人は大きなものを得ると人格が変わる。
それは、良い方にも悪い方にも変わるから、質が悪い。
では、どうぞ!!
あれから、四人で雑談をし解散となった。
久しぶりだった。こうして、笑いながら誰かと話したのは。
久しぶりだった。こんなにも、楽しかったのは。
友達
地上にいた時には沢山いたのに、当たり前のことだったのに忘れてしまっていた。
知恵比べ、鬼ごっこ、かくれんぼ、あっぷっぷ、おままごと……男の子たちは森に行っては怒られていたっけ。
あの頃は……楽しかったなぁ……
昔々の、私が地子という名前の頃の幼い記憶。
人を疑うことをしらず、仲良しの子と一緒に遊んで、父様や母様に話し笑い会う。素晴らしいほどに美しく充実した私の記憶。
あの頃に、戻りたい。
ある日、父様が大喜びしながら帰ってきた。
まだ、幼かった私には凄いんだ程度の認識であった。そして、天界と言う場所でも友達出来るかな?と不安がっていた。
地上の友達と別れるのは悲しかったが、また何時か会えるだろうとも思っていた。
しかし、それは夢物語であった。
天界に付いた私たちには身に余る財産と権力を手にした。
そこから、周りが私に対する対応が清々しい程に綺麗になったのは。
私が転ければ、近くにいた使用人が殺される。
子供が私にぶつかれば、家族もろとも殺された。
私はそんなこときにしていないのに。
耳を澄ませれば、泣き叫ぶ声。
耳を澄ませれば、褒め称える声。
目を動かせば、首を跳ねられ、火だるまになった姿。
目を動かせば、体を舐め尽くすかのような目。私を道具にしか思っていない目。
鼻を燻らせれば、鉄の臭い。
鼻を燻らせれば、色とりどりの機嫌とりの臭い。
そこに、私を見ているものは居なかった。
でも、私は諦めなかった。
私が強くなって、何でもできるようになれば、私を見てくれる。私自身を好きになってくれる。
そう、信じていたから。信じなければ、私自身が潰れてしまいそうだったから。
けど、何も変わらなかった。
私は努力した。努力して、強くなった。
勉強も、運動もただひたすたに……。だが、結果はどうだ?何も変わってはいなかった。
悔しかった。だから、もっと努力した。手から血が出ても、私は足掻く事を止めなかった。
いつしか、私は恐れられていた。
天界の中で女子最強の座に、いつの間にか私は座っていた。
男性には私より強い者なんて居るだろうが、言い寄って来るものは極端に減った。
しかし、それに焦ったのは両親だった。
両親はより強い権力、より多い財産を欲しがった。そして、男を連れてくるようになった。
やれ、この人は良いだの、やれ、この人は強いだの。そして極めつけにはこう言うのだ。
『結婚しなさい』
苦痛だった。私の心の拠り所はもう、何時も私の周りの世話をしてくれていた衣玖だけだった。
しかし、それすらも私を丸め込める罠の一つ。
彼女は私の心を掴み、信用させ結婚させる。それが目的であった。
私は……もう、疲れた……
考えるのが、動くのが、そして、心が……疲れた。
そして、何を思ったのだろう……絶対に意味などないと分かっているのに、私は一つの計画を立てた。
これで、天界の奴等を見返してやるッ!!
幻想郷を滅ぼしてやるッ!!
無意味だと分かっている。
自分から間違いに進んでいるのも、分かっている。
でも、どうせ、初めから間違っていたのだ。そう……初めから……。
私は飛び降りた。
計画は順調に進んでいった。
博麗神社にありったけの力を封じ込めた要石を落とし、そのまま地下深くへ埋める。そして、バレないように地下で地割れでもお越し要石を破壊。そして、大地震を起こしてやる。
私を見てくれる。と、言ってくれたあの3人には悪いがもう、止められない。
あれ?おかしいな……前が良く見えない。
視界がぼやけ、前が見えない。
夜中なだけあって、足元が良く見えず、私は転けてしまっていた。
「……あはは……ばっかみたい」
私は、私を笑った。
「泣くぐらいなら……止めれば良いのに……」
そう。泣いていたのだ。
天界に言って泣く暇があれば努力を続けた私が、地上ではこんなにもあっさりと泣いている。
滑稽だ。これ以上のみせもなんて無いほどに。
それでも、私は前に進んだ。
霊夢は縛り付けたから大丈夫。
縁と輝夜は帰った。もう、何も考えるな。
これが、終われば……私は……私は…………きっと、壊れることが、出来るから。
不自然に凹んでいる場所。
立つことが出来ず、這いつくばりながら、何とかここまで来た。
私が要石を埋めた場所。後は、ここで能力を発動すれば……全部が終わる。
幻想郷も、私と彼らの関係も、私自身も全部、全部が壊れて崩れ去るのだ。
私は震える手を押さえ、凹んだ地面に手を付け『なにやってるんだ?』
「…………」
『なあ、何をやってるんだ?』
バレた……。でも、いいか。これはこれで、私が壊れる切っ掛けになるだろうから……。
声の人物は私の腕を掴むと、引っ張りあげ私を立たせた。更に、私の服に付いた砂を払い落とた。
「なあ、何をしてたんだ?教えてくれ。天子」
「…………。幻想郷を、壊そうとしただけよ……」
「……そうか」
トーンが下がった声は、私を震え上がらせるのには十分過ぎた。
その手が持ち上げられ、私へと伸びる。
ああ、殺されるのか……
そう思い、私はその運命を受け入れるべく目を閉じた。
これで、私は解放される。
しかし、その運命はどこかで絡まってしまっていたらしい。
……………………?
可笑しい。いつまで経っても衝撃がこない。息苦しくもない。
いや、もしかすると、既に死んでしまっただけなのか?そう、思い閉じた瞼を持ち上げた……その直後……
私の頭を何かが撫でていた。
それが、何なのか理解するのに私は時間が掛かった。
手だ。さっきの私に伸ばされていた手。
私は動けなかった。
だが、その手は私の頭を撫でることを止めなかった。
どんな表情をしているのだろうか?
怒っているのか、悲しんでいるのか……それとも、哀れんでいるのか。
私には分からなかった。が、今まで雲に隠れていた月が顔を覗かせ、月明かりが私たちに降り注ぐ。
そして、見えた。
その顔が、
その表情が、
その表情は、微笑み。
縁は、何時か見た、父様と母様が見せていた同じ表情を、同じ微笑みを私に向けていた。
そして、現状が理解できない私に縁が声を掛ける。
それは、ただ一言。たった一言。
「お疲れ様」
パシーンッ!!
私は縁の頬を叩いていた。
お読みいただき有難うございます!!
伏線としては、縁が要石の件で何かを思い出そうとしたのは注連縄(しめなわ)の有無です。落ちてきたのには注連縄がされており、後の奴には注連縄がされていませんでした。一応、力の大きさを簡単には表した感じです。
あと、悲しげな表情は結局あれだけでは助けれてなかった。と言うことですね。
誤字脱字報告、感想、アドバイスがあれば、よろしくお願いします。
シリアス多いな……
では、また次回。