶりに驚くものの会話でざわついていた。
「ちなみにモテるってのはどういう意味なんだ?」
「異性に人気って意味ね。ジャック君ならいろんな人に告白されてそうだけど」
「まだ一回もないが」
「嘘!そんなイケメンなのに?」
「今まであまり女子がいる環境にいなかったからな」
「どこにいたの?」
「それが、思い出せないんだ。目を覚ましたら、まわりには男しかいなかった。それからずっとだ」
「そうなの・・・」
それから一か月。何事もなく、高校生活が過ぎていった。
ジャックと悠が付き合っているといううわさが絶えなかったが、本人たちは否定していた。
そんな日常が、ある日唐突に終わりを迎える。
第一話はちょっと短めです。かなり短いです。日常を描くのは苦手でして・・・
なお、あらすじにもありましたが作中の名前などは現実とは一切関係ないのであしからず。
70年代とは思えない会話してますね、彼ら。いや、70年代知りませんけど。